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【ワレコの電子工作】ラッチリレー式のオーディオセレクター設計編【押ボタン式】

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写真 朝市でさば文化干を買って焼いて朝食で食べる予定の電子工作女子か?

ラッチングリレー式スピーカセレクターの記事はこちら↴

 

さて、ハイゼットカーゴ向けに自作カーオーディオシステムを着々と製作しているワテであるが、現在までに完成したものは以下の通り。

などか。

残る作業は以下の通り。

  • 上記プリアンプの完成を目指す(秋月USB-DAC、ペルケ式Bluetoothレシーバーなど搭載)
  • AM・FMラジオ(安いカーラジオを購入予定)

などか。

つまりまあ、プリアンプを完成させれば音出し実験も可能となる。

プリアンプには、ぺるけ式のUSB-DACやBluetoothレシーバーも搭載したいと考えている。

またAM・FMラジオの信号もプリアンプに入力したい。

プリアンプでそれらの複数の音楽ソースを切り替える為のセレクター機能はロータリースイッチでやっても良いのだが、以前に作成したぺるけ式FET平衡プリアンプで使った秋月電子のラッチングリレー切り替えがいい感じだったので今回もそれを採用する事にした。

ただし、以前に製作したセレクターはロータリースイッチを回すとラッチリレーを順番に切り換えて行くと言う方式であった。

今回は、プリアンプのフロントパネルに複数個のモメンタリ型プッシュボタンを配置しておいて、任意のボタンを押すと、そのチャンネルのラッチリレーを切り替えるラジオボタン方式にしたい。

そんな機能を実現すべく暇な時に設計を試みてブレッドボードで実験をしていたのだが、ある程度動くところまで漕ぎつける事が出来たので、いよいよ製作にかかりたいと思っている。

当記事はその備忘録。

では、本題に入ろう。

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ラッチリレー式セレクターの第一号機を振り返る

秋月電子で1個80円で売っていたNECトーキン製のラッチリレーがこれだ。

写真 秋月電子で販売中のラッチングリレー(EA2-5TNAG、2巻き線型、2回路C接点)

引用元 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-12139/

ところが今日見たら売っていない。売り切れたのかな?数カ月前に見た時には、確か在庫は何万個もあったと思うのだが。

まあワテの場合、十数個くらい買いだめしているので、当面の電子工作には利用出来る。

代替品としては、同じく秋月電子に

4.5Vラッチリレー 2回路2接点 EE2-4.5TNUX-L

と言う小型のラッチリレーを見付けた。

NEC/TOKINの小型リレーです。スリム形状で軽量を特長とします。

■主な仕様
・コイル電圧:4.5V
・接点容量:2A
・接点電圧:220VDC、250VAC
・接点構成:2c
・コイル抵抗:145Ω
・コイルタイプ:2巻線ラッチング
・実装タイプ:面実装

引用元 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-14035/

まあ、ラッチリレー(=ラッチングリレー)は現在でもオムロン、パナソニック、NECトーキンなど、いろんなメーカーが製造しているので、秋月電子の在庫が無くなっても、マルツ、RSコンポーネントなどいろんなお店で買う事も出来る。

そんなラッチリレーを使ってプリアンプの入力ソース切り替え機能を実装して以下の記事で紹介している自作プリアンプに組み込んだのが2018年の事だ。

ぺるけさん設計のこのFET式平衡プリアンプは、現在はワテのPCオーディオシステムの中核を担う重要な機器だ。このアンプで聴くラジコ、ラジル、音楽、YouTube動画などは、どれも非常にナチュラルなサウンドで鳴るのだ。

癖のないプリアンプ。存在を意識しないプリアンプ。それならこのプリアンプを通さなくても良いんじゃないの?と言う訳には行かない。

このぺるけ式FET平衡プリアンプを通す事によって、そんな特別な静寂感のある自然な音になるのだ。ノイズも一切無いし、非クリックタイプのアルプス四連ボリュームはスムーズに回って使い易い。

