先日、以下の記事で紹介した実体顕微鏡と自作スタンド(レール伸縮式)であるが、スタンドを製作したおかげでかなり使い易くなった。
写真 実体顕微鏡用の自作スタンド(レール伸縮式)
ところが、リング照明が付いていない。
現状では、部屋の天井照明の下で対象物を観察している。
でもそれだと暗い。
やはり、実体顕微鏡専用のリング照明が欲しい。
でも既製品のリング照明(下図)を買うと高い。
と言う事で、実体顕微鏡用のリング照明を作ってみた。
結論としては、1000円くらいの予算で割といい感じのLED照明が完成した。
特徴としては、PWM式(パルス幅変調)で調光が可能でデューティ比が0~100%までの調光が可能だ。
つまり消灯~最大発光までをボリュームで可変出来る。
かつワテが採用したPWM方式はLM393コンパレータが一個有れば良いのだ。
タイマーIC555などは一切不要。
ネット検索した限りでは、そんな回路は発見できなかったので、ワテの新発明回路かも知れない。
LED照明の調光回路用に製作したのだが、パソコンのファンコントローラーや鉄道模型のモーターコントロールなどにも利用出来ると思う。
要するにDCモーターで動いている機器であれば、その回転速度をPWM制御で可変出来るのだ。
では、その製作記事を紹介しよう。
- どんな方式のLED調光回路にするか?
- LM393を1個で実現出来るPWM回路のプリント基板部品レイアウト案
- LED調光回路を半田付けする
- まとめ
どんな方式のLED調光回路にするか?
ワテの場合、電気回路はあまり得意では無い。
取り敢えずネット検索して参考となる回路を調査してみた。
キーワードは「LED調光回路」だ。
LED調光専用ICを使う
こんなキットを売っている。
上写真のDIP8ピンの黒いICには「12F1822」と言う型番が書いてある。
ググってみたら見付かった。
商品説明を見ると以下の通り。
ブランド名 マイクロチップ(Microchip)
部品番号 PIC12F1822-I/P
主な仕様
- パッケージ :8ピンDIP
- Prog Mem(kbytes) :3.5
- Prog Mem(kwords) :Flash
- RAM(byte) :128
- EEPROM(byte) :256
- Timers :2×8-bit 1×16-bit
- CaptureInput :1ECCP
- PWM :1ECCP
- AD :
- ADCs :4ch 10-bit
- MasterI2C :1-A/E/USART 1-MSSP
- SPI :○
- UART :
- USART :○
- CAN :
- CCP(PWM) :○
- CodecInterface :
- COMP :1
- Compare/PWMOutput :
- EthernetTX/RXBuffer(byte) :
- VDD:1.8-5.5VnanoWatt XLP静電容量センサモジュール内蔵
何や知らんが、多数の機能が詰め込まれている。それなのに安い!
ワテの場合、PICは使った事は無いのだがArduinoでLEDをチカチカする実験は以前やった事がある。Visual Studio 2017 CommunityにArduino用の拡張機能を入れたらVisual Studioの環境でArudinoプログラミングが出来る。その辺りのやり方は他の記事で紹介しているので参考にして頂きたい。
PICと言うのもArudinoに似た様なプログラマブルなコントローラーだと言うのは知っている。
でもなあ、LEDを調光する程度の簡単な工作で、他人がプログラミングしたデバイスを安易に利用するなんて言うのは、あまり勉強にならないとワテは思う。
やっぱり電子回路は、R, C, Tr, FETを組み合わせて作らなくては勉強にならない。集積回路をもし使うとしてもオペアンプ、コンパレータ、7400シリーズロジックくらいか。
それ以外の使用は認めない。
まあ、ワテがそれくらいしか使えないと言うのが真実なのだが。
とは言っても、自分でオリジナル回路を設計する技術も無いワテである。
と言う事で、引き続きネット検索に頼る事にした。
結局、ネット頼りかい!
上は純正Arudinoだ。
こちらは互換品。この値段で売って儲け有るのか?
トランジスタとFETを使う電流制限回路
https://electronics.stackexchange.com/ と言うサイトでこんな質問をしている人を見付けた。
stackoverflow.comの電子回路版なのかな?
この手の技術系ディスカッションではお勧めのサイトだ。
Current limiting with MOSFET
i want to limit the current through a MOSFET (high side) as simple as possible. The MOSFET will switch 600V and approx. 150mA for 1-2 seconds. The focus really lies on simplicity. I know that i can control the drain-souce current through gate voltage. But is this reliable?
