写真 完成したぺるけ式ミニワッターPart5(19V)を聴きながらコーヒーを飲むDIY女子
さて、2020年3月から開始したぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)製作プロジェクトが完了した。
前回までで、ほぼ完成していて、残す作業は天板の自作、電源表示の緑LEDの追加などだ。
前回記事はこちら↴
当記事では、天板作成作業、電源表示の緑LEDの取り付けなどを行って無事に完成したぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)をワテのPCオーディオシステムに組み込んでみたので、その辺りの作業を紹介したい。
結論としては、いい音で鳴っているのだが、難点としては発熱が大きいのだ。
こんなに発熱するとは思っていなかった。
何か間違えているのかも知れない。
では、本題に入ろう。
発熱が大きいのでシャーシ底板に通気口を開けた
前回のテストでは、シャーシ天板を付けない状態でヒートシンクの表面温度が60℃くらいになる。
計測場所は、コンプリメンタリーペアトランジスタ2SA1931と2SC4881の間の辺り。
天板無しでこんなに熱い訳なので、天板を付けてPCオーディオ環境に組み込むと益々熱が籠ってアッチッチ状態になるだろう。
その対策として、取り敢えずシャーシ底板に通気口を数個開けた。
写真 シャーシ底板に開けた通気口(電源は塗装の為に養生している)
木工ドリル刃Φ16ミリを使って適当に12箇所に穴を開けた。
MDFボードなので、簡単に穴が開くので、こんな風に臨機応変に対応できる。
まあ、行き当たりばったりとも言うが。
裏には少しバリが出てしまった。
写真 シャーシ裏にバリが出た
バリが出た原因はMDFボードをしっかり押さえていなかったので、穴開け途中に浮いてしまったからだ。
まあ、裏だから見えないし気にしない。
でも一応、タケノコドリルを使ってバリの部分を綺麗に削っておいた
タケノコドリルは段差の部分が少ないので、うっかりするとどんどん大きな穴が開いてしまう。
本当は、バリ取り作業には、専用のコニカルドリルが有れば便利なのだが。
今回はΦ16の穴を開けたので、上のコニカルドリルCND-18ならΦ18まで対応しているので使えるのだが値段が高い。ワテの場合は、その下のCND-14とCND-9は持っているのだが。
その後で黒艶消しスプレーを吹いておいた。
写真 黒艶消しスプレーで塗装したシャーシ裏面
電源表示の緑LEDを取り付ける
アンプ基板に細い電線(黒、オレンジ)を配線した。この電線の先に緑色LEDを接続する。そのLEDはフロントパネルに取り付けるのだ。
写真 アンプ基板にLEDへ接続する電線を二本半田付けした
LEDとの接続はソケット式にした(下写真)
写真 LEDとの接続はソケット式にした(ピンヘッダー2P)
この手の作業をする時には、ワテの場合には、洗濯バサミ型のハンドクランプを良く使う。
写真 ソケットや電線をハンドクランプで固定すると安定する
このソケットを下写真の緑LEDの足に挿す。
写真 緑LEDの二本の足に挿し込む電線の被覆を被せて極性間違い対策をした
発光ダイオードの二本の足の長い方がアノード(+側)、短いほうがカソード(-側)だ。
ワテの場合、今でも発光ダイオードの極性は間違い易いので、上写真のように接続する電線の被覆を挿し込んでおいた。これでコネクタを挿し込む時に間違う事は無いだろう。中々良いアイデアだ(自画自賛)。
実際にコネクタを挿し込んでみた(下写真)。
写真 緑LEDの二本の足に、自作ピンヘッダーソケット2Pを挿し込んだ
さて、この緑LEDをフロントパネルに取り付けた(下写真)。
写真 フロントパネルに取り付けた電源表示の緑LED
6ミリ厚MDFボード製フロントパネルにはΦ2の穴を開けている。
この緑LEDは凸の出っ張り部分はΦ2x4.5なので、フロントパネルの裏側を少し削った。
その結果、凸の先端が0.3ミリほど顔を出す。
この発光ダイオードの電流の推奨値は10mA程度なのだが、ワテの場合、あまり明るい表示は嫌いなので、電流制限抵抗は下写真のようにソケット式にして、カットアンドトライで抵抗値を決めた。
写真 LEDの電流制限抵抗をソケット式にして値の変更を容易にした
最終的には10KΩ抵抗を入れた。テスター計測で抵抗には17Vくらいが掛っているので、電流は1.7mAを流している。
