ワレコ
自称、大相撲好きのワテが、大相撲の八百長問題に関して意見を述べたい。
まあ、そんな物に興味ある人は、ワテ以上の変人かも知れないが。
では、本題に入ろう。
幕下力士と十両や幕内力士の月給は大違い
力士が八百長を行う理由の一つとして考えられるのは、力士の給料はその地位に応じて変わるが、上位力士と下位力士とでは、給料の差が月とスッポンくらい違うのだ。
まずは、力士の財布事情を見てみよう。
大関稀勢の里(30=田子ノ浦)の綱取りに期待がかかる2017年1月の大相撲初場所(大相撲九州場所:福岡国際センター)であるが、金星が連発するという別の話題もある。
- 御嶽海が日馬富士を破って初金星、座布団が舞う。
- 満身創痍の日馬富士が松鳳山に敗れて二日連続の金星配給、引退勧告か。松鳳山は3個目の金星だ。
- 日本とフィリピンのハーフで中々イケメンの御嶽海が日馬富士に続き鶴竜も撃破して2つ目の金星
- 5連敗中の荒鷲(30歳)が鶴竜を破って初金星
- 荒鷲が白鵬も倒して二個目の金星、懸賞金は138万らしい。
- 勢(いきおい)が鶴竜を破り金星をゲット、懸賞87万円だ。
もう金星の連発!
金星とは
Wikipediaによると、
金星 (相撲)
金星(きんぼし)とは、大相撲で、平幕の力士が横綱と取組をして勝利することである。三役以上(小結以上)が横綱に勝っても金星にはならず、普通に白星と呼ばれる。
まあ、平幕力士が横綱を倒す訳なので、それはとっても嬉しいと思うが、金銭的にも嬉しい事がある。
懸賞金は6万2000円
永谷園の懸賞金が有名だが、一本あたり6万2000円で垂れ幕で自社商品を宣伝出来るのだ。
図2. 永谷園の懸賞 引用元 https://ja.wikipedia.org/wiki/懸賞_(相撲)
ポールマッカートニーも懸賞金を出した事がある。
いずれは、ワテも
「提供ワテ」
こんな垂れ幕を10本くらい提供してみたいと思っている。
勝った力士が行司さんから熨斗袋(のしぶくろ)に入った懸賞金を手渡されるが3万円入っているそうだ。
6万2000円の内訳は、
- 5300円は日本相撲協会の事務経費
- 2万6700円は納税充当金として日本相撲協会が獲得者本人名義の預り金として天引き
- 勝利力士には勝ち名乗りに際し懸賞1本当たり手取りで現金3万円を受け取る
らしい。
まあ、ボーナスみたいなもんだな。
なお、現金が包まれている熨斗袋(のしぶくろ、封筒)は東京の麻布十番にある長門屋商店で制作されているとの事(Wikipedia情報)。
金星を取ると月給も増える
ネットの情報によると、金星を取ると給料も増えるのだ。
一個の金星で一場所あたり4万円が給料に加算される。
年6場所なので、一個金星を取ると年収が24万円増えることになる。それが引退するまで続くのだ。
場所 |
会場 |
一月場所 |
国技館 |
三月場所 |
エディオンアリーナ大阪(大阪府立体育会館) |
五月場所 |
国技館 |
七月場所 |
愛知県体育館 |
九月場所 |
国技館 |
十一月場所 |
福岡国際センター |
松鳳山は3個目の金星だから、年収が72万円増えるのかな。
今の時代、年収が一気に72万円も増える人は少ないだろう。
月給が1000円だけ上がったとか、そんな人も多い。
パート、アルバイトの人なら時給が10円上がったとか。
そんな時代に、大相撲の世界はなかなか景気が良い。
でも、大相撲協会としては横綱が簡単に金星を連発すると、協会の出費も増える訳なので、横綱に頑張ってもらわないと財政破綻しかねない。
力士の月給
さて、力士の月給を調べてみた。平成31年の初場所から18年ぶりに関取の給与が増額されたらしい。
その月給を一覧表にしてみた。
番付 | 月額 or 手当 |
年額 |
横綱 | 300万円 | 3600万円 |
大関 | 250万円 | 3000万円 |
関脇、小結の三役 | 180万円 | 2160万円 |
幕内 | 140万円 | 1680万円 |
十両 | 110万円 | 1320万円 |
幕下 | 16万5千円(二ヶ月で) | 99万円 |
三段目 | 11万円(二ヶ月で) | 66万円 |
序二段 | 8万8千円(二ヶ月で) | 52万8千円 |
序ノ口 | 7万7千円(二ヶ月で) | 46万2千円 |
表 力士の月給と幕下以下養成員の手当
引用元 https://www3.nhk.or.jp/sports/story/4900/index.html
力士にはボーナスはない。
上表を見ると、幕下以下の力士(正確には構成員と呼ばれる)と、十両以上の力士との月給は大違いだ。月とスッポンと言っても良いだろう。
幕下、三段目、序二段、序ノ口の力士には給与は無く、年に6回開催される本場所ごとに十万円前後の場所手当が支給されるのだ。
でもこれだけでは暮らせないと思うが、幕下以下の力士は相撲部屋の大部屋で生活しているので家賃、食費は不要なのでこの手当でもどうにか生活出来るのだ。
さて、そんな大相撲であるが、八百長疑惑は昔からある。
実際に、逮捕者が出たり、廃業した人もいる。
大相撲は八百長か?
