ワレコ
前々から作ろうと思っていた「ぺるけ式アンプ試験ワークベンチ」を自作した。
プリアンプやパワーアンプなどのオーディオ機器の動作確認、各種計測など色んな用途に使える便利ツールなのだ。
ワテの場合、電子工作ではオーディオ関連機器を作る事が多い。
現在も金田式プリアンプの修理再生プロジェクトを実行中だ。
それらのオーディオ機器の自作においては、プリント基板にパーツを半田付けし終わったら次の作業は動作確認だ。
具体的には、可変安定化電源を使ってアンプに電源を供給して、パルスジェネレータで信号を与えて、出力信号をオシロスコープで観察する。
「ぺるけ式アンプ試験ワークベンチ」はそんな計測に特化した使い易いツールなのだ。
当記事では、その製作過程を紹介したい。
結論としては、いい感じに完成した(下写真)。
写真 「ぺるけ式アンプ試験ワークベンチ」ワレコ版
そのワークベンチを使って現在作成中の金田式プリアンプのフラットアンプ基板(PCBWayさんに発注した専用基板)をテストした。
ワークベンチは使い易いぞ。
では、本題に入ろう。
「ぺるけ式アンプ試験ワークベンチ」の紹介
ぺるけさんのサイトから「アンプ試験ワークベンチ」の写真を以下に引用させて頂く。
写真 ぺるけさん製作の「アンプ試験ワークベンチ」
引用元 http://www.op316.com/tubes/toy-box/wkbench.htm
その回路図を同じくぺるけさんのサイトから下図に引用させて頂く。
ただし、赤色で追加した部分はワテが独自に追加したものだ。
図 ぺるけさん設計の「アンプ試験ワークベンチ」にワテの改造を加えたもの(赤色部分)
引用元 http://www.op316.com/tubes/toy-box/wkbench.htm
以下では上図の「アンプ試験ワークベンチ」の使い方を簡単に説明しておこう。
FROM OSCにはパルスジェネレータ出力信号を入れる
上段右端のFROM OSC BNC端子にはパルスジェネレータで生成したサイン波や方形波などを入力する。
その隣のEXT端子は、信号モニター用なので通常はオシロスコープのCH1に接続しておく。
FROM OSC BNC端子に入力した信号は左端のTo LやTo RのBNC端子あるいはRCA端子から出力される。
それらの出力端子(BNC/RCA)のどちらかを使って、アンプの入力端子に信号を入力すれば良いのだ。
なお、必要ならS1やS2のトグルスイッチをGND側に切り替える事によって、アンプなどの被測定機器の入力端子をGNDにショートさせる事が出来る。
FROM L/Rには被測定機器(アンプ)の出力信号を入れる
次に、上図の下段がアンプ出力信号を扱う部分だ。
左側のFROM L/Rにはスピーカー端子(バナナプラグ差込型)、BNC端子、RCA端子の三種類の入力端子が取り付けられている。
従って、例えばパワーアンプのスピーカー出力を計測したい場合には、バナナプラグを使って接続すれば良い。
一方、プリアンプ出力などの計測では、RCA端子を使って接続すれば良いだろう。
ダミーロードON/OFFスイッチS4とワテ独自の抵抗切り替えスイッチS8
被測定機器がパワーアンプの場合には、出力に8Ωスピーカーを接続した状態で出力信号を計測したい場合もある。
S4トグルスイッチを切り替える事で、8Ωのダミーロード(メタルクラッド抵抗)をスピーカー端子のプラス、マイナス間に入れる事が出来る。
なお、ワテの場合には、8Ωメタルクラッド抵抗が手持ちに無かった。
手持ちには10Ωメタルクラッド抵抗が四個有ったので、上図赤色で示す追加回路のように新規にS8トグルスイッチを追加すると同時に、四個の10Ωメタルクラッド抵抗を追加した。
このS8スイッチを切り替える事で、ダミーロードを5Ωあるいは10Ωに切り替える事が出来る。