さて、そのプリアンプに採用したのが上で紹介した秋月電子のラッチリレー(下写真)だ。

写真 ワテ自作のぺるけさんのFET式平衡型差動プリアンプVersion2

下写真で中段にあるのがぺるけさん設計のFET式平衡型差動プリアンプVersion2のフロントパネルだ。

右端のシルバーの大きなツマミがアルプスRK27のA50KΩ四連ボリューム。中央のシルバーのツマミが入力セレクターのロータリースイッチ。

写真 ワテの現在のPCオーディオシステムの中核を成すRolandパワーアンプとぺるけ式平衡プリ

このロータリースイッチを回すと、ラッチリレーが切り替わるように設計した。5チャンネル切り替えになっている。インスタントレタリングなどで文字を描いていないので分かり辛いw

その回路図は、電子回路初心者のワテ独自設計なのでヘンテコだが、一応問題なく動いているので公開している。これだ。

図 ワテ設計の秋月2巻線型ラッチリレー駆動回路(上図は1ch分なので5ch作成した)

回路図を説明すると、ロータリースイッチを回して入力を1から2へ切り替えたとする(下図)。

そうすると、入力1は5V→0V、入力2は0V→5Vのパルス信号がSet/Reset生成回路に加わる。

Set/Reset生成回路では、74HC14(シュミットトリガインバーター6回路)を使って、そのパルスの立ち下がり(入力1Reset用)、立ち上がり(入力2Set用)を検出して、幅40ミリ秒くらいの単発のパルスを生成してラッチリレーのReset信号、Set信号として利用しているのだ。

まあ、これで今のところ一年以上使っているが正常に動作している。

なお、ネット検索して他の人のラッチリレーの駆動例を見てみると、ワテがやっているように幅数十ミリ秒の単発のパルスを生成してラッチリレーのセット、リセットの信号にする方式はあまり見かけなかった。

多くの場合には、モーメンタリ型の押しボタンスイッチを押すと対応するラッチリレーにはセット信号、それ以外のラッチリレーにはリセット信号を送る方式を良く見かける。その方式だと、押しボタンを押し続けると、その間もずっとリレーのコイルには電流が流れている。

まあ、通常は押しボタンスイッチを一瞬押してリレーを切り替えるような使い方をするから、押しボタンスイッチを長押しするような状況はない。

なので、ネットで見掛けるこれらの方式でも良いとは思うのだが、ワテの場合には、電子回路初心者なので、7400シリーズのICを使って基本に忠実に単発のセット、リセットパルスを生成してラッチリレーのコイルを駆動してみたかったのだ。

単にそう言う理由で、上の回路を作ってみたのだ。

ラッチリレー式セレクター第二号機はモーメンタリ型押ボタン方式にする

さて、今回、カーオーディオ用のプリアンプにおいては、ラッチリレーの切り替えにはロータリースイッチではなくて押しボタンスイッチを採用する予定だ。

つまりまあ、下図に示す様にプリアンプのフロントパネルには、入力ソースを切り替える五つのモーメンタリタイプの押しボタンスイッチがあり、押しボタンスイッチを押すとラッチリレーが動作して、そのチャンネルの音楽ソースがプリアンプに入力される。そして現在選択中の入力ソースは発光ダイオードが点灯して分かり易く表示するようにしたい。

図 カーオーディオ用プリアンプのフロントパネルデザイン案(by Wareko)

これらの機能を実現する為には、モーメンタリ型押しボタンスイッチの押下が解除された後も、そのボタンの上にある発光ダイオードを点灯させ続ける必要があるので、ボタンが押されたという情報を何らかの手段で保持しなくてはならない。

最も簡単なのは、ラッチリレーが2C接点を持つので、そのうちの1回路を使って発光ダイオードの駆動回路に使う方式が考えられる。でもそれだとオーディオ信号の切り替えに利用出来るのが1回路になってしまうので、リレーの数が沢山必要になってしまう。

