ワレコ
PCBWayさんに発注していた二種類のプリント基板が到着した。
そのうちの一つはレジスト無しで、かつ、無電解金フラッシュ(ENIG)仕上げを指定してみた。
その結果、物凄い基板が到着したのだ。
これらの基板はワテが現在製作中の自動車用換気扇の回転数コントローラに使う予定だ。
換気扇の製作やコントローラの設計は前回記事を参照下さい。
当記事では、PCBWayさんに発注していたプリント基板が約一週間程度と言う速さで自宅に届いたので、その基板の出来上がり具合を詳細に紹介したい。
結論としては、物凄い基板が出来上がったので、びっくり仰天だ。
皆さんも発注してみると良いだろう。
では本題に入ろう。
今回PCBWayさんに発注した基板の仕様
今回発注したプリント基板の仕様を下表にまとめてみた。
PWM式DCファンコントローラ基板 | 秋月12極ロータリースイッチ用の変換基板 | |
基板サイズ | 68 x 52 mm2 | 50 x 38 mm2 |
板材の厚み | 1.6 mm | 1.6 mm |
層 | 2 層 スルーホール基板 | 2 層 スルーホール基板 |
銅箔厚さ | 35μm(1 oz Cu) | 35μm(1 oz Cu) |
レジスト | 無し | 黒(つや消し) |
シルク文字 | 白色 | 白色 |
表面処理 |
無電解金フラッシュ(ENIG)1U厚 ※その後、事情により2Uで発注。理由は前回記事参照 |
有鉛はんだレベラー |
完成イメージ |
表 PCBWayさんに発注した二種類の基板の仕様
いつもならプリント基板の仕様は殆ど全てデフォルト値のままで発注する。変更するとしたらレジスト色とシルク文字色くらいだ。
それ以外だと、銅箔厚みを通常の35μmを倍の70μmにするくらいか。
今回の発注では、今まで選択した事が無かったパラメータを指定してみた。
それらのパラメータに付いて以下で説明しておこう。
PWM式DCファンコントローラ基板
この基板は下記事で紹介した自作の車用換気扇の回転数コントローラーとして使う予定だ。
LM393コンパレータを使ったシンプルなPWM制御回路を自分で設計して、KiCadを使ってプリント基板レイアウトを設計したものだ。
さて、この基板(上表左)では表面処理に「無電解金フラッシュ(ENIG)1U厚」を指定してみた。
ENIG
銅上に無電解ニッケルめっき及び置換金めっきをする方法、electroless nickel immersion goldの略。層構成はCu-Ni-Au。
引用元 日本高純度化学株式会社 https://www.netjpc.com/product/glossary.html
上表の注釈(※)で書いているように、「無電解金フラッシュ(ENIG)1U厚」は発注時に倍の厚さの2Uに変更となった。
1Uなら作費用は45ドルだったが、最終的には2Uで79ドルに変更となった。
なお、この場合の1Uとか2Uは金メッキ処理の厚みなので、銅箔パターンの厚み1 oz Cu(35μm)や2 oz Cu(70μm)とは混同してはいけない。
ネット情報によると1Uの厚みは具体的には以下の通り。
1U = 0.0254um
かつ、この基板は「レジスト無し」を選んでみたのだ。
と言う事は、ガラスエポキシ基板の淡いエメラルドグリーン色で銅箔パターンが金メッキされたものが出来上がるのかな?
興味津々だ。
秋月12極ロータリースイッチ用の変換基板
上表右の基板では、レジストに「黒(つや消し)」を指定してみた。
PCBWayさんの場合、レジスト色に
を指定すると最低料金の5ドルで基板を発注出来る。
一方、以下のレジスト色を指定すると、基板製作費は39ドルになる。
いつもなら黒色レジストを選ぶ場合は安い5ドルの「つや有り」を指定しているのだが、今回初めて黒(つや無し)39ドルを指定してみた。
PCBWayさんから届いた基板の紹介
基板の納期は通常は一週間前後
PCBWayさんに基板のガーバーデータをアップロードして発注したのが2021/9/20(月)だ。
基板を受け取ったのが本日2021/9/28(火)なので、一週間強で届いた。
なお、2021年9月21日の時点で、PCBWayさんの公式サイトには以下の注意書きがあった。
工場は中秋節(9月21日)に1日休みとなります。 すべての注文は1〜2日遅れます。
確かに、いつもPCBWayさんに発注した時には一週間程度で自宅にプリント基板が届くが、今回は中秋節(9月21日)と言う祝日で少し遅れたようだ。
それでも十日も掛からずに自宅に届くと言うのはとても有難い。
小包を開封する
PCBWayさんに十枚の基板を発注すると、下写真のような白い小箱で届く。
今回は二種類なので合計二十枚の基板が入っている。
写真 PCBWay基板が入っている白い小箱
今回は発送業者さんにはFedexを選択した。
日本までの送料は約15ドルだった。
小箱を開封すると下写真のように白いクッション材に厳重に梱包されている。
写真 PCBWay製基板は白いクッション材で保護されている
そのクッション材の中には下写真のように二種類の基板(各十枚)が入っている。
写真 PCBWay製の二種類のプリント基板(各十枚)
それら二種類のプリント基板を下写真に示す。
写真 PCBWay製の二種類の基板(各十枚)
いつもなら十枚の基板は真空パックされているのだが、今回は、上写真左の十枚の基板は今まで通り真空パックだった。
一方、右側の十枚の基板は真空パックではなくて、普通のナイロン小袋に入っていた。その理由は不明だ。
もしかすると「つや無しレジスト」仕上げの基板は、いつも発注している「つや有りレジスト」とは別の工場とか製造ラインで作られるのかも知れない。その結果、完成した基板のパッケージがいつもの真空パックとは違ったなどの可能性が考えられる。
輸送時の振動で基板が互いに擦れて傷が付かないように保護すると言う観点では真空パックが望ましいと思う。
でもまあ今回のようにナイロン袋に入った状態でも、白いクッション材で厳重に押さえ込まれていたので、輸送中の振動で基板が傷つくなどは無いだろう。実際、目で見て確認したが特に問題は見当たらなかった。
下写真がレジスト無し無電解金フラッシュ(ENIG)基板と黒つや無しレジスト基板だ。
写真 レジスト無し無電解金フラッシュ(ENIG)基板と黒つや無しレジスト基板
レジスト無し無電解金フラッシュ(ENIG)基板はワテが予想していた以上に高級感があるぞ!