まあ10Ωを二個だけ使うシンプルな案も検討したのだが、そうすると余った二個の使い道が無いので、四個全部使う事にしたのだ。
その結果、S8スイッチを追加する事になり、益々配線作業がややこしくなった。
注意事項としては、パワーアンプの計測ではダミーロードのON/OFFは便利な機能であるが、もしプリアンプの計測時にもうっかり間違えてダミーロードをON(有効化)すると、プリアンプ出力に5Ωや10Ωと言った超低インピーダンス負荷が入る事になる。
もしプリアンプ出力信号が10Vで負荷が10Ωなら1Aの電流が流れる計算になるが、通常はプリアンプ出力段はそんな大電流は流せない設計になっている場合が多いので、最悪、出力段の半導体素子(トランジスタとかFET)が壊れる可能性があるので要注意だ。
S3スイッチで左右出力信号を選択しOUT1~3までの三チャンネル出力
FROM L/R端子から入力されたアンプ出力左右信号は、S3スイッチを切り替える事でLかRのどちらか一方を選択する事が出来る。
S3で選択された信号は、OUT1(S5)、OUT2(S6)、OUT3(S7)の三つのBNC端子から出力される。
通常はOUT1出力をオシロスコープのCH2に入力して波形を観察する。
オシロスコープCH1ではEXT端子(アンプ入力のパルスジェネレータ信号)をモニターし、CH2ではアンプ出力信号をモニター出来るのだ。
なお、OUT1(S5)、OUT2(S6)、OUT3(S7)にはそれぞれにトグルスイッチが入っているが、FROM側に倒すとアンプ出力信号のモニター、ORIG側に倒すとオリジナルのパルスジェネレータ信号をモニターする事が出来るのだ。
中々よく考えられている設計だ。さすがぺるけ先生の設計だ。
以上がぺるけさん設計の「アンプ試験ワークベンチ」の構造と基本的な使い方になる。
あくまでワテの解釈なので間違っている可能性もある。
ワレコ版「アンプ試験ワークベンチ」のシャーシを作る
では、早速「アンプ試験ワークベンチ」の製作に取り掛かる。
木製シャーシを製作する
まずはシャーシの製作だが、一般的にはアルミシャーシなどで作るのが普通だが、色々検討した結果、木製シャーシを作る事にした。
写真 針葉樹合板12ミリを使って「アンプ試験ワークベンチ」のシャーシを作る
針葉樹合板12ミリをカットして、木工用ボンドやスリムコーススレッドで組み立てた(下写真)。
写真 マキタ仕上げサンダを使って針葉樹合板表面を磨いた
上写真のようにマキタ仕上げサンダ(オービタルサンダ)を使って表面を研磨した。
マキタ仕上げサンダの集塵ポートには洗濯ホースを経由してワテ自作のサイクロン集塵システムに接続している。その結果、ほぼ全ての粉塵を吸引出来るようになったので、研磨作業がやり易くなった。
サイクロン集塵機は室内でサンダーを使う場合には、とても役に立つ。
透明水性ニスを塗る
さて、表面研磨が終わったので、透明水性ニスを塗る。
塗装に使ったのは、先日ホームセンターで安売りしていたので買ってみた下写真のカンペハピオ水性着色ニスだ。
100ML容器や300ML容器の透明、透明艶消し、新ウォルナット、新チーク、新オークなど数種類を買ってみた。
なお、このアンプ試験ワークベンチの木製シャーシに水性透明ニスを塗った時に、同時に、ワテ自作テーブル天板も塗装した。その辺りの作業の様子は下記事でも紹介している。
カンペハピオ透明水性ニスを三回塗りした(下写真)。
その結果、下写真のように分厚い塗膜が形成されて、非常に綺麗な光沢が出ている(下写真)。
下写真がアンプ試験ワークベンチ用の完成した木製シャーシだ。
木製シャーシが傾斜したデザインになった理由
なお、何故アンプ試験ワークベンチ用木製シャーシをこんな風に傾斜のあるデザインにしたのかと言うと、それは下写真に示すワテ自作の工具収納棚と同じようなデザインにしたからだ。
写真 ビニルチューブ採用の工具収納スタンド(ワレコ式)