大相撲の八百長疑惑に関して、有名な研究としては、
シカゴ大学スティーヴン・レヴィット教授の調査結果がある。
スティーヴン・デヴィッド・レヴィット(Steven David Levitt、1967年5月29日 – )は、アメリカ合衆国の経済学者。
を要約すると、スティーヴン・レヴィット教授の調査では、
期間 | 1989年1月から2000年1月まで |
調査対象 | 本場所の上位力士281人による3万2000番の取組 |
調査内容 |
14日目が終わった時点で7勝7敗であり千秋楽で勝てば勝ち越せる力士と、既に8勝6敗と勝ち越している力士の千秋楽での対戦をピックアップ。 |
その結果、千秋楽の時点で7勝7敗の力士と8勝6敗の力士が対戦すると、7勝7敗の力士の勝率が異常に高いと言う結果が出たらしい。
だから八百長と言う結論のようだ。
まあ、それは色んな見かたが出来るだろう。
7勝7敗の力士は、この勝負に勝ち越しが掛かっているので、必死で戦う。だから強い。
一方、8勝6敗の力士はもう勝ち越しているので、必死になる必要は無い。だから負けやすい。
など。
人情相撲
相撲は他の格闘技とは対戦形式が違う
大相撲の場合には、他の格闘技、例えばボクシング、空手、K1、などとは根本的に異なる側面がある。
それは、一回限りの勝負ではないのだ。
力士の場合には、大相撲協会に所属して、幕下から始まり順調に勝ち上がれば数年かけて幕内力士になり、最終目標は横綱だ。
なかなか上位に上がれない人もいれば、途中で廃業する人も多い。
年6場所で、対戦相手も一回限りの戦いではなくて、今日対戦した相手と来場所で戦うかもしれない。
来場所ではなくても、また来年あたり戦うかも知れない。
順番に巡って来るのだ。
一方、プロのボクシングのタイトルマッチなら、世界チャンピオンと2位の選手が対戦するとして、そんな試合は一回限りだろう。
年に6回も同じ試合がある訳ではない。
ボクシングの試合なら、兎に角勝てば良いのだ。
図3. ボクシングは勝てば良い
しかし相撲は違う。
8勝6敗の力士が7勝7敗の力士と戦う。
7勝7敗の力士は勝ち越しが掛かっている。それは、8勝6敗の力士にも良く分かっている。
もし8勝6敗の力士が30代後半で、力士としてのピークを越していて、あと何年かしたら現役引退も頭にある。
今場所はどうにか勝ち越せたが、来場所はどうなるか分からない。
ここは多少の手加減をして、7勝7敗の力士に勝たせて恩を売れば、もし来場所以降で自分が負け越しそうな場合には逆に相手力士あるいはその力士の所属部屋力士が助けてくれるかもしれない。
そんな気持ちになるのは当然だろう。無意識にそんな気持ちになる場合も有るだろう。
それを八百長と呼ぶのが正しいのか、あるいは、戦略と捉えるのが正しいのか。
相撲を一場所限りの単なる対戦と捉えるなら、八百長かもしれない。
しかし、長い力士人生に於いて、自分が勝ち上がって行く為の戦略として、7勝7敗の力士に勝ちを譲ると言う考えも有るだろう。
いわゆる、「人情相撲」とか「情け相撲」言う奴か。
それが力士の美学なのだ。
今風に言うと空気を読むと言う奴やな。
「出来レース」と言ってしまうと風情が無い。
人情相撲の実例
貴闘力さんのYouTubeにまさにそんな人情相撲の場面が語られている。
この動画の内容を信じるなら、貴ノ嶺さんと貴闘力さんの一番はまさに人情相撲だ。
入門以来、幕下で苦節14年の貴ノ嶺さんは、この一番で貴闘力さんに勝てば月給8万円が来月から月給70万円になるのだ。
貴ノ嶺さんのWikipediaから引用させて頂くと、
年下の弟弟子で自身より先に関取になった大関・霧島や関脇・逆鉾、関脇・寺尾からは「岡崎さん」と、本名で呼ばれていた。
との事だ。
その貴ノ嶺さんの後輩の弟弟子(おとうとでし)だが既に番付上位の力士になっている大関・霧島、関脇・逆鉾、関脇・寺尾が全員貴闘力さんのところに来て、星を譲って欲しいと頼んでいる。
良い話じゃないか!
