ワレコ
電子工作は楽しい
さて、電子工作をする場合に先ず必要となるのが電源装置だ。
例えばこんなやつ。
上写真の製品はフロントパネルに主電源スイッチ(POWER)、出力ON/OFFスイッチ(Output)が付いているので使い易い。
この手の可変直流安定化電源は昔は何万円もしたが、最近では数千円で購入出来る。
この記事では、これから電子工作に挑戦する予定の人の為に、ワテの経験に基づいて安定化電源の機種選定のコツをアドバイスしたい。
では、本題に入ろう。
安定化電源を買うか、自作するか?
まあ、今では安定化電源は安い奴なら一台数千円で買える。
一方、自作するとなると悩むのがスイッチング電源方式にするか、大型トランスを使った昔ながらのアナログ式安定化電源(リニア電源)にするかだが、どちらの場合も長所短所がある。
電子回路初心者の人が行き成りスイッチング電源方式の電源回路を作成するなんて言うのは技術的に困難だろう。
それに比べれば、大型の電源トランスを使ったアナログ方式の安定化電源を自作する場合は少しはハードルが低い。
可変型3端子レギュレータLM317を使う出力可変安定化電源の例
例えば可変型3端子レギュレータLM317を使った出力可変の安定化電源ならこんな回路図が参考になる。
図 5A Constant Voltage/Constant Current Regulator
引用元 http://www.tij.co.jp/jp/lit/ds/symlink/lm117.pdf
可変三端子レギュレーターLM317単体だと出力電流は1.5Aが限界だが、PNPトランジスタMJ4502を追加して出力電流を5Aまで増やせるようにしている。
入力電圧は非安定35VDCで出力電圧はボリュームで1.2V~30Vまで可変出来る。
さらに、電流制限のボリュームがあるので供給する電流にリミットを掛ける事が可能だ。
所謂(いわゆる)、CVCC電源回路と言うやつだ。
CVCC = Constant Voltage/Constant Current Regulator
である。
CVCC電源は通常はCV(定電圧)モードで動作するが、電流が設定値を超えたらCC(定電流)モードに移行する。
従って、自作回路の実験においては事前に最大電流値をセットしておけばそれ以上の電流は流れないので、自作回路の実験には最適だ。
上記回路の場合、直流出力1.2V~30Vまで可変出来て最大5A流せるので、実験用には手頃なCVCC電源だ。
かつ、CCモードになるとLEDも発光するので市販のCVCC電源と同等の機能性を持つ。それもテキサスインスツルメンツ社のアプリケーションノートで紹介されているので正しく作れば確実に動作するのでお勧めだ。
なお、最近ではこの手の回路なら出力はバイポーラトランジスタでは無くて損失の少ないMOSFETを使うほうが多いと思う。オン抵抗がミリΩオーダーの製品も多いから発熱が少なく、ヒートシンクを小型化出来るからだ。上の回路でPNPトランジスタをPchのパワーMOSFETに置き換えて、R1抵抗値を調整すれば多分動作すると思うがワテは試していない。
でもまあ、初めて作るなら上図のオリジナル回路のまま作るほうが間違いないだろう。
MJ4502と言う外国製のPNP型パワートランジスタ(VCE=100V、最大損失=200W)が使われているが、国産の2SAか2SBのPNPパワートランジスタで同じくらいの最大定格を持つものなら何でも代用できるだろう。
一つ注意するなら、図中のLM301Aに-6Vの電圧が必要なので少々手間が掛かるが、小型トランスと三端子レギュレータで生成する(ワテ自作機)とか、あるいはDCDCコンバータで生成するなど(たぶん)で対処出来る。あるいは、今なら単電源動作のOPアンプも多いので、LM301Aを単電源のOPアンプに置き換えて設計し直すのも良いだろう。
実際、上で紹介した回路図をこのあとLTspiceシミュレーションした結果を紹介するが、その時にこのLM301Aを適当に選んだ単電源の汎用オペアンプ(型番は忘れた)に置き換えてもいい感じで動いた。
5A Constant Voltage/Constant Current Regulator向けトランスの選択
もし負電源(-30V ~ -1.2V)で同じものを作りたい場合には、上記回路に於いて負電圧版のLM337を使い、トランジスタをPNPではなくてNPNに置き換えて、あとは若干の手直しをすれば可能だ。
その場合はセンタータップ型のトランスが一台有れば良い。