上写真のワテ自作ハンドツール収納システムは、ビニルチューブ採用した画期的なツール収納スタンドなのだ。その製作記事はこちら↴
アルミ板を加工する
アルミ板(1ミリ厚)を加工して木製シャーシの前面傾斜部分に取り付ける。
ちなみにこのアルミ板は解体した金田式DCプリアンプに使っていたシャーシの天板だ。
それを再利用するのである。残ったシャーシ本体も何かに活用する予定だ。
下写真のように卓上スライド丸ノコを使ってアルミ板を切断する。
写真 卓上スライド丸ノコのターンテーブルに載せたアルミ板(1ミリ厚)
切断に使うのは、下写真の卓上スライド丸ノコだ。
アルミ板の切断には、山真のスーパーオールマイティーZERO(190mm)を使った。
卓上スライド丸ノコで金属を切断するのは初めてだったのだが、下写真のようになった。
写真 卓上スライド丸ノコを使うと簡単に直角カットが出来る
無事にカット出来たのだが、1ミリ厚のアルミ板は薄っぺらいので切断の最後のあたりで鋸刃がアルミ板を引っ掛けて歪んでしまった(下写真)。
写真 切断最後あたりで鋸刃がアルミ板を引っ張り上げて歪んだ
なので、薄い金属板を卓上スライド丸ノコで切断する場合には、上から合板などで押さえておいて、金属版と合板を一緒にカットするほうが良いと思う。
かつ、鋸刃の下限位置をアルミ板がギリギリ切断出来るくらいの位置に調整しておけば、刃先がアルミ板を引っ張り上げる動きを低減して、アルミ板に対して鋸刃の先端が横方向に動くので、綺麗に切れると思う。
次回、アルミ板を切断する時にはその方法を試してみたい。
アルミ板に穴開け加工を行う
中古で買った芦名のボール盤にタケノコドリルを付けて各種の穴を開けた。
写真 タケノコドリルを使ってΦ10の穴開け加工の様子
ワテが使っているのは下写真のようなタケノコドリルだ。ステップドリルとも呼ばれる。
ワテが使っているアシナボール盤はチャックがMG6.5なのでΦ6.5までの丸軸ドリルしか付けられない。
そんな時に上写真のタケノコドリルを使えば、Φ30くらいの大穴をアルミ板に開ける事も出来る。あるいは金工用のタケノコドリルでも木材に穴を開ける事も可能だ。
DIYをやるならこんなタケノコドリルを持っておくと役立つ。
アルミ板にスプレー塗装を行う
さて、先日ホームセンターで安売りしていたので買って来たカンペハピオnuroスプレー白色でアルミ板を塗装する。
スプレー缶を50度くらいのお湯で温めた。
なぜ温めたのかというと、偶々見たYouTube動画で、スプレー缶を温めると内部ガス圧力が高まり綺麗に塗れるとの事だ。
確かに、ワテの経験でも冬場の寒い時期に塗装すると内部ガス圧が低いので塗料が微粉末にならずにブツブツになるなどの失敗した事がある。
動画 DIYで失敗しない塗装のやり方 ムラにしないで艶をだすコツ
引用元 シュンヤのガレージライフ YouTube動画
上動画では、スプレー塗装を行う場合の基本的なやり方が紹介されていて、大変役立った。
具体的には、
- スプレー噴射ノズルと塗装対象物との距離は一定に保つ
- スプレー噴射ノズルと塗装対象物とは正面に向き合うようにする
- スプレー噴射ノズルは塗装対象物に対して等速で平行移動する
などか。
これらの基本を守るだけでもかなり綺麗に塗装出来るようになる。
塗装する前に念のために下写真のように無水エタノールとキッチンペーパーを使ってアルミ板表面の汚れを拭き取って脱脂した。
ちなみに、今回はカンペハピオ白スプレーを使ったが、他の色も安かったので沢山買ってしまった。
写真 水性スプレー缶100MLを数種類買って来た。今回は白を塗る。
この水性スプレーは乾くのが速くて20分くらいで乾く。
ただし重ね塗りする場合には、上のYouTube動画の人の解説では、下地が完全に乾燥したドライな状態で塗るよりも、セミウエット状態(半乾きくらい)で重ね塗りするほうが馴染みが良いとの事なので、ワテも数十秒おきくらいに合計四回重ね塗りした。
