ワレコ
現在、自動車用換気扇を製作中だ。
本当なら八月中には完成させたかったのだが、ダラダラしているうちにもう十月。
あかんがな。
前回記事はこちら↴
当記事では、先日PCBWayさんから到着したPWM式DCファンコントローラ基板にパーツを半田付けした作業過程を紹介したい。
結論としては、試運転に成功した。
では本題に入ろう。
PWM式DCファンコントローラ基板にパーツを半田付け
下写真が今回使うプリント基板と電子部品だ。
写真 PWM式DCファンコントローラ基板と使用するパーツ
PCBWayさんに発注していたプリント基板は前回記事で詳しく紹介したが、上写真のようにレジスト無しで金メッキ仕上げ(無電解金フラッシュENIG)となっている。
物凄く高級感があるのだ。
NMOS FETはGDSの足の並びを想定して基板を作成した。
上写真にある大小二つのNMOSFETの大きい方を使う事にした。
ドレイン電流 ID =30A
許容損失 PD = 150W
と言う巨大なヤツだ。ジャンク品だが手持ちに沢山あるので使うのだ。
抵抗・コンデンサの値は半田付け前にテスター計測する
下写真はワテ自作の抵抗・コンデンサ計測ステーションだ。
写真 ネオジュウム磁石を利用したテスター計測ステーション
ワテの場合、抵抗値やコンデンサ容量は半田付けする前に必ずテスター計測する。
もし測定しないまま作成して、その回路が正常動作しない場合には、抵抗やコンデンサの値間違いか?と言う疑念が生じる。
その疑念を完全に排除出来れば、問題解決のヒントを絞り込み易いからだ。
それに基板に取り付けたパーツの抵抗値や容量値を正確に計測する事は出来ない。
半田付け前に単体のパーツをテスターで計測するのが最もやり易いのだ。
半田付け前のテスター計測作業は、まさに、「急がば回れの諺」が当てはまる最も的確な場面だと思う。
そのテスター計測作業を簡単にできるようにしたのがこのテスター計測ステーションだ。
二個のネオジュウム磁石を利用して電極としている。
写真 ワテ自作のテスター計測台を使って抵抗値を計測している様子
最近の電子部品のリード線は非鉄金属が使われているものも多いが、中には鉄分が含まれているものもある。
そう言う電子部品は上写真のようにこの計測ステーションに載せるとリード線が磁石に吸い付くのでテスター計測がやり易い。
もし非鉄金属の場合には磁石には吸い付かないが、軽く指で押さえてやれば計測出来る。
なので、もし同じような計測ステーションを作りたい人は、磁石は無くても良いかも知れない。
その製作記事はこちら↴
下写真のように3.3KΩと計測された。
写真 3.3KΩの金属皮膜抵抗の抵抗値を計測した例
リードベンダーは電子工作に必須のツール
下写真のオレンジ色の物体が何なのか知らない人は電子工作素人だ。
写真 サンハヤトのリードベンダーを使って抵抗の足を折り曲げる前
このオレンジ色の憎いやつはサンハヤトさんのリードベンダーだ。
下写真のように抵抗の足を2.54ピッチの四倍(x4)つまり10.16mmに折り曲げた。
写真 抵抗の足を2.54ピッチの四倍(x4)つまり10.16mmに折り曲げた例
リードベンダーを使う事で、足の間隔をピッタリと同じ長さに揃えて曲げられるので、完成した電子回路の見た目が綺麗になるのだ。
下写真のように、リードベンダーで足を折り曲げた抵抗をプリント基板に挿す。
写真 高級感ある金メッキ基板
下写真のようにマスキングテープを貼って抵抗が抜け落ちないようにする。
下写真のように半田付けする前にリード線をカットすると良い。
カットしたリード線は、昔のワテは溜めておいて配線に利用していたが、最近のワテは溜め込んだりせずに潔く廃棄する。
最近のワテはユニバーサル基板を使って配線する場合には、下写真のような銅単線Φ0.55ミリ辺りを良く使う。
銅単線で配線すると見た目が綺麗だし、半田の銀色と銅線の銅色との境界がはっきりと分るので、半田付けの仕上がりを確認し易いのだ。
注意事項としては銅単線は経年変化で表面が黒っぽく酸化するので、必要なら下写真のような防湿コーティング剤など塗布しておくと良いだろう。
半田ゴテのコテ先は使い分ける
今年の正月に大枚を叩いて白光FM-206半田付けステーションを購入した。
コロナ持続化給付金を使ったのだ。
写真 白光FM-206半田付けステーションと交換コテ先
半田ごてに十万円の出費は当初は躊躇したのだが、購入して約十カ月になる今となってはそんなに高い買い物では無かったかなと思うようになった。
と言うのは、ワテの場合、趣味の電子工作は今後も続けたいが、電子工作に必須のツールのランキングでアンケート調査すれば第一位は半田ごてだろう。
その半田ごてが使い易ければ、電子工作が完成する確率も高くなる。
1000円くらいの半田ごてでも半田付けは出来なくは無いが、温調式の半田付けステーションを使えば、半田付けのやり易さは格段に向上するのだ。
