ワレコ
ワテの場合、今年は電子工作で幾つかの目標がある。
主なものは以下の通り。
- 大電流昇降圧型DCDCコンバータを自作する
- 走行充電システムを自作する(昇圧DCDCコンバータ基板購入して)
- マイコン(AVRやPICなど)を使ってリモコン送受信実験をする
- マイコン(AVRやPICなど)を使ってモーターを制御する
- 居室用のプリアンプセレクターを自作したい(オペアンプを使って)
- 車載用ウーハーシステム自作する(ウーハー搭載し自作アンプで駆動)
などか。
その内の幾つかは既に実施して無事に完成したものもある(記事有り)。
もうすぐ八月なので本年の後半はAVRやArduinoマイコンを本格的にやりたい。
それとオーディオ関連機器も継続して作りたいと思っている。
さて、金田式プリアンプ修理再生プロジェクトであるが、PCBWayさんに製作依頼したプリント基板にパーツを半田付けした。
まずは±35V定電圧電源基板を組み立てた。
結論としては、一発で動作したぞ!
では、本題に入ろう。
金田式プリアンプ用±35V定電圧電源を半田付けする
前々回記事で紹介した「金田式プリアンプ用±35V定電圧電源基板」にパーツを半田付けする。
使用するパーツは、ワテ自作の金田式アンプを解体した時に回収した部品だ。
具体的には、トランジスタ、オペアンプ、ツェナーダイオードは回収したので故障していない限りそれらを使う事にした。
抵抗やコンデンサは新品を使う事にした。
まずはオペアンプμA709HCを半田付けした。
写真 PCBWay製黄色レジスト基板は金田式風アンプにふさわしい綺麗な色だ
下写真のように二個のμA709HCのうち、一方は足が短いのでスルーホール穴からギリギリ顔を出すか出さないかくらいだ。
写真 足を短く切っているμA709HCオペアンプをギリギリどうにか半田付けした
今回使用する基板は両面スルーホール1.6ミリ厚なので、足が短くてもスルーホールの部分に半田が浸透すれば短い足でも電気的には接合出来るから問題無いだろう。
ちなみにこの8ピンオペアンプμA709HCはどこのメーカーなのか、印字がかすれていて分からない。
F UA709HC HONGKONG
と読めるので、フェアチャイルド製かな?
高級ハンダステーションを使う
さて、ワテの場合は、やっすい半田ごてを長年使って来たのだが、今年の正月にその半田ごてのセラミックヒーターが断線故障したのが切っ掛けで、白光FM-206ハンダステーションを買ってしまった。
電子工作をやるなら半田ゴテにはこだわりたい。
そこで、交換コテ先も沢山買っちまった。
写真 白光FM-206ハンダステーション用交換コテ先(T12シリーズ)8本
もう焼けクソだ!
今回は、上写真に示すT12-BCF1コテ先を使ってみる。
このコテ先はBC型(C型は円柱、B型は円錐、BC型はその中間くらい)で、先端径はΦ1.0、先端は45度斜めカットで、かつ、側面は半田メッキされていないので側面には半田が付かないのだ。
このコテ先は細めなので、ベタアースなどの熱を吸収するパターンには向いていないが、上写真で示すようなランド径が小さいスルーホールに部品を半田付けする時には使い易い(ワテの場合)。
具体的には、抵抗を取り付けるパッドは、ランド径Φ1.6mm、ドリル穴Φ0.9mmにした。8ピンオペアンプのパッドはΦ1.2mm/Φ0.7mmになっているので、かなり小さい。
ワテがコテ先のみハンダメッキタイプのコテ先が好きな理由
上写真のように大小数種類の白光T12シリーズ交換コテ先を試したワテの経験で言うと、B型、C型、BC型のコテ先なら、面のみ半田メッキタイプが使い易い。
その理由は、先端の斜め切断面のみ半田メッキなので、側面は半田メッキされていないのだ。
その結果、下写真のようなクリーニングツールを使ってコテ先を清掃する時に、ほぼ一発でコテ先の余分な半田を除去出来るのだ。