写真 四回重ね塗りをしたアルミ板
一気に厚めに塗ると塗料が垂れる失敗をし易い。
なので今回は薄めに四回重ね塗りをした。
その結果、塗料の垂れは一切なく、非常に綺麗に均一に塗布する事が出来た。
ワレコ版「アンプ試験ワークベンチ」を組み立てる
アルミ板にパーツを取り付ける
アンプ試験ワークベンチには2極双投(6端子)のトグルスイッチを沢山使う。
BNCコネクタも多い。
写真 ぺるけ式アンプ試験ワークベンチに使うパーツ一式
ぺるけ式アンプ試験ワークベンチに使うパーツ一式を表にしてみた。
品名 | 数量 |
2極双投(6端子)トグルスイッチ | 8 |
BNCコネクタ | 9 |
RCAコネクタ(白2、赤2) | 4 |
スピーカー端子(黒2、赤2、バナナプラグ差込型) | 4 |
メタルクラッド抵抗 10Ω(ぺるけさん純正設計では8Ω x 2個) | 4 |
電源ターミナル(バナナプラグ差込型、ワテ独自追加機能) | 5 |
配線材料(ワテはΦ0.9ミリ銅単線を採用した) | 1メートルくらい |
表 ぺるけ式アンプ試験ワークベンチに使うパーツ
下写真に主なパーツを示す。
写真 電源ターミナル、BNCコネクタ、トグルスイッチ(2極双投)
電源ターミナルはパーツボックスで発見した。もう何年も昔に買ったやつだ。
BNCコネクタはCANAREのパネルマウント型(XLR-F77 )だ。
ネット通販でも買える。
でもこの手の電気パーツを買うなら、サウンドハウスさん(下写真クリック)がお勧めだ。業界最安値レベルなので。
CANARE ( カナレ ) / BCJ-RU パネル取付フランジタイプBNCコネクタ
ちなみに、ワテの場合はこのCANAREのBNCコネクタはジャンク屋で20個入りを安く買った。
トグルスイッチも同じくジャンク品だが、未使用新品の日本製(OTAX、オータックス株式会社)なので信頼性は高い。
写真 アルミパネルに取り付けたスイッチ、コネクタ類
下写真にはアルミパネル裏面を示す。
写真 アルミパネルに取り付けたスイッチ、コネクタ類(裏面)
入出力用の五つのBNCコネクタを木製シャーシに木ネジ2.6ミリで固定した。
写真 入出力用の五つのBNCコネクタを木製シャーシに木ネジ2.6ミリで固定
BNCコネクタはフランジタイプなので木製シャーシにネジ止めする作業はやり易かった。
木製シャーシは針葉樹合板12ミリで作成したが、BNCコネクタ取り付け部分のみMDFボード6ミリを採用した。
その理由はMDFボードは穴開け加工がやり易いからだ。
今回はΦ20ミリ穴を五個開けたのだが、Φ20の木工ドリルビットやボアビット(座ぐりビット)を持っていなかったので、金工用タケノコドリルでMDFボードの両面から開けたら上手く行った。
銅単線Φ0.9ミリで空中配線する
配線作業は銅単線Φ0.9ミリで空中配線する作戦を採用した(下写真)。
写真 銅単線Φ0.9ミリで空中配線している様子
当初は普通に被覆電線の末端をワイヤーストリッパーで剥いて半田付けする予定であった。
ところが、実体配線図をノートに手書きしてみたところ、かなりややこしい。
たぶん配線間違いを何カ所かする可能性がある。
そこで配線間違いがあってもやり直し易いやり方を検討した結果、銅単線で配線する事にしたのだ。
ホームセンターで買っていた銅単線が数種類手持ちにあったので、その中で割と太目のΦ0.9ミリを使った。
直径0.9ミリは適度に太くて、硬くて、銅なので半田の乗りも良く、空中配線には丁度良い素材だった。
ダミーロードを固定する
下写真にダミーロードに使うメタルクラッド抵抗を示す。長さ20cmくらいある巨大メタルクラッド抵抗だ。
写真 ダミーロードに使うメタルクラッド抵抗10Ωが四台