0┗━━━━━━━━━━┛100 30┏━━━━┳━━━━┓30 センタータップ型 0
30-0 をダイオード整流して負電圧回路を組む。
0-30 をダイオード整流して正電圧回路を組む。
トランスのセンタータップ(0)は正負回路の共通グラウンドに接続すれば良い。
あるいは、正電圧LM317版を2回路作成して定電圧出力を直列に接続しても良い。ただしその場合には、電源トランスは二次側の巻き線はセンタータップではなくて独立した2回路のタイプが必要になる。
つまり、こんな感じ。あるいはトランスを2個使っても良い。
0┗━━━━━━━━━━━━━━┛100 0┏━━━━┓30 0┏━━━━┓30 独立した巻き線で2回路
この場合は
0-30 をダイオード整流して正電圧回路を組む。
0-30 をダイオード整流して正電圧回路を組む。
は同じだが、グラウンドの処理に注意が必要だ。
二つの正電圧回路の出力を直列に繋いで、その部分をグラウンドにする。
一つ前に紹介したセンタータップ型トランスの場合は、センタータップをグランドに接続したが、独立巻き線2回路トランスの場合はトランス二次側端子はグラウンドとは接続しない。
LM317+LM301Aを使う出力可変安定化電源のシミュレーション
言葉で説明しても分り辛いと思うので、以前にLTspiceを使ってシミュレーションしたデータが有ったので掲載してみる。
二次側電圧が0-30VACくらいのトランスを二台使い、正電圧LM317版回路を二つ作成するバージョンだ。
入力電圧はAC30Vを整流してDC36Vくらいの非安定電圧。それが二回路あり、図中でpos, negと名付けている。
図はクリックで拡大する。
図 LM317+LM301A出力可変安定化電源を2回路直列接続して正負定電圧電源をシミュレート
正電圧側のシミュレーション結果を下図に示す。
非安定のDC36Vを入力して、出力はLTspiceのSTEP PARAM機能を使って出力電圧を変化させる可変抵抗をシミュレートしている。
その結果、下図に示すように、いい感じで出力電圧が1Vから28Vくらいまで変化している。
図 正電圧側のシミュレーション結果(入力非安定DC36V、出力は安定化されている)
一方、負電圧側のシミュレーション結果を下図に示す。
こちらもいい感じに出力電圧が-1Vから-28Vくらいまで変化している。
図 負電圧側のシミュレーション結果(入力非安定DC36V、出力は安定化されている)
確かワテはこの回路を自作した記憶がある。
正負独立に出力電圧を設定出来るし、CVCCなので電流リミットも掛けられるので定電圧電源としては正常に動作した(と思っている)。
LM317の特徴
LM317三端子レギュレータはネット通販でも買える。
LM317の特徴は以下通り。
LM317は、出力電圧1.2~37Vで出力電流1.5Aを供給できる正電圧可変型3端子レギュレータICです。出力電圧は外付けの2個の抵抗で設定でき、通常の固定型レギュレータより優れたライン/ロード・レギュレーションを実現しています。
特長
- 1%の出力電圧精度保証(LM317A)
- ライン・レギュレーションは0.01%/Vを保証(LM317A)
- 出力電流は1.5Aを保証
- 出力電圧の最低は1.2Vまで設定可能
- 温度に対して一定の過電流制限値
- リップル除去率は80dB
- 出力は電流制限機能により保護
引用元 http://www.tij.co.jp/jp/lit/ds/symlink/lm117.pdf
さて、実はワテも昔、上で紹介した電源回路を自作した事があるのだ。
その時の経験に基づいて、自作で電源装置を作る予定の人にアドバイスしたい。
アナログ方式の電源は自作するにはパーツが高い
例えば上で紹介した回路の場合、入力は35V程度が推奨されている。
二次電圧30V出力のトランスがあればブリッジ整流して42Vくらい。
シリコンダイオードブリッジで整流すると2個のダイオードを通るが、ダイオード1個当たり0.6Vくらいの電圧降下があるので、その倍の電圧1.2Vくらい電圧が下がる。
なので40Vが得られる。
これを安定化電源の入力にすれば良い。
30V3Aの電源トランスの例
小信号トランジスタ(2SC1815など)を使った実験回路などでは通常は5Aも流さないから例えば以下の豊澄電源機器株式会社のトランスが使える。
このトランスなら一次側が90V/100V/110Vの3種類が選べる。
なので、110V端子で使えば二次側の電圧を10%くらい下げる事が出来るので、ブリッジ整流すれば36Vくらいが得られるはずだ。