貴ノ嶺さんの人柄の良さが滲み出ている。
貴闘力さんは星の売買を表面上は断っているが、貴ノ嶺さんとの一番では土俵に手を付いて負けている。貴闘力さんとしてはあくまで実力勝負で戦ったとしながらも、空気を読んで手を付いた訳だ。
勿論、貴闘力さん本人はそれを否定するだろう。空気を読んで負けましたなんて言えば、貴ノ嶺さんにも失礼だし。
まさに上動画で貴闘力さんが説明しているような相撲こそ人情相撲であり、そんな取組の一番も大相撲の醍醐味なのだ!
人情相撲はギャンブル一般の八百長とは趣旨が違う
まあ競馬、競輪、競艇などの公営ギャンブルで選手が八百長する目的は、その関係者が違法に大金を手にするのが目的だ。
大相撲の場合には、力士の勝ち負けに関しては公営ギャンブルでは扱われていないので、もし相撲の勝敗に賭けているとしたら、それは違法賭博の世界だ。
そんな違法賭博の関係者が力士に八百長話を持ち掛けて、その勝ち負けを金銭で売り買いしたり、組織的に裏で勝ち負けを全部決めるなどすれば完全な八百長になる。
図4. 賄賂・裏金
そうでは無くて、あくまで力士が長い相撲人生を勝ち進んでいく為の戦略として、ここは相手に勝たせてやろうなどと思うのは、それは、ワテに言わせれば八百長ではなく戦略になる。
あるいは、貴闘力さんの話に出て来るような状況では、提示されたお金を貰う、貰わないに係わらず、空気を読んで負けると言うのが人情だろう。
まとめ
ワレコ
まあ、大相撲と言うのは、力士の人生が掛かっている訳で、一つ一つの取り組みにはそういう人間模様が見られる訳だ。
単なる勝負として見るのではなくて、そんな力士の心理を予想しながら見るのが大相撲なのである。
投げられたレスラーが約束通りにロープから跳ね返って来るプロレスを八百長と言う人もいる。
ワテはそうは思わない。
野球でバッターがボールを打ったら一塁へ走るのが野球のルールだ。
プロレスでロープに投げられたら、跳ね返って戦うのがプロレスの暗黙のルールなのだ。
つまりまあ、プロレスはエンターテイメントとして楽しむのが正しいのだ。
それと同じように、千秋楽に7勝7敗の力士の勝率が高いのは、大相撲が八百長だからではなくて、それが大相撲と言うものなのだと言う認識が正しい。
つまり、結論としては、アメリカ人には相撲の精神はなかなか理解できない。
だから単純に統計で結論を出してしまう。
大学教授ですら。
数千年以上の歴史を持つ日本と、200年ほどしか歴史の無いアメリカとの根本的な違いだ。
欧米人は、スポーツとはボクシングみたいに殴り合って勝ちさえすれば良いと思っている。
モンゴル人力士の中には、反則技のエルボーアタックをぶちかます見苦しい相撲を取るやつもいる。
そして勝てばガッツポーズ。日本の大相撲が何百年も保って来た品格を全く理解出来ていない力士。
あかんがな。
相撲は、そんな単純なものではないのだ。
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