この10Ωメタルクラッド抵抗は耐消費電力が250Wの巨大なやつだ。並列5Ωで使うと500Wになる。ジャンク屋で一個数百円で売っていたので何かに使おうと思って何年も前に買ったのだが、ようやく使う時がやって来た。
ネット検索してみたら株式会社PCNのRHF250と言う型番の電力形メタルクラッド巻線抵抗器だった。型番にFが入ると周波数特性を改善したオーディオ向け無誘導巻きらしい。
アマゾンにも売っていた↴
ワテが買ったのも無誘導巻きの高級品だがジャンクなので安かった。使用感は無いので多分未使用品かな。
メタルクラッド抵抗は木枠で囲んだが、まあそんなには発熱しないと思うので大丈夫だろう。それに出力500W+500W級のパワーアンプを作る計画も無いしw
作るとしたら精々10W+10Wくらいかな。
RHF250の定格電力は250Wではなくて200W/75Wだった。
形 名
|
定格電力(W)
|
抵抗値範囲(Ω)
|
||
シャーシ取付
|
空 間
|
誘導巻(RH)
|
無誘導巻(RHF)
|
|
RH-75
|
75
|
30
|
0.2~20K
|
0.07~10K
|
RH-100
|
120
|
50
|
0.4~50K
|
0.12~25K
|
RH-250
|
200
|
75
|
0.6~80K
|
0.1~40K
|
表 電力形メタルクラッド巻線抵抗器RH/RHFの仕様
引用元 http://www.pcn.co.jp/Images/seihin-03.html#03-09
今回は木製板材の上に固定しただけなので「空間」になると思うので75Wだ。
メタルクラッド抵抗の電極はΦ6のボルトだ。
写真 メタルクラッド抵抗ユニットは木製シャーシにピッタリと嵌められる構造
そこでR2-6の丸型裸圧着端子を使って接続ケーブルを作成した。
圧着工具を使って上写真のような専用接続ケーブルを作成して接続すると、電子工作の仕上がりが見栄え良くなるのでお勧めだ。
ワテは圧着作業はそんなには頻繁にはやらないけれど、上写真のような圧着工具と何種類かの丸型裸圧着端子を常備しているので、いざという時に役立つ。
写真がピンボケになってしまったが、下写真にメタルクラッド抵抗とフロントパネルの接続作業の様子を示す。
写真 メタルクラッド抵抗とフロントパネルの接続作業の様子
下写真は入出力BNCコネクタの配線部分を示す。
写真 入出力BNCコネクタの配線部分
BNCコネクタの配線には赤黒のやっすい電線を使った。
ホームセンターでホビー・工作用に売っていたやつを買って来た。
あとは下写真のようにΦ2.0のスピーカーケーブルの端材を使ってメタルクラッド抵抗まで配線した。
写真 フロントパネル裏面の配線の様子
下写真に空中配線の拡大写真を示す。
写真 空中配線(拡大)と熱収縮チューブをホットエアーノズルで収縮している様子
空中配線を採用して正解だった。
なぜなら、後から配線経路をたどり易いので配線間違いのチェックもやり易い。
かつ、配線間違いが有った場合の変更作業もやり易い。
それと、今回採用したOTAXのトグルスイッチの電極端子が、たまたまであるが筒状になっていて、Φ0.9ミリ銅単線がピッタリと刺さるので、ますます半田付けがやり易かった。
なお、事前に実体配線図を描いたのだが、ラフに描いただけだったので、途中で混乱してしまった。
その結果、やはり三カ所くらいで配線間違いをやってしまった。ワテの予想通りだ。
上写真のHAKKOの半田ゴテで作業したのだが、コテ先が三本付いているので、半田ゴテで半田付けした直後に上写真のように熱収縮チューブを被せてホットエアーノズルで簡単に熱収縮出来る。
これら一連の作業が非常にスムーズに行くので、半田付け作業がやり易い。
従来のワテなら、半田付けしたあとで熱収縮チューブを収縮させるにはチャッカマンで炙っていたのだがw
可変安定化電源からの出力端子を取り付けた
この部分はワテが独自追加した機能だ。
写真 可変定電圧電源の出力を延長してフロントパネルに取り付けた