あるいはオルタネイト型の押しボタンスイッチで5連くらいのラジオボタンになっているやつを入手して、それを使っても良いが、そんなラジオボタンは今ではあまり見かけないので入手し易いモメンタリ型押しボタンスイッチで行きたい。

Arduinoなどのマイコンを利用する案もあるが、プログラムでやってしまうのはロジックの勉強にならない。電子回路初心者のワテの場合、SN74HCxxシリーズのCMOSロジックICを組み合わせて目的とする回路を作る事に意味があるのだ。

と言う事で、別の方式を考える事にした。最終的には、Dラッチ回路を利用して、現在選択されているチャンネルの発光ダイオードを光らせている。そして、その選択チャンネルのラッチリレーはセット状態になっていて、そのチャンネルの入力信号がプリアンプに送られるのだ。その時には、他のラッチリレーはリセット状態になるように排他制御している。

以下では、今回ワテが採用したDラッチ回路などを備忘録の意味も込めて簡単に解説しておく。

NAND型SRラッチ

モメンタリ型プッシュボタンが押されたという情報を保持する為に、最初に考えたのはSRラッチ回路の採用だ。

図 NAND型SRラッチ

引用元 https://ja.wikipedia.org/wiki/ラッチ回路#ゲーテッドDラッチ回路

ワテの場合、電子回路初心者なのだが、SRラッチくらいならどうにか理解出来ている。

つまりまあ、セットやリセットの信号を与えると出力QやQが下表のように変化するのだ。

SRラッチの動作は以下の通り。

S

R

 

動作

L

L

 

禁止

L

H

 

H

L

セット

H

L

 

L

H

リセット

H

H

 

Qprev

Qprev

保持

表 SRラッチの動作(Qprevは直前に覚えていた値を表す)

引用元 https://ja.wikipedia.org/wiki/ラッチ回路#ゲーテッドDラッチ回路

当初はこのSRラッチを利用して、Rを通常はHighにしておいて、押しボタンスイッチを押すとSにLowを与えるようにして、出力QがHigh、QがLowになるのを利用してラッチリレーの駆動信号を作る事を試みた。

肝心な点は、どれか一つの押しボタンスイッチを押すと、現在セット状態にあるSRラッチはリセットして、押しボタンに繋がっているSRラッチをセット状態に変える必要がある。

今の場合NANDゲートを使うので74HC00Nを使うが、他のORやNOR(7402 Quad 2-input NOR Gates)などを組み合わせると目的とする動作は出来そうな感じだったのだが、出来ればNANDのみで構成したい。つまり74HC00N以外のICは出来るだけ使いたくない。理由は、使用部品の数を減らしたかったので。

それで色々工夫していたのだが、ボタン押下されたSRラッチ(=自分)はセット、自分以外のSRラッチにはリセットを行うにはどうしてもOR的な機能が必要なので、ネット検索してダイオードORの方式を試してみた。

それで上手く出来たのだが、問題が一つあった。つまり、例えば押しボタンスイッチ3個を使った3入力のセレクターを作るとして、入力1、入力2、入力3とする。

入力1のスイッチを押した場合には入力1のSRラッチはセットして、入力2と入力3のSRラッチはリセットしたい。

同様に、

入力2のスイッチを押した場合には入力2のSRラッチはセットして、入力3と入力1のSRラッチはリセットしたい。

同じく

入力3のスイッチを押した場合には入力3のSRラッチはセットして、入力1と入力2のSRラッチはリセットしたい。

こんな風になる。

そうするとこれをダイオードオアを使って単純に配線すると、沢山のダイオードが必要になり(3x2=6本)、配線も煩雑になってしまった。動作的には期待通り動いたのだが、スマートな方式ではない。

それに、もし5入力のセレクターを作るとなると、5x4=20本ものダイオードが必要になるので、現実的ではない。

と言う事で、ダイオードオア方式を使って自分以外のSRラッチにリセット信号を送るやり方は不採用とした。

では、どうするか?

