写真 刃物研ぎに便利なツール
ワレコ
この所、刃物研ぎに熱中している。
リサイクルショップで買って来た鉋や鑿を研いだのが切っ掛けで、ワテの刃物研ぎ好きが復活した。まあ直ぐに飽きると思うがw
上写真左端のような砥石の平面出し用の修正砥石があると便利だ。
さらに写真中央や右のような角度ガイドを使うと研ぎ易い。
取り敢えず、所有している刃物数点を久しぶりに研ぐ予定だ。
さて、ワテの場合、かなり昔に金田式DCプリアンプ(注)と言うのを作った。
注:「金田」の読み方は「KANEDA」ではなくて「KANETA」が正しい。
学生時代に古本屋で見付けた「最新オーディオDCアンプ 金田明彦 誠文堂新光社」という本に載っていたプリアンプを作ったのだ。
先日、部屋を片付けていたら物置からその金田式DCプリアンプを発見した。
当初は廃棄処分しようかなと思ったのだが、今となっては貴重なトランジスタやICも幾つか使っているので捨てるのは忍びない。
かと言って、そのまま不動品のまま部屋に放置するのも落ち着かない。
と言う事で、暇な時にコツコツとこの金田式DCプリアンプをレストアする事にしたのだ。
当記事はその第一回目。
この記事では、ワテ自作の古い金田式DCプリアンプの紹介と、解体作業の過程を紹介する。
そして、レストアで使う専用基板をKiCadで設計してPCBWayさんに発注するところまでの作業を紹介したい。
では本題に入ろう。
ワテ自作の金田式DCプリアンプを解体する
ワテと金田式の関係
まあワテの場合、昔は無線と実験は偶に(たまに)購入していた。
一年に一回買うか買わないかくらいの頻度だ。
この十年くらいは一冊も買っていない。
従って誠文堂新光社さんの売り上げには殆ど貢献出来ていない。
あかんがな。
無線と実験には有名先生設計のオーディオ機器製作記事が毎回掲載されている。
ワテが無線と実験を購入していた当時は、安井式とか金田式とか佐久間式、その他、いろんな有名先生が登場していた。
最新版無線と実験をネットで立ち読みしてみたところ、金田式で有名な金田明彦先生は今も現役で、無線と実験に最新記事を執筆されているようだ。やっぱり継続は力なりだな。尊敬すると同時に見習いたい。
ワテの場合は、大昔にDCプリアンプを作成して、その後、社会人になってパワーアンプを作成した。
その次に製作開始した金田式DACは製作途中で放置していたやつを、下記事で紹介したように数年ぶりに製作を再開して無事に完成する事が出来た。
と言う事でワテの場合は、金田式オーディオ機器は三台しか作っていない。
それも、金田先生御指定のパーツを指定通り100%使っている訳では無くて、一部のパーツ(いや殆どのパーツ)は代替品を採用しているので、正確に言うと「純正金田式」ではなくて「金田式風」あるいは「金田式モドキ」と言う事になる。
まあ、金田式マニアの人からすれば指定部品を一個でも代替品に置き換えると、金田式の音にはならない!音が濁る!と言うような批判を受けるだろう。
ワテの場合は、単に電子工作が好きで特にオーディオ系の自作が好きなだけなので、純正金田式かどうかなどは全く気にしないw
つまりまあ金田式を名乗る事さえも憚られる邪道と言う事になる。
金田先生は最近では電流伝送とか言う方式のアンプを発表されているようだ。
ワテ自作の金田式風DCプリアンプの紹介
下写真がワテが大昔に作った金田式風DCプリアンプだ。
正確に言うとDCプリアンプではなてくACプリアンプと言う事になる。
写真 大昔に自作した金田式風DCプリアンプ、いや金田式風ACプリアンプか
記憶が朧(おぼろ)なのだが、確かイコライザーアンプ(以下、EQアンプ)やフラットアンプ(FLATアンプ)のDCオフセット調整がゼロに出来なかったので、黄色のカップリングコンデンサを後から追加したような記憶があるからだ。
でもまあ以下では、混乱を避ける為にワテ自作のアンプは「DCプリアンプ」と言う呼び方をする事にする。
オフセット調整が出来なかった理由は、金田式純正指定部品は高くて買えなかったとか入手出来なかったなどの理由で、やっすい代替品を多用したのが原因だと思う。
具体的には純正金田式では初段にはワテが聞いた事も無いソリトロン社と言う会社の2N3954とか言うDual Nch FETを使うのだが、EQアンプ、FLATアンプの左右の基板で使うので合計四個の2N3954が必要になる。