難点としては、30V3Aくらいの電源トランス一個でも数千円の出費になる。
さらに整流回路には大型の電解コンデンサが必要になる。
ヒートシンクも必要になる。
シャーシも必要になる。
電流計・電圧計が必要
さらに、出力電圧を設定するための電圧計や電流計が必要になる。
アナログメータではなくてデジタルでも良いが。
例えばこんなやつ。
デジタルパネルメーターでも良い
これ一台で電流や電圧を計測できるようだが、実用的なCVCC電源を作るならメーターは電圧計、電流計の二台を搭載すべきだ。
二つのメーターで電圧と電流を同時に観察できないと使い勝手が悪いからだ。
この値段で5個セットなら安いぞ。
いずれにしても、自作で安定化電源を作る場合には、これらの部品以外にもスイッチ(AC10A、DC10Aくらい行ける大型タイプ)なども複数必要になる。電源スイッチとか出力ON・OFFの切り替えスイッチなどだ。
フジソク、ミヤマ、日本開閉器工業などの有名ブランド製だと、これくらいのスイッチ1個で数百円から千円くらいする。
安定化電源を自作するメリットとデメリット
と言う事で、ここまでをまとめると安定化電源を自作するメリットやデメリットは以下のようになるだろう。
メリット
- 電子回路の勉強になる
- 自作した満足感に浸れる
デメリット
- パーツの総額だけでも1万円を超える可能性がある。
- 正負2電源が必要なら同じ物を2台作る必要があるので倍の費用と倍の労力。
- それなら数千円で入手できる既製品を買う方が手っ取り早いし確実。
- 自作したとしても、完成度の高いものを作るのは困難。失敗する可能性も高い。
- そもそも安定化電源を持っていないとブレッドボードなどで回路の試作が出来ない。
- 自作電源を使って別の自作回路の実験中に何かおかしな症状を示した場合、電源が悪い可能性もあるので訳分からなくなる。
などかな。
つまり安定化電源の自作は、費用や労力が掛る割に報われないのだ。
買う方が安いし確実なのだ。自作するメリットは殆ど無いと言っても良い。
唯一のメリットは自作した満足感くらいしか無いのだ。
と言う事で、ワテのお勧めとしては、これから電子回路の工作を趣味として始めたい人は、市販の安定化電源を買うのが良いだろう。
一台数千円。2台買っても10,000円ちょっとだ。
2台の電源を直列に繋げば
-V1 ~ 0 ~ +V2
のように正負の電圧を独立に設定出来る。
例えば±15Vで動作する両電源のオペアンプを使った実験などに便利だ。
でもその場合は正負で絶対値が同じ電圧なので、トラッキング電源が一台有れば足りるが。
トラッキング電源
トラッキング電源とは、一つの電源装置から絶対値が等しい正・負の電圧を同時に可変できる電源だ。
ひとつのツマミを操作することにより、正負の二系統の電圧を同時に変化させることが出来る。正・負電圧追従運転とかデュアルトラッキング方式などと呼ばれる。
アマゾンを見てみたのだが純粋なトラッキング電源は見付からなかった。
以下の二製品は、商品説明には「トラッキング動作が可能」と記載されているが、一台で正負二極出力が出来る本来のトラッキング電源では無さそうで、二台の電源を直列接続してマスタースレーブ動作が出来るようだ。
その結果、マスター側のボリューム操作で二台の電源の出力電圧を同時に調整出来ると思われる。ただし、ワテは所有していないので興味ある人は商品説明を熟読するのが良いだろう。
なお、出力端子が
(-) (GND) (+)
のように三つあるからと言っても必ずしもトラッキング電源では無いので要注意だ。
多くの場合、安定化電源はこのように三つの出力端子を持つ。
トラッキング電源ならば、この三つの端子を使って「正-GND-負」の両電源として利用出来るが、トラッキング電源ではない普通の安定化電源では、通常は(-)端子と(GND)端子をショートして使う。その場合は「GND-正電圧」の単電源としてしか使えない。
と言う事で、トラッキング電源(=両電源)が必要ならば、明示的に「トラッキング」と記載されているものを選ぼう。
或いは、直列接続が可能な普通の電源を二台買えば、正負を独立に可変出来る両電源が得られる。これがワテの一押しだ。
なお、多くの場合、格安な安定化電源はスイッチング電源方式のものが多い。
昔はスイッチング電源方式はノイズが多いと言われていたが最近では技術も進んでいるので気にならないと思うが、ワテ自身、確認した訳では無い。
アナログメーターとデジタルメーターのどっちが良いか?