そこでワテは考えた。

自分も含めて全てのSRラッチにリセット信号を送る方式で行く事にした。それなら5入力セレクターであっても、単純に5本のダイオードを使ってダイオードOR接続すれば良いのだ。

SRラッチはそのリセット信号を使って現在セット状態にあるSRラッチは自分をリセットすれば良い。一方、ボタン押下されたSRラッチ(=自分)はセットしたい訳なので、ボタン押下中にリセット信号が来てもリセットはせずにセットを行えば良いのだ。

となると、SRラッチの前段にそのような動作を行う事が出来るロジックを入れれば良さそう。

そこで74HC00Nの4回路NANDのうちSRラッチに2回路を使ったがもう2回路のNANDが余っているので、それを使って試行錯誤していたらゲーテッドDラッチ回路(下図)を組むと上手く出来た。

ゲーテッドDラッチ回路

ワテの場合、電子回路初心者なのでSRラッチは知っていたが、ゲーテッドDラッチ回路(下図)は知らなんだw(注:「知らなんだ」は「知らんかった」の関西における古い表現)

さて、ワテがSRラッチ回路をこねくり回していたら、知らないうちにゲーテッドDラッチ回路に発展していた。

図 ゲーテッドDラッチ回路

引用元 https://ja.wikipedia.org/wiki/ラッチ回路#ゲーテッドDラッチ回路

ゲーテッドDラッチ回路の真理値表は以下の通り。

E

D

 

Q

Q

コメント

L

X

 

Qprev

Qprev

変化なし

H

L

 

L

H

Reset

H

H

 

H

L

Set

表 Dラッチ真理値表

引用元 https://ja.wikipedia.org/wiki/ラッチ回路#ゲーテッドDラッチ回路

つまりまあ、リセット信号(H)は全てのチャンネルのEに送る。その時にD入力(押しボタンスイッチでHを発生させている)がHの場合には、上記真理値表のQ=Hの状態になるのでこのQ信号を使ってラッチリレーのセット信号にすれば良い。

つまり、直前まではQ=LだったのでQ=Hに立ち上がるエッジを検出してラッチリレーのセット信号を生成する。

一方、自分以外の押しボタンスイッチは押されていないので、それらのチャンネルのD入力はLなので、上記真理値表のQ=Lの状態になり、その信号を使ってラッチリレーをリセットすれば良い。

つまり、直前までQがセット状態(H)にあったチャンネルのみ、Q=Lに立ち下がるので、そのエッジを検出してリセット信号を生成すれば良いのだ。

と言うような考えに至り、ブレッドボードで組み立ててみたらいい感じで動いた。

ワテ方式では、現在セット状態のラッチリレーのみリセットすると同時に、選択されたラッチリレーのみセットするので、物凄く省エネな動作だ。今流行りのエコだ。でも多分、あと10年もすれば人類は深刻な環境破壊(大気汚染、海洋汚染など)が原因で滅亡に向かうと思う。

ちなみにネット上で類似のラッチリレー式セレクターの製作例を見ると、リセット時には全ラッチリレーにリセット信号を送ってリセットコイルを駆動する。その後で、目的とするセットコイルのみ駆動するような製作例も見掛けるが、ワテは省エネを目指した。

まあ実用上はどっちでも同じだがw

ゲーテッドDラッチ回路の豆知識

真理値表は、enable/clock 入力が0のとき、D入力は出力に影響を与えないことを示している。また、E/C入力がHighのとき、出力はDに等しい。

引用元 https://ja.wikipedia.org/wiki/ラッチ回路#ゲーテッドDラッチ回路

ちなみにDラッチの出力はSRラッチの前段にゲートを追加した結果、入力データが遅延したものなので、DラッチのDは遅延(Delay)の意味らしい。知らなんだ。

ショーティングやノンショーティング動作を設定可能

ゲーテッドDラッチ回路のQ出力には、リセット信号やセット信号が発生する。ボタン押下したチャンネルのセット信号と、直前までセット状態で今回リセットされたチャンネルのリセット信号は別々に発生するので、それらの信号を使ってラッチリレーのセットパルスやリセットパルスを作る場合には、必要に応じて何らかの追加回路を入れて時間的なディレイを入れてやる事も可能だ。