もし一般的な先端切断面と側面の両方が半田メッキされているコテ先だと、クリーニングスポンジでコテ先を擦っても、一回では余分は半田は取り切れない。必ず側面のどこかに半田が付着してしまうのだ。
なので、数回に渡りクリーニングスポンジでコテ先を擦る。そうするとコテ先の温度も低下するのでコテ先にも良くない。
それに何度もコテ先を擦るのは、短気なワテには耐えられないのだ。
それが面のみ半田メッキタイプ(T12シリーズなら型番にFが入る。例:T12BCF1など)だと、一発でクリーニング出来る。
さらに、半田付けする際にも、側面には半田が流れないのでコテ先が太くならないのでやり易いのだ。
もし側面も半田メッキされているタイプを使うと溶けた半田が側面にも回り込むので、半田付けする際にコテ先が予想以上に太くなってしまうのだ。
その点、先端の切断面のみ半田メッキタイプのコテ先なら、そんな問題は起きない。
なお、そんな面のみ半田メッキタイプのコテ先であるが、良い点ばかりではない。
面のみ半田メッキタイプのコテ先の唯一の欠点としては、半田が側面にまで回り込まないので、コテ先に溶けた半田を大量には蓄える事は出来ない。
その結果、幅広銅箔パターンとか、太い電極リード線を持つ大型部品(電解コン、パワートランジスタなど)の半田付けでは、熱量不足になる。
ワテは、そう言う場合には、側面も半田メッキされている普通のコテ先を使うようにしている。
と言う訳で、半田付け作業は「弘法筆を選ばず」ではなくて、臨機応変にその時に最適なコテ先を使うのが良い。
進工業やニッコームの抵抗を使う
金田式と言えば進工業の茶色のプレート抵抗が有名だ。
ワテのパーツボックスを漁ったら、昔ジャンク屋で見付けて買い込んでいたプレート抵抗が幾つか出て来た。
写真 左端のニッコームのやつは確か千石電商さんで買った
同じく、下写真のような色んな種類のプレート抵抗が自宅在庫に有った。
写真 今回使う5.6Ωも偶然手持ちにあった。縦長形状だ。
まあここはやはり茶色のプレート抵抗を使うべきだ。
カラーコード表示のリード型抵抗を使うと金田式の雰囲気が出ないからだ。
でも実は、抵抗取り付け部分は普通のリード抵抗が取り付けられるように2.54ミリ四ピッチ(約10mm)で製作しているので、進工業やニッコームのプレート抵抗だと足間隔が狭いので広げてやる必要がある。
写真 PCBWay製黄色レジスト基板に茶色プレート抵抗、まさに金田式か!
ワテの場合は、半田付けする時にはマスキングテープを使って電子部品を固定しておく(下写真)。
写真 マスキングテープでパーツを固定してから基板を裏返して半田付けする
そうすると、半田付け前に部品の足の長さを微調整できるので、同じ長さに揃えると見た目が綺麗に仕上がるからだ。
半固定抵抗はパネルマウント型を使う
半固定抵抗は、本当なら下写真左端のコパルのやつが金田式では良く使われていたと思う。
写真 コパルのRJ-13シリーズのトリマポテンショメータ
今回は2KΩBを二個使うのだが、手持ちには上写真中央・右のコパルRJ-13B(上面調整/パネル実装)が見つかったのでそれを使う事にした。
たしか一個50円くらいで買ったジャンク品だ。
ツェナーダイオードは02Z6.2Aを再利用する
ツェナーダイオードは、手持ちにも新品を何種類か持っているが、ここでは解体パーツを再利用する。
写真 解体した金田式プリアンプから回収した02Z6.2Aツェナーダイオード四本を再利用
サンハヤトリードベンダーは電子工作には必須だ。
写真 サンハヤトリードベンダーを持っていない人はモグリだろう
下写真のように02Z6.2Aツェナーダイオードやコパル半固定抵抗なども取り付けた。
写真 基板ホルダーに基板を固定して半田付けしている様子
アマゾンでプリント基板 はんだ付け ホルダー クランプを見る
この青色の基板ホルダはお勧めだ。
基板を固定したまま表裏を回転させる事が出来るので使い易い。
トランジスタを半田付けする前にhFEを計測する