ワテは高砂製作所の可変定電圧電源を二台使っている。
それぞれGND-正電圧の出力端子がある。
もしそれらを独立した二台の電源として使う場合には、以下のようになる。
青 | 緑 | 黒 | 緑 | 赤 |
GND1 | +V1 | 未接続 | GND2 | +V2 |
表 独立2電源として使う場合
もしそれらを直列接続して正負二極電源として使う場合には、以下のようになる。
青 | 緑 | 黒 | 緑 | 赤 |
-V1 | GND | GND | GND | +V2 |
表 正負2極電源として使う場合
それらの切り替えは、写真には写っていないが高砂電源側に設置した大型トグルスイッチで切り替えられるようにしている。
パネルを木製シャーシにネジで固定した
下写真のようにかなり大きくなった。
高さ265ミリ、幅218、奥340くらいだ。
写真 組み立て完了したアンプ試験ワークベンチは巨大メタルクラッド抵抗の重量で安定感は良い
巨大メタルクラッド抵抗が目立つ。無駄にデカいがまあ、ここで使わなもう使う場面は無いかも知れないし。
それにメタルクラッド抵抗の重量が重いので、安定感は抜群に良い。そう言う点でもこのアンプ試験ワークベンチは使い易い。
写真 ぺるけ式「アンプ試験ワークベンチ」を後ろから撮影
上写真の五本の電線は二台の高砂製作所可変安定化電源まで配線する2メートルのΦ1.25電線だ。
ホームセンターで各色2メートルだけ買って来た。無駄な電材を溜め込まないようにするために最近では必要最小限のパーツしか買わない。
電線がばらけないように3cmくらいに切った太めの熱収縮チューブを数個使って束ねている。
この後で定電圧電源まで配線しておいた。
フロントパネルに文字を貼る
さて、フロントパネルに多数のスイッチや入力端子があるので文字を入れる事にした。
写真 フロントパネルに白色テープに黒文字印字して貼った
ワテが使っているのが下写真のブラザーP-touchだ。
パソコンとはUSB接続するだけで良い。付属の専用テープ編集ソフトで好きな文字を描いて手軽に印字できる。ワテは幅12ミリの白色テープを使っている。
下写真が完成したアンプ試験ワークベンチをワテの作業机の上に設置した様子を示す。
写真 完成したアンプ試験ワークベンチをワテの作業机の上に設置した
上写真で、アンプ試験ワークベンチの左隣りには、ワテ自作のツールスタンドが見えるだろう。
その前面も傾斜しているのだ。
その傾斜角度は107.7度だ。
今回の木製シャーシもこの角度を採用した。
この角度はワテが緻密に計算して割り出した最適角度なのだ。
ほぼ108度なので、除夜の鐘と同じ効果がある。つまり電子工作は煩悩を消し去る効果があるのだ。
ワレコの傾斜角と呼ばれている。
ほんまかいなw
最近買ったこのデジタル角度計はDIYに大変役立つ。
ワレコ版「アンプ試験ワークベンチ」を使ってみる
木製シャーシの製作と塗装には延べ一日くらい掛かった。
配線作業は三時間くらいで完成した。
早速このアンプ試験ワークベンチを使って、現在製作中の金田式プリアンプのフラットアンプ基板をテストしてみた。
写真 アンプ試験テストベンチに金田式プリアンプのフラットアンプ基板を接続した様子
上写真において、最下段の三本の電線(青:-30V、緑:GND、赤:+30V)は、可変定電圧電源からの出力が来ている。
その電源をフラットアンプ基板に供給している。
あとはTo AMP InのBNC端子に来ているパルスジェネレータ信号をフラットアンプ入力に接続。
From AMP OutのBNC端子にはフラットアンプ出力信号を入れている。
上写真を見ても分るように、アンプ基板に供給する電源、入出力の信号線がスッキリと配線出来ているので、テスト作業が非常にやり易い。
かつ、パワーアンプ試験の場合にはいつでも好きな時にダミーロード負荷を入れられるのだ。
超便利だぞ!
