写真 自作LM3886パワーアンプで音楽を聴くカーオーディオマニア女子か!?
当記事は、ワテのハイゼットカーゴデラックスに取り付ける予定の自作オーディオシステム製作プロジェクトの第二回目記事だ。
そのオーディオシステムの構想としては、以下の通り。
- 2Wayフロントスピーカー自作(ハイゼット オーバーヘッドコンソールに取り付け)
- 4chパワーアンプ自作(LM3886 x4個使用、2Wayチャンネルデバイダー内蔵、AC100V駆動)
- 上記SPとアンプを組み合わせた本格的マルチアンプシステムの構築
- 電源はポータブル充電器を使う(この記事参照)
を予定している。
前回の第一回目記事では、aitendoさんの基板を使ってLM3886アンプを4台製作した。
今回の第二回目記事では、それらの4chアンプやトロイダルトランスをタカチシャーシに取り付ける作業を紹介したい。
では本題に入ろう。
LM3886アンプ基板にヒートシンクを取り付ける
パワーアンプを作る場合には、適切なサイズの放熱板(ヒートシンク)を選ぶ事は重要だ。
ヒートシンクが小さすぎてパワートランジスタを熱で壊したなんて言う人も多いだろう。
ワテも以前、A級25Wくらいのパワーアンプを作った事があるのだが、まるで電気ストーブのように発熱したのには驚いた。これじゃあトランジスタが壊れてしまうんじゃ無いかと思って、その後、アイドリング電流を減らしてAB級(というか殆どB級)くらいにしたので猛烈な発熱は無くなったが。その結果、音も、弱弱しくなってしまったが。
さて、LM3886アンプにもヒートシンクが必要だ。
ヒートシンクに必要な熱抵抗を調べる
ヒートシンクの大きさを検討してみた。
LM3886の英文データシート
LM3886 Overture Audio Pwr Amp Series High-Perf 68W Audio Pwr Amp w/Mute (Rev. C)
の14ページのFig. 34に、室温(25~110℃)に対するヒートシンクの熱抵抗ΘSA [℃/W] の表があった(下図)。
図 LM3886に必要なヒートシンク熱抵抗値 VS 電源電圧(@環境温度、最大消費電力)
引用元 http://www.ti.com/jp/lit/ds/symlink/lm3886.pdf
ワテの場合は4Ωウーハー、8Ωツイッターを使う予定だ。電源電圧は±35V 程度を予定している。
アンプは車の中で使う予定なのでかなりの高温環境で使う事になる。例えば60℃とする。
そうすると、LM3886に必要なヒートシンクの熱抵抗は6Ωスピーカーの場合だと上図から
LM3886のヒートシンクに必要な熱抵抗(必要最大値) = 1.1℃/W
となるのかな?たぶん。
例えば上の製品だと熱抵抗は1.9℃/Wだ。
表面処理: 黒アルマイト付き
熱抵抗: 約1.9℃/W
もう少し大きなやつだと、以下の製品がある。
この製品だと熱抵抗は0.84℃/Wだ。
表面処理: 黒アルマイト処理
熱抵抗: 約0.84℃/W
だから、今必要な1.1℃/Wだと、これらの中間くらいのサイズかな。
どっちにしてもデカイぞ。
アルミLアングル製のヒートシンクを作成
取り敢えずアルミLアングル(40x20x2ミリ厚)を60ミリくらいに切ってLM3886の背面に取り付けた。
でもこんなに小さいアルミアングルだと熱抵抗が大き過ぎてLM3886がアッチッチになるだろうなあ。
例えば、三端子レギュレーターなどに良く使う以下のようなTO-220用のヒートシンクなら熱抵抗は約20℃/W前後だ。
1.1℃/Wを実現するためにはこの小型ヒートシンクなら20個分くらい必要になる。
困った。
まあ、兎に角、これらのアンプ基板をタカチのシャーシに取り付ける事にする。
もし熱抵抗を小さく出来ない場合には、小型のDCファンで強制空冷するなどの案で対処しよう。
ファンを使うと熱抵抗を大幅に小さく出来るし。
で、アルミLアングルに固定したLM3886アンプ基板の写真を掲載しておく。
背面には4ミリの穴を開けた(下写真)
アンプ基板は樹脂製のスペーサーとプラネジを使ってアルミLアングルに固定した。
下写真は横から見た場合。
さて、今回使ったLM3886はフルモールドのパッケージなので、絶縁しなくても良いのだが、ヒートシンクに取り付けるならシリコングリスを塗るべきだろう。
例えばこんなやつ。サンハヤトさんのシリコングリスは有名だ。
でも手持ちに無い。
で、パーツケースをゴソゴソと探したら、TO-3トランジスタ用の絶縁ラバーシートが有った(下写真)。
