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【ワレコのDIY】12V車に24Vリン酸鉄リチウムイオンバッテリー搭載してサブバッテリー昇圧走行充電システム自作【最終完成版】

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ワレコ

車中泊の旅は駐車場さえ有ればどこでも寝られるので手軽で楽しい。

さて、現在製作中の車載用のサブバッテリーシステムが完成した。

ハイゼットカーゴのシガーソケットから取ったDC12V電源をDCDCコンバーターでDC27V程度に昇圧してソーラーチャージャーに入れて、その出力を使って24Vサブバッテリーを走行充電するのだ。

前回記事ではRedodo 24V 100Ahリン酸リチウムイオンバッテリー(LiFePO4 )とソーラーチャージャーを組み合わせたサブバッテリーシステムの試作を紹介した。

このRedodo 24V 100Ahバッテリーは容量2560Whと言う非常にパワフルなバッテリーだ。

そこでこのRedodo 24V 100Ahバッテリーにソーラーパネルを組み合わせて、ワテの自宅にソーラー発電システムを現在製作中なのだ。その製作過程は別記事で紹介予定だ。

一方、車に搭載するサブバッテリーシステムも同時並行で製作していたのだが、Redodo 24V 100Ahバッテリーはソーラーシステムに使うので、急遽別の小型バッテリーを購入して車載用サブバッテリーシステムを製作したのだ。

結論としては、いい感じで完成した。

もし読者の皆さんがサブバッテリーシステムを自作されるのなら、当記事の製作例が参考になると思う。

設計編はこちら⤵️

では、本題に入ろう。

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サブバッテリーシステム設計図

下図が今回製作した走行充電用サブバッテリーシステムの設計図だ。

(注意:この設計図に若干の改良を加えた最終完成版は当記事の後半に有り。)

図 12Vを24V昇圧&ソーラー充電器利用の24V走行充電サブバッテリーシステム設計図

上図を簡単に説明しておこう。

まず、バッテリーは12VのLiFePO4バッテリーを二台直列に接続して24Vバッテリーとして使う。

バッテリーは発火の危険性が少なくて安全性の高いリン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiFePO4)がお勧めだ。

12Vバッテリー2台を直列にする理由は、12Vバッテリー24Vバッテリーに比べて小型タイプがあり、値段も安いので。もし予算が有る人は勿論24Vバッテリーを使っても良い。

バッテリーの充電にはソーラーチャージャーを利用する。このソーラーチャージャーの入力端子には本来はソーラーパネルを接続するが、今回は上図のように12Vを24Vに昇圧した電圧を印加する。

アマゾンなどでは上写真のソーラーチャージャーコントローラーと外観が良く似た商品が各社から販売されている。外観が似ていても中身は微妙に異なるようなので、評価の高い商品を選ぶと良いだろう。

12Vを24Vへ昇圧する為に利用したのが下図のDCDC昇圧型コンバーター(非絶縁タイプ)だ。

このDCDCコンバーターは最大1200Wと言う大電力の変換が可能で、入力電圧10-60Vに対して出力電圧12-83Vの範囲に昇圧/降圧の変換が出来るとの事だ。でも多分、この大きさのヒートシンクで1200Wは無理があると思う。恐らくDCファンを付けて空冷する事で最大1200Wまで行けるのだろう。

実際、基板上にFANの取り付けコネクターがある。あるいはFANとセットになった商品もアマゾンなどで見掛けるからだ。

いずれにしてもワテの場合には、多くても120W(=24Vx5A)程度の電力しか扱わないのでこのDCDCコンバーターで十分過ぎるスペックだ。

非絶縁タイプを使ったが、絶縁タイプでも良いだろう。

注意事項としては自動車12V電装系のアース(図中のソーラー充電器左側の黒色配線)と、24Vサブバッテリーシステムのアース(図中のソーラー充電器右側の黒色配線)は接続してはいけない。その辺りの考察は前々回記事(設計編)で説明している。

24Vシステムのメリット

12Vを24Vに昇圧して24Vバッテリーを充電し、24Vタイプのインバーター(700W)を利用した事で、同一規模の12Vシステムに比べて電流を半分に出来る。

具体的には最大電流 700W÷24V= 29A なので、5.5sqケーブル(外径5.1mm、許容電流49A)で十分なのだ。ワテの場合はソーラーパネルを使った自宅発電システムも並行して製作しているので、それ用に購入した8sqケーブル(外径6.1mm、許容電流61A)をこのサブバッテリーシステムにも採用した。

もし12V/700Wインバーターなら電流は二倍の58Aになるので、最低でも8sqケーブル(外径6.1mm、許容電流61A)が必要になり、余裕を見ると14sqケーブル(外径7.7mm、許容電流88A)が必要になる。

そうなると配線材料の値段も高いし、圧着端子も大型になり、圧着工具も大型対応の高価な製品が必要になる。

と言う事で12Vを24Vへ昇圧する事で各種の節約が可能なのだ。

アマゾンで24V1000WのDCACインバーターを見る

二つのトグルスイッチの説明

上図では四つのスイッチが描かれているが、SW1aとSW1bは連動、SW2aとSW2bは連動なので、実際には2回路入りトグルスイッチを2個取り付ける。

写真 制御パネルに付けるトグルスイッチ、発光ダイオードなど

上写真で大小二個のトグルスイッチが写っているが、最終的には左側のNKK S-21Aを二個使った。右の大型トグルスイッチは不採用とした。

一つ目のトグルスイッチ(SW1a, SW1b)は昇圧DCDCコンバーター入力、ソーラーチャージャー出力を同時にON/OFF制御する。ONにすると12Vを24V(実際は27V前後の電圧で運用予定)へ昇圧し、ソーラーチャージャーはその電圧を用いてサブバッテリーを充電する。ON時には緑色LEDが光るようにした。OFFすると、それらの機器は車の12V電源系から完全に切り離される。

