写真 今は無きづぼらやの巨大フグ提灯はいずこへ?
本日は、2020年12月13日(日)だ。
十二月だと言うのに暖かいので過ごし易いのは良いのだが、これは確実に地球温暖化の影響だろう。
まあワテが心配しても仕方ない。
「温暖化は急には止まらない。」
さて、数日前にPCBWayさんに発注していたプリント基板が六日で届いた。今まで数回PCBWayさんに基板製作を依頼したが、全て丁度一週間(七日)で自宅に届いた。
今回は一日短縮されて六日と言う速さだ。
当記事ではそのPCBWay製プリント基板を紹介したい。
前回記事はこちら
では、本題に入ろう。
ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ用トランス基板
ワテがPCBWayさんに発注していたのは「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ」に使う電源トランス用の基板だ。
「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ」は数カ月前から製作中で、アンプ基板とLM317を使ったDC15V電源基板の製作は完了している。
ぺるけさんのオリジナルの製作例では、電源にはACアダプター(DC15V、>0.5A)が使われているが、ワテの場合には電源トランスとLM317を使って独自に安定化電源を作る方針なのだ。
と言う事で、ワテ自作のヘッドホンアンプは、「純正ぺるけ式」ではなく、「ぺるけ式風」ヘッドホンアンプと言う事になる。
電源トランスはRSコンポーネンツでプリント基板取り付け型を買ったので、そのトランスを取り付けられる専用基板をKiCadで設計して、六日前にPCBWayさんに発注したのだ。
DHLで届いたPCBWay製基板
下写真のDHLの荷物が今日届いた。
DHL Expressで送料は15ドル。基板の製作費は5ドル。
合計20ドルだが1ドルの割引があり総額19ドルだ。
写真 DHL Expressのビニール袋で届いたPCBWay基板十枚
下写真に示すように、いつものPCBWayさんの小箱に入って送られて来た。
写真 PCBWayの小箱(基板十枚入り)のサイズは12x12x5cmくらい
今回は下写真に示すように、クリスマスプレゼントと思われる三枚の基板が入っていた。ボタン電池を入れるとLEDが光るようだがまだ試していない。
写真 PCBWayから届いた基板十枚とクリスマスプレゼント基板三枚
下写真がワテ設計のトランス搭載用基板だ。
写真 PCBWayの十枚基板は真空パックで密着している
上写真で示すように十枚の基板が真空パックでしっかりと密着させて梱包されている。
その結果、輸送中に基板同士が互いに擦り合う事が無いので、基板表面のシルク文字や半田メッキが傷つく事無く届くのだ。
両面スルーホール基板(1.6ミリ厚、35µm銅箔)緑色レジストで発注
今回発注したのは両面スルーホール基板(1.6ミリ厚、35µm銅箔)で緑色レジストだ。
下写真にその基板の半田面(上)と部品面(下)を示す。
写真 PCBWay製のトランス基板の半田面(上)と部品面(下)
基板サイズは72mm x95mmにした。
このサイズはユニバーサル基板で良く見かけるので、ワテもそのサイズにしてみたのだ。
基板サイズが同じだとネジ穴位置も同じなので、例えば基板を二段重ねで取り付けるなどが簡単に出来る。
下写真に今回購入したRSコンポーネンツ製のトランスを示す。
一次115Vx2、二次15V(0.4A, 6VA)x2 だ。
写真 RSコンポーネンツ製トランスとPCBWay製トランス固定基板
このトランスは二次側AC15V(0.4A、6VA)が二回路あるので、今回はそれらを並列接続して15V(0.8A、12VA)として使う。
過去に何度かRSコンポーネンツさんなどで海外製のトランスを購入した経験では、基板取り付け型のトランスの場合、端子ピン位置が仕様書の図面と比べて1から2ミリくらいズレている事があった。
なので今回設計した基板では、念のために大き目のドリル穴(Φ1.8)を開けたパッドを配置しておいた。
その結果、下写真に示すように無事にトランスの電極ピン(8本)をプリント基板のスルーホールに差し込む事が出来た。
写真 トランスの電極ピンがドリル穴にピッタリと収まった。完璧や!