その中央にΦ4ミリの穴をポンチで開けた。
マックエイト放熱シート(サーコン) TO-3用 CW-1
■主な仕様
・材質:サーコンⓇTR(UL94V-0)
・使用温度範囲:-60~+180℃
・厚さ:0.30(+0.10/-0)mm
・硬さ:75(JIS A)
・引張強さ:1.7kg/cm
・伸び:100%
・絶縁破壊の強さ:10KV
・耐電圧:7KV
・熱抵抗:0.36℃/W
・燃焼性:V-O(UL94)
確か、秋月かマルツか千石で買った記憶がある。
穴開けに使ったポンチはこんなやつ。
DIYしていると、紙やプラスチックの板などに小穴を開けたい場合が時々ある。そう言う時の為に4ミリとか5ミリくらいの革用の穴あけポンチを持っておくと便利だ。
4台のアンプ基板をタカチシャーシに取り付ける
さて、アルミの長いLアングル(約200ミリ)を二本用意した(下写真)。
このパーツをタカチシャーシに載せた。固定はしていない。
それを使って、タカチシャーシに先ほどの4台のアンプ基板(アルミLアングル放熱板付き)を取り付けた(下写真)。
アルミ同士の接合はエポキシ系接着剤アラルダイトで貼り付けた。接着すると分解出来ないのでネジ止めなども検討したのだが、穴開けが面倒だし、接合面にシリコングリスなど塗布する必要もあると思うので、それも面倒なので手っ取り早く接着剤で貼ってしまった。まあいいか。面倒臭がりなワテである。
でも、これでもまだまだ必要な熱抵抗1.1℃/Wには全然足りていないと思う。
まあ、対策は後で考えよう。
なお、上写真の銀色のアルミLアングルはタカチシャーシに載せているだけなので取り外す事は可能だ。でも載せているだけだと動くので、上写真のようにLアングルの上の四隅をタカチシャーシの梁の部分で押さえるようにした。隙間に入れている灰色っぽいものはゴムだ。それを両面テープ(白色)で貼り付けている。
まあ、これで基板がグラグラと動く事は無いと思うがもし車で走行中に使っていて何か問題が出たら後で対策する予定だ。
タカチのアルミサッシケースを使った
今回使用したケースは、アルミサッシケース OS49-26-23BBだ。
去年(2018)、ぺるけさんの「FET式平衡型差動プリアンプVersion2」を作った時に使ったのと同じシャーシだ。
小型アンプなど作るには手頃なサイズなのでお勧めだ。
本当は、高さ44ミリのEIAの1Uサイズにしたかったのだが、44ミリだと内部空間がかなり狭くなるので使える部品も限られるし作業もし辛い。そこで妥協して49ミリを選んだ。JIS規格になるのかな?
ちなみに、タカチさんにはOSシリーズとは別にPOSシリーズと言う見た目も似た様なシャーシがある。
OSシリーズは2枚の側板を溝にはめ込んで組み立てるので、後から側板を取り外す為には分解する必要がある。
POSシリーズでは、「パネル脱着アルミサッシケース」と言う商品名の通り、その側板が四つのネジで止める構造なので後から簡単に取り外せるのだ。
POSシリーズはメンテナンスし易いので、自作機器にはお勧めだ。値段もOSシリーズもPOSシリーズもあまり変わらないし。
トランスの容量はいくら必要なのか見積もる
この4chアンプで駆動する予定のスピーカーは
ウーハー(4Ω) + ツイーター(8Ω)
の2Way型だ。
左右で合計4個のスピーカーユニットになる。
一方、LM3886の仕様書には、「 Power Dissipation vs Output Power」と言うグラフが有った。
図 LM3886 Power Dissipation vs Output Power
引用元 http://www.tij.co.jp/jp/lit/ds/jajs793/jajs793.pdf Page14
アンプ出力(Output Power)に対する消費電力(Power Dissipation)の関係だ。
電源電圧は±30Vを予定しているので、RL=4Ω と8Ωの場合の最大消費電力はグラフから
47W(RL=4Ω ) 26W(RL=8Ω)
くらいかな。
なので片チャンネル当たり73Wの最大消費電力。両チャンネルだと146Wか。
ワテが使う予定のトロイダルトランスは以下の仕様だ。
二次:22-0-22(3.6A)
直径:110ミリくらい
高さ:40ミリくらい
ジャンクのアンプから取り出したものだ。
二次側の容量を計算すると、
44V x 3.6A = 158.4W
なので、146Wの最大消費電力をギリギリ供給できるという計算でいいのかな?