以下では、安定化電源を買う予定の人向けにワテの経験に基づいて機種選定のアドバイスをしたい。
まず悩むのはデジタルメーターとアナログメーターのどちらを選択するかと言う点だ。
デジタルメーターは電圧の設定が正確に出来る
多くの人はデジタルメーターで数字が直読出来るほうが良いと思うだろう。
まあ確かにそうだ。
出力電圧をピッタリと+15.000Vに設定したいなどの場合にデジタルメーターは便利だ。
あるいは電流の計測値をデジタルで小数点以下2桁まで読みたいとか。
例えば何らかのセンサーとか計測機を定電圧駆動しておいて、流れる電流を定期的にモニターするなどの用途ならデジタル表示が便利だろう。工場とか研究機関などではそう言う用途で沢山の定電圧電源が使われている。
しかし、個人の実験用にデジタル表示が良いと安易に判断するのは初心者や素人だ。
ワテはアナログメーター派だ(下図)。
ちなみに、ワテも電子回路の初心者かつ素人レベルであるが。
なぜワテがアナログメーターが好きかと言うと、電圧の設定は確かにデジタルの方がピッタリと目的の値に出来る。
ところが、電流の場合には値の精度も重要であるが、電流が増えたか減ったかがデジタルだと分かり辛いのだ。
アナログメーターは電流の変化が分かり易い
よくある例としては、何らかの実験中に電流が変化した。
アナログメーターなら針が右に少しでも振れれば電流が増加したのが一瞬で分るのだ。
なので、過大な電流で素子が破壊する寸前に回路の電源スイッチを切るなどが可能だ。
ところがデジタルのメーターだと、数字が変化しても値が減ったのか増えたのかが分かり辛い。
その一瞬の判断の遅れで、トランジスタが破壊したとか抵抗が燃えたとかコンデンサが爆発したとかの事故に巻き込まれた人も多いはずだ。まさにワテやがな。
なので、実験用の安定化電源には少なくとも電流計はアナログメーターが付いているのがお勧めだ。
理想的には、デジタルメーターとアナログメーターの両方が付いているのが望ましい。
それも電圧計、電流計の両方に。
と言う事は合計4つのメーターが付いている製品が有れば理想的なのだが。
まあそんな製品は無いと思うので、お手軽に電子回路の工作を始めるならアナログメーターの電源を買うと良いだろう。
その場合でもデジタル表示のテスターを持っているはずだから、出力電圧を正確に設定したい場合にはデジタルテスターのDC電圧レンジで正確に計測すれば良いのだ。
いや、どうしてもデジタル表示の安定化電源が良いと言う人は、追加でアナログメーターの電流計を買って出力に直列に入れておくと良いだろう。
そうすると、電流の変化をアナログメーターで目視できるので実験には役立つ。
アナログメーターを自作する
自称、安定化電源好きのワテであるが、過去に幾つかの製品を使った事があるが、現在は中古で入手した某日本製の出力可変のスイッチング電源を2台使っている。
電圧も電流もデジタル表示なので、アルミパネルに4つのアナログメーターを取り付けてアナログ方式でも値が読めるようにしている(下図)。
Ch1 | Ch2 | |||||
独立2電源/正負2極電源スイッチ | ●- | ●+ | ●GND | ●- | ●+ |
出力ON/OFF スイッチ |
メーターもピンからキリまであるが、有名メーカー製は高いので一個数百円くらいで売っている安い電圧計と電流計を買って来て自作のアルミパネルに取り付けている。
上図に於いて、アルミパネルには5つの端子を付けている。
背面には定電圧電源からの入力端子が4つある。Ch1の正負、CH2の正負の合計4つの端子。
定電圧電源1の入力をCh1に接続。
定電圧電源2の入力をCh2に接続。
そのままだと単に独立した2電源の電圧と電流を別々に計測するだけになる。
そこでスイッチを2個取り付けている。
左側にあるスイッチは、「独立2電源/正負2極電源スイッチ」だ。
独立2電源:Ch1とCh2は切り離されてそれぞれ独立の電源になる。
正負2極電源:Ch1とCh2は直列接続になり、[Ch1-] [GND] [Ch2+] の3端子から出力される。
右側にあるスイッチは、「出力ON/OFF スイッチ」だ。