なお、サブバッテリーシステムを車の電装系から切り離すにはSW1aのみOFFにすれば良いがSW1bを追加してそちらもOFFにしている。その理由は、ソーラーチャージャーとサブバッテリーが接続されているとソーラーチャージャーが動作して液晶表示などに電力を使うので、SW1bでそれもOFFするのが目的だ。

二つ目のトグルスイッチ(SW2a, SW2b)は、電菱インバーターのリモートスイッチのON/OFF制御に用いている。電菱インバーターの電源スイッチは本体側面に小さなロッカースイッチが付いているのだが、今回は木枠に収めるのでそのスイッチが操作し辛い。

そこでいろいろ調べた結果、電菱インバーターにはリモート制御用の端子が有る事を発見した(取説に記載有り)。リモート端子5番と6番を接続すると、リモート制御でインバーター電源をONに出来るので、二番目のトグルスイッチ(SW2a, SW2b)のSW2aでその制御をしている(記事後半でも説明あり)。もう一つの回路SW2bではスイッチON時にオレンジ色LEDを光るようにして、インバーターの電源がONの状態を視覚的に分かるようにした。

ここで使ったトグルスイッチS-21Aの電流容量は以下の通り。

15A 125V AC
15A 250V AC
15A 30V DC

かなり大型のトグルスイッチを採用した。

その理由は、先ほども述べたようにこのスイッチ(SW1a, SW1b)では最大でも120W(=DC24Vx5A)程度しか扱わないが流れるのは交流ではなく直流だ。

市販されているトグルスイッチは殆どが交流用のタイプで直流に使う場合には電圧が30Vなどに制限される場合が多い。直流専用のトグルスイッチはNKKなどの大手メーカーなら生産しているが、手軽には入手出来ない。特に10A~などの直流大電流用トグルスイッチは種類も少なく価格も数千円と高い。モノタロウなどでは売っているが。

で、たまたま手持ちに有ったNKKのS-21Aと言う大型のトグルスイッチを使ったのだ。直流専用では無くて汎用のスイッチだ。

電子工作で使うスイッチは十分に仕様を調査して最適なスイッチを使う必要がある。

二つ目のトグルスイッチ(SW2a, SW2b)はもっと小型のスイッチでも良かったのだが、あまり小さいとウッカリしてレバーに触れるとスイッチが切れる恐れがある。なので一つ目のスイッチと同じく大型のS-21Aを採用したのだ。これくらいの大きなトグルスイッチならある程度強い力でレバーを操作しないと接点は切り替わらないからだ。

アマゾンで直流専用トグルスイッチを見る

トグルスイッチS-21Aは二回路入りで、それぞれの回路が連動してON-OFFと言う単純な切り替えが出来るタイプだ。

専門用語で言うと「2極単投」になる。

2極:2回路入り
単投:ON-OFF の動作

「2極単投」スイッチは英語で言うと「Double Pole Single Throw (DPST)」となる。

アマゾンで2極単投(DPST)スイッチを見る

完成した12V→24V昇圧型サブバッテリーシステムの写真

下写真が完成した12Vto24V昇圧型サブバッテリーシステムだ。

写真 完成した12Vto24V昇圧型サブバッテリーシステム

木枠の中に12Vリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを二台内蔵して直列24Vにして使っている。

Redodo公式サイトで 24V 100Ahを見る

インバーターは電菱(DENRYO)24V 700W DC-AC正弦波インバータ SP-700-124だ。

24V正弦波インバーターをアマゾンで見る

以下では、このサブバッテリーシステムの製作過程を写真で紹介したい。

サブバッテリーシステムの木枠を作る

サブバッテリーシステムの木枠製作

使うのは針葉樹合板12ミリ厚の端材だ。

写真 テーブルソーで針葉樹合板を切断

下写真はスライド丸ノコで針葉樹合板を切断する様子。

写真 スライド丸ノコで針葉樹合板を切断

これらの板材を使って下写真のように木枠を組み上げた。二台のバッテリーをこの木枠に収納する。

写真 針葉樹合板端材を使って組み上げた木枠(改良前)