その時のフロントパネルの様子を下写真に示す。
写真 フロントパネルに取り付けた電源表示の緑LEDを発光の様子
この凸型LEDは、たまたまネットで見付けたやつを使ってみたのだが、Φ2と言う超小型なので、控え目なのがワテ好みだ。
この凸型LEDは、ワテが買ったのはRSコンポーネンツなのだが、似た様なのは楽天でも売っている。
シャーシの天板を自作する
さて、最後の作業はシャーシの天板作りだ。
このパワーアンプは予想外に発熱が大きいので、通気性の良い天板を採用したい。
当初は、パンチングアルミ板(穴の開いたアルミ板)を天板にする案などを検討した。
まあ、確かに穴が多くて通気性は良さそうなのだが、難点としては値段が高いのと、シャーシの縦横寸法(230x260)に綺麗にカットする道具が無い。
アルミ板なので、ワテ所有のスライド丸ノコ(日立工機FC7FSB)に金属切断用丸ノコ刃を取り付ければ綺麗に切断する事は可能だ。
でも、金属切断用丸ノコ刃は持っていないし。買うと高いし。
で、シャーシ天板は、木工で自作する事にした。
まず、アンプ基板、配線を取り外した。
写真 アンプ基板はソケット式にしたので全ての配線を外せる
下写真は、入力に用いたXLR5キャノンメスコネクタだ。
写真 赤黒2P(右)、青透明2P(左)、黒(シールド線)の三つのコネクタ
上写真のように全ての配線をコネクタで脱着できるようにしたのでメンテナンス性は良い。
さて、天板は2.5ミリ厚のラワンベニア合板を帯状に切ったものを使って自作する事にした。
写真 2.5ミリ厚ラワンベニア合板を木工用ボンドで貼り合わせる
上写真のように外枠を作った後で、下写真のように三本の板を接着した。
ちなみに、このラワンベニア合板の帯板は、昨年、軽自動車用の網戸を自作した時に、ホームセンターでサブロク板(1830x920x2.5厚)のラワンベニア合板を帯状にカットして貰ったものの余りだ。
ワテの場合、木材の端材は、基本的には一辺が1cm以上くらいのものは捨てない。何かに使えるかなあと思うので。
実際に、今回、これらの端材が役立ったのだ。
写真 ラワンベニア合板を使って自作したシャーシ天板
まあ、通気性を優先したので、上写真のように大きな隙間のある天板になった。
「板」と言うよりも、「木枠」みたいなものだが。
べニア板の切断は、スライド丸ノコを使った。
刃の斬れ味が良いので、これくらい薄いべニア板(2.5ミリ厚)でさえも、殆どバリも出ずに、スパッと切れる。
日立工機FC7FSBスライド丸ノコ純正刃ではなくて、以下の超仕上げ刃に交換しているからかも知れない。
いずれにしても、このハイパーチップソーは良く斬れるのでお勧めだ。
その天板をシャーシに載せてみた(下写真)。
写真 自作したシャーシ天板を取り付けた
天板とシャーシの固定は何も行っていない。単に載せているだけだ。
黒艶消しスプレーで塗装した。
写真 黒艶消しスプレーで塗装した天板
上写真のように、黒艶消しスプレーで塗装したら、綺麗に仕上がった。ホームセンターで200円で買ったラッカースプレーなのだが、MDFボードに吹くと染み込んでしまうので数回重ね塗りすれば綺麗に仕上げる事が可能だ。
ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)を組み上げる
天板が完成したので、いよいよ、アンプを組み上げる。
下写真のようにアンプ基板に全ての配線をソケットで挿し込んだ。
写真 スイッチング電源、アンプ基板、その他の接続ケーブルを全て取り付けた
最後に、下写真のように天板を載せれば完成だ。
写真 天板は単に載せているだけ、大きな隙間があるので通気性は良いはずだ
上写真のように、天板は単に載せているだけなので、取扱には注意しなくてはならない。
上写真のままだと、隙間からゴミ、ホコリなどがアンプ内部に入り込むので、フィルター状のものを天板に裏側から貼り付ける案も検討中だ。
例えば、100均などで売っている台所換気扇用のフィルターシートがあるが、それをハサミで切って使うなどでも良いだろう。
無事に完成した「ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)」の写真を下に示す。
写真 バランス良くデザインされたシンプルなフロントパネル
ワテのPCオーディオシステムに組み込む