文字通り、出力のONとOFFを制御出来る。このスイッチは左側スイッチのモードに関係なく全出力をON/OFF出来る。
ワテ自作の電圧・電流モニターパネルの配線図
文章だけでは分かりにくいと思うので、以下に図面を追加した。
独立2電源モードにした場合
まずは、独立2電源の場合だ。
四つの入力端子(-、+、-、+)には、二台の定電圧電源の出力を接続する。
図 独立2電源モードにした場合のスイッチの位置
出力ON/OFF スイッチは、四本の入力線を全部ON-OFFする為に、四極双投のスイッチを採用した。まあ、片側だけでも良いかもしれないが、たまたま手持ちに四極双投(ON-ON)があったので両切りにした。
こんなタイプのスイッチ。なお、出力OFF時は導通する必要は無いので、4極単投でも良いだろう。つまりON-OFFタイプ。
一方、正負二極電源/独立2電源の切り替えスイッチは、二極双投(ON-ON)を使った。
こんな感じのスイッチだ。同じくこちらも2極単投(ON-OFF)でも良い。
正負2極電源モードにした場合
図 正負2極電源モードにした場合のスイッチの位置
この場合は、緑色端子をGNDにしているが、それに接続される負側の赤端子と正側の青端子もGNDになる。なのでそれらをGNDにすれば緑端子は無くても良いのだが、まあ(負)-(GND)-(正)の電源で有る事を分かり易くする為にあえて中央に緑GND端子を追加したのだ。
と言う事で、ワテの場合このメーターを見ながら実験を行う。
アナログメーターで電流をモニターしながら、針がピクッと右に振れたら大急ぎで出力スイッチをOFFにするなどの使い方を良くしている。
まあ使っている安定化電源はCVCCタイプなのでそちら側で電流を制限しておけば安全であるが、電流設定用のボリュームを毎回回すのも面倒なので、アナログメーターに頼る事が多い。
安定化電源の入手方法
安定化電源を購入するとして、どこで買えば良いか考えてみよう。
オークションで買う
ワテの場合はヤフオクで買った。
今でもヤフオクには安定化電源が多数出品されている。
- 菊水電子工業
- ヒューレットパッカード
- 高砂製作所
- ケンウッド(現TEXIO、テクシオ)
- A&D
などが有名だ。
定価数万円から10数万円くらいのが、1万円以下で入手できる。
安定化電源は学校、工場、その他いろんなところで使われているので、オークションにもコンスタントに出品されている。なので、程度の良い中古品が3000円くらいで入手できる場合もある。時々ヤフオクなどで安定化電源を検索して、程度の良いものがあれば落札するのも良いだろう。
ネット通販で買う
まあ、中古品よりも新品が良いと言う人も多い。
今の時代、電化製品は安くなっているので、安定化電源も数千円で買える。
なので、この際、新品の安定化電源をネットで買うのも良いだろう。
ワテのお勧めとしては同じ機種を2台買うと、応用範囲が広がる。
直列接続で電圧を倍増したり、あるいは並列接続で電流を倍増したりする使い方が出来るからだ。ただし、機種によっては直列接続や並列接続が出来ないものもあるので、事前に確認しておくと良いだろう。
安定化電源の機種選定の際の注意事項
安定化電源を買う場合には、フロントパネルに電源スイッチだけでなく、出力ON/OFFスイッチが付いているタイプを選ぶと良い。例えば下写真の製品。
下写真のような出力ON/OFFスイッチが付いていなくて、電源スイッチのみの製品はお勧めしない。
なぜなら、出力ON/OFFスイッチが付いていないと自作電子機器の実験中に電圧印加を中止したい場合には、配線を外すとか、電源スイッチをOFFにするなどでしか対処出来ない。
ところが電源スイッチをOFFにすると電圧表示も消えてしまうので、電圧値を変更する事が出来ないからだ。
それでは実験に使うにはかなり不便である。
さらに注意すべきは下写真の製品の場合、出力ON/OFFスイッチが無いだけでなく、電源スイッチは背面にあるのだ。
これでは実験に利用するにはかなり不便だろう。
と言う訳で、「安定化電源を買うなら、主電源スイッチと出力ON/OFFスイッチがフロントパネルにある製品」を購入すると良い。
そんな貴方の為に便利なサイトを作ってみた。