金田式プリアンプ用±35V安定化電源に使うトランジスタは以下の通り。
2SA896/2SC1811 モールド型(少し大き目、SONY製らしい)
2SA653/2SC1161 TO-66型(NEC製)
TO-66パワートランジスタはNECの2SA653/2SC1161を使った。
なお、参考にした「最新オーディオDCアンプ(誠文堂新光社)」では、日電2SC1161の本来のコンプリである日電2SA653ではなくて、日立の2SA566が使われている。
日立2SA566は今でもヤフオクなどで見付かるが、今回は解体パーツを優先して使うので日電で行く。
それにワテの場合、純正金田式にはこだわりは全く無いので、互換品でも類似品でも良くて、兎に角、動けばいいのだ。
写真 解体アンプから回収した古いトランジスタ
これらの古いトランジスタは多分、大昔に若松通商さんあたりで買ったのかな。覚えていないw
さて、これらの回収トランジスタは、解体時に半田ゴテの熱で壊れている可能性もある。
念のためにhFEを計測して動作確認を行った。
2SA896/2SC1811は正常だった
ワテ自作のhFEテスターで2SC1811を計測している様子を下写真に示す。
写真 ワテ自作のhFEテスターで2SC1811を計測している様子(計測中は赤点灯)
ワテ自作のhFEテスター製作記事はこちら↴
ワテ自作のhFEテスターの特徴は、
- デジタルテスターのDC電圧計測モードでhFE直読できる(マイコンなど不使用だが)
- Vceを数段階に設定できる(ぺるけさんのアイデアを拝借)
- Ibを数段階に設定出来る
- NPN, PNPを両方計測可能
などだ。
写真 2SC1811のhFEは112と計測された
ちなみにワテ自作のhFEテスターではNPNのhFEはマイナスで表示される。
2SA539は正常、2SC815は故障していた
次は、2SA539/2SC815を計測した。
ワテ自作のhFEテスターでは、下写真のようにゼロプレッシャーソケットの左にPNP, 右にNPNを挿せる。かつ、前後二列あるので合計四つのトランジスタを同時に挿せるのだ。
写真 トグルスイッチPNP/NPNと、TR2/TR1を切り替えて計測トランジスタを決める(緑点灯)
NECの2SA539はhFE=122と計測されたので、正常のようだ。
写真 NECの2SA539はhFE=122と計測された(PNPのhFEはプラス電圧で出る)
一方、2SC815はhFEが測定不能だったので、どうやら故障しているようだ。
写真 左から2SA539(正常), 2SC1815Y(代替候補), C2SC815(故障)
2SC815は壊れていたので手持ちに新品の2SC815が有るかなと思って探してみたが、そんな古いTRは見付からなかった。
まあここは適当に代替品として2SC1815Yを選んでみた。
その理由は型番が似ているし。たぶん大丈夫だろう。知らんけどw
まあ、こんな安易は判断は、金田式信者の人には到底受け入れられないかも知れないが。
2SA653/2SC1161 TO-66型(NEC製)は正常だった
最後に、TO-66型トランジスタもhFEを計測してみた。
写真 hFEを計測中の2SC1161
ちなみにパワートランジスタをゼロプレッシャーソケットに挿す為に、下写真のようなソケットを自作している。
写真 足の太いトランジスタ計測用に自作したソケット
上写真右の黒い熱収縮チューブのやつは、何かの金属ソケットとピンヘッダー(秋月細ピンタイプ)を半田付けして熱収縮チューブを被せている。足の太いトランジスタを挿せるようにしているのだ。
下写真のように2SA653のhFEは54と計測された。
写真 2SA653のhFEは54と計測された
実は、2SA653や2SC1161のhFEは最初はもっと小さくてhFE=20程度と計測されたので、てっきり壊れていると思ってしまった。
そこで念のためにデータシートを見ると以下の通り。