そうすると、例えば、先にリセットパルスを発生させて(と言うか、セットパルスを遅らせると言う方が正しい)、後でセットパルスを生成すればノンショーティングな動作に出来る。

逆にすればショーティング動作にも出来る。

ブレッドボードに実装したラッチリレー式4チャンネルオーディオセレクター

この実験は数カ月くらい前から時間がある時に気が向いたら時々やっていたのだが、この数カ月は暫く中断していた。理由は単に気が向かなかったので。

でもカーオーディオ用プリアンプを作り始めたので、オーディオセレクターが必要になり、本腰を入れて再開したのだ。

で、先日、気合を入れて一時間程でブレッドボードに組んでみたら、泥沼にはまる事も無くほぼトラブルなしで動いたのだ。抵抗が燃えたり、ICやトランジスタが発熱で壊れるなども無かった。気分爽快。

写真 ブレッドボードに実装したラッチリレー式4チャンネルラインセレクター

上写真において、下段にある四つの押しボタンスイッチがセレクターボタン。

左端に一個ある押しボタンスイッチは、手動で全リセットする機能も付けてみた。また電源オン時の全リセットもその付近の回路で実装している(パワーオンリセット機能)。

ブレッドボード中央に四つ並んでいる発光ダイオード(水色)は、現在選択されているチャンネルが光る。上写真では右端のLEDが光っている。

本番のプリアンプでは、その選択チャンネルのリレーがセットされれば入力オーディオ信号をプリアンプに送れば良いが、この実験では、リレーにも発光ダイオード(薄緑)を入れてセット状態のリレーは発光ダイオードが光るようにした。上写真では右端のLEDが光っている。

 

下段に並ぶ四つのモーメンタリ型プッシュボタンを適当にランダムに押してみたら、期待通りにリレーがカチカチと切り替わって行く。

下写真は左から2番目のチャンネルが選択されている状態だ。

写真 押しボタンスイッチ切り替えのオーディオセレクター(ラッチリレー式)

押しボタンスイッチをランダムに押しまくっても、カチカチと言う音を立てて確実に秋月電子のラッチリレーが切り替わる。

いい感じだ。

リレーのセットコイル、リセットコイル(仕様書によるとコイル駆動電流は40mA)の駆動には2SC1815GRを使っているが、汎用のNPNトランジスタなら何でも良いだろう。

なお、現状では回路図は非公開だ。

理由は、ワテ設計だから超ヘンテコなのでwww

プリアンプに組み込んで無事に動いたら、恥ずかしながら公開してみるかな。

本番では、一回路当たりリレーを二個制御する予定だ(下図)。

図 ラッチリレー式入力セレクター回路(1チャンネル分)、本番ではこれを5台製作予定

押しボタンスイッチ切り替えのオーディオセレクターの懸案事項

以下の懸案事項があるので、出来れば対策をしたいと思っている。

複数のボタンを同時押しすると正常に動かない場合がある

押しボタンスイッチは一つずつ押す事を前提に製作している。ボタンを一つずつ押す限りは、かなり素早くランダムに押しても、正常に動作する。

ところが、複数のボタンを激しく同時に押したり切ったりすると、正しく動かない。つまり、複数のラッチリレーがオンになったり、あるいは、一つもオンにならないなどの状態になる。

また、水色〇の発光ダイオード群と薄緑〇の発光ダイオード群は、正常動作した場合には、かならず上写真のように、選択したチャンネルの二つのダイオードのみが縦に2個並んで点灯するはずなのだが、異常動作した場合には、それらの規則も成り立たない。

つまり、押しボタンスイッチを複数ランダムに押しまくると、支離滅裂な状態になる。まあその場合でも、その直後に、正しく一個のボタンのみを押せば、そのチャンネルが正しく選択されて発光ダイオードも正しく縦に2個点灯して、機能は回復する。あるいは、必要なら、全リセットボタンを押せば、どのチャンネルも選択されていない状態にリセット出来るので、発光ダイオードも全消灯出来る。