上写真のように組み上げたのだが、問題点が発覚した。

それは上写真の電菱製インバーターをこの木箱の上部に載せる予定なのだが、電菱インバーターのAC100Vコンセントは木箱右側に来る。

現状では木枠には持ち手の穴が開いているが、それだと狭いのでコンセントプラグが挿し込めない事が判明した。

そこで急遽、板を継ぎ足す事にした。

写真 木枠の側板部分に端材を接着して継ぎ足す

下写真のように側板の上に板材を接着剤で貼り付けて延長した。

写真 側板の上に板材を接着剤で貼り付けて延長した

下写真のように延長した側板にジグソーを使って大き目の穴を開ける。

写真 延長した側板にジグソーを使って大き目の穴を開けた

下写真のように仕上げサンダーを使って表面を研磨した。

写真 仕上げサンダーを使って表面を研磨

下写真は前面に取り付ける板材だ。

写真 前面に取り付ける板材を切り出した

上写真で木枠の大よその寸法は幅400x奥275x高330だ。

下写真のようにこの前面板に木工用ドリルで穴を開ける。その後、ジグソーで鉛筆線に沿って穴を切り取った。

写真 前面板に穴を開ける

四角穴のエッジを綺麗に切り揃えたいので下写真のようにトリマー用のガイドを即席で自作した。

写真 端材をクランプしてトリマーガイド四角穴を即席で作った

このガイドに沿ってトリマーで削って下写真のように、綺麗な角穴を開ける事が出来た。

写真 トリマーガイドを使うと綺麗な切り口の穴を開ける事が出来る

下写真のように角穴のエッジをボーズ面ビットで丸めた。

写真 角穴のエッジをボーズ面ビットで丸めた

これで前面板の加工が完了した。

サブバッテリーシステムの操作パネルを作る

上で紹介した二個のトグルスイッチと発光ダイオードを取り付ける為の金属パネルを自作した。

写真 二個のトグルスイッチと発光ダイオードを取り付ける為の金属パネルをブックエンドで自作

上写真のブックエンドはダイソーで100円で買って来た。厚さ1mmくらいの鉄板なので強度も十分だ。

切り取ったあと、少し切断面が波打っていたので下写真のようにレール金床と木槌で修正した。

写真 波打った切断面をレール金床と木槌で修正

下写真が完成した金属パネルだ。

写真 操作パネルやトグルスイッチ類

下写真のように金属パネルにトグルスイッチやLEDを取り付けて、木枠に固定した。ソーラーチャージャーコントローラーも同じく木枠に固定した。

写真 木枠に固定した操作パネルやソーラー充電器

前面板は上写真には写っていないが四カ所のネジ穴でこの木枠に固定する。

その為に、上写真木枠の四カ所にM5の鬼目ナットを埋め込んだ。

これでサブバッテリーシステムを収める木枠が完成した。

この後、木枠には透明ニスを塗装しておいた。

サブバッテリーシステムに部品を組み込む

下写真はワテがAliExpressで購入した昇圧型DCDCコンバーターの動作確認をしている様子を示す。

写真 AliExpressで購入した昇圧型DCDCコンバーターの動作確認をしている様子

アマゾンにも似たような昇圧モジュールは沢山売っている。

上写真左の赤青圧着端子から実験用可変定電圧電源の約DC14Vを入力し、右側出力電圧をテスターで計測している。

写真 可変定電圧電源で14Vdcを生成してDCDCコンバーター基板へ入力

DCDCコンバーター基板は初期設定で出力電圧が50Vdcくらいに設定されていた。最大で83Vdcくらいの高電圧が出力されるので感電やショート事故には注意が必要だ。

出力端子の近くにある多回転ポテンショメーターを回すと出力電圧を変更出来るので、下写真のように24Vdc付近に設定した。

写真 DCDCコンバーター出力電圧を24Vdcにセット(この後で27Vdcくらいまで上げた)

なおDCDCコンバーター出力電圧は、この後で27Vdcくらいまで上げた。

その理由は24Vバッテリーを充電するにはソーラーチャージャーコントローラーの入力電圧は24Vでは低すぎて充電機能が働かなかったので。そこで27V程度まで上げると正常に充電機能が動作した。

下写真のようにDCDCコンバーター基板を木枠の中に取り付けた。

写真 DCDCコンバーター基板を木枠の中に取り付けた

上写真ではバッテリーからインバーターへ接続している太い赤黒ケーブル(8sq)も見えている。インバーターは一時的に取り外している。赤黒端子がショートすると危険なので、上写真のようにビニール袋を被せている。

このビニール袋は秋月電子でパーツを買うと付いて来るやつだ。捨てるのも勿体ないので溜めているが、今回初めて役に立った秋月の小袋。

下写真はDCDCコンバーター基板の前段に付ける端子台だ。

写真 DCDCコンバーター基板の前段に付ける端子台

この端子台には、運転席のシガープラグ(12Vdc)から1.25sqケーブルで引っ張って来た12V電圧を入力する。

ネット情報によると、シガープラグから取り出せる最大電力は120W(12V, 10A)なので、それに見合った端子台や圧着端子を選定して採用した。

定電圧電源を使って充電機能の動作確認成功

自動車に搭載する前に動作確認を行う。

下写真のように可変安定化電源の14Vdc出力を上写真の端子台に接続した(赤青ケーブル)。

ソーラーチャージャーコントローラーの表示パネルの状態は下写真の通り。

ALLPOWERSソーラーチャージャーの液晶表示の意味は前回記事参照。

写真 安定化電源14Vdc ⇒ ソーラーチャージャーコントローラー ⇒ 24Vバッテリー

上写真のソーラー充電器液晶ディスプレイのアイコン表示を見ると、以下のように設計通りに正常にバッテリーが充電出来ている。

安定化電源14Vdc ⇒ DCDCで27Vdc昇圧 ⇒ ソーラーチャージャー ⇒ 24V(12Vx2直列)バッテリー(残量26.0V)

ワテが使った安定化電源は最大電流6.3Aまで出力可能だ。上の充電実験をやっている時に安定化電源の電流表示を見ると最大で5~6A程度流れる場合がある。

このサブバッテリーシステムはシガーソケットから電流を取り出す予定なので、シガーソケットの最大電流10Aを超えるとヒューズが飛ぶ。6Aなら問題は無いかもしれないが、念のために3A以下くらいに制限しておく。

そこでDCDCコンバーター基板上の3つのボリュームのうち、出力電流制限用のボリュームを左に回しながら安定化電源の電流表示が3Aになるようにした。なおこのボリュームは25回転くらいの多回転型なので、左に何回もグルグル回す必要がある。

これでシガーソケットのヒューズ10Aが飛ぶことは無いはずだ。もし、より入念な安全策を講じたい人は、冒頭で示した回路図において、例えばDCDCコンバーターの直前に5A~8A程度のヒューズを入れておくのも良いかもしれない。

この最大出力電流3A設定によってシガーソケットから取り出せる電力は最大で14Vx3A= 42W になる。もしもっと大電力でサブバッテリーシステムを充電したい人は、シガーソケットから電流を取り出すのではなくて車のメインバッテリーから直接電流を取り出すのが良いだろう。

と言う事で、DCDC昇圧後の27Vdc電源をソーラーチャージャーに入力して、バッテリーの充電機能が正常に動作することが分ったので、残りの作業はインバーターをバッテリーに接続する作業だ。

インバーターの配線作業

ここまでの説明では順調に進んでいるように見えるが、実はここに来るまでに幾つかのトラブルもあり試行錯誤もあったのだ。

その中で最も大きな問題は、インバーターとバッテリーの間にON-OFFの為のトルグスイッチを付けたのだが、接点の電流容量が足りずに突入電流によって接点が溶着してしまったのだ。