MIN. | TYP. | MAX. | |
VCE=5.0V、IC=5mA | 20 | ||
VCE=5.0V、IC=0.3A | 40 | 100 | 320 |
表 2SA653/2SC1161 (NEC製)のhFE 引用元 最新オーディオDCアンプ(誠文堂新光社)
コレクタ電流ICが少ないとhFEも小さく出るようなので、下写真のようにベース電流IBを最大の200μAにしてみたら、hFEは50台くらいになったのだ。
写真 ワテ自作hFEテスターではIBを6段階切り替え可能
この時のICは、
なので、上表と見比べるとhFE=50くらいなら妥当な値だろう。
ちなみにワテ自作hFEテスターでは、VCEも5段階に切り替え可能だ(下写真)。
写真 ワテ自作hFEテスターでは、VCEも5段階に切り替え可能
このVCE切り替え機能は、ぺるけさん設計のhFEテスターに採用されているVCE切り替え手法(カスコード接続を利用)を拝借させて頂いた。
パワートランジスタを半田付けする
無事に2SA653/2SC1161パワートランジスタが正常だと判定出来たので、早速半田付けした。
写真 M3ネジをTO-66パワートランジスタに固定した
この2SA653/2SC1161パワートランジスタはケース部分はコレクタだ。
そのコレクタと基板との導通はM3ネジで行く事にした。
まあ純正金田式ならネジで導通を取るのではなくて、ダイエイ電線などで配線するのかも知れないが。良く知らない。
写真 PCBWay製専用基板のTO-66トランジスタ取り付けランド
M3ネジのナットは対辺5.5ミリなので、そのサイズのナットドライバーを使って下写真のようにTO-66パワートランジスタを固定した。
なお、パワートランジスタの足は太めなので、半田ゴテのコテ先も太めに交換する。
写真 白光FM-206ハンダステーションは電源ONしたままコテ先を外せる
上写真のようにまずは黄色の握り部分と一緒にコテ先を引き抜く。
コテ先は熱いが、根元の白っぽい部分は素手でも触れるので、黄色グリップからコテ先を引き抜いた(下写真)。
写真 いつも使っている細いコテ先(T12BCF1)と今から使う太いコテ先(T12BCF2)
下写真がワテが通常使っている細目のハンダコテ先だ。
下写真がワテが少し太めのリード線を半田付けする時に使うハンダコテ先だ。
このコテ先を使ってパワートランジスタを半田付けした。
コンデンサ類を半田付けする
あとはコンデンサを半田付けすれば完成する。
マイカコンデンサを半田付けする
1000pFのコンデンサを取り付ける。
パーツボックスを漁ったら1000pFマイカコンデンサ(下写真)があったのでそれを使う。
写真 中古マイカコンデンサ1000pFを再利用した
ただし、上写真のように1000pFマイカコンデンサは、何かに使った中古品があったのでそれを再利用した。
新品は勿体なくて使えない、超貧乏性のワテである。あかんがな。
タンタルコンデンサを半田付けする
電源回路の出力部分にタンタルコンデンサ(47μF/35V)を取り付ける。
写真 47μF/35Vタンタルコンデンサを取り付ける
昔どこかでジャンク品として安く買ったタンタルコンデンサを発見したので使う事にした。
古いタンタルコンデンサなので、念のためにテスターで容量を計測した(下写真)。
写真 容量48.4μFと計測されたので正常かな
ちなみに、ワテの場合は下写真に示すようにネオジュウム磁石を使ってリード線が吸い付くようにしたテスター計測ステーションを自作している。
写真 ワテ自作のテスター計測ステーション(ネオジュウム磁石使用)
上写真のように計測したい部品(抵抗、コンデンサなど)をネオジュウム磁石電極に載せると、鉄を含有するリード線なら吸い付くので計測し易いのだ。
非鉄金属の場合でも、軽く指で押さえてやれば良いので、抵抗値・容量値の計測がやり易くなる画期的なテスター計測ステーション!