さて、いよいよぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)をワテのPCオーディオシステムに組み込む。
下写真は、現在のワテのPCオーディオシステムだ。
写真 2020年5月29日現在のワテのPCオーディオシステム
上写真のRoland SRA-50パワーアンプは小型コンパクトで音もいい感じなので気に入っている。
取り敢えず、このRolandアンプとぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)を置き換えてみる。
ちなみに、上写真下段は「ぺるけ式FET平衡プリアンプVersion 2」だ。2019年に自作した。約一年くらい使っているが、癖の無い余計な色付けの無いプリアンプなのでとても気に入っている。
ラッチングリレー(オレンジ色)を使った自作の入力セレクター回路を搭載してみた。
その内部写真を紹介しよう。
写真 ぺるけ式FET平衡プリアンプVersion 2(2019年に自作)
さて、Rolandパワーアンプを今回完成したぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)に入れ替えた(下写真)。
写真 ヒートシンク温度が67℃
下段プリアンプ(タカチOS 49-26-23 BB)と全くお揃いと言う感じの自作シャーシ(上段)。この自作シャーシは費用400円程度なのに、素晴らしい仕上がりだ。
気温は29℃くらい。
秋月で買ったデジタル温度計でヒートシンク表面温度を計測してみた。
その結果、70℃近い値を示している。
以前、アンプ基板が完成した直後に同じくこのデジタル温度計でヒートシンク温度を計測した時には59℃とか60℃とか、まあそれくらいの温度だった。その時の気温は今日よりも若干涼しかった。今日は暑いのだ。
そのせいだとは思うが、天板無しの状態で70℃近いヒートシンクの表面温度は、ちと熱すぎるんじゃ無いのか?
写真 天板無しで67℃と計測されたヒートシンクの表面温度
温度を計測した箇所は、下写真の示すようにヒートシンクのアルミ横棒の中央付近。
写真 自作アルミヒートシンクの出力トランジスタ2SA1931/2SC4881の間に温度センサーを設置
この後、天板を載せてみたのだが、温度は70℃近い値を示した。
こんなに発熱して正常なのかな?
室温+40℃くらいになる
日を変えて何度かヒートシンクの温度を計測してみたが、室温+40℃くらいになる感じ。
つまり、
室温25℃だと、ヒートシンクは65℃にくらいなる。
室温29℃だと、ヒートシンクは69℃くらいになる。
この結果が妥当なのかどうかは未確認だ。
ぺるけさんのサイトの説明文にこの件に関してもちゃんと解説があった。
本機の各部の温度は以下の通りです。
・ケースの温度・・・周囲温度+15℃±3℃
・ドライバ段2SA1359の表面温度・・・周囲温度+40℃±5℃
・出力段トランジスタの表面温度・・・周囲温度+40℃±5℃周囲温度(室温)が25℃の時に、トランジスタの表面温度は60~70℃になります。人の指にとっては触っていられないほど熱く感じますが、半導体にとってはそんなに高い温度でもありません。
引用元 http://www.op316.com/tubes/mw/mw-19v-p5.htm
と言う事で、室温プラス40度は正常な挙動だったのだ。
でもなあ、日常的に使うアンプの内部温度が常時70℃と言うのは落ち着かない。
ちなみに、出力段のパワートランジスタ(2SA1931/2SC4881)の間の二つの0.68Ω抵抗の両端の電圧、電流は、以下の通り。
Rch 246mV /1.36Ω = 180mA
以下に引用するぺるけさんの製作記事を読む限り、ワテのアンプのアイドリング電流は高いけれど上限ギリギリに収まっている。
・アイドリング電流のチェック・・・出⼒段の両エミッタ間(0.68Ω×2個分)の電圧が測定できるようにDCVレンジのテスターを当てて電源ONします。
電源ON直後のアイドリング電流の初期値は180mA±40mAくらいなので、両エミッタ間の電圧は0.25V±0.05V(すなわち)になり、出⼒段トランジスタが暖まるにつれて上昇が続き、やがて基板が温まって近くにある1NU41に熱が伝わるようになると時間をかけて徐々に下がってきて150mA±35mA(すなわち0.2V±0.05V)あたりで落ち着きます。