具体的には手持ちにNKK(日本開閉器工業)のS-532と言う大型のトグルスイッチ(2回路入り)が有った。冒頭の写真に写っている二個のトグルスイッチの大きい方のやつだ。たしか数年前に共立エレショップさんで100円で買ったやつだ。

NKK S-532トグルスイッチの仕様
15A 250VAC
30A 125VAC
30A 30Vdc

このトグルスイッチをバッテリー正極とインバーター正極をつなぐ8sqケーブルの途中に入れたのだ。

700W24Vインバーターなので、最大電流は 700W÷24V = 29.2A か。

そこでS-532(2極双投)の2回路を並列に使えば 30A x 2 = 60A くらいまで行けるかなと思って配線してみた。

最初は正常にON/OFF動作していたのだが、インバーターの電源スイッチがONの状態でトグルスイッチをON/OFF動作させると突入電流が流れるようで、その大電流によってS-532トグルスイッチの接点が溶着してしまいOFF出来なくなったのだ。要するにスポット溶接みたいなもんだ。

実際、S-532トグルスイッチを分解してみると、レバーを倒す事で左右にシーソーのように可動する電極がON側電極に溶着していた。ドライバーの先で強めに突くと剥がす事が出来たが、その後、同じ問題が再発したのだ。

まあ1回路当たり 30A/30Vdc なので2回路使えば計算上は60Aまで行けるが、電流が均等に流れる訳ではないので、数百アンペアくらいの突入電流が一つの接点に流れれば溶着するのは当然だ。

直流の大電流は普段の電子工作で扱う事が無いので扱いが難しいなあ。

下写真のようなバッテリー用のキルスイッチを使う人もいるだろう。下写真のスイッチなら275アンペアまで対応している。

でも、最も良いのはインバーターの電源スイッチを使ってON/OFFさせるべきだろう。電菱インバーターの場合、電源ONにしても立ち上がるまでに2秒くらい掛かる。何らかのセルフテストのような動作をしている感じなので、突入電流を防止する機能も入ってるに違いない(ワテの勘だが)。

この件で一つ気付いた事がある。それはプッシュボタンスイッチなら接点が溶着してしまうと分解して修理する以外に方法が無いのは分かるが、トグルスイッチなら接点が溶着してもレバーを反対側に倒せば溶着が剥がれると思っていたのだが、S-532の構造はそうはなっていなかった。

詳細な構造を写真を使わずに文章で説明するのは難しいので割愛するが、もしかすると意図的にそういう設計になっているのかな。つまり接点がいったん溶着すると過電流が流れたと言う警告の意味で分解しない限りは溶着を剥がせないようになっているのかも知れない。もしそうならNKKのトグルスイッチは非常に用心深い安全設計になっているようだ。

最終的にはバッテリーとインバーターの間にはON-OFFスイッチは付けずに直結した。ヒューズも入れていないが安全の為にはヒューズは入れるほうが良いと思う。そのあたりの作業に関してはインバーターの取扱説明書に従うのが良い。ワテが購入した電菱インバーターの取説によると、バッテリーとインバーター間には必ずしもヒューズを入れる必要は無いようだった。

インバーターのON-OFF制御はこのあとで紹介するリモート機能で実現出来た。

さて、そんな試行錯誤の結果、8sqケーブルやR8-6裸圧着端子で製作した接続ケーブルが何本か余ってしまった。

それらのケーブルを使わずに放置するのも勿体ないので、半田付けして延長して再利用する事にした。

写真 二本の8sqケーブルのR8-6裸圧着端子を半田付けして連結

まあ最大で30アンペア程度の電流が流れるケーブルなので繋いだりするのはお勧めでは無いのは分かるが、ワテの場合は車の中で使う家電と言えば50W程度の扇風機くらいなので大電流を流す事は殆ど無い。

と言う事で半田ゴテの温度を最高の400度に設定して2分くらい熱したらどうにか半田付けする事が出来た。

写真 8sqケーブルを半田付けして連結した(熱収縮チューブで絶縁対策済)

もしワテと同じようなサブバッテリーシステムを自作する人は、大電流が流れるケーブルは半田付けで延長するなどせずに、新しいケーブルを最適長さに切断して配線する事をお勧めする。

スイッチONを発光ダイオードで表示する機能を追加

電菱 DC-AC正弦波インバータ SP-700-124Aの電源スイッチは小さなロッカースイッチだ。

インバーターを木枠に組み込むとON/OFF操作がやり辛いので、上で紹介したように大型トグルスイッチを使ってON/OFF機能を付けたのだが、接点溶着と言う失敗で断念した。

電菱インバーターのオプションで下写真のようなリモート制御する製品がある。

これらを使えばインバーターから離れた場所からON/OFF制御が出来るが、買うと1万円前後なので高い。

どうしようかなあと思案していて、電菱インバーターの説明書をよく読んでいるとインバーター本体にある制御端子1~6の5番と6番を使えばリモート制御が可能である事が判明。

5-6 接続   リモート制御が働き電源ONになる
5-6 未接続  リモート制御が働き電源OFFになる

な~んだ、この機能を使えば簡単にリモート制御ができるやん。

大電流用のスイッチなど使わなくても良かったのだ。

と言う事で手持ちにあったNKKのトグルスイッチを使って下写真のような部品を作成した。

これが設計図中のSW2aとSW2bの2回路入トグルスイッチだ。

写真 電菱インバーターの電源をリモート制御するスイッチ(LEDも発光させる)

NKK S-21A(2極単投、DPST)トグルスイッチが手持ちにあったので利用した。

二回路あるが一つ目の回路で白い二本の電線間をON/OFFする。白電線の先端は電菱インバーターのリモート端子5番、6番に接続する。これでインバーターの電源をON/OFF制御出来る。ちなみにこの白色電線の先端に取り付けている黒い電極ピンはブレッドボード用のジャンパー線を流用した。