確か、その当時で2N3954は数千円くらいしたと思うが、そんなのは買えないので初段は確か二個の2SK30を選別もせずに、アロンアルフアで貼り付けたような記憶がある。
あと、抵抗は進工業の茶色の四角い金属板抵抗を使う。
コンデンサは双信電機のSEコンデンサとか言うのが指定されているが、これも一個で数百円とか数千円とか、馬鹿高いのだ。
確か秋葉原の若松通商さんとか大阪日本橋のテクニカルサンヨーと言うお店には、これらの金田式指定パーツが売られていた。
ワテの場合は確か一部のパーツは若松通商さんで購入したが、殆どのパーツはやっすい普通のやつを使ってこのDCプリアンプを作ったのだ。
写真 電源スイッチのレバーが折れてしまっている
上写真のようにフロントパネルには電源スイッチとボリュームしかないシンプルなデザインだ。
一応、この金田式風DCプリアンプは無事に完成して、レコードを聴いた記憶がある。
初めて聴いた金田式アンプの音は瑞々しくて生々しくて感動的な音だった。
まあその本当の理由は、恐らくは自分で作ったアンプで聴いていると言う先入観で、脳内にアドレナリンとかドーパミンが大量に分泌されて気分が高揚したからだと思うが。それでいいのだ。
写真 PHONO入力とプリアンプ出力しかないレコード再生専用か
上写真のように、シャーシ背面にはPHONO入力とプリアンプ出力しかない。
なので、レコード再生専用になっている(今回の解体作業で気づいた。)。
たしかワテの記憶が確かなら、この写真のアルミシャーシに入れる前に、何か別のシャーシに入れていた記憶がある。
それを改造して上写真のアルミシャーシに載せ替えたような記憶がある。
下写真のようにブリッジダイオードを空中配線すると言うアクロバティックな技を使っている。
写真 ブリッジダイオードを空中配線すると言うアクロバティックな製作技術
まあ、単にアルミケースが小さすぎてブリッジダイオードを取り付ける場所が無かったと言うのが正しい。
それにしても雑な半田付けだw
ワテ自作の金田式風DCプリアンプを解体する
電子回路の解体作業は簡単だ。
まずは配線をニッパで切る。
写真 解体途中の金田式DCプリアンプ
あとは一心不乱に電子部品の半田付けを取り外せば良いのだ。
ワテお勧めは下写真の半田シュッ太郎だ。
手動式スッポンと半田ごてが合体した構造で、先端の筒状の金属部分で半田を溶かす。その瞬間にボタンを押すと圧縮されてたピストンが一気に膨張して半田を吸い取るのだ。
注意事項としては、サンハヤトハンダシュッ太郎に似た様なやっすい類似品が多数出回っているが、安物買いの銭失いになるのでそう言うコピー品はお勧めしない。半田関連機器で有名なサンハヤト製を買っておけば間違い無いのだ。
下写真を見ると、+35v/-35vレギュレーター電源回路のμA709オペアンプが基板の裏側に付いている。
写真 +35v/-35vレギュレーター電源回路のμA709オペアンプが基板の裏側に
確か、データシートのTop ViewとBottom Viewを読み間違えて、ピンアサインが逆になってしまったのでオペアンプを基板裏側に取り付けて解決したのだろう(全く覚えていないw)。
下写真が+35v/-35vレギュレーター電源回路を解体して取り外した電子部品だ。
写真 今となっては貴重なパワートランジスタ
まあTRやFET類は多分使えると思うので、ワテ自作のhFEテスター、ぺるけ式FET選別機などでチェックしてみる予定だ。
下写真はEQアンプ基板から取り外したTRとFET(2SK30)だ。
写真 EQアンプから回収した半導体素子
この後ラジオペンチでトランジスタのリード線を真っ直ぐに整えた。
あとは、アロンアルフア剥離剤を使って剥がす予定だ。
なおネット情報によると100均ダイソーなどで売っているマニキュア除光液でもアロンアルファは溶けるとの事だ。除光液の成分の一つであるアセトンがアロンアルフアを溶かすらしい。
それでワテも100均で除光液を探してみたのだが、どの商品もアセトンフリー(アセトン無添加)な除光液しか無かった。残念。
ちなみにアセトンは意外に安いのだ。例えば楽天で4リットル二千円弱で売っている。
アセトンは有機溶剤の一つだが、無水エタノールなどよりも強力に油汚れなどを溶かせるので、一瓶買っておくと便利かもしれない。