下写真は部品面。
写真 基板取り付け型トランスを搭載したワテ設計プリント基板
PCBWayさんのプリント基板は精度良く仕上がっている。
過去に数回PCBWayさんに基板製作を依頼したが、どの基板もドリル穴の位置ずれなども無く、KiCadの設計図通りに円形パッドの中心に精度良くドリル穴が開いている。
その内壁には光沢がある半田メッキが施されていて、スルーホールが綺麗に形成されている(下写真)。
ちなみに、上写真にあるLM78xxの部分には必要なら三端子レギュレータを取り付ける事によって、二回路ある15V出力の一方の出力を半波整流してLM78xxでDC5/6/8/9/12などの安定化電源出力を得られる回路も搭載した。
写真 トランス二次側出力(AC15Vx2)をジャンパー線で並列や直列接続出来るようにした
RSコンポーネンツなどで販売されている海外製電源トランスは、今回採用したトランスもそうだが、二次側出力が二回路ある場合には巻線が独立している場合が多い。
そう言うタイプの電源トランスは、出力を並列にしたりあるいは直列にしたり出来るので利便性が高い。
一方、豊澄電源(トヨデン)などの日本製トランスの場合、二次側二回路が直列接続になっていてセンタータップが出ているタイプが多い。
その場合には、並列接続が出来ないので、何かと使い勝手が悪い。と言う事で、ワテの場合には、最近では外国製トランスを使う事が多い。
トランス用基板(PCBWayで製作)にトランスを半田付けする
早速半田付けしてみた。
写真 PCBWay製緑レジスト基板(有鉛ハンダメッキ)
半田付け作業では、煙(ヒューム)は人体に有害なので換気・排気には注意を払っている。
下写真に示すΦ150ミリのアルミフレキダクトホースは、壁に開いているΦ150穴を通って屋外に通じている。その途中にはΦ150サイズのダクトファンを取り付けている。
つまり、自作の排煙システムなのだ。
その辺りの詳細は別記事で紹介している。
下写真に示すように、トランスの半田付けはいい感じに出来た。
写真 PCBWay製緑レジスト基板は緑と言うよりエメラルドグリーンっぽい高級感
電源トランスの電極ピンは一辺1.2ミリくらいの角型で、そのピンを挿すランドのドリル穴はΦ1.8mm、ランドの直径は4mmで設計している。
それくらい大き目のランドの半田付けには30W前後の半田ごてが適しているが、ワテの使っていた25W半田ごては故障したので使えない。
もう一本ある15Wの半田ごてで半田付けしたので、少々熱量不足だったが、自称半田付けの達人のワテなので、下写真に示すように綺麗な富士山型に半田付けが出来た。
写真 15Wの半田ごてで半田付けしたトランスの電極ピン
来年辺り、富士山大噴火するかもしれないなあ。
タカチの貼り付けボスを基板に取り付ける。
写真 タカチの貼り付けボスを基板に取り付ける
最近のワテは貼り付けボスを使う事が多い。
従来ならシャーシの底にドリル穴Φ3.1ミリを開けて、六角スペーサーを四本立てて基板の四隅にある穴を固定する方式をよく採用していた。
でもその場合には、シャーシの底板に多数のネジ頭が出るが、底板と言えども見た目が悪い。
一方、貼り付けボスの場合にはドリル穴は不要で、両面テープで貼り付けるだけで良いので手軽なのだ。
写真 貼り付けボスが基板の下側に完全に隠れるので設置面積が小さく出来る
注:このサンハヤトとタカチの貼り付けボスはよく似ているし型番も似ているので、たぶんタカチ製がオリジナルで、サンハヤトさんへOEM供給しているのかな?
写真 いや~、専用基板って本当に良いものですねぇ~
最近では視力が低下して来たので、ユニバーサル基板にスズメッキ線などで手配線するのはあまりやりたくない作業なのだ。
なので、今後も、KiCadで基板を設計して基板製造業者さんに発注しまくりたい。
AC100Vを印加して動作確認する
トランスの一次巻線側にAC100Vを加えて、出力電圧を計測した。
その結果、下写真に示すようにAC15V程度の実効値が計測された。予定通りだ。
この時点では、トランスの二次側巻線(AC15Vx2回路)は並列接続はしていない。
二回路ある15V出力を並列接続にする
下写真に示すように二次側AC15Vの2回路を並列接続した。
写真 二回路ある15V出力を並列接続にする
ホームセンターで買ったΦ0.9ミリくらいの銅針金をジャンパー線にして、二回路ある二次側15V出力を並列化した。
この手の作業にはオレンジ色のサンハヤトのリードベンダーが必須だ。
オレンジ色のニクい奴。
なんのこっちゃw
写真 ジャンパー線はホームセンターのΦ0.9mm銅針金を採用した
トランス基板をLM317可変安定化電源基板と接続して動作確認する
LM317可変三端子レギュレータを使った電源回路は先日無事に完成している。
今回作成したトランス基板の二次出力AC15VをこのLM317基板に入力して動作確認をした。
写真 トランス二次側出力にミノムシクリップを挟むためにリード線を利用した
テスター棒先端に差し込める接続コードを持っていると便利だ。
写真 テスター棒先端に差し込める接続コードを持っていると便利
トランス基板のAC15V出力(実効値)をLM317可変三端子レギュレータ基板に入力して、その安定化出力電圧をデジタルテスターで計測した結果、DC15Vが得られたので成功だ!