もう一つの回路は、スイッチON時にオレンジ色LEDを発光させる用途に使う。赤黒ケーブルの先端に裸圧着端子R2-6を付けているが、この端子を24Vバッテリーに接続する。LEDのアノード(プラス電極)側に7.5KΩの抵抗を入れた。その結果、LED電流は 24V÷7.5KΩ=3.2mA になる。使ったLEDの推奨電流は10mAなので暗めに点灯させるのだ。

なおこのLEDはパネル前面から挿し込むので、脱着可能にするためにピンヘッダー(2pinのオス、メス)を使ってコネクターソケット式にしている。上写真のトグルスイッチとオレンジLED間をつないでいる赤黒電線の途中にある黒い長方形の小型コネクタがそのピンヘッダーだ。

下写真のようにこれらの部品をブックエンドで作った金属パネルに取り付けて配線作業を行った。

写真 ブックエンドで作った金属パネル周りの配線の様子

下写真はほぼ完成したサブバッテリーシステムだ。インバーターはまだ木枠に固定せずに配線作業がやり易いようにプラスチックケースに載せて浮かせている。

インバーター左側の緑のコネクタがリモート制御用1~6番までの端子がある。

先ほど自作した2本の白ケーブルを5番と6番に挿し込んだ。

写真 リモート制御の配線作業が完了した

これで無事にインバーターの電源制御をフロントパネルに付けたトグルスイッチで出来るようになった。

完成したサブバッテリーシステムの動作確認

下写真が無事に完成したサブバッテリーシステムだ。

軽バンのオルタネーターで発電される14Vdc程度の電圧を昇圧型DCDCコンバーターで27Vdc程度に昇圧する。その27Vdcをソーラーチャージャーコントローラーに入力して、24Vバッテリー(12Vx2台直列)を走行充電するのだ。

写真 完成した12V→24V昇圧方式のサブバッテリーシステムの動作確認の様子

バッテリーは12Vリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを二台直列に接続して24Vバッテリーとして使っている。

上写真では消費電力21W程度の扇風機を回している。

消費電力計は先日自作したやつだ↴

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下写真のようにトグルスイッチの機能を分かり易くするためにラベルを印刷して貼り付けた。

写真 トグルスイッチの機能をラベルを印刷して貼り付けた

走行充電する場合には左側スイッチ「充電」を上に倒してONする。緑LEDも点灯する。

100V電源を利用したい場合は右側スイッチ「100V」を上に倒してONするとインバーター電源が投入される。橙LEDも点灯する。

この二つのスイッチは独立で自由に操作出来る。

完成したサブバッテリーシステムを写真で紹介しよう。

写真 完成したサブバッテリーシステムを写真で紹介

木枠の板材を接着剤で貼って継ぎ足すと言う技を使って完成したのだ。DIYは臨機応変に対応する能力が求められるのだ。

写真 完成したサブバッテリーシステムを写真で紹介

兎に角、DIYは目的の作品を完成させる事に意味がある。

下写真ではAC100VをONしているのでインバーターが利用出来る状態だ。バッテリー残量表示は26.0Vだ。

写真 完成したサブバッテリーシステムを写真で紹介

上写真で左トグルスイッチもONになっているが、この時は緑LEDも点灯すべきだが、オルタネーター電圧が来ていないので点灯していない。これは車載してシガープラグ12Vに配線すれば緑LEDも点灯するようになる。

下写真が電菱インバーターの反対側の様子。こちら側にACアウトレットが2個、電源スイッチがある。正常動作時には下写真のように緑LEDが三つ点灯する。

写真 インバーターを箱に入れるとLED状態表示が見えない欠点がある

上写真のようにインバーターを箱に入れるとLED状態表示が見えない欠点がある。

まあインバーターが正常動作している限りはAC100Vの電化製品が使えるので、もし電化製品が止まれば何か問題が起きた事が分かる。

通常起こる問題としては、最大消費電力オーバーでインバーターが自動停止する程度なので、状態表示LEDが見えにくい事はそんなに大きな欠点では無いが。

下写真のように車載する前に自宅実験室でマキタ仕上げサンダを動作させたが、全く問題なく動作した。

写真 車載する前に自宅実験室でマキタ仕上げサンダを動作成功

自作サブバッテリーシステムを車載した

自作サブバッテリーシステムをさっそく車載してみた。整理前なので見た目が悪いが、この後で配線など整理した。

写真 ハイゼットカーゴの荷室に仮設置したサブバッテリーシステム

上写真のように荷室に自作しているサイドテーブルの下に設置出来る寸法で製作したのでいい感じで収まった。

ただし、本当はもう少し前方の運転席に近い側に設置する予定であったのだが、サブバッテリーシステム木枠の奥行が275mmくらいあり、上写真の荷室最後部のボディが広い場所ならスッキリと収まった。

前方に置くと居住空間に50mmくらい出っ張るので、とりあえず上写真の場所で良いかな。

トグルスイッチやソーラーチャージャーを前面パネルから出っ張らないように穴開け加工して取り付けているので、狭い荷室で動いた時にウッカリしてトグルスイッチのレバーを引っ掛けてしまう危険性も低い。

シガーソケットの12Vに接続してサブバッテリーシステムの設置完了

車載したサブバッテリーシステムに車の12V電源をシガープラグから延長コードで引っ張って配線した。

具体的には下写真の端子台に車の12Vとアースを接続すれば良い。

写真 車の12Vとアースを接続する端子台(上写真ではまだ配線していない状態)

上写真でDCDCコンバーター基板の上側に来ているのが出力端子で、約27V程度の電圧を出力して、それを下図のようにソーラー充電器に入れている。

これで自作のサブバッテリーシステムが完成した。

サブバッテリーシステムの設計図を下に再び掲載する。

図 12Vを24V昇圧&ソーラー充電器利用の24V走行充電サブバッテリーシステム設計図

サブバッテリーシステムを使う

その後、2023年5月のゴールデンウィークに車中泊の旅に出た。伊勢神宮にお参りしたのだ。サブバッテリーシステムは順調に動作した。車の12Vを24Vに昇圧する走行充電システムも設計通りに動作したのだ。