KiCadを使って金田式DCプリアンプ専用基板を設計する
さて、金田式アンプは日々進化しているようで、今では電流伝送とか言うワテの知らないタイプになっているようだ。
そんな時代に、大昔の金田式DCプリアンプを中古再生品としてリファービッシュ(英語: refurbish)するなんてのは物好き以外の何物でもないかも知れないが、パソコンや電化製品でもそう言うリファービッシュはあるし、貴重なトランジスタ類を廃棄するのも勿体ないので兎に角、やってみる事にしたのだ。
と言う訳で、そんな計画を立てたのが数カ月前で、暇な時にKiCadを使ってコツコツと基板を設計してみた。
金田式オリジナル風のプリント基板をデザインする
金田式DCプリアンプの回路図が掲載されている「最新オーディオDCアンプ 金田明彦 誠文堂新光社」と言う本は、本棚を探したら発見した。
図 KiCadで描いた金田式DCプリアンプの回路図(EQアンプLchとRch)
この回路図に基づいて、EQアンプ(L、R)プリント基板を設計してみた(下写真)。
図 金田式DCプリアンプのEQアンプ、FLATアンプ共通基板
上図の基板は、その当時の(今もかな?)金田式アンプで使われていたサンハヤトのAT-1Sと言う4mmピッチのユニバーサル基板と同じ寸法(86×86mm)にしてみた。
正確に言うと、金田式に使われていたのはAT-20と言うやつで、AT-1Sの四つのランドを正方形に連結した部分が市松模様で配置されているやつだ。金田先生は、今流行りの炭治郎デザインを先取りされていたのか!
ただし、4mmピッチのランドパターンまで真似すると、電子部品のリード線をかなり無理して挿し込まなくてはならないので、その部分は不採用。
今は知らないがこの当時の金田式アンプではサンハヤトのAT-20と言う正方形の基板に左右チャンネルの回路を点対称に配置して実装されていた。
解体したワテ自作機の場合は、使う部品のサイズが金田式アンプ指定部品と異なる物が多かったので、点対称な金田式純正基板のような配線パターンにするのが難しかった。
なので、EQとFLATアンプの場合には、左右チャンネルを点対称ではなくて、左右同じ配線パターンの回路を上下に並べる配置で作っている(事に今回気付いた)。
正負電源回路も純正金田式では点対称なのだが、この回路もワテ自作機では中心のGNDラインを境に線対称に正負電源回路を配置すると言うごく普通の配線パターンにしている(事に今回気付いた)。
ワテお勧めのKiCadの本
表 KiCad学習にお勧めの書籍
ワテは上表中央のトラ技2019年8月号でKiCadを勉強した。
このバックナンバーを近所の本屋さんで取り寄せて貰ったのだ。DVD付きなので分かり易い。
EQアンプとFLATアンプは共通基板にする
さて、上の回路図はEQアンプのものだが、EQアンプとFLATアンプはNFBの負帰還回路の素子が異なるだけだ。
EQアンプにはコンデンサが二個と抵抗が三本、FLATアンプは負帰還抵抗が一本だけだ。
そこで、この二種類の基板を共通化した。具体的には、まずは上図のEQアンプ用基板を設計した。FLATアンプとして使う場合には、ジャンパー線を一本追加すればFLATアンプ基板として使えるのだ。
なお、ワテの場合、現状ではレコードプレーヤーは持っていない。レコードを聴く予定も無い。聴くのはパソコンで再生するデジタル音源のみなのでFLATアンプさえ有れば足りるのだ。
今回の再生プロジェクトでFLATアンプと電源回路は作るが、EQアンプを作るかどうかは未定だ。なのでもし将来EQアンプを作るとしても、RIAA補正回路の5100pFや1500pFのコンデンサがどんなサイズのものでも使えるように、半田付けのランドを沢山用意しておいた。
かつ、もし5100pFや1500pFのコンデンサが入手出来ない場合を想定して、二個あるいは三個くらいのコンデンサを並列接続(パラ)して目的の容量に出来るようになるべく広い面積をこれらのコンデンサ取り付け場所に確保している。用心深いワテであるw
でも、FLATアンプはその部分に帰還抵抗が一本だけなので、逆に貧相な見た目になるかも知れないが、まあいい。
動けばいいんだw。そもそも金田式風アンプなので。