写真 LM317可変三端子レギュレータ基板の出力電圧を計測した
LM317可変三端子レギュレータ基板は、25回転の多回転型ポテンショメータでDC15±3V程度の範囲で出力を可変出来るようにしている。
実際に下写真に示すように出力を調整してみたが、設計通りに出力電圧が変化した。完璧や!
写真 各種のテストリード線を持っていると作業性が良い
と言う事で「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ」用にKiCadで設計してPCBWayさんに製作を依頼したトランス取り付け基板は無事に半田付け作業も完成して、LM317可変三端子レギュレータ基板と組み合わせた動作確認も完了したのだ。
ALL PCBWay基板で作る「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ」
この「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ」を製作するに当たり、今までに作成した基板を下写真に示す。
どの基板も中国深圳のPCBWayさん製だ。
写真 緑基板(トランス基板)、青基板(LM317安定化電源)、白基板(ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ基板)
緑基板は今回製作したトランス基板だ。その設計記事はこちら。
青基板は前回記事で紹介したLM317採用の可変安定化電源基板。
そして、白基板が当プロジェクトの中核となる「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ」基板だ。その設計記事はこちら。
基板の色は、基板発注時にレジストの色を指定する事で緑、青、黄、白、黒、紫、赤などが指定出来る。値段はどれも同じだ。ただし艶消しの黒などを指定すると若干の割増料金が必要になる。
三枚の基板は全てPCBWay製だが、ワテが見る限りプリント基板の出来具合はとても良いと思う。
PCBWayを含めて過去に数社のプリント基板製造業者さんに基板製造を依頼したが、ワテの経験で言うとプリント基板の完成度の評価は以下の点をチェックすると良いと思う。
- 十枚の基板の見た目がどれも同じか?(レジスト色、シルク文字などの見た目など)
- シルク文字が消えたり、かすれたりしていないか?
- ドリル穴が円形パッドの中央に開いているかどうか?(位置ずれの有無など)
- ランドの有鉛ハンダメッキ(あるいは金メッキ)が光沢のある綺麗な仕上がりかどうか
- スルーホールの内壁にも光沢のある有鉛ハンダメッキ(あるいは金メッキ)が施されているか
- CNCルーターによる長穴スリット加工が設計通りに加工されているか?切削面が滑らかか?
- V-cut加工は設計通りに加工されているかどうか?
これらのチェック項目に照らして今回届いたPCBWay製の電源トランス取り付け用プリント基板を評価しても、特に問題点などは無く、基板の完成度はとても高いので満足している。
なので、次回もPCBWayさんに製作を依頼する予定だ。
まとめ
ワレコ
当記事では、現在製作中の「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ」の電源回路に採用した基板取り付け型トランスを搭載するプリント基板を紹介した。
このプリント基板はワテがKiCadで設計して、PCBWayさんに製作を依頼したものだ。
PCBWayさんのサイトに基板のガーバーデータをアップロードしたのが12月8日、そして基板が自宅に届いたのが12月13日だ。アップロードから到着まで僅か六日間と言う速さだ。
もし自分で基板を製作するとなると、塩化第二鉄溶液に生基板を漬けてエッチング作業が必要になる。エッチングが終わった基板は水洗いして乾燥させて、そのあと、ドリルで穴開け作業。
そして、基板の余白を切り落として必要な大きさに仕上げる。
エッチング作業では薬品を使うので手も汚れるし、エッチングの廃液処理にも手間が掛かる。
基板の切断作業では、ガラスエポキシの粉塵が飛び散るので健康にも悪い。
一方、基板製造業者さんに発注すれば全く手を汚す事無く、基板が届くのだ。それも一週間程度の納期で。
と言う事で、プリント基板の外注は楽しい。
そしてその基板を使った電子工作も楽しい。
コロナ禍で不要不急の外出を控えている人にお勧めしたいのが、電子工作だ。
基板の製作は外注出来るし、電子部品は通販で入手出来る。
全て自宅に居ながらにして手配出来るのだ。
電子工作はコロナ禍の今こそ国民の皆さんはやるべきだろう。
そして電子立国日本が復活するのだ。
ほんまかいな。
続く
KiCadを勉強する
ちなみにワテの場合は、下写真のトランジスタ技術のバックナンバーを近所の本屋さんで取り寄せて貰ってKiCadを勉強した。
付録DVD-ROMに沢山の動画がありKiCadの使い方が解説されているので分かり易い。
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