まあ、そんなに大音量で鳴らす事は無いと思うが、上のグラフを見ると最大出力時よりも中くらいの出力時に最大消費電力に達するようだ。なので、中音量くらいで聴いている時に最も電力を消費するようなので要注意だ。
まあアンプが完成したら、実際にいろんな音量で鳴らしてみてトランスの発熱、LM3886の発熱、ヒートシンクの発熱など、各部をチェックする必要があるだろう。
トロイダルトランスの取り付け
さて、シャーシにトロイダルトランスを取り付ける。
トランスの取り付け場所は、タカチシャーシの前方にする。
下写真のように底板と周囲のフレームとの段差を埋めるために2ミリ厚のアルミ板を敷いた。
また、上写真に示すように、アルミ平板を橋渡しして補強しておいた。板だけだと撓む(たわむ)のでLアングルをアラルダイトで貼り付けて補強した。まあ行き当たりばったりのDIYと言う感じ。
その辺りにトロイダルトランスを載せた(下写真)。
かなりの重量が有るトロイダルトランスだ。直径113ミリ、高さ38ミリくらい。RSコンポーネンツや共立エレショップさん辺りで新品で買えば5千円以上はすると思うが、ワテの場合、当然ジャンク品として格安で入手したものだ。その入手経路や価格は諸般の事情により皆さんにはお教えできない。どんな事情や!?
さて、トランスの中央にある穴にM6くらのボルトを通してシャーシ底板にネジ止めするほうが安定するのは確かなのだが、そうするとシャーシの底にボルトの頭が出っ張る。皿ネジを使って出っ張りを無くす案もあるが。
でも、シャーシが小さいのでトランスの位置を最初に決めてしまうと、その後で空きスペースに載せる予定の電解コンデンサやブリッジダイオード、突入電流防止回路などが載らないかもしれない。
と言う事で、取り敢えずテープで貼って固定したw
上写真のように、トロイダルトランスの周囲にアルミテープを貼って固定した。
まあこれでトランスがズレる事は無いと思うし、上下方向の固定に関しては、天板で押さえ込むので動かないはずだ。
と言う事で、アルミテープでトロイダルトランスを固定すると言う安易な作戦で行く事にしたのだ。
安易にも程がある!
まあいい、アンプとして動作すればいいんだ。見栄えは気にしない。
それに、後になってトランスの位置を変更する場合にはテーブを貼り直すだけで良いから簡単だ。
兎に角、アンプを完成させる事に意味がある。
アルミテープチューンか!?
さて、最近耳にした話題なのだが、車のエンジンとか車体とかいろんな場所にアルミテープを貼ると操縦安定性が良くなり、その結果、燃費が良くなるなどの効果があるらしい。
トヨタ自動車が特許を取得しているそうだ。
2015年7月5日に特許公開されている。
その特許公報にある代表的な図面を引用させて頂く(下図)。
引用元 国際出願 PCT/JP2014/072682 (”車両およびその製造方法”)
特許公報を詳しくは読んでいないのだが、兎に角、上図に示す箇所に導電性のアルミ箔とかアルミテープを貼ると、車の帯電が抑制されて空気抵抗が減り、車の走行安定性が良くなると言う事だ。
で、カーオーディオマニアな人の中には、アルミテープを貼るとカーオーディオの音質が良くなると主張する人もいるらしい。
ネットを見ていると、車にアルミテープチューンをする事で、音のキレが良くなる、曇りが晴れた、音の解像度がアップしたなど、いろんな報告がある。
と言う事で、ワテの場合もトロイダルトランスにアルミテープを貼りまくったので、物凄く高音質なLM3886アンプになる事が期待できるのだ。
いよいよワテもオカルトカーオーディオの世界に足を踏み込んでしまったのかも。
まとめ
当記事では、ワテが自作しているカーオーディオ用4chパワーアンプ(LM3886 x 4個)の製作過程を紹介した。
今回は、アンプ基板やトロイダルトランスをタカチアルミシャーシに取り付ける過程を紹介した。
計算ではLM3886アンプ一台当たり1.1℃/Wの熱抵抗以下のヒートシンクが必要だが、現状では、まだまだその値に到達していない。なので、今後、空冷ファンを取り付けるなどの案を検討中だ。
今後の予定としては、電源回路の製作、突入電流防止回路の製作などを予定している。
一方、スピーカーシステムに関しては、ほぼ完成しているので、それは別の記事で紹介したい。
ワテお勧めのパーツ
ヒートシンクはこんなセットを買っておくと何かと便利だ。
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