みりんとみりん風調味料
ビールとノンアルコールビール
みたいな関係なのだ。
しかしまあ最近のノンアルコールビールは良く出来ていると思う。
ノンアルコールなのに、350ミリリットル缶を飲むと酔っ払ったような気分になるんだよなあ。昔はそんな事は無かったのに。不思議だ。
ノンアルコールビールが進化したのか、ワテがノンアルコールビールに酔っ払う体質に進化したのか?それは不明だ。
さて、上図で示すように基板のレイアウトは、金田先生製作の金田式DCプリアンプの基板パターンに似せて作ってみた。つまり、左右チャンネルの部品の配置を点対称にしてみたのだ。
その完成予定図を3DCGで以下に示す。
図 金田式DCプリアンプのEQアンプ基板
上図に於いて、黒っぽい立方体がEQアンプのRIAA補正回路を形成しているコンデンサだ。
この回路は典型的な差動二段の増幅回路にSEPP回路が追加されたものなので、NFB回路の部分に抵抗やコンデンサを入れるとこのようなRIAA補正回路を実現出来るわけだが、最初に考え出した人は頭がいいなあと思う。誰が考えたんだろう?
と言う事で、上のCG画像のように部品配置を点対称にしてみた。
ただし、見た目だけ点対称になっているだけで、金田式DCプリアンプの製作例の写真に掲載されている金田先生純正の部品配置は全く考慮していない。
あと、基板の色はこれもサンハヤトAT-1Sのフェノール基板の色に似せたいので、ガラスエポキシ基板でレジストを黄色で作る予定だ。
PCBWayさんで基板を製作する予定なのだが、PCBWayさんの黄色レジストの場合、まっ黄色と言うよりもまさにフェノール基板のような茶色っぽいのだ。以前に黄色レジストでPCBWayさんで製作した基板の例を下記事で示す。
±35V 最新高速電源基板の設計
EQアンプ、FLATアンプ共通基板が割といい感じで設計出来たので、調子こいて電源基板も点対称にしてみた。
取り敢えず見た目が金田式風に近づけばいいのだ。
そうすると、金田式風DCアンプで聴いているから一切の無駄が無いストレートでピュアな音が出ているに違いないと言う思い込みで、どんなアンプでもいい音に聞こえるに違いない。
まあ兎に角、アンプ作りは完成させる事に意味がある。作ったは良いが、結局は原因不明のトラブルで動かずに放置。捨てる訳にも行かないのでガラクタとして溜め込んでしまう。そう言う失敗は避けたいのだ。
下図が金田式DCプリアンプの±35V 最新高速電源回路だ。
「最新」とは言っても、その当時の最新なので今となっては古めかしい回路かも知れない。
図 金田式DCプリアンプの±35V 最新高速電源回路(KiCadのEeschemaで描画)
でもまあワテのような電子回路初心者でもこの電源回路はOPアンプを使った帰還型の定電圧回路かなと言うくらいは理解出来る。
その基板レイアウトを下図に示す。
図 金田式DCプリアンプの±35V 最新高速電源回路基板レイアウト(KiCadのPcbnewで描画)
電源回路も点対称の配置にした。
使用する抵抗は、手持ちに少しある進工業やニッコームの角型のタイプや、0.25Wのリード線形抵抗器を使う予定だ。なのでランドの間隔は2.54 x 4 = 10ミリにしている。
最新金田式アンプのテクニックを取り入れる
KiCadを使うと、簡単にベタアースなどの塗りつぶしパターンを作る事が出来る。
上図では中央にある太目のGNDラインを塗り潰し機能で作ってみた。
もっと広範囲にベタアースにする案も検討したのだが、この電源基板もアンプ基板もごく普通のオーディオ回路に使うやつであり、ベタアースが効果的だと思われる高周波回路とかではないのでそこまで念入りにベタベタのベタアース基板にする必要も無いかなと思って、思い留まった。
それにベタアースなんてやると金田式風の雰囲気をぶち壊すので。見た目重視のワテである。
でも一応念のために、最近の金田式アンプで採用されている7本撚り線で配線を強化する部分を真似てみた。つまり7本撚り線は取り付けないが、その代わりに電流が沢山流れそうなパターンは両面基板の表裏に同じパターンで配線して、多数のビアで連結して電流容量を増やしておいたのだ。
その結果、古い時代の金田式DCプリアンプに最新金田式テクニックが融合して、世界に一台だけの貴重な金田式風DCプリアンプが誕生するのだ!