と言う事で、この件は、完璧に制御する事は益々回路が複雑になるし、ワテの技術力では困難なので、このままで良い事にする。つまりまあ、実際に使う時に一つのボタンを確実に押せば良いわけで、もしウッカリして二個のボタンを同時押しして誤動作した場合には(しない場合のほうが多いが)、再び目的のボタンを一個だけ押し直せば良いのだ。

ただし、もしこの回路をスピーカーセレクターに応用した場合にも、一つのチャンネル(=スピーカー)のみ選択しているつもりが、ボタン同時押しによって知らないうちに複数のスピーカーが選択さている可能性も有り得る。

つまり選択表示LEDは一個だけ点灯しているが、リレーは複数個がセット状態になってしまっている場合だ。

そうすると、複数のスピーカーがパワーアンプに並列接続される事となりスピーカーのインピーダンスが低くなるので、最悪の場合、パワーアンプが壊れるだろう。その点は要注意だ。

いずれにしても、複数のボタンを激しく同時押しするなどの乱暴な操作をしない限りはそんな状況にはならないので、普通に使う分には現状でも良いだろう。それにワテしか使わないしw

電源を切るとラッチリレーも選択表示用発光ダイオードも状態がリセットされてしまう

この回路の電源を切って再び入れたとすると、直前にセット状態にあるラッチリレーは永久磁石によってその状態を維持している。ところが、D-Latch回路の部分は電源ONによってランダムな状態になるので、リレーの状態も変わってしまい、どのチャンネルが選択されるか分からない。あるいは複数のチャンネルが選択されたり(ごく稀)、あるいはどのチャンネルも選択されない状態(これが普通)になる。

その対策として、電源を入れるたびに自動でパワーオンリセットを行い、全リセットにしたあとで、自分で手動で必要なチャンネルの押しボタンスイッチを押して選択するようにしている。

でも、本当なら電源を切り入りしても、直前の選択状態を示す発光ダイオードもリレーの状態も保持したままにしたい。まあ、内蔵バッテリーでも搭載して、回路に電源を供給し続ける案などもあるが、面倒くさいので、今回は採用を見送り。

普通のリレーを使う場合にはセット・リセットコイル駆動回路は不要

当記事はゲーテッドDラッチ回路を利用してラッチングリレーをラジオボタン式に切り替えるラインセレクターあるいはスピーカーセレクターの回路を紹介した。

でも、リレーはラッチングリレーではなくて普通のリレー(非ラッチング)を使いたい人もいるだろう。その場合には、ワテが74HC14の6回路シュミットトリガインバータを利用してセット・リセットコイル駆動用のパルスを生成している回路は省略できる。

具体的には、ゲーテッドDラッチ回路のQ出力(必要ならQ出力も)を利用してトランジスタを駆動してリレーのコイルを駆動すれば良いだろう。

まとめ

ダイハツの軽バン、ハイゼットカーゴ向けに高性能カーオーディオシステムを着々と自作しているワテであるが、モーメンタリ型プッシュボタンを複数配置して、任意のボタンを押すとそれに応じて秋月電子のラッチリレーを駆動して、入力ソースを切り替える事が出来るオーディオセレクターの試作がほぼ完成した。

セレクター基板が完成した場合には、自作プリアンプ兼チャンネルフィルターに組み込む予定だ(下図)。

図 ワテ自作中のカーオーディオ用プリアンプ(2Wayチャンネルフィルター内蔵)のブロックダイアグラム(図は片CHのみ)