走行中にサブバッテリーシステムを走行充電したい場合には、上図のSW1をONにすれば良い。

この時にもし車内でAC100V機器を使いたい場合にはSW2もONにすれば良い。

もし駐車してエンジンも停止して車中泊する場合にAC100Vを使いたいならSW2をONすれば良い。この時にSW1はONでもOFFでも良い。

SW1をONするとソーラーチャージャーもONするので、液晶表示にサブバッテリーシステムの電圧が表示されるので、サブバッテリーの現在の電圧をチェックする用途にSW1を使っても良い。

と言う事で、当初の計画通りにいい感じの自作サブバッテリーシステム(12V➡️24V昇圧型)が完成した。

インバーターの待機電力に注意

注意事項としては、ワテ設計のサブバッテリーシステムは大型トグルスイッチを二個付けているが(SW1とSW2)、バッテリーとインバーターを接続するSW2スイッチを切らずに数日間自動車を放置していると、ソーラー充電器や電菱インバーターにサブバッテリーから電源が供給され続ける。

ソーラー充電器はそれほどは電力は消費しないと思うが、電菱インバーターは待機電力を消費するので、その結果、サブバッテリーの電圧が徐々に低下して行って最終的にBMS(バッテリーマネジメントシステム)の保護回路が働くようだ。

実際、車に二週間くらい乗らないで放置していたら、バッテリーのBMSが働いた事がある。

なので、サブバッテリーシステムを何日間も使わない場合には、二個のトグルスイッチを切る習慣を付けておく必要がある。

万一、BMSの保護回路が働いた場合には、以下の章で説明している改造か手法で対処出来る。

一方、SW2をOFFにしてインバーターをリモート制御でOFFにしている場合には、インバーターのメインスイッチがONの状態であっても待機電力は極僅かで、バッテリー電圧には殆ど影響しない。

サブバッテリーシステムの改善点が発覚

当記事で紹介した走行充電用サブバッテリーシステムは、一つ問題点がある事が発覚した。

それはAC100V機器を長時間使うと当然ながらサブバッテリーシステムの電圧は低下する。

もしサブバッテリーシステムの電力を使い過ぎると24VサブバッテリーのBMS(バッテリーマネジメントシステム)の保護回路が働いて出力が遮断されるのだ。実際には12Vバッテリーを二台直列にしているので、各12VバッテリーのBMSが両方とも働くようだ(ワテの経験で)。

その結果、24Vバッテリーの出力電圧はテスターで計測しても1V程度しか出ていない。

そうなるとソーラー充電器が動作しなくなる。ソーラー充電器は最低でも12V程度の電圧があるバッテリーに接続されていないと動作しないので。

なので、サブバッテリーシステムの電力を使い切ってしまいBMSの保護回路が働いた場合には、それを解除しない限り走行充電が出来ないのだ。

24VバッテリーのBMS保護回路が動作した状態から回復させるには、バッテリーに24V程度の電圧を一瞬だけ印加してやれば良い。

そうすると一瞬でBMS解除は出来て24Vバッテリー残量はテスター実測で20V弱(正確な値は忘れた)くらいに一瞬で復活した。要するに12Vバッテリーに搭載されているBMSは電圧が10V以下くらいになると保護回路が働き出力がほぼ0Vになるようだ。

最初にこのトラブルを経験した時には、BMSによって出力が遮断されたバッテリーを車から降ろして自宅実験室で安定化電源の24Vを印可してBMSをリセットできたので、その後は無事にバッテリーを走行充電できた。

もし車中泊している時にその操作をやりたい場合には安定化電源は無いから、その代わりにDCDCコンバーターの出力電圧約27Vをソーラー充電器に接続しているが、その部分から配線を引っ張ってその出力電圧27Vを使って直接バッテリーを充電してやれば、BMSの保護機能をリセットできる。

あるいは、そのリセット操作用の押しボタンスイッチを追加して、配線を追加しておくと便利だ。

文章だけでは分かりづらいので下図にリセットスイッチSW3を付けた最終完成版の設計図を掲載する。

図 バッテリーBMSの保護回路が働きソーラー充電器が動作しない場合にBMSをリセットするSW3を追加(最終完成版)

上図においてSW3はトグルスイッチの絵柄で描いているが、実際にはプッシュボタンスイッチのほうが良いだろう。モーメンタリタイプの2回路プッシュボタンスイッチを使って正極と負極の両方を一瞬だけ導通させてやればBMSリセットが出来る(ワテの実験で確認済)。

注意事項としては、SW3を押す場合には当然ながらSW1はONにしておく必要がある。

つまりSW1をONで車の12VをDCDCコンバーターで昇圧して約27Vにしておいて、SW3を一瞬だけ押せばその27Vで24Vバッテリー(上図では12Vが2台直列だが、24V1台でも勿論OK)のBMS保護回路をリセット出来る。

BMSリセットスイッチSW3を付ける

上図の改良案に基づいてBMSリセットスイッチSW3を付ける事にした。

まず、2極双投のモーメンタリ型プッシュボタンスイッチを使って下写真のような接続ケーブルを自作した。

写真 BMSリセット用スイッチSW3に赤黒接続ケーブルを半田付けした

ここで用いた2極双投のモーメンタリ型プッシュボタンスイッチは偶々手持ちに有ったフジソク(現在はニデックコンポーネンツ)の8R2021と言う型番のやつだ。

ニデックコンポーネンツ8R2021 定格 AC125V 3A

DCDCコンバーターDC27V出力と24Vバッテリー(BMSが働いて出力0~1V程度になっている)とを接続すると、その電位差の違いで一瞬だけ大電流(=突入電流、ラッシュカレント)が流れる。