下図に電源回路の完成予定図をKiCadの3DCG機能で描いてみた。
図 金田式DCプリアンプの±35V 最新高速電源回路基板完成予定3DCG
お~、まさに金田式だ!と言う雰囲気が出ているぞ。
やっぱりこう言うアンプで聴く音楽は、いい音が出るに違いない!
ドーパミンが出て来たぞ!!
プリント基板の外注に必要なガーバーデータを準備する
さて、数カ月前からコツコツと夜時間がある時にKiCad使って設計した基板パターンが無事に完成したので、ガーバーファイルに出力する。
ガーバーファイルは基板レイアウトの図形形状やドリル穴位置のデータを保持するファイルで、基板製造業界で標準的に使われているCADフォーマットだ。
KiCadでガーバーファイルを出力するのはとっても簡単。一分も有れば出来るのだ。
以下その手順を示す。
KiCadのレイアウトエディタPcbnewで
ファイルー>プロット
メニューを開くと下図が出る。
図 KiCadのレイアウトエディタPcbnewでファイルー>プロットを開いた
上図において、含まれるレイヤーは自動で選択されているやつのままで良い。たぶんKiCad側で判断して、データが入っているレイヤーを自動で選んでくれているようだ。
あとは、出力ディレクトリを適当な場所に指定して、ガーバーオプションのProtelの拡張子を使用にチェックを入れておくだけで良い(たぶんチェックを入れなくても良いかも)。
それで製造ファイル出力ボタンをクリックすると、選択しているレイヤーと同じ数)のファイルが指定ディレクトリに書き込まれる。ファイルの数は、レイヤー数+1だったかも知れない。
次は、上図のドリルファイルを生成ボタンをクリックする。
そうすると下図が出る。
この画面では、何も設定を変更せずに右下のドリルファイルを生成ボタンをクリックすれば良い。
図 KiCadのPcbnewのドリルファイル生成画面
そうすると、指定ディレクトリに拡張子 .drl のファイルが追加される。
それらを下図に示す。
図 KiCadのPcbnewで出力したガーバーファイル群
これらのガーバーファイルを一つのzipファイルにまとめれば作業は完了だ。
zipファイルの名前などは自由だ。
プリント基板をPCBWayさんに発注する
ガーバーzipファイルが準備出来れば、次は発注作業だ。
ワテの場合は、この所PCBWayさんに発注している。何度か発注したが、仕上がりの状態がいつも同じなので、安心感があるのでお勧めだ。
まずはPCBWay公式サイトを開く。
ページが開いたら、下図の「PCBインスタント見積り」がお勧めだ。
図 PCBWay公式サイトを開いてPCBインスタント見積りを使うと手続きが簡単
PCBインスタント見積り画面が開くと、上図のようにガーバーファイルを追加ボタンがあるので、クリックすると自分のパソコンのファイル選択画面が出るので、先ほど準備したガーバーzipファイルを指定してアップロードすれば良いのだ。
アップロードに成功すると、下図のように基板の縦横寸法が自動検出されると同時に、基板の表裏の形状が絵柄で表示される。
ちなみにインスタント見積りではない普通の見積画面でも似た様な手順になるのだが、インスタント見積りの場合には、基板サイズが自動検出されるので便利なのだ。
下図のように、自動検出された基板サイズが入力欄に入っている。
あとは、基板の枚数を5枚とか10枚など、自分が発注したい枚数にセットする。
まあ5枚でも10枚でも、どっちを選んでも基板の製作費用は約5ドル程度なので物凄く安い。
ただし、今回の基板のようにサイズが10x10cm2以下の場合なら5ドル程度の安い値段で発注が可能だが、それを超えるサイズの場合には、当然ながら価格はアップする。とは言ってもそれでも数十ドル程度の製作費用に収まるだろう。