下写真のように、タンタルコンデンサ取り付け部分には、取り付けピッチの異なる部品も挿せるように数個のランドを用意している。完璧な設計だ。ほんまかいなw
写真 自称KiCad達人のワテの設計による金田式プリアンプ用±35V電源基板(半田面)
部品を結ぶ配線幅は1.0ミリにしている。
中央のベタグランドや左右の電源ラインは太めにしている。
ワレコ
あれれ、待てよ。
今、この記事を書いていて気づいたのだが、±35V出力基板に耐圧35V/47μFタンタルコンデンサはあかんがな。
耐圧ギリギリで使う事になる。
本当なら50V/47μFあたりの製品を使うべきだった。
どうするかな?
手持ちにはそんなタンタルコンデンサは無い。
まあここはこのまま行くかな。あるいは出力電圧を±32Vくらいに減らすかな。
兎に角、アンプを完成させる事に意味がある。
でも、参考にした最新オーディオDCアンプの該当ページを見ると、金田先生も35V/47μFのタンタルコンデンサ使っているぞ。
まあ金田先生がそうしているんなら、大丈夫かなw
フィルムコンデンサを半田付けする
最後に0.1μFのフィルムコンデンサを電源基板の入力部分に取り付ける。
0.1μFのフィルムコンデンサは良く使うので、数種類の自宅在庫があった(下写真)。
写真 ワテが溜め込んでいる0.1μFフィルムコンデンサ
まあここはオレンジ色のニクイ奴、夕刊フジを半田付けする事にした。
ではなくて、ニッセイ(日精電機)のフィルムコンデンサを採用した。
ポリプロピレンフィルムコンデンサなのかな?
メタライズドなのかも知れない。
あるいはポリエステルかも知れない。
まあワテの場合、フィルムコンデンサの素材なんか全く気にしない。気にするのは見た目だ。
写真 基板から数ミリ浮かせて半田付けしたいのでヒートクリップを利用する
まあ電子工作をする人でヒートクリップを知らない人はモグリだな。
一部の抵抗とコンデンサで指定値が無いので代替品で行く
ほぼ完成したのだが、残すは680Ω/2W抵抗と39pF位相補正コンデンサが自宅在庫が無いので、それらはまだ取り付けていない。
写真 ほぼ完成した金田式プリアンプ用±35V定電圧電源(680Ω/2W抵抗と39pFコンデンサはまだ)
さてどうするか?
まあ、この機会に秋月さんとか共立エレショップさんで日頃から買おうかなと思っていたパーツと一緒にこれら不足パーツを買っても良い。
でも結果を早く知りたい気持ちもある。
そこでパーツボックスを漁ったら、以下の代替品を見付けた。
39pF → 33pF
表 手持ちにないパーツは値の近い代替品を使う
まあ多少は値が違うが大丈夫だろう。まさに不純正金田式か!?
39pFはオペアンプμA709HCの位相補正用だから、指定値から変更するのは気が引けるが無い物は仕方がない。
とりあえず33pFマイカコンデンサを基板に半田付けする時に、リード線を少し長めにすればその部分で6pFくらいの容量を稼ぐ事が出来るだろう。
それでピッタリ39pFになるのだ。
ほんまかいなwww
逆に発振し易くなるだろ!