と言う事で、もしこれから半田ごての購入を検討している人には、温調式の半田ごてをお勧めする。
下写真のHAKKO FX-600は人気の定番商品だ。
もし上写真のFX-600を買った場合には、下写真の半田ごて台も購入すると良い。
ワテお勧めの白光T12シリーズコテ先
話題が少し本題から逸れるが、FM-206半田付けステーションを使っているワテがお勧めするコテ先は下写真のT12-BCF2だ。
このコテ先はBC型なので先端形状は円錐を斜めカットしたものだが、上写真のようにほぼC型(円柱を斜めカット)なので、ワテ好みなのだ。
それに加えて、このコテ先は斜めカットしてある面のみが半田メッキされているタイプなのだ。
通常の半田ごてなら先端面だけでなく、側面も半田メッキされている(下写真上)。
写真 上:T12-BC2(側面もメッキ、下図参照)、下:T12-BCF2(面のみメッキ、ワテお勧め)
側面もメッキされているタイプのコテ先のほうが一般的だとは思うが、ワテが両方使い比べた感想では、先端面のみメッキタイプが使い易いのだ。
なぜなら側面メッキタイプだと、溶けた半田が側面にまで回り込むので、コテ先が太くなるので半田付けがやり辛い(ワテの場合)。
かつ、水スポンジでコテ先をクリーニングする場合でも、側面メッキタイプだと側面の半田がなかなか剥がれ落ちないが、先端面のみメッキタイプは一回擦るだけで綺麗になるのだ。
ちなみにワテがこのHAKKO FM-206を買う前は、他社製の温調ではない普通のセラミックヒータータイプの半田ごてにC型コテ先を使っていた。
そのコテ先は先端も側面も半田メッキタイプだったが、長年使っていると酸化膜が出来て側面部分には半田が流れ込みにくくなっていたので、先端面のみハンダメッキタイプに近いコテ先だったと思う。
そう言う理由で、ワテは白光T12-BCF2(面のみメッキ)が使い易いのだ。
まあ半田ごてのコテ先はいろんな種類や太さがあるので、自分に合ったコテ先を選ぶのが良いだろう。
世間ではD型コテ先(下写真)も人気があるが、ワテも一本買ってみたが今一つワテには使い辛い。
D型タイプは両面が半田メッキなので、両面や側面にも溶けた半田が広がるので、半田付けする時にコテ先が太くなるのが嫌いなのだ(ワテの場合)。
コテ先ポリッシャーを使う
写真 コテ先ポリッシャーの缶は小さいので台座に貼り付けておくと良い
ワテが使っているのはHAKKOのコテ先ポリッシャーだ。
goot好きな人は下写真のチップリフレッサーがお勧めだ。
両者は名前が異なるが、用途や使い方は同じだ。
まず、下写真のように小さな缶の蓋を開ける。
写真 コテ先ポリッシャーに熱したコテ先をズボッと突っ込む
あとは、十分加熱されてる半田ごてのコテ先をこの缶に突っ込めば良い。
そうすると薬品が融けて煙が立ち込めるので、それは体に悪いと思うので吸い込まないほうが良い。
それと、コテ先を薬品にチョンチョンと短時間だけ突っ込むよりも、ズボッと差し込んで1~2秒くらい動かさずにしっかりと酸化膜除去の化学反応をさせるほうが良いと思う。
その後、直ぐに半田ゴテを薬品から抜き取って、まだ煙が出ているコテ先にすかさず糸半田を当てて溶かすのだ。
これで酸化膜が除去されたコテ先に、新しい半田メッキが出来る。
実体顕微鏡があると半田付けはやり易い
ワテは半田付けする時には下写真の実体顕微鏡を使っている。
この実体顕微鏡はスタンドに固定して作業台に置くのではなくて、自作の引き出しレール式の吊り下げ型にしている。
その製作記事は↴
その結果、作業台の上を広々と使えるのでこのレール式実体顕微鏡固定スタンドはお勧めだ。
実体顕微鏡を使って半田付けしている様子を以下に示す。
この実体顕微鏡には自作のLEDリング照明を取り付けている。
白っぽい傘の部分は3Dプリンタで印刷したものだ。
さらにLED光量はPWM制御で0(消灯)から100%(フル点灯)まで可変出来る。
当記事で紹介しているPWM式DCファンコントローラはその回路とほぼ同じ。
写真 0.25W金属皮膜抵抗を半田付けし終わった状態
無電解金フラッシュ(ENIG)仕上げの基板は、半田のノリがとっても良い。
でもレジスト無し仕上げを選択したので、注意深く半田付けしないと溶けた半田がランドの円形部分以外にも流れ出るので要注意だ。
写真 両面スルーホール基板なので半田が部品面にも少し流れ込んでいる(抵抗のリード線部分)
昔のワテは片面基板しか使った事が無かった。
でも最近では専ら(もっぱら)両面スルーホール基板を使っている。
両面スルーホール基板に半田付けすると、上写真のように半田が部品面にも少し流れ込んでいる。
部品面にはあまり沢山の半田が流れ出ないほうが良いとは思うが、まあ自作機器なので良しとする。
端子台などの大物パーツは大型コテ先を使う
下写真の端子台を半田付けする。