あとは、下図に示すように幾つかの選択肢があるが、分からないやつはデフォルトのままで良い。
ワテの場合は、変更するのは下図赤枠に示すようにレジスト色(今回は黄色)、シルク文字色、銅箔厚みくらいだ。
図 PCBWayインスタント見積り画面で好きなレジスト色など指定する
上図のように銅箔の厚みはデフォルトの 1 oz Cuにしている。35μmの厚さになる。
もし分厚い銅箔を指定したい場合には、上図のように 2 oz Cu(70μm)や 3 oz Cu(105μm)まで指定出来るが、当然ながら製作費用は5枚で50ドル前後になるはずだ。
なお、PCBインスタント見積り画面では銅箔厚みは最大 3 oz Cu(105μm)までしか選択出来ないが、普通の見積画り面では13 oz Cu(35×13=455μm)まで指定可能だ。まあワテも一度455ミクロン厚の物凄いプリント基板を作ってみたいと思っている。怖いもの見たさみたいなもんかw
上図のように幾つかのパラメータを変更すると、瞬時に費用が再計算されて表示される。
下図は、基板10枚、Fedexで日本まで発送して貰う場合の費用総額が23米ドルと表示されている。
図 PCBWayさんで基板10枚、Fedex発送なら23米ドルで発注可能
これで良ければカートに追加ボタンをクリックすれば良い。
カートに追加しても発注が確定する訳では無い。
つまり、カートに追加すると下図に於いて、レビュー中の場所に入るのだ。
図 PCBWayさんで自分のIDでログインして私の注文画面を開いた状態
レビュー中とは、アップロードしたガーバーデータをチェックして、何か問題が無いかを検証する作業だと思う。
恐らく、最初はプログラムで自動チェックが行われて、もし何か問題があるとか、複雑な場合には人が目視でチェックしているのだと思う。
と言うのは、今回みたいに殆どデフォルト設定で注文すると、レビュー中に入った注文は、速い時には一分から数分後には支払い待ち状態になる。
一方、もし何かデータに問題がある場合には、PCBWayさんから連絡が来る場合もあるし、あるいは些細な問題ならPCBWayのエンジニアさんが気を利かして修正してくれる場合もある。
具体的には、以前にPCBWayさんで製作したLEDリング照明用の円形基板では、アップロードしたガーバーデータに於いて、外周の銅箔パターンとネジ穴が交差していた(下図左)。
図 銅箔パターンとネジ穴が干渉する場所をPCBWayさんで上手い具合に修正して基板が出来上がった例
ワテはそれに気付かずに発注したのだが、PCBWayのエンジニアさんが気を利かせて上写真右のようにネジ穴を避けるようにパターンを修正して基板を製造してくれていた。
と言う訳で、プリント基板を一度も発注した事が無い人は不安は多いとは思うが、取り敢えずガーバーデータを用意してPCBWayさんにアップロードしてみると良い。
何か問題があれば事前に連絡が来るので、その時点でデータを修正して再アップロードすれば良い。もし連絡が無ければ、大船に乗ったつもりで放置しておけば、一週間後には10枚のプリント基板が自宅に届くのだ。
それで期待通りの基板が出来上がっていれば良いし、もし設計ミスなどで間違いがあったとしても、高々23ドル(2500円くらい)の損失なので、良い勉強になったと前向きに考えてデータを修正して再発注すれば良いのだ。
今ではワテの場合は自称KiCadの達人なのだが、初めて基板を海外発注した時にはガーバーデータの出力画面でどのレイヤーを選択すべきなのかとか、この選択項目は何を意味しているのかなど、右も左も分からない状態だったので、ガーバーデータの出力にすら二日くらい悩んだ記憶がある。
ビビリのワテであるw