MOSFETを使って電流を制限したいという事だ。
回答には以下の回路が掲載されている。
引用元 https://electronics.stackexchange.com/questions/200716/current-limiting-with-mosfet
まあ、自称電子回路の素人のワテにもこの回路は大体は理解出来る。
でもどちらかと言うとNchのMOSFETのほうが馴染みがある。
それと手持ちにあるのもNCHのMOSFETなのでNCH版をLTSpiceでシミュレートしてみた。
NchパワーMOS FETを使った定電流回路
上図のPchの回路をNchのデバイスで即席で作成してみた(下図)。
自称電子回路の素人のワテがデザインした回路なので、間違っているかも知れない。
図 NchパワーMOS FETを使った定電流回路(電流可変)
LEDはLTSpiceにデフォルトである各社のモデルから適当に日亜化学のやつを選んだ。たまたまだ。
取り敢えずLTSpiceでシミュレーションしてみた(下図)。
図 ボリューム値の変化に応じて期待通りLED電流が変化している
LTSpiceで変数を使って値をStepで指定してシミュレーションするとこんなグラフが描けるのでとても便利だ。
さて、シミュレーションでは
2SK1530 東芝電界効果トランジスタ シリコンNチャネルMOS形
というNchパワーMOSFETを使っている。たまたまこのデバイスのSPICEモデルがあったから使っただけで、深い理由は無い。
2SJ201とコンプリメンタリだ。オーディオアンプなどで良く使われているようだ。
東芝の資料から2SK1530の
- ID-VDS特性
- ID-VGS特性
のグラフを引用すると以下の通り。
図 2SK1530の特性(引用元 東芝のサイト)
まあ、VGSが変化するとIDが変化するくらいしかワテには理解出来ていない。
さて、まあ上の回路でも行けるかも知れないが、もう少しネット検索してみた。
オペアンプとトランジスタを使った定電流回路方式
オペアンプとバイポーラトランジスタの組み合わせ、あるいはオペアンプとMOSFETの組み合わせで定電流回路を作成する例が沢山見つかる。
定電流回路(NチャネルMOSFET+OPアンプ)の出力電流
その中の一つを引用させて頂くと以下の通り。
CQ出版社さんのサイトに掲載されている記事から引用させて頂いた。
図 定電流回路(NチャネルMOSFET+OPアンプ)の出力電流
引用元 http://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/trcalc/V/trcalc.html?4
ワテの理解では、こんな動作になるのかな。
- オペアンプの+IN(3番ピン)に1V(VR)が入っている。
- R(20Ω)の電位、つまりオペアンプの-IN(2番ピン)の電位が1Vになるようにフィードバックがかかってオペアンプの出力電圧が決まる。
- その出力電圧がゲート・ソース間電圧(VGS)になるので、その電圧に応じたドレイン電流が流れる。
- VR(リファレンス電圧)を可変抵抗に変えて変化させればドレイン電流も変化出来る。
- ゲート抵抗R1(1K)は、MOSFETのゲート容量(コンデンサC)を充放電する時の保護抵抗かな。あまり大きな値にするとCとRによる時定数が大きくなってMOSFETのスイッチング時間が時間が長くなる。
と言う理解なのだが、間違っていたら指摘して頂けると嬉しい。
まあ、手持ちにオペアンプは何個かあるので、このオペアンプ方式でも良さそう。
でも単電源で使えるオペアンプを持っていたかな?後でパーツボックスを調べてみる必要がある。正負2電源方式の回路だと作るのが面倒だし。
輝度をスムーズに制御できるLED調光回路
さて、引き続きネット検索していたら、EDNのサイトでこんな回路を発見した。
図 白色LEDをスムーズに調光する基本回路(電池Bat.であらかじめ発光直前までVFを印加する)
引用元 http://ednjapan.com/edn/articles/1707/07/news080.html
記事を要約すると以下の通り(ワテの理解なので間違っているかも)。
普通の白熱灯なら電圧を変化させれば簡単に調光動作が可能だ。
ところが、LEDでは順方向電圧VFが低いと順方向電流IFが流れず、発光しない。
でも一旦IFが流れ始めるとVFに対してIFが急増するためにLED照明を調光しようとすると、ほとんど点灯していない状態からフル発光へ変わる。
つまりLEDは電圧制御では、明るさをスムーズに調整するのは難しいのだ。
なるほど、これはワテにも理解出来た。
で、それを解決するのが上の回路なのだが、その説明はワテには要約出来ないので、EDNの記事をそのまま引用させて頂く。
