写真 三千円程度で部品半田付け済アンプ基板を買えば簡単にアンプを自作出来る
ワレコ
上写真のようなアンプキットを買えば、あとは電源を接続すれば自分で簡単にオーディオアンプを作る事が出来る。
特にデジタルアンプ(=D級アンプ)の場合には、DC12V程度のACアダプターを繋げば良いのでお手軽だ。
ワテも久しぶりにパワーアンプの製作に取り掛かった。
当記事は、L4780TAワンチップのステレオオーディオアンプICを使ってオーディオアンプを作る記事の第二回目。
KiCadを使ってプリント基板を設計した過程を紹介した前回の第一回目記事は以下の通り。
PCBWayさんに発注していたプリント基板が約一週間で自宅に到着したので、その基板の出来具合を紹介したい。
では、本題に入ろう。
配達業者さんはFedexさんを指定した
海外プリント基板製造業者さんに基板を発注する場合、配送業者さんは幾つかの選択肢がある。
主な配送業者さんは
- DHL
- Fedex
- China Post(中国郵政)
だ。
ワテの経験では、どの基板製造業者さんの場合でも、DHLやFedexさんの配送料金は約20ドル、配送日数は四日から五日くらいだ。基板製造には三日前後掛かるので、基板を発注してから一週間から十日前後で自宅にプリント基板が届く。
一方、China Post(中国郵政)で発送すると送料は10ドル程度に抑える事が出来るが、配送日数は二週間から三週間くらい掛かる(ワテの経験)。
いつもなら何となくDHLさんを選択していたのだが、今回はFedexに変更した。
写真 Fedexで届いたPCBWay製のプリント基板(100x100mm2両面スルーホール基板10枚)
その理由は、DHLの配送料金が2021年1月頃から上がったのだ(ワテの場合)。具体的には、従来は19ドルだったのが、26ドルの遠隔地料金と言うのが追加されて、DHL送料は45ドルになってしまった。
日本円で五千円。これは高い。
そこで今回、PCBWayさんのサイトで基板を発注した時にFedexさんを指定したのだ。
PCBWay製の10枚の両面スルーホール基板は下写真の小箱に入っている。
写真 いつもと同じPCBWayの小箱
下写真のように十分な量の梱包材が詰まっている。
基板は下写真のように十枚重ねてエアーキャップで包まれて真空パックされている。
下写真のように、エアーキャップで真空パックされた十枚のスルーホール基板を取り出した。
写真 基板表面の「PCBWay」ロゴはワテ自作
このように厳重に真空パックされているので、十枚の基板は輸送中に互いに擦れて傷つくなどの事故が起こらないように対策されているのだ。
なお、上写真の基板表面の「PCBWay」ロゴはワテ自作だ。どこの基板製造業者さんで作った基板なのかを分かり易くする為に採用した。なので、PCBWayさんに基板を発注すると自動的にこのゴロが入る訳では無い。
下写真のように、真空パックをカッターで切って開封して、二枚のプリント基板を取り出した。
写真 ガラスエポキシ1.6ミリ厚の基板が十枚なのでずっしりと重い
PCBWayの黒色基板はワテのお気に入り
では、PCBWay製のプリント基板の出来具合を紹介したい。
写真 ワテの液晶ディスプレイで見る限り、上写真の色合いが最も実物に近い雰囲気
今回作成したプリント基板の仕様は以下の通り。
- サイズ 100x100mm2
- 両面スルーホール基板(1.6mm厚)
- レジスト色:黒つや有り
- シルク文字色:白
- 銅箔厚さ:35µm(= 1 oz Cu)
- 半田ランド仕上げ:有鉛半田メッキ(追加料金で金メッキなど選択可能)
- 四隅にM3ネジ穴加工(ネジ穴などの穴開け加工は追加料金無しで幾つでも可能)
などか。
ちなみにKiCadで設計した基板の3D CG画像は以下の通り。
基板十枚の製作費用はPCBWayさんのサイトで簡単に計算できるが、基板面積が100x100mm2サイズ以下の場合、十枚作っても5ドル程度の格安料金なのだ。
さて、今回は黒色レジストを選択した(下写真)。
写真 半田面の銅箔パターンをフラッシュで強調して撮影した
PCBWayさんの黒色レジスト基板を発注するのはこれで二回目。
一回目に黒色レジスト基板で発注したのは、「ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5 19V版」を作った時だ(下記事)。
この時に製作した黒色レジスト基板は、漆黒と言う感じの深みのある黒色で、高級感と重厚感があり、とってもいい感じの基板だった。
その黒色基板を使って製作した「ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5 19V版」は無事に完成して、ワテのPCオーディオシステムに組み込んで日常的に使っている。
ぺるけさん設計のこの「ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5 19V版」は、長時間聴いていても耳に優しく心地よい。
十枚作った「ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5 19V版」専用基板はまだ何枚か余っているので欲しい人がいれば差し上げても良いのだが、匿名でブログを運営している関係で発送も匿名にしたい。