このニデックのスイッチは定格容量3Aなので、数十アンペアから数百アンペア程度の突入電流によって接点が溶着する恐れがあるので50Ω~200Ω程度の突入電流防止抵抗を追加すると良いだろう。

電流 I = 電圧/抵抗 = 27V/50Ω = 0.54A
電流 I = 電圧/抵抗 = 27V/100Ω = 0.27A
電流 I = 電圧/抵抗 = 27V/200Ω = 0.135A

そこでパーツボックスから100Ω程度の大型抵抗を探したら、偶々手持ちに有った220Ωのメタルクラッド抵抗(50W)を追加した(下写真)。でもこんなに大型のメタルクラッド抵抗を使う必要はなくて、100Ω/5W程度の酸化金属被膜抵抗あたりでも良いだろうとは思うが、大きいのに越したことはない。

このスイッチSW3は下写真のように木枠の内側に固定して、赤黒ケーブルの先端に付けた丸型圧着端子を上図最終完成版設計図に示す所定の箇所に接続した。

写真 BMSリセット用スイッチSW3と突入電流防止抵抗を取り付け完了

なお、今回のSW3追加によってDCDCコンバーター基板の出力端子台には赤黒各3本の赤黒ケーブル(合計6本)を接続する必要が有ったが、それは無理がある。

なので4Pの組端子台(春日電機 T1004)を追加購入して中継端子として利用して、配線をスッキリと整理した。

端子台のショートバーが手持ちに無かったので下写真右のように自作した。

写真 BMSリセット用スイッチSW3を取り付け完了(4P端子台付近詳細)

これでBMSリセット用スイッチSW3(突入電流防止抵抗含む)の取り付けは完了だ。

あとは車に搭載すれば良い。

久しぶりにサブバッテリーシステムを分解したので、下写真左のトグルスイッチの固定ネジが緩んでいたのをスパナで締めておいた。ここで用いているNKKのS-21Aトグルスイッチはサイズ14の薄型六角ナットで固定するのだが、そう言う用途にはHOZANの薄型スパナセットが便利なので昔から重宝している。

写真 左:フロントパネルの二個のトグルスイッチ、右:上から見た写真

下写真がBMSリセットSW3の取り付けが完了した12V➡24V昇圧型サブバッテリーシステム最終完成版だ。

写真 BMSリセットSW3取り付け完了した12V➡24V昇圧型サブバッテリーシステム最終完成版

以前にBMSの保護回路が働いた時にはまだこのSW3を取り付けていなかった。

その時には、DCDCコンバーターの出力(赤端子/黒端子)を電菱インバーターの大きなネジの入力端子(赤端子/黒端子)にそれぞれ一瞬だけ電線で接続してリセット成功した(突入電流によってかなり大きな火花が飛んだが)。要するに220Ω抵抗無しでSW3をONしたのと同じ操作になる。

今回の改良では220Ω抵抗を入れたので、今後はSW3押下時には突入電流は防止できると期待できる。

 

という訳で、ソーラー充電器が動かない問題が出たときには、設計ミスか!?と心配になったが、ここで紹介したSW3追加改造かあるいは電線を使ってSW3の代わりにする運用をすれば実用上は問題ないと思う。

もし皆さんがワテと同じようなバッテリーシステムを自作する場合には、上図など参考にして自己責任でお願いします。

追記 2023/6/25(日)

その後、ワテ自作の12V➡24V昇圧走行充電サブバッテリーシステムは順調に稼働している。

今日は暑かったのでワテ自作の自動車用DCファンをこのサブバッテリーシステムで動かしてみた。

その結果、勢いよくファンが回転して、車内に涼しい外気を取り込むことが出来た。

7月になったら一週間くらいの車中泊の旅に出掛けたいと思っている。

サブバッテリーシステム自作の注意事項

今回ワテがサブバッテリーシステムを自作した経験を元に、類似の作品を作る予定の皆さんの為にワテが気付いた点、こうすべきだったと思う点などを紹介しておきたい。

組み立て・分解しやすい構造にすべき

木枠の中に各種部品を収めたが手が入れづらいので配線作業がやり辛かった。

もし皆さんが類似の作品を作るなら板材などの台座の上で剥き出し状態で組み立てて配線して、最後に木枠やプラスチックコンテナなどに収める構造にすると良いと思う。

配線ケーブルは十分に余裕を持たせる

大電流が流れるケーブルは二点間を最短で連結するのが望ましい。しかしながら、あまりにもキチキチに短く配線するのはお勧めしない。短すぎると、あとあと何らかの改造や点検を行う場合に、ケーブル長に余裕が無いので非常に作業がやり辛い。

なので、二点間を結ぶのにこれくらいの長さが良いかなと思う長さの2~3割増しくらいの長さのケーブルを使うと良い(ワテの意見)。

半田付けよりも圧着端子のネジ止めがお勧め

手持ちにあった半田付けタイプのトグルスイッチを使ったが、狭い木箱の中の部品の半田付け作業はやり辛いのでなるべくは圧着端子をネジ止めする構造のパーツを採用するほうが良いだろう。