半田付け完了した±35V定電圧電源の動作確認
さて、二時間程度で半田付け作業が完成した。
やっぱり専用基板は素晴らしいぞ。
従来ならユニバーサル基板に手配線していたので、半田付けが完了したら行き成り動作確認は出来ない。
まずは、配線間違いが無いかどうかを回路図とにらめっこしながらチェックする必要がある。
入念に作業を行うと一時間くらい平気で掛かってしまう。
それが面倒なので適当にチェックを済ませて、電源を接続したら焦げ臭い匂い。
良く見たら抵抗が燃えているとか、抵抗くらいなら良いが、トランジスタがチンチンに発熱とか、電解コンデンサの電解液が沸騰してジュルジュルと音がして爆発。
まあ、そんな危険な経験も電子工作の楽しみの一つと言えるかもしれない。んなあほなw
一方、最近のワテは、基板業者さんに専用基板を発注して電子工作をやると言うスタイルに変更した。
今回使った両面スルーホール基板はPCBWayさんで製作したものだ。
10×10平方センチメートル以内なら10枚作成しても製造費用が5ドル程度、FedexやDHLでの送料が20ドル程度。費用合計で25ドル程度で十枚の両面スルーホール基板が入手できるのだ。
KiCad、Eagle、DesignSpark PCBなどの基板設計CADを使ってプリント基板のレイアウトを描く。
そのガーバーデータ(プリント基板パターンを保持する2Dデータフォーマット)をPCBWayさんのサイトにアップロードして発注すれば良いのだ。
そうすると通常なら製造日数がニ~三日、配送日数が三~四日くらいなので、一週間程度で日本に到着するのだ。速い時には四日で自宅に届いた事もある。
いや~、超便利な時代になったもんだなあ。
皆さんにも専用基板の設計と発注をお勧めしたい。
+35V定電圧電源は正常動作した
さて、今回は専用基板なのでこの時点では配線間違いのチェックはやらない。
KiCadでプリント基板を設計した時点で入念にチェックしているし、仮にもしここで配線間違いが有ったとしても、今更遅いw
写真 +35V定電圧電源の動作確認の様子
燃える時は燃える、爆発する時は爆発する。
人生そんなもんだ。
ワテ所有の可変定電圧電源を使って47.7VDCを+35V定電圧電源に入力した。
もちろん50V近い電圧を一気に印加するのは危険なので、ゼロボルトから徐々に電圧を増やしたのだ。
電源トランスにはタンゴCT-10(0-35-70v)を再利用するので、ブリッジ整流すると、
ダイオード二個分の電圧降下(1.4Vくらい)を差し引くと非安定48VDCがこの+35V定電圧電源基板の入力になる計算だ。
写真 入力47.7VDCを入れたが電流は30mAなのでショートなどは無さそう
その結果、電流表示は30mAと少ないので、ショートなどの致命的な間違いは無さそうだ。
一安心。
出力電圧を計測したら、設計通りの35VDC付近の電圧が出ているぞ!
写真 +35V定電圧電源の出力電圧が設計通り+35Vに調整できた
2KΩ半固定を回すと、出力電圧を+35VDC付近で数ボルト程度可変出来る事も確認出来た。
おお、素晴らしいぞ。
この時点では、タンタルコンデンサに耐圧35Vを使っている事に気付いていなかったので、数十秒間くらいは+37Vくらいの電圧がタンタルコンデンサに印可されたことになる。
まあハーメチックシール型の高級そうなタンタルコンデンサだからこれくらいでは壊れないだろう。
でもまあタンタルコンデンサは通常はショートモードで故障する厄介な特徴があるので、安全の為には出力電圧は35ボルト以下に設定して使う予定だ。
-35V定電圧電源も正常動作した
同様にマイナス35V定電圧電源基板も動作確認した。
写真 -35V定電圧電源の動作確認の様子
その結果、下写真のように出力電圧をマイナス35V付近で数ボルト可変に出来る事が確認出来た。
写真 -35V定電圧電源出力を半固定2KΩを調整してー35.014Vに設定した例
いや~、本当に専用基板は素晴らしい。
今までいろんな電子工作をやって来たが、ユニバーサル基板に手配線なんてのは、失敗する確率が極めて高くなる手法だ。
まあ十代くらいの若い時なら、視力も良いし集中力も続くが、年取って来ると視力も弱まるし長時間細かい配線を目で追ってチェックするなんて作業はやりたくない。
そう言う点でも専用基板は素晴らしい。
下写真に無事に完成した金田式プリアンプ用±35V定電圧電源基板を示す。
まさに古き良きビンテージな金田式っぽい雰囲気が出ているだろう。
KiCadの3DCGで描いた完成予定CG | 完成した金田式±35V定電圧電源基板 |
写真 無事に完成した金田式プリアンプ用±35V定電圧電源基板(部品面)
でもそこにニッセイフィルムコンデンサのオレンジ色とタンタルコンデンサの鮮やかなマリンブルーが花を添えているのだ!
昭和の金田式プリアンプが令和バージョンとして蘇ったのだ!