Amazon、楽天、Yahooショッピングで安定化電源をかなり安値で買いたい人向け
ワテ自作の便利サイト、
何が出来るかと言うと、
Amazon.co.jp
楽天市場
ヤフーショッピング
の三つのショッピングサイトを同時検索して、商品を価格の安い順に表示出来ると言う、お買い物支援サイトだ。
「最安価格サーチ」で、
「菊水電子の可変直流安定化電源」をかなり安値で探したい人は こちらから >
「可変 直流 安定化電源 デジタル表示」をかなり安値で探したい人は こちらから >
「安定化電源 アナログ メーター」をかなり安値で探したい人は こちらから >
ワテ渾身の力作のかなり安値ショッピングサイトです。
まとめ
自称、電子回路初心者のワテであるが、これから電子回路工作を始めようと思っている全国の皆さんに安定化電源の選定に付いて参考となる記事を書いてみた。
メーカー製の安定化電源を買う
ワテの経験では、電子回路工作を始めたい人は、取り敢えず安定化電源を買っておくと良い。
安定化電源は電子工作には必須の装置であり、これが無くては何も始まらない。
「電源くらいなら」自作でも作れると思っている人もいるだろう。
確かに作ろうと思えば作れるが、出力がショートした場合とか、長時間大電流を流した時とか、そう言う過酷な状況でも正しく動作する電源を作るのは簡単ではない。
日本には電源装置専業のメーカーも幾つかある。素人が自作で作った程度の電源と、そんな専業メーカーの技術者の皆さんが日夜研究して開発した電源とは雲泥の差があるのだ。
なので、「電源くらいなら」なんて言う思い込みは間違いだろう。
と言う事で、電子回路工作を始めようと思っている人は、ちゃんとしたメーカー製の安定化電源を買うのが正しい選択だ。
どうしても電源を自作したい
中古の安定化電源を改造する
そんなワテのアドバイスを無視して、行き成り自作で安定化電源の作成に挑戦しようと思っているチャレンジャーな人もいるだろう。
その場合は、全てのパーツを別々に購入すると10,000円以上の出費になるはずだ。予算がある人はそれでも良いが、節約したいなら中古の安定化電源をオークションで買うと良いだろう。
大型電源トランス搭載のアナログ方式の安定化電源の故障品を安く入手出来れば、それを改造して自作すれば良い。
トランスやメーターやスイッチ類、端子類は再利用出来る確率が高いので、個別にパーツを買うのに比べれば割安に自作電源を製作出来るはずだ。
それに、中古の安定化電源を改造すれば、シャーシ加工が殆ど必要無いので作業効率が良いのだ。もしゼロから自分で安定化電源を作るとなると、金属製のシャーシに沢山の穴開け加工など必要になり、それだけで何日も掛かるだろう。なので、中古機器を流用するのがお勧めなのだ。
ジャンク屋でACアダプターを数個買ってくる
安定化電源は出力を0ボルトから数十ボルトくらいまでを連続可変に設定出来る事が望ましい。
しかしながら、現実には良く使う電圧5V、±10V、±15Vなどが有れば殆どの場合は足りる。
もしこの電圧以外の値が必要なら、例えば11Vが必要なら、三端子レギュレータを使って15Vから作りだせば良い。
なので、ジャンク屋で一個100円とか200円で売っているACアダプターを複数個買って来て自作の多出力安定化電源を作れば良いのだ。
作り方はこの記事で紹介している。
ワテの場合、長年この方式も使っているのだが、ちょっとした実験を行う時に手軽に必要な電圧が利用できるのでお勧めしたい。
電流計はアナログメーターがお勧め
繰り返しになるが、ワテのお勧めとしては、アナログメーター方式がおすすめだ。
→ 現在ではワテもデジタル派に鞍替えした。簡単に信念を曲げる節操のないワテである。
試作回路とか、中古アンプの修理とか、兎に角何らかの機器の実験中に電流の一瞬の変化を針の動きで確認出来るからだ。
もしデジタル表示の安定化電源を持っている人は、針式の電流計を買って来て出力に直列に接続しておくと針の動きで電流の変化を読み取れるので便利だろう。
ちなみにワテが過去に自作したLM317を使ったCVCC電源は一応上手く動作したのだが、その後入手した中古安定化電源を使うようになってからは使わなくなった。