もし半田付けをやるならコードレス半田ゴテを一本持っていると作業がやり易い。

必要な工具は買う

今回の作業で使った主な工具・部品は以下の通り。

写真 サブバッテリーシステムに使う部品 説明
マーベル(MARVEL) 圧着工具 ハンドプレス 裸圧着端子・スリーブ用 MH-14
MARVEL 裸圧着端子・スリーブ用 MH-14 リサイクル屋で新品未使用を購入。14sqまで対応。
フジ矢(Fujiya) ケーブルハンディカッター 240mm 600-240
フジ矢 ケーブルハンディカッター 240mm 600-240 最大60sqまで切断可能
KIVケーブル 8sq 赤黒セット 1m 切り売り1m~30m 600Vケーブル 電気機器用ビニル絶縁電線 バッテリー常時電源 KIV電線 8㎟ 絶縁キャップ付き KIV 赤 黒 電線 ケーブル
KIVケーブル 8sq 赤黒セット 切り売り 購入した電菱インバーターは5.5sqでも良いのだがワンサイズ太い8sqを購入。
シリコンワイヤー, CESFONJER 14 AWG シリコンケーブル[4m黒と4m赤], 柔軟 高温抵抗錫メッキ銅線のケーブル, 電子機器、ドローン、航空機用バッテリーなどの配線に。
2sq ワイヤー(14AWG) 黒赤セット 2sq赤黒ケーブルはホームセンターで切り売り購入
ニチフ 銅線用 裸圧着端子 R形 丸形 10個入 R8-6S10P
ニチフ 銅線用 裸圧着端子 R形 丸形 R8-6S 箱買いすると安い
裸圧着端子 R形 丸形 R2-6-20P φd2:6.4
銅線用 裸圧着端子 R形 丸形 R2-6 箱買いすると安い
ニチフ端子工業 絶縁キャップ(LP TIC-8/赤/30個入り) 適用端子8mm²用
8sq 絶縁 キャップ 赤 裸圧着端子 絶縁キャップを被せると安全
ニチフ端子工業 端末キャップ 8sq TIC 8-BLK (100個)
8sq 絶縁 キャップ 黒 裸圧着端子 絶縁キャップを被せると安全
PB(ピービー) スイスグリップ・プラスドライバー 8190-3-150
PB プラスドライバー 8190-3-150 3番 電菱インバーター電極はプラスドライーバー3番の大型タイプを使う

表 今回製作した12V⇒24V昇圧走行充電サブバッテリーシステムに使った主な部品

サブバッテリーシステムの自作に圧着工具は必須だ。特に8や14などのサイズの大型圧着端子に対応している必要がある。大電流を扱う場合には38サイズの圧着工具が必要になる場合もある。

と言う訳で圧着工具はちゃんとしたやつを買うべき。

YouTubeで見た動画で、12V2000Wインバーター(電流=2000W÷12V=167A)と12Vバッテリー間の配線に38sqケーブル(外径12.4mm、許容電流162A)を使っていて、R38サイズの裸圧着端子を裸圧着端子専用の圧着工具を持っていないから、普通のプライヤーでカシメている人を見た事がある。

そんな杜撰な作業で配線した車に乗っていて不安は無いのだろうか?と思うが、人それぞれなので放っておこう。

ショート(短絡)事故には最大限の注意を払う

今回はリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを採用したが、鉛バッテリーでもリチウムバッテリーでもショート事故には注意する必要がある。

バッテリーやインバーターから一時的に外した太いケーブルは下写真のようにビニール袋を被せておくと安全だ。

写真 作業中に短絡事故を起こさない安全対策を講じる

秋月電子でパーツを買うと入っている小袋だ。あるいは養生テープで電極を覆うなどでも良い。

兎に角、短絡事故には最大限の注意を払う必要がある。

なお、今回は12Vバッテリーを二台直列に接続している。作業中はその直列接続の配線を必要に応じて外すようにした。直列接続部分を繋がなければ回路が閉じないので、短絡事故を無くすことが出来るのだ。

サブバッテリーシステムを組み上げる場合も、最後の最後にバッテリー直列接続のケーブルを取り付けるようにすると、短絡事故を極力減らす事が出来る。

まとめ

ワレコ

自作で一点物を作る場合、当然ながら初めて作る作品なので一発で完璧な物を作る事は難しい。

頭で考えていても物事は進まないので、兎に角、手足を動かして作ってみる事が重要だ。

当記事ではワテが製作した車載用サブバッテリーシステムの製作過程を紹介した。

このシステムの最大の特徴は、12V車に24Vバッテリーと24V用インバーターを搭載する点だ。

12Vから24Vへの昇圧は市販の昇圧型DCDCコンバーターを利用している。数千円前後で入手出来る。

そして、バッテリー充電には2000円程度で入手出来るソーラーチャージャーコントローラーを利用したのだ。

これらの工夫によって、製作費用を抑える事が出来た。

なお、前回記事で紹介したRedodo 24V 100Ahバッテリー(容量2560Wh)は軽バンに車載するにはサイズが大きいのと、容量2560Whは700Wインバーターと組み合わせるにはオーバースペック気味だ。キャンピングカーのサブバッテリーには最適だと思うが。

そこでこのRedodo 24V 100Ahバッテリー(容量2560Wh)は現在製作中の自宅ソーラー発電システム専用に使う事にした。このバッテリー容量なら2000W~4000W級のインバーターと組み合わせる事も出来る。自宅ソーラーシステムに関しては、現在製作中なので別記事で数回に分けて紹介したい。

一方、当記事で製作した走行充電システムには小型の12Vリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを2台採用して直列接続で24Vとした。

Redodo公式サイトで 12V 50Ah Proを見る

バッテリーは発火の危険性が少なくて安全性の高いリン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiFePO4)がお勧めだ。

サブバッテリーシステムの配線作業では、トグルスイッチの電流容量が足りずに接点が溶着される問題に直面した。この件は電菱製インバーターのリモート制御端子を利用する事で、小型トグルスイッチでインバーター電源をON/OFF制御に成功した。

自作したサブバッテリーシステムの木枠サイズは大よそ幅400x奥275x高330だ。以前に使っていた500Wクラスのポータブルバッテリーよりも一回り大きいが、軽バンの荷室に搭載してもそれほど大きな印象は無い。

と言う事で、費用総額約5万円くらいで安全性の高いリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを使って無事にサブバッテリーシステムの自作に成功した。

もしこの記事を参考に読者の皆さんがサブバッテリーシステムを自作される場合には、自己責任でお願いします。

作業中は安全メガネを着用する事をお勧めします。

(完)

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