注意事項としては今回はフラットアンプ出力の計測なので、ダミーロードは入れずにOPENの状態で計測する。
でもうっかり間違えてトグルスイッチをLOAD側に倒すと負荷が5Ωとか10Ωと言った超低抵抗になる。
その結果、最悪の場合にはフラットアンプが壊れるかもしれないから、このトグルスイッチはレバーを引っ張って切り替えるロック式にするほうが良かったかも知れない。
まあ少し使ってみて、もしうっかり間違えが多い場合には、レバーロック型スイッチに交換したい。
写真 金田式プリアンプのフラットアンプ基板をテストしている様子(拡大)
上写真のように多数の配線が接続される。
まあどうにか接続する事は出来たが、設計時点でミノムシクリップやテストフックを引っ掛けやすい構造にしておくべきだった。
具体的には、このフラットアンプの調整作業では、初段2N3954の共通ソースに入っている200Ω半固定抵抗を回して出力オフセット電圧をゼロに調整したり、あるいは、二段目の2SA726Gの共通エミッタに入っている1KΩを回して両者のコレクタ電圧を同じに揃える必要がある。
例えば2SA726Gの足は既にカットしているが、カットせずに長いままにしておけば、その足にICテストフックを引っ掛けやすい。
発振しているがな
さて、肝心の金田式プリアンプのフラットアンプ基板のテスト結果であるが、下写真のように発振している。
写真 金田式プリアンプのフラットアンプ基板の出力が発振している(上:入力、下:出力)
あかんがな。
左右どちらのチャンネルも全く同じように発振している。
入力信号は振幅1V、周波数1KHzの正弦波だ。
フラットアンプのゲインは設計では、
( 47K + 5.6K )/ 5.6K = 9.39
なので、発振が収まればそれくらいのゲインになりそうなので、致命的な間違いは無さそうだ。
つまりワテ設計の専用基板(PCBWay製)には設計ミスは無かったようなので一安心。
発振の原因究明に取り掛かりたい。
まとめ
ワレコ
ぺるけ式「アンプ試験ワークベンチ」を作ったワテの感想であるが、もっと早く作れば良かった。
この「アンプ試験ワークベンチ」のお陰で今後の電子工作の計測作業が飛躍的にやり易くなると思われる。
皆さんにもお勧めしたい。
当記事では、ぺるけさん設計の「アンプ試験ワークベンチ」の製作過程を紹介した。
ワテ独自の改良として、フロントパネルに可変定電圧電源の出力端子を追加した。
これを「ワレコ版アンプ試験ワークベンチ」と勝手に呼ばせて頂く。
この「ワレコ版アンプ試験ワークベンチ」が一つあるだけで、アンプ基板に正-GND-負の二極電源を供給できる。
そして、アンプ入力にパルスジェネレータ信号を与えたりGNDにショートする事も出来る。
パワーアンプのテストではダミーロードもON/OFF出来る。
いやぁ、物凄く便利だ。
さすがぺるけ師匠だ。
木製シャーシを採用したが、この手の木工DIY自作品は今まで塗装はやった事が無かった。理由は塗装しなくても実用上は問題無いので。
でも今回初めて塗装してみた。その結果、作品の完成度が上がるので、塗装は正解だった。見た目も綺麗だし。
あとは発振の原因究明をして、早く金田式プリアンプ修理再生プロジェクトを完遂したい。
(続く)
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