この問題を解決する基本回路が、図2である。IFが流れ始める寸前の状態になるようVFを印加しておく。
このVFは、一般的な白色LEDであれば2.4V前後である。調光用のVFを、直流電圧に重畳する交流電圧が担う。これにより、白熱灯と同様に、発光強度は印加電圧にほぼ比例するため、白熱灯用の位相制御型調光器を利用することができる。
正の半サイクル時に、電流は制限抵抗R1→LEDの経路を流れ、LEDが点灯する。負の半サイクル時は、C1からD1に電流が流れ、発光しない。この基本回路では半サイクルごとに点灯するため、周波数によってはちらつきを感じる。
引用元 http://ednjapan.com/edn/articles/1707/07/news080.html
なるほど。DCバイアス電圧を加えておいてLEDが点燈する寸前の状態にしておく。
あとは、その電圧に交流電圧を印可してLEDを発光させる。調光は白熱灯用の位相制御型調光器を利用出来るのだ。
こんな回路を考えられる人は頭いいなあと思う。
この回路では、Sansui ST-71と言う電源トランスが使われている。今は無き山水電気のトランスだ。
山水の会社は無くなったが山水のトランスは今でも橋本電気さんが製造を引き継いでいるので入手可能だ。
ワテの場合、手持ちにはこの回路に使えそうなトランスが無いので、この方式は不採用とした。
PWM式のLED調光回路
LED調光回路でネット検索していると、PWM式の調光回路も沢山ヒットする。
冒頭で紹介したPIC版もPWM方式だ。
PICを使わずにアナログ回路で発振器を作成して、PWM調光する回路を見てみよう。
craftな毎日iruchanさんのタイマIC555+LM393コンパレータ+BJT版
たまたま見付けたのだが、「craftな毎日」と言うサイトiruchanさんが設計された回路図を引用させて頂く。
タイマIC555とLM393コンパレータを使う方式だ。
図 craftな毎日iruchanさんのタイマIC555+LM393コンパレータ+BJT版LED調光回路
引用元 http://iruchan.blog.so-net.ne.jp/2015-06-30
この回路図の説明文も以下に一部引用させて頂く。
いつも通り,タイマIC555で三角波を作り,それと基準電圧とをコンパレータで比較することにより0~100%デューティ可変のPWM波を作ります。
海外で555 1個とダイオード2個でPWM波を作る回路を発表している人もいますが,デューティは5~95%くらいになり,100%可変じゃないので採用しませんでした。私の回路は0~100%まで変化させることができます。鉄道模型だとこうじゃないとまずいですよね。
引用元 http://iruchan.blog.so-net.ne.jp/2015-06-30
なるほど。
自称、電子回路の初心者のワテでも、この説明のおかげでこの回路の動作は理解出来た。
出力は2SD525と言うバイポーラトランジスタ版だ。
0.47Ωと2SC1815の部分は、出力が短絡した場合の保護回路だと思う。
同じような回路で、MOS-FET版も他のサイトで見付けた。
マスカットさんのタイマIC555+LM393コンパレータ+MOSFET版
図 マスカットさんのタイマIC555+LM393コンパレータ+MOSFET版LED調光回路
引用元 http://www.zea.jp/audio/schematic/sc_file/027.htm
まあ、こちらは出力部分がMOSFETで回路もシンプルだ。
マイコン使用によるプログラムや正確な信号生成を使わずに、一般に入手しやすい汎用部品を使ってPWM信号を生成し、LEDの調光を行なわせるものです。
タイマー555と別途コンパレーターを使って、デューティー比0%~100%のPWM信号を生成するもので、複数のPWM信号を周波数を独立させることなく可変・生成できます。タイマー555のコンパレーター部は555の名前の由来である内部抵抗の5KΩ-5KΩ-5KΩ(C-MOS版タイマー555は100KΩ-100KΩ-100KΩ)により、1/3Vと2/3Vに設定されています(図1)。
引用元 http://www.zea.jp/audio/schematic/sc_file/027.htm
なるほど。タイマーIC555の名前の由来がこんな裏話が有ったとは、自称電子回路初心者のワテは知らなんだ。
色々と勉強になる。
ワテ自作のLED調光回路のパーツ集め
ワテの場合、有名なタイマIC555は過去に使った事はある。またパーツボックスを見たら2個あった。それとLM393 デュアル差動コンパレータも2個あった。
それとMOSFETも手持ちに何個かある。
LEDは手持ちに無いので、先日、自転車整備関連のパーツ、工具などをアマゾンで買った時に、一緒に以下の製品を購入した。