この値は各部品のばらつきによるものなので、左右で同じにはなりませんし、この値と同じでなくても問題ではありません。しかし、0.4Vよりも⾼い場合は異常電流が流れていますので、電流値を素早く読み取って電源を切ってください。
引用元 http://www.op316.com/tubes/mw/mw-19v-p5.htm
まあしばらく使ってみて様子を見よう。
まとめ
2020年3月にKiCADを使って延べ30時間くらいかけて「ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)」の専用基板を設計した。
そのガーバーデータを基板製造業者さんのPCBWayのサイトにアップロードしたのが、2020年4月7日。
PCBWayさんのサイトで基板製作を注文してから基板が自宅に到着するまでの経緯をまとめると以下の通り。
日時 | プリント基板の状況 |
2020/4/7(火) | ガーバーデータをPCBWayにアップロードして注文 |
2020/4/9(木) | プリント基板が完成したのでDHLで発送(2020/4/21(火)の配達予定と表示) |
2020/4/11(土) | 基板の到着を待ちながらこの記事を書いている。 |
2020/4/14(火) | 自宅に配達された! |
一週間と言う速さでプリント基板が自宅に届くのだ!
その基板を使うと、配線間違いも無く、アンプ基板は簡単に完成した。やっぱり専用基板はいいなあ。もうユニバーサル基板に手配線なんてのはやってられない。
シャーシは400円くらいの費用で自作した。MDFボードで箱を作って黒艶消しスプレーで塗装すれば、タカチのアルミサッシケース(黒色)に見た目も似ているので、今後もこの手法でシャーシを作る予定だ。
で、無事に完成したぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)であるが、音は良い。
自然で素直な音なのだ。
ラジコでNHKのニュース報道など聴いていると、アナウンサーさんが目の前で喋っているかのような錯覚さえある。
音楽を聴くと、耳に優しい音で心地よい気分になれる。
で、このパワーアンプを以前に製作していたぺるけ式FET平衡プリアンプVersion2と接続してワテのPCオーディオシステムに組み込んだ。
スピーカーはオーラトーン5Cだ。
この組み合わせでインターネットラジオ(ラジコ民放、ラジルNHK)など聴いてみた。
ぺるけ式FET平衡プリアンプVersion2にはぺるけ式AKI.DACを組み込んでいる。
従って、ワテのPCオーディオシステムはオールぺるけ式になったのだ!
2020年5月30日現在のワテのPCオーディオシステムは以下の通り。
ぺるけ式AKI.DAC => ぺるけ式FET平衡プリアンプVersion2 => ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版) => スピーカーはオーラトーン5C
このシステムで聴く音楽、音声はノイズも皆無で、安定性も良く、いい感じだ。
唯一気になるのは、パワーアンプの発熱だ。
シャーシ天板を載せて、PCオーディオ環境に組み込むと熱が籠るので、ヒートシンク温度は70℃を超すかも知れない。
まあしばらく使ってみて、あまりに発熱が大きい場合には空冷ファンを取り付けるなど検討したい。
追記(2020/5/31)
ワテのPCオーディオシステムに組み込んだぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)は、その後、数日に渡って聴いているのだが、完成直後には立体感が無くて若干物足りなさを感じた音が、徐々に躍動感を増してきたようだ。
使った電子部品の中にはワテのパーツボックスに何年も溜め込んでいた物もあるので、それらのパーツが眠りから覚めて来たのかな。
このアンプに対するワテの印象を聞かれたなら、こう答える。
ワレコ
「ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)?
いい音するよね。
低音、中音、高音、隙が無いと思うよ。
だけど俺は負けないよ。
え~、スピ、スピーカーユニット達が躍動するいい音を皆さんに聴かせたいね。」
そんな感じだ。
将棋ファンなら分かって貰えるはずだw
その後、発熱問題は無事に解決した。
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