この手の大物部品を取り付ける場合には、半田ゴテのコテ先も大型のタイプを使うのが良い。
白光FM-206半田付けステーションは、使用中の熱いコテ先でも素手で抜き取る事が出来る。
上写真のように抜き取ったあと、さらに金属部分を黄色のグリップから引き抜く時も素手でやっても熱くないのだ。
まあ本来は、付属の黒いシリコンラバー素材のマットで熱いコテ先を包んで扱うべきだが。
コテ先を抜き取ると下写真のようにエラーになる。
エラー時に鳴るビープ音が五月蠅いが、気にせずに下写真のように一回りぶっといコテ先を取り付けた。
写真 上:T12-BC2Z、下:今まで使っていたT12-BCF2(面のみメッキ、ワテお勧め)
このぶっといコテ先を使って端子台を半田付けした(下写真)。
写真 端子台を半田付けしてほぼ完成したDCファンコントローラ(右下銅線はSWをショートしている)
上写真のようにレジスト無しの金メッキ基板なので、半田付け時に溶けた半田が自由に流れるので、その辺りの制御が難しかった。
下写真のようにDIP8のICソケット、NMOSFET、ボリューム、コンデンサを半田付けして完成した。
写真 完成したPWM式DCブラシレスファンコントローラ(金メッキ基板バージョン)
100pFのコンデンサ(茶色)は高級マイカコンデンサだ。新品だと一個200円前後する。
パーツボックスで発見したやつを使った。もう十年以上前に買ったと思うがどこで買ったかも覚えていないw
パーツは使う事に意義がある。死蔵していても何の役にも立たないし。
手持ちの部品はドンドン使う事にした。
ちなみにワテの作業台の左半分はゴミ屋敷状態になっている。
写真 ワテ自作のハンドツールスタンド、ぺるけ式アンプ試験ワークベンチなどある作業台
あかんがなw
PWM式DCファンコントローラの動作実験
下写真のように配線作業を行った。
左上の端子台にAC100Vが来ていて、その右隣りのスイッチング電源24V4.5Aを使う。
そのスイッチング電源24V出力をPWM制御基板の端子台に接続した。同じく三連のDCブラシレスファンもPWM制御基板の端子台に接続した。
さて、電源を投入してボリュームを回すと、下写真のように三連ファンがいい感じで回転しているぞ!
ボリュームを回転させると、ファンの回転数も期待通りに変化する。
まあ、事前にブレッドボードで試作して動作確認を行っていたので、本番でも正常に動くとは思っていたのだが、多少は不安はあった。
あとは、ボリュームの両側に取り付けている半固定抵抗を調整して、ボリュームの回転範囲がファン回転0%(停止)から100%(フル回転)に対応するようにすれば完成だ。
まとめ
ワレコ
しかしまあ、温調式半田ごてを使うと半田付けがアホみたいに簡単に出来るぞ。
この温調式半田ごてを買う前は、十年以上使っていたセラミックヒーター式の非温調半田ごてを使っていた。
ワテはその半田ごてが一本あればどんな半田付けでもこなせる自信はあったのだが、そんなやせ我慢をしなくても、もっと早く素直に温調式半田ごてを買っておけば良かったw
当記事では、ワテが自作中の自動車用換気扇に取り付けるPWM式DCブラシレスファンコントローラの製作過程を紹介した。
KiCadで設計して、PCBWayさんに発注した専用基板を使ったので、電子部品を半田付けするだけで制御基板が完成した。
高級感ある金メッキ基板は、このPWMファンコントローラには少々過剰な仕様だが、半田のノリも良く、見た目も綺麗なので満足感は高い。
でも今後は基板を発注する時は、無難にレジスト有りを選ぶ予定だ。
半田付け完了した基板に、スイッチング電源24V4.5Aを接続して、三連ファンの動作実験をしたところ、設計通りにいい感じで回転数が制御出来た。
今後の予定としては、これらの基板やスイッチング電源を収納するケースを自作したい。
それが完成したら、ワテのハイゼットカーゴに取り付けたい。
ワテお勧め半田付け関連グッズ
水スポンジしか使った事が無い人も多いと思うが、上写真のワイヤー式クリーナーもお勧めだ。
あるいは下写真のようにコテ台とセットになったタイプもある。
水スポンジでコテ先を擦ると、溶けた半田がほぼ完全に除去される。
一方、ワイヤー式クリーナーにコテ先を突っ込んで擦ると、余分な半田が除去されるがコテ先には薄く半田が残っている状態なのだ。
どっちが良いかは好き好きだが、両方のクリーナーを上手に使い分けながら半田付け作業をするのが良いだろう。
なお、上写真のような半田ごて専用の金属クリーニングワイヤーを買わずに、100均の台所用ワイヤー束子(タワシ)で代用している人を時々見掛ける。
それはお勧めしない。
半田ごて専用の金属クリーニングワイヤーにはフラックスが含まれているので、その効果でこて先の酸化を防止出来るのだ。単なる金属束子では無いのだ。
(続く)
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