仕様では、VFは3.0~3.2v、IFは20mA程度だ。
- 形状:砲弾型
- 発光色:白色
- 光度:25000~28000mcd
と言う事なのだが、光度25000~28000mcdがどれくらい明るいのか見当も付かない。
アマゾンの他の製品と比べてもこの数字は大き目の値なので、兎に角明るそうな白色LEDだろうと思って買った。100個で600円くらいなので安い。
じゃあこれにしてみるかと思って早速LTSpiceでシミュレーションしてみた。
ワレコ版NE555+LM393+MOSFETのPWMシミュレーション
回路図中の抵抗値は、上の2つの参考回路から引用したり、適当に試行錯誤で変えてみた値だ。
図 ワレコ版NE555+LM393+MOSFET式のLED PWM調光回路
上図で、LEDは3直列に10Ωの抵抗を接続してLEDのVFのばらつきを吸収している。それを12並列接続している。合計48個のLED。
早速LTSpiceシミュレーションを行う。
ワレコ版はシミュレーションではPWM制御はいい感じで動く
下図は、12並列のLEDブロックの中の、10Ω(R11)を流れる電流のグラフだ。
図 ワレコ版NE555+LM393+MOSFET式のLED PWM調光回路の動作の様子
上図を見る限り、調光用ボリュームを回転させると、いい感じでパルス幅が変化している。
ボリューム0では、電流も0.
ボリュームを徐々に右に回していくとパルス幅が広がって行く。
ボリューム最大では、パルスでは無くて直流電流となる。
まあ、シミュレーションではいい感じで電流が制御出来ている。
NE555とLM393の動作
NE555で生成される三角波とボリュームで生成されるLM393のリファレンス電圧(1IN+)の電位のシミュレーション結果は以下のグラフ。
図 E555の三角波とボリュームで生成されるLM393のリファレンス電圧(1IN+)
この両者の電圧をLM393コンパレータで比較して出力電圧が生成される訳だ。
う~ん、とってもいい感じだ。
よっしゃー!
これを作るかなあ!と思ったのだが、ちょっと気になる点がある。
LM393 2回路入りコンパレータの1回路しか使わないのが気になる
LM393は2回路入りだが、上の回路だと1回路しか使っていない。
残りの1回路を使わないのは何だか勿体ない。
自称、電子回路初心者のワテは貧乏性だ。
使わない回路があると気になる。
なので7400シリーズで4回路入りとか8回路入りなどのロジック回路で全部使い切らないと損した気分。
世の中にはそんな人もたまに居ると思う。もしおられましたら下のコメント欄からお知らせ下さい。
どうにか出来ないかなあ?
高々数十円のICだが、それでも気になる。はっきり言ってワテは変人か。
2回路入コンパレータ LM393と積分回路で三角波
コンパレータが有れば矩形波(方形波)の発振器を作成出来るのは知っている。
ナショナルセミコンダクター社の技術資料から引用すると以下の通り。
図 LM293/LM393/LM29032回路入り低動作電圧低オフセット電圧コンパレータで発振器の例
引用元 National Semiconductor Corporationのサイト
例えば上図左の回路ならばLM393のコンパレータ1回路で簡単に方形波を生成できる。
これを三角波にすればいいんじゃないの?
自称、電子回路初心者のワテはそう思った。
キーワード = 方形波 三角波 変換
で検索すると積分回路がヒットする。
確かに積分すれば三角になる。
積分回路の最も簡単なのはRとCを使う回路だ。まあワテでもそれくらいは知っている。
RC積分回路
RC積分回路のWikipediaから引用すると下図の通り。
図 RC積分回路
引用元 https://ja.wikipedia.org/wiki/積分回路#RC回路
まあRやCの値は計算で決められるとは思うが、面倒なのでLTSpiceさんに任せる事にした。
さっそくLTSpiceでシミュレーションしてみる。
LM393コンパレータ1個+RC積分回路でPWM調光回路
図 LM393コンパレータ1個+RC積分回路でPWM調光回路
上図に於いてLM393は2個描かれているが、LM393のSPICEモデルを使ってLM393のシンボルを汎用のDIP-8パッケージを使って描いたのだが、2回路を入れるのが面倒だったので1回路しか入っていない。
なので、LM393が2個描かれているが、実際は1個あれば良い。
肝心のRC積分回路の定数は、
- R29 100KΩ
- C2 100pF
にしてみた。
そのシミュレーション結果は以下の通り。
図 LM393コンパレータ1個+RC積分回路
緑色がコンパレータによる方形波出力。青色は積分回路の出力。
まあ、多少は歪んでいるがまあLEDのPWM調光には使えそうな感じ。
じゃあ、これで行くか!