そして故障して放置していて、引っ越しの際に置き場所が無くなり処分した。
残念。
おまけ
こんな製品を見付けた。
仕様は以下の通り。
- 【4チャネル同時電圧・電流出力】シリーズレギュレータ方式の採用 コンパクト可変直流安定化電源。出力電圧値・電流値はそれぞれ独立した専用ツマミで簡単に設定可能。
- 【各出力絶縁、独立コントロール可能】CH1/CH2 電圧0〜30V 電流0〜5A(連続調整可能);CH3/CH4 電圧5V 電流1A(固定)
- 【直列/並列トラッキング動作】CH1およびCH2出力を独立、直列トラッキング(0〜60V/0〜5A)、並列トラッキング(0〜30V/0〜10A)に切換えます。※電圧または電流表示は加算されません。
- 【4桁LED表示】電圧/電流を2CH分同時表示(上段:CH1またはCH2、下段:CH3またはCH4)。CH1/CH2 定電圧(CV)、定電流(CC)動作は自動切替です。
- 【低リップル/ノイズ:≤3mVrms】過電圧保護、過電流保護、8時間全負荷連続運転可能、研究開発、教育、生産ラインなど数多くの 分野でご使用頂けます。
これは便利そうだ。
電圧0〜30V 電流0〜5Aが2チャンネルあるし、直列0〜60V/0〜5Aや並列0〜30V/0〜10Aも可能。そしてそれとは別に電圧5V 電流1A(固定)が2チャンネルあるのでデジタル回路のロジック系の実験とアナログ系の実験を一緒に出来る。
ちょっと高いが買ってみると便利かも知れない。
ただし、ワテ自身は使った事が無いので使い勝手などが未確認だ。
終わり。
追記(2022/8/1)
当記事で紹介した5A CVCCレギュレータをKiCadで専用基板を設計して自作してみる事にした。
コメント
いつも楽しく見させていただいています。
このブログを読んで、私もKenwoodの中古安定化電源2個をヤフオクで入手出来ました。
“中古で手に入れる”という選択肢が頭に無かったので、1個だけ作って「自作するのめんどい・・・、使いづらい・・・」と止まっていました。
やっぱりあると実験がはかどる安定化電源。ありがとうございました。
Firstlaw様
この度は小生のブログにコメントありがとうございました。
KENWOOD(現TEXIO/テクシオ)の安定化電源は使い易いものが多いですね。
私も昔は会社で使っていた記憶があります。
中華製の数千円台の新品を買うなら、中古のケンウッドとか菊水と言う選択肢もありますね。
やっぱり日本の有名メーカー製の電源は作りがいいですからね。
私の場合、此の所、電子工作は中断しているのですが、部屋を片付けてスッキリしたら
何か作ってみたいと思っています。
では、また何か良い情報がありましたらお教えください。
ACインレットを3Pにした簡単な電源ボックスを既成のアルミケースを使って作ったのですが、極太電源ケーブルのため電源ボックスが斜めになってしまいます。仕方なく鉄アレーを乗せています。重りになるような物を探していますが見当たりません。
何か良い解決策はありますでしょうか。電源ボックスは手のひらぐらいです。
市川様
この度は小生のサイトにコメントありがとうございました。
さて、アルミケースが浮き上がる件ですが、例えばケースの裏側に分厚い鉄板を張り付けるなどの案はいかがでしょうか?
ホームセンターの資材や金物売り場に行けば、鉄骨とか鉄筋なども売っています。
そこには 10cmX10cm 角くらいにカット済の鉄板なども数百円で売っています。
それを買って来てアルミケースに貼り付けるなど。強力な両面テープなら貼れると思います。
あるいは、有料で金属加工をやってくれるホームセンターもあるので、鉄板にボルト穴を二カ所くらい開けてもらって、一方、アルミケースにも穴を開ければボルトで固定すればより確実だと思います。
あるいは、鉄板ではなくて、鉛インゴットであればネット通販でも売っていますので、もしアルミケースの内部に余裕があれば鉛インゴットをケースの中に入れる案はいかがでしょうか?
あるいは、アルミケースを囲う大きさで木枠を作って、その木枠側に何か重い物を固定して安定させる案なども良いと思います。