もしそんな方法があれば基板希望者さんに匿名で基板を差し上げますが。
黒色基板は写真撮影が難しい
黒色レジスト基板は、写真撮影が難しいのだ。
フラッシュ無しやフラッシュ有りなど、色々試しても中々良い写真が撮れない。
写真 フラッシュで銅箔の凹凸を強調して撮影した半田面のパターン(一点アースの部分)
このページに掲載している写真で、基板表面が白っぽくなっているのはフラッシュ有で撮影した写真だ。
フラッシュを使うと基板の細部まで写せるメリットはあるが、基板表面の微かな凹凸や擦り傷などが極端に誇張されて写ってしまう問題もある。
写真 部品面のシルク文字も綺麗に印字されている
部品面のシルク文字(15Kや1µなど)は高さ1mm、幅0.15mmを指定しているが、上写真のように文字も鮮明に印字されている。
また、抵抗やコンデンサ用の銅箔ランドの部分は、直径1.6mm、穴径0.8mmで、有鉛ハンダメッキを指定しているが、綺麗に仕上がっている。
なお、半田表面が白っぽく見える部分もあるが、これはフラッシュの影響であり、実物の半田メッキの表面は銀色の鏡面で光沢があり綺麗に仕上がっている。
当ページに掲載している基板の場合、ワテの目で見る限り基板表面も綺麗に仕上がっていて、フラッシュ有の写真で強調されているような白っぽい筋状の傷などは肉眼では殆ど気にならない。
L4780TA・LM4780の27ピンがピッタリ刺さる
さて、今回使うワンチップのステレオパワーアンプIC(ナショナルセミコンダクター社製L4780TA)を下写真に示す。
写真 ナショナルセミコンダクター社製L4780TAワンチップステレオパワーアンプIC
このL4780TAや後継品のLM4780の場合、足は27ピンある。前列が14ピン、後列が13ピンだ。
前列と後列の間隔は約4ミリ、隣り合うピンの間隔は約2ミリ。
基板のランドの直径は1.6ミリで、穴径は1.0ミリで設計している。
L4780TAがピッタリと基板に刺さった!
さて、L4780TAを基板に挿してみた(下写真)。
写真 L4780TAパワーアンプIC(27ピン)がワテ設計基板にピッタリと嵌っている
その結果、上写真のようにピッタリと穴に納まっているぞ。
完璧や!
ICを基板に差し込んで27本ものピンが綺麗にドリル穴に収まる時の快感は、自作基板を発注した者にしか味わえない感動なのだ。
ほんまかいなw
実際、この手の特殊な足の並びを持つICをユニバーサル基板に手半田で取り付けるなんてのは、非常に困難なのだ。
実際にやるとしたら、足間隔が2ミリなので、2ミリピッチのユニバーサル基板を細長く切って二枚用意する。
それを1ミリずらして接合すれば、L4780TAの足配置と同じに出来るが、とっても面倒な作業だ。
そんな面倒な作業をしても、見た目が汚い。それならKiCadの操作方法を覚えてしまって自分で専用基板を設計してPCBWayさんさんに発注するほうが遥かにお手軽なのだ。
写真 正面から見たL4780TAの27本の足が完璧にドリル穴に収まっているのだ。感動的だ!
いや~、専用のプリント基板を設計して外注する。
これぞ電子工作の醍醐味と言っても良いだろう。
写真 L4780TA専用基板の半田面の全体写真(フラッシュで基板面の粗が目立つが肉眼では目立たない)
念のために太陽光の下で撮影してみた(下写真)。
写真 太陽光の下で撮影したPCBWay製のL4780TAパワーアンプ基板(黒レジスト)
上写真の色合いが最も実物に近いと思う。
ただし、上写真では基板表面の光沢が感じられないが、実物の基板表面は光沢がある。これは発注時に黒色レジスト(光沢有り)を選択したからだ。
ちなみにPCBWayさんのサイトでは、黒色レジスト(光沢無し)も選択できるが、その場合は若干費用が上がる。まあこれは他の基板製造業者さんでも同じような価格体系になっている(ワテの経験)。
まとめ
水野ワレコ
いやぁ、専用基板って本当にいいもんですね。
当記事では、ワテがKiCadで設計したL4780TAワンチップのステレオパワーアンプIC用の専用基板が中国深圳のPCBWayさんさんから到着したので、その基板の出来具合を紹介した。
黒色レジスト基板に白色シルク文字の組み合わせは、重厚感と高級感があり、ワテの場合にはパワーアンプにはこの色の組み合わせの基板を使う事が多い。
黒色基板からは迫力がある音が出る気分になるので、パワーアンプに相応しい色だと思うのだ。
まあプラシーボ効果かも知れないがw
でも、それが仮にプラシーボ効果だとしても、それで良い気分で音楽を聴く事が出来るのであれば、結局は黒色基板は良い音が出ると言う結論になるのだ。
とは言っても、それがエスカレートして、クライオ処理とか、床に水晶を敷き詰めるなどのマニアックな領域にはワテは全く関心は無いが。
でもまあ、そう言うのを楽しむのもオーディオ趣味の一つだろう。
と言う事で、専用基板を入手出来たので、近日中に電子部品を半田付けしてL4780TAステレオパワーアンプを完成させたい。
続く
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