そしたらタイマIC555は使わなくても良いし、LM393が1個有れば良いし、コンパレータも二回路全部使えるし。
完璧や!
と思ったのだが、上図の回路をLTSpiceシミュレーションして、各ノードの電圧を適当にプローブしていたら重大な事実を発見した。
LM393方形波発振回路の1IN-が三角波っぽい電圧が出ている
それは、LM393発振回路の1IN-が三角波っぽい電圧が出ている(下図)
図 LM393方形波発生回路(左)の1IN-端子から三角波が出ている(下図)
上図でR29(130K)は可変抵抗で実験した名残。最終案ではR29+R27=330Kにした。
左側LM393の1IN-端子の電圧シミュレーション結果は以下の通り。
図 LM393方形波発生回路(左)の1IN-端子から三角波が出ている
電子回路初心者のワテは詳しくは説明出来ないが、多分、C1の100pが積分回路を形成しているのかな?
さて、この三角波を使って設計したPWM調光回路の最終案が以下の通り。
この回路を作成した。
図 ワレコ版LM393デュアルコンパレータ1個で方形波+比較回路+MOSFET式PWM制御回路 最終版
そのシミュレーション結果。
図 LEDに流れる電流のシミュレーション結果
上図の通り、PWM制御もいい感じで出来ている。
よっしゃ!
これなら積分回路用のRとCを省略できるから部品点数も少なく出来る。
これを作ろう。
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LM393を1個で実現出来るPWM回路のプリント基板部品レイアウト案
パワーポイントで作成してみた。
図 LM393を1個で実現出来るPWM回路のプリント基板部品レイアウト案(部品面)
何となく抵抗やコンデンサの位置や向きを揃えてみた。
注意事項としては、上図は部品面から見た図だ。
なので、半田面の配線はもし基板が透明なら透けて見えると言う意味になる。
MOSFETの三つの足(G, D, S)の並びはワテが使ったNch MOSFET用だが、皆さんが作る場合は採用したNch MOSFETの足の並びに応じて配線パターンを変更する必要がある。
5KΩボリュームは、ワテの場合はBカーブを使ったが、たぶんAカーブでも良いと思う。
まあ、本当はKiCadなどのプリント基板設計ツールを使いこなしたいのだが、自称電子回路初心者のワテは未だに使いこなせない。
なので、パワーポイントで描いてみた。
なお、今までは電源電圧はDC12Vを想定していた。
LEDブロック(LEDx3+抵抗)は、上図では4つしか書いていないが実際は、12個ある。なので48個のLEDだ。
また、LEDブロックとDC12Vの間に5Ωの抵抗を入れて全体の電流を調整していたのだが、実際に作ってみたらDC9Vで動作させた場合に5Ω抵抗は無くても良い事が判明したので、5Ωは廃止した。
電源電圧もDC9Vに変更した。
要するに、LTSpiceでシミュレーションするとしても、実際に使用するLEDのスパイスモデルを使わないと正確なシミュレーションは出来ない。
なので、電源電圧をDC12Vと最初に決めていても、実際に作ってみないと回路を流れる全電流は分からない。
それに応じて回路を流れる電流の制限抵抗を大きくするなど調整が必要になる。でもあまり大きな電流を抵抗で制限すると抵抗の発熱も大きくなるので要注意だ。
従って、LED駆動回路を試作したら実験用の定電圧電源を使って動作実験をしてみて、回路の電流値が予定している最大値になるように電源電圧を決めるほうが楽だと思う。
電圧が決まったら、ヤフオクやジャンク屋でその電圧と電流のACアダプターの安いやつを買って来れば良いのだ。
PWM調光回路に使用したパーツ
写真 PWM調光回路に使用したパーツ
まあ、左端にある巨大なNCH MOSFETはたまたま手持ちに有ったやつ。
VDSS200V, ID30Aと言う巨大なヤツなのだが、こんなにアホみたいに巨大なMOS FETは不要だ。
何故なら、100%点灯状態でも回路全体に流れる電流は、
20mA x 16並列(LED直列ブロック) = 320mA
だからだ。
なので、もし皆さんがこの回路と同じ物を作るなら1~5Aくらいのヤツでも良いと思う。
何でワテがこんなに巨大なMOSFETを使ったかと言うと、たまたま手持ちに有ったので。