このラッチリレー式オーディオセレクターの特徴としては、以下の通り。

  • 入力切り替えにはモーメンタリ型プッシュボタンを採用
  • 必要なら回路を追加するだけで何チャンネルでも切り替えられる
  • 現在選択中のチャンネルがどれなのかを発光ダイオードで表示出来る
  • チャンネル切り替えには74HC00Nの4回路NANDで組んだゲーテッドDラッチ回路を利用
  • ラッチリレー駆動用のセット・リセットパルス生成には74HC14の6回路シュミットトリガインバータを利用
  • Arduinoなどのマイコンを使わずにTTLのみで組んだので、デジタルノイズは発生しない

などかな。

欠点としては、回路は単純だが配線が多いので、手軽には作れない。もし作るなら専用のプリント基板を外注してからにしたいと思っている。

と言う事で、次の作業は前々から挑戦したいと思っていたプリント基板の設計と外部発注かな。特に中華業者に発注すれば値段も安く納期も早いらしいので。

やってみるか。

その後、基板設計と海外発注を実際にやってみた!

市販のオーディオセレクター、スピーカーセレクターの紹介

上の製品の場合、AVセレクターなので、左右の音声だけでなく映像も切り替えられる。これなら音声だけを入力してオーディオセレクターとしても利用出来るし、将来気が変ってAVセレクターとしても利用出来るのでお勧めだ。

シンプルなデザインがワテ好みだ。

上の製品の場合、

2アンプ⇔4スピーカー

4アンプ⇔2スピーカー

と言った接続が可能なので、多数のアンプやスピーカーを組み合わせを試したい人にはお勧めだ。端子もバナナプラグが挿し込める大型のネジ式ターミナルなので、いろんなスピーカーケーブルを取り付け可能なので、そう言う点でもお勧めだ。

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この記事には読者の方からコメントが 4件あります。
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コメント

  1. 鈴木俊也 より:

    いつも楽しく拝見させて頂いております。
    とてもタメになります。
    実際に今、XLRキャノンコネクタ32入力で1出力のセレクターを作ろうと思っております。
    リレーが膨大な数なので基板化は必須ですよね。XLRコネクタはマイク1本でバランス入力なのでホットとコールド2本必要、なのでリレーは接点2個の物を使用しなければなりませんよね。
    問題は照光式ボタンスイッチを使用しながら、どうやってモーメンタリーSWをラッチ出来るかにあります。でき
    何かそのあたりのノウハウご提示出来ましたら幸いでございます。

    • wareko より:

      鈴木様
      この度は小生の記事にコメント有難うございました。
      さて、私の場合にはモーメンタリSWの押下情報を記憶する為にDラッチ回路を利用しました。
      具体的には記事中に説明しているように74HC00の四つのNANDを組み合わせて作りました。
      この方式ですと、もし32入力に対応するには32個もの74HC00が必要になります。
      まあ私のような個人が趣味で作るならそれでも良いかもしれませんが、製品に組み込むならもう少しスマートな案として、例えば
      74HC573(8回路Dラッチ3ステートバッファ)などを使えば、このIC一個で8入力まで対応できますので、四個使えば32入力に対応出来ると思います。

  2. beshio より:

    当方もオーディオセレクターを製作しようと思っていて、人様の製作を調べていてココに来ました。ATMEGのMCUなど使わずに74HCで頑張るという意気込みが良いですね。40年くらい前に同じように74XXでロジック回路を設計してましたが、当時は74LSというのが主流でした。今ではこうしたランダムロジックで回路を構成する人は本当に見なくなりました。
    みんカラに制作記をブログで書き始めたので気が向いたら見にきてください。

    • wareko より:

      beshio様
      この度は小生の記事にコメントありがとうございます。
      早いものでこの記事は今から三年半ほど前に書きました。
      その当時はラッチリレーの制御に凝っていまして、Arduinoなどのマイコンも興味は有ったのですが使った経験が有りませんでした。
      そこで74HCxxシリーズのロジックICを使ったのですが、結果的には上手く行きました。
      今ではArduinoやATMEGAマイコンも覚えましたので、今やるならマイコンでやる方が簡単ですね。
      ではbeshioさんのサイトも時々拝見させていただきたいと思います。
      マイコン式オーディオセレクターの製作過程の記事を楽しみにしています。