サンハヤトの4mmピッチユニバーサル基板 AT-1Sを彷彿とさせるワテ設計&PCBWay製造の専用基板。
そして、部品配置は昔の金田式アンプで採用されていた基板中心に対して左右チャンネルを点対称に配置したのだ。
まさにビンテージな金田式プリアンプ。
ワテは全く知らない最新の金田式では電流伝送とか言う方式が採用されているようだが、今回ワテが製作中の金田式プリアンプは、古き良き時代の金田式アンプになる予感がする。
この電源基板はまだ十枚くらいが余っている。
余った基板は、テクニカルワレコ(仮称)とかワレコ通商(仮称)などを立ち上げてネット通販するかな。
なお、上でも説明したように、この基板は±32Vくらいで使う予定だ。
➡ 結局±35Vで使っている。耐圧35Vのタンタルコンデンサなので35Vで使っても直ぐに壊れることは無いだろうと言う判断だ。
写真 無事に完成した金田式プリアンプ用±35V定電圧電源基板(半田面)
点対称に左右チャンネルのパーツを配置して金田式風基板を模倣したのだ。
まとめ
水野ワレコ
いやぁ、専用基板って本当に素晴らしいもんですね~
当記事ではワテが現在修理再生中の「金田式プリアンプ」に使う「±35V定電圧電源基板」に部品を半田付けして無事に正常動作を確認するまでの作業を紹介した。
専用基板なので、半田付けが終わったら基板の配線チェックなども必要ないので、直ぐに動作確認に取り掛かれる。もちろん専用基板でも半田付けが下手糞だと、隣のランドとブリッジを作ってしまうなどの失敗もあるが、今回は比較的大きなパーツのみを使っているのでそんな失敗も無い。
そして、十分も掛からずに正常動作する事が確認出来た。
これは気分爽快だ。
基板設計CADを覚える
ユニバーサル基板に手配線なんてやってた当時なら、半田付け後の動作確認で一発で正常動作するなんて滅多にない。
どんなに慎重に配線を行っても、一つや二つくらいの配線ミスはやってしまう(ワテの場合)。
電子回路は一箇所でも間違いがあると当然だが正常動作はしない。
運が悪ければ、ショートした箇所で大電流が流れて何らかの部品が壊れる事も多い。
それが、今回みたいに十分も掛からずに正常動作した訳なので、電子工作やるなら専用基板だな。
今でもユニバーサル基板に手配線している人は、まずはKiCadかEagleかDesign Spark PCBの操作方法を覚えると良いだろう。
電子工作に新しい未来が開けるぞ!
表 KiCad学習にお勧めの書籍
ワテは上表中央のトラ技2019年8月号でKiCadを勉強した。
このバックナンバーを近所の本屋さんで取り寄せて貰ったのだ。DVD付きなので分かり易い。
KiCad学習は最初は難解に感じたが、二週間くらい必死で使い込んだら案外簡単にマスター出来た。
『努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力と呼べない。』 王貞治さんの言葉
基板を外部業者さんに発注する
基板製造業者さんは幾つかあるが、ワテの場合、過去に数社に製造を依頼した。
その経験で言うと、どの業者さんでも似たような仕上がりになるが、でもシルク文字の印字品質や基板のレジスト色、そして基板カットの仕上がりなど、比べてみると各業者とも微妙に異なるのだ。
特に、シルク文字の仕上がりは基板の見た目に大きく影響する。
十枚の基板を作成して、どの基板もシルク文字がかすれたりする事も無く、かつ、どのシルク文字も指定した文字幅で綺麗に印字されていると、高品質な印象を受ける。
ところが、シルク文字がかすれたり、文字太さにバラツキがあると、その基板の見た目はあまり良くない。もちろん銅箔部分のエッチングやスルーホール処理などは、製造業者さんの側で目視あるいは自動検査機器などでチェックしているので、プリント基板としての性能は問題無いが。
と言う訳で、ワテのお勧めとしてはPCBWayさんだ。
この所、ずっとPCBWayさんに発注しているが、今回の基板の写真でも分るように、シルク文字も綺麗だし、有鉛ハンダメッキのランド処理も綺麗だし、スルーホールの内壁にも光沢のある有鉛ハンダメッキがされていて、非常に完成度が高い印象を受けるからだ。
次の作業は金田式プリアンプ基板にパーツを半田付けだ。
(続く)
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