確かジャンク屋で安かったので、何かに使えそうと思ってまとめて何個か買ったのが有ったのだ。
茶色の長方形のやつは5Ω2Wの抵抗だ。これも昔どこかのジャンク屋で一枚数円で売っていたので何枚か買っていたのだが、あまり使い道が無かった。
で、今回、回路全体の電流を制限してLED一個に流れる最大電流を20mAに調整するために使ってみたのだが、結局、この5Ω抵抗は無しでも上手く行った。この抵抗には最大320mA流れるので、約0.5Wの発熱になる。確かに手で触ると暖かい。
最終的には、電源電圧を12Vではなくて9Vにしたらこの5Ωを省略出来た。
以下に、今回作成したLED調光回路の全パーツリストを示す。
LED調光回路の部品表
種類 | 型番など | 説明 | 数量 |
NCH MOSFET | 2SK3665 |
|
1 |
抵抗 | 100KΩ | 1/4W | 3 |
抵抗 | 3.3KΩ | 1/4W | 2 |
抵抗 | 3.6KΩ | 1/8W (1/4Wが無かったので) | 2 |
抵抗 | 330KΩ | 1/4W | 1 |
抵抗 | 100Ω | 1/4W | 1 |
可変抵抗 | 5KΩ |
Bカーブを使ったが、Aのほうが良いかも。 通常はフル点灯状態(100%)で使う予定なのでどっちでも同じかな。 |
1 |
コンデンサ | 100pF |
セラミックコンデンサなど |
1 |
コンデンサ | 0.1uF 50V |
積層セラミックなど 村田製作所(MURATA) 汎用 積層セラミックコンデンサ 絶縁型 ラジアルリード 50V 0.1μF RPEF11H104Z2M1A01A (10個セット) |
1 |
IC | LM393 |
デュアルコンパレータ(DIP8ピン) |
1 |
ICソケット | DIP8ピン |
ワテは平ピン型が抜き差しが容易なので好き |
1 |
スズメッキ線 | 20cmくらい |
半田メッキ線のほうが使い易いと思う。 |
|
プリント基板 | 47x72mmくらい |
両面スルーホールを使ったが、片面でも良い。 |
表 LED調光回路の部品表
注意1:表中のリンクURLはアマゾンのサイトに行く。それらの部品はワテが使った部品とは異なるが、多分その部品を使っても行けるかなあとワテが思った部品だ。なので、ワテは実際にそれらの部品で試作した訳では無いので、正常動作する保証はない。
つまり、各自、自己責任で部品を集めて下さい。
注意2:抵抗は多少誤差が有ったり、値が表と異なっても問題は無いと思うが、ボリュームの両端に接続している2個の3.6Kとボリュームでコンパレータの基準電圧を生成するので、この値は要注意。つまり、以下の点を注意しておく。
ボリューム最小で基準電圧が三角波の最小振幅よりも小さくなる必要あり(完全消灯するため)。
ボリューム最大で基準電圧が三角波の最大振幅よりも大きくなる必要あり(フル点灯するため)。
抵抗セットが安い
安いにも程がある。
電子工作基本部品セットもお勧め
何や知らんが、どえりゃーよーけ入っとるセットだがや。
LED照明部分の部品表
種類 | 型番など | 説明 | 数量 |
白色LED |
まあ、どんなヤツでも良いと思う。 左写真の製品はVFは3.0~3.2v、IFは20mA程度。ワテはこれを使った。 |
48 | |
抵抗 | 100Ω |
100Ω以外でも良いと思うが、あまり大きいと抵抗で消費する電力が増えるので注意。 |
12 |
被覆電線 | AWG24など | こう言う耐熱被覆電線のほうが半田で溶けにくいのでお勧め | 適当 |
丸ピンIC用ソケット (シングル40P) |
メーカー不問 |
uxcell 単一の行ピンヘッダーストリップ ピン ヘッダー 2.54mm 間隔 40ピン ストリップ 11mm の長さ 20枚 | 1 |
厚紙 |
10x10cmくらい |
紙質は何でも良い。 ワテはBVDのTシャツの厚紙を使った。 (ビー・ブイ・ディ) B.V.D. GOLD 綿100% 丸首半袖Tシャツ 3枚組 G013TS3P WH ホワイト LL 確かこの中に厚紙の台紙が入っていたと思う。 |
1 |
表 LED照明部分の部品表
使用する工具は、以下の通り。
- 半田ゴテ 18~25Wくらい。二種類あると良いかも。
- 半田
- 半田吸い取り
- フラックス
- フラックス除去液
- ラジオペンチ
- ニッパ
- カッター
- 待ち針