それが今ではKiCadの達人に成長したのだ(あくまで自称だがw)
今後はKiCadの仙人を目指したい。
なんのこっちゃw
まとめ
ワレコ
今年は梅雨が長い気がする。
もうすぐ六月も終わりだが、天候は晴れたり曇ったり。
まあ今の時期が最も過ごし易いのでワテは好きなのだが。
カンカン照りの八月や残暑厳しい九月にはワテは弱い。
当記事では、ワテが大昔に自作した金田式DCプリアンプを解体して再利用出来るパーツを回収し、それらのパーツを使って新たに金田式DCプリアンプを再作成する過程の第一弾を紹介した。
やはり部屋に不動品、ジャンク品を溜め込んでいても風水的にも空気が淀むだろうから、捨てるなら捨てる。何かに利用するなら今すぐにやると言った、素早い決断が必要だ。
と言う訳で、先日完成したKiCadの基板データはPCBWayさんに無事にアップロードする事が出来た。
パネル加工をPCBWayさんに依頼する予定
さて、アンプなどのオーディオ機器の自作でネックになるのが、見た目だ。
つまり基板は最近ではPCBWayさんのような基板製造業者さんがあるので、比較的お手軽な価格と素早い納期で発注出来るので助かる。
一方、基板を収納するシャーシの加工、特にフロントパネルの加工は、外注に出すと最低でも一万円くらいの追加費用は掛かるだろう。
でも、趣味の自作機器にそんなには出費は出来ないので結局は自分で金属加工をするのだが、穴開け加工などはボール盤やドリルを使えば可能だ。
ところが、パネルに文字を入れる作業は難しい。
通常はインスタントレタリングを貼って文字を入れるとか、あるいは、シールになった透明な印刷用紙にプリンタで文字を印字して、フロントパネル全体あるいは文字の部分だけを切り取ってにシールを貼り付けるなどのやり方もある。
ワテの場合は、どちらもやった事が無い。理由は面倒なのでw
めんどくさがりのワテである。
で、今回はPCBWayさんのホームページにあるプリント基板製造以外の以下のメニューのうち、
- 3D Printing
- CNC Machining
- Sheet Metal Fabrication
- Injection Molding
Sheet Metal Fabricationと言うメニューからフロントパネルの金属加工を依頼してみた。
具体的には幅高厚 210x60x3 のアルミ(黒アルマイト加工を選択)に穴開け加工とレーザーで文字彫り加工(Laser engraving)を依頼したのだ。
次の記事では、その辺りの作業過程を紹介したい。
(続く)
金田式アンプの本を買う
電流伝送って大電流が流れるのか?
完全対称って何が対称なのかな?全然知らないワテであるw
コメント
金田式オーディオDCアンプを探して、このページにたどり着きました。私も45年くらい前にMJの記事を参考にアンプを自作しました。当時は学生でしたので金はなく、秋葉原を回っては同じような部品を集め、下宿で組み立てていました。最近、オーディオを再開したくなり、動かなくなったアンプの修理をしようと思っています。まさに、この回路だったと思います。私も再生を試みます。参考にさせていただきます。ありがとうございました
勝木様
この度は小生の記事にコメントありがとうございます。
記事で紹介した金田式DCプリアンプは、イコライザーアンプ・フラットアンプ共通基板と電源基板を基板製造業者さん(PCBWay)に発注して製作しました。
それらの基板を使って無事にアンプの再生が完了しました。
最近ではレコードは聴かないのでイコライザーアンプ部分は作りませんでしたが、パソコンのデジタル音楽出力をぺるけ式DACでアナログ化して、フラットアンプに入れて聞くと良い音で鳴っています。
勝木様の金田式DCプリアンプ再生プロジェクトも是非成功させて下さい。