- ピンセット
- プリント基板固定器具(ワテはミニバイスを利用)
- 洗濯バサミ型クリップ
- テスター(抵抗,コンデンサの値を事前に確認するため)
- マイナスドライバー(部品の足をつついて曲げるなど)
- リードベンダー (一家に一台は必要だろう)
- ミノムシクリップ付きケーブル
- ICクリップ付きケーブル
- 定電圧電源
電子工作をするならこれくらいは揃えておきたい。特に定電圧電源は持っておきたい。
出来れば同じ物を二台買って直列接続すれば -V1 ~ 0 ~ +V2 のようにプラス、マイナスを独立で設定出来るので、正負2電源のオペアンプなどの実験にも使える。
あるいは、0 ~ V1, 0 ~ V2 のように独立して2種類の電圧を生成するなども可能なので応用範囲が広がる。
LED調光回路を半田付けする
約一時間で半田付けが完了した。
途中、半田だと思ってコテで温めても溶けないのでおかしい・・・と思ったらスズメッキ線だったり、フラックスのつもりで塗ったらフラックス除去液だったりと、頓珍漢な失敗も有ったが、どうにか完成した。
早速、上図のように実験用の定電圧電源(左端の赤・緑ミノムシ)を接続して動作実験をした。
配線の様子
まあ下手な配線なので余り他人に見せたくはない部分だ。
配線はスズメッキ線と抵抗、コンデンサのリード線を折り曲げて行っている。
ワテの場合、部品のリード線を折り曲げて配線に使うのはあまり好きでは無い。理由は、もし配線間違いとか、何らかの理由で交換が必要になった場合に、部品を取り外す作業がやり辛いので。
なので、通常はリード線は根元で切断して、配線はスズメッキ線や銅線などで行っている。
でも今回は回路図も簡単だし、実験中に破損しそうな部品も無いので、安易にリード線を折り曲げて配線する方式にした。
まあ、結果的にはトラブルも無く短時間で半田付けは完了した。
ボリュームの配線は当初の計画では他の部品と同じくプリント基板上のスズメッキ線でやる予定であったが、単純化するためにジャンパー線でやった。まあ、見た目はスッキリしたので良いのだが、ジャンパーを使うと何だか気分が悪い。
何と言うかその、敗北感みたいなものが湧く。
片面基板で一切ジャンパー線を使わずに完全に配線出来ればワテの勝ちだ!
誰と戦っているんだよ!と言う人も居るかも知れないが、ワテの場合はなんでジャンパー線なんだよ!と言う気分。一箇所でもジャンパーすると負けた気分。
そんなヘンテコな気分になるのはワテだけかも知れない。
プリント基板は丁度良いサイズだった。
もし基板上にダイオードブリッジ回路や電解コンデンサ、レギュレータICの7809などで定電圧回路を作成する場合は、もう少し大き目の基板が必要だろう。
ワテの場合は出力DC9V1~2AくらいのACアダプターを入手して使う予定だ。
テストの全体写真
紙をリング状に切って使うアイディアはネットの記事を参考にした
紙が円形でない理由は、元々は紙では無くてプリント基板にLEDを取り付ける予定であった。
その場合、円形のプリント基板を用意するのは難しい。
それなら、帯状に切断した4枚のプリント基板を口の字型に並べて配置する予定であった。
それで四角っぽいメラミン製のお皿を100均で買って来た。照明の傘にするためだ。その皿に52ミリΦの穴をホールソーで開けたのだ。
その皿にプリント基板を固定する予定であったが、結局、紙を使ってLEDを固定したのだ。なので四角皿にピッタリ嵌る形状が上の写真の紙の台紙なのだ。
待ち針で紙に穴を開けて発光ダイオードを挿す。
VFのばらつき調整用の100Ωは交換し易いようにICソケットに挿している。
電源電圧を先に決める場合には、最後にこの抵抗の値を変えてLED電流を調整する必要がある。
あるいは、回路全体の電流を制限する抵抗を使う必要がある(ワテの当初の案)。
バイスが便利
上図のように基板が動かないようにアルミ製のバイスで挟んでおいた。
これでボリュームを回転しても基板が動かないので安心だ。
LM393の1OUT出力
方形波の発振回路は正常に動作している。
時間軸は20µs/divなので、一周期が50µsくらいか。なので周波数は20KHzかな。
約1ボルトの振幅だ。
LM393の1IN- 三角波出力
一方、三角波として利用しているLM393の1IN- 端子の波形は以下の通り。
まあ、完全ではないが、大体は三角かな。
調光機能の動作確認
5KB ボリュームの回転角を最小から最大まで回してみる。
写真 回転角0度(左に目一杯回している)なので消灯
写真 少し光って来た
写真 おお、いい感じで光っている
写真 だいぶ明るい
写真 もっと明るい
写真 この時点で回路全体の電流は300mAくらい
写真 5KB ボリューム回転角 右に最大。320mAくらい。
写真では、周囲が明るいのでLED照明がそれほど明るくないように見えるかも知れない。
でも実際は、48個ものLEDが同時にフル点灯しているので、実体顕微鏡用ライトとしては十分な明るさだ。
当初は半分の24個だったのだがそれでも十分かと思ったのだが、100個もLEDを買ったので、取り敢えず沢山使ってみたのだ。
明る過ぎだったら調光すれば良いし。
まとめ
当記事では、実体顕微鏡用のLED照明の製作記事を紹介した。
まずはネット検索で各種の調光方式を比較検討した。
オペアンプ+MOSFET方式も簡単そうだったが、PWM方式を採用する事にした。
PWM方式はタイマーIC555で三角波を発生させて、それをLM393コンパレータに入れる。調光はボリュームを使った基準電圧と三角波信号を比較して、出力でMOSFETを制御する方式の作例を幾つか見付けた。
それを作成する予定であったが、LM393は二回路入り。一回路しか使わないのは勿体無いので、LM393を活用する方式を検討した。
その結果、LM393で方形波発生、それをRC型積分回路で半角波に変換する方式を閃いた。
LTSpiceシミュレーションでもいい感じ。
でもLM393の方形波発生回路のIN-端子は三角波(か、三角波っぽいの)が出ている事を発見。
その三角波モドキを使うとタイマーIC555は無くても良い。
あとはもう一個のコンパレータ回路にその三角波電圧と基準電圧(ボリューム可変)を入れて比較し、MOSFETのゲート電圧を制御。
これで無事にLED48個の光量を0から100%まで調光する事が出来た。
まあ、この後は、紙に取り付けたLED48をメラミン皿に固定して実体顕微鏡用に取り付ければ完成だ。
PWM式LED調光回路の完成写真
PWMコントローラーは自作の木製スライドスタンドに取り付けた。
写真 PWMコントローラーを木製スライドスタンドに取り付けた状態
上の写真のようにボリュームにはアルミ製の高級感あるツマミを付けてみた。
電線は青白しか無かったのでそれを使ったがDC9Vのラインが青なので何だか混乱する。本当は赤白とか赤黒で配線すべきだったがまあ電線が無かったので仕方ない。まあ、動けばいいや。
メラミン製の四角い皿に52ミリΦの穴を開けてランプシェードにした。
固定は取り敢えず養生テープだ。養生テープは万能だなあ。
写真 LED照明素子をランプシェードを取り付けた状態(光量0)
100均で買ったメラミン製の皿の色が、実体顕微鏡のクリーム色に良くマッチしている。
写真では、部屋の照明を消してLED照明のみで光量100%にしてみた。
この写真ではそれほど明るく見えないかもしれないが、それはデジカメの自動露出が働いているからだと思う。
実際には、眩しいくらいに明るいので十分な光量だ。
傘を小型に改良した
上で紹介した四角のメラミン皿を使う方式は、見た目は良いのだが、ちょっとサイズが大き過ぎた。
その結果、実体顕微鏡で観察しながら半田付けする時に傘に半田ゴテが当たってやり辛い。
なので、傘を改良した(下図)。
写真 LED照明の傘を小ぶりにして改良した
サイズを一回り小さくして円形にした。無駄な出っ張りを極力排除して、半田ごてに干渉しないようにした。
使った材料は、牛乳パックの紙だ。鏡筒への取り付け部分は、M3ネジを三個使ってやったら上手く行った。二個のM3ナットで紙を挟み込むのがコツだ。
その後、専用基板を設計して改良型のPWM式調光LED照明を自作した。
LM393コンパレータ1個で実現したPWM回路はワテの新発明か!?
今回ワテが考案した方式はネットで作例を見付けられなかったのでワテの新発明なら嬉しい。
IEEEなんたら賞みたいなのを受賞出来れば、猶嬉しいのだが。
無いか。
無いな。
AKB48
SDN48
HKT48
NGT48
そしてワテのLED48がここに仲間入りするのだ。
商標登録しておくかな。
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