黒つや無しレジスト基板も落ち着いた雰囲気の高級感が漂っている。
以下では、それぞれの基板の詳細を見てみよう。
なお上写真左基板にあるPCBWayロゴ風の文字はワテがどの業者さんに発注したのかをメモする目的で入れているのであり、PCBWayさんに基板を発注すると自動的にこのロゴマークが入る訳ではない。
黒つや無しレジスト基板
下写真は50 x 38 mm2 の 黒つや無しレジスト基板だ。
写真 秋月12極ロータリースイッチ用の変換基板
両面スルーホール1.6 mm厚、銅箔35μm(1 oz Cu)、有鉛はんだレベラー処理で仕上げてある。
黒色レジストは写真に写しても綺麗に写すのが難しいので、実物の雰囲気を写真でお伝えするのは難しい。
そこで、以前に黒色レジスト(つや有り)で発注した基板があるので、それとの比較写真を掲載してみる。
下写真右が、「ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V」を自作した時にPCBWayさんに発注した黒色レジスト(つや有り)基板だ。
写真 PCBWayさんの黒色レジストつや無し(左)、つや有り(右)の比較
上写真右のぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19版)を自作した時に、この黒色レジスト(艶有り)基板を選んでみた。
実際に出来上がったプリント基板は、深みのある黒色で表面に光沢があり、非常に高級感のある基板に仕上がっていた。
白色シルク文字も黒色レジストとのコントラストが良く、小さな文字も読み易い。その後のワテは、このPCBWay製の黒色レジスト(つや有り)基板はお気に入りの一つだ。
下写真では、つや無しとつや有りの拡大写真を比較してみる。
写真 PCBWayさんの黒色レジストつや無し(左)、つや有り(右)の比較(拡大写真)
上写真では、カメラのフラッシュを若干斜めから当てて、基板表面で反射した光の加減を見易くしてみた。
その結果、上写真左のつや無し基板では、確かにつや無しなのでフラッシュ光は反射していない。
一方、上写真右のつや有り基板では、光沢がある基板表面に光が反射している様子が分かるだろう。
ちなみにこの右側基板は銅箔厚さは70μmで仕上げてあるので、上写真でも分るように分厚い銅箔パータンが盛り上がっているのが分かるだろう。
このぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19版)用基板を使って自作したアンプは無事に完成して、ワテのPCオーディオ環境でほぼ毎日使っている。
使っているスピーカーは先日ワテが自作したニアフィールドモニタースピーカーだ。
ぺるけ式アンプとワテ自作スピーカーの組み合わせは、どんな高級オーディオ機器にも勝るとも劣らない素晴らしい音が鳴っているのだ。
と言う事で、PCBWay製の黒色レジスト(艶無し)基板は、つや有り基板よりもさらにシックで落ち着きのある高級基板の雰囲気がプンプンしている。
なお、このぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19版)基板はまだ何枚か余っているので欲しい人に差し上げても良い。
でも匿名でブログを運営している関係で、もし基板を発送するとしても匿名で送りたいのだが、出来るのかな?
無電解金フラッシュ(ENIG)
次は無電解金フラッシュ(ENIG)基板だ!
写真 無電解金フラッシュ(ENIG)の表面は金メッキでキラキラ!
どう!!!?
ワテも今まで長年に渡り数多くのプリント基板を見て来たが、こんなに高級感があるプリント基板はそれほど多くは見た事が無い。
最近のプリント基板はレジスト色が緑、青、赤、黒、黄、紫、白など原色系が多い。
そんな中で、レジスト無し基板を選んでみたのだが、その結果、レジストの無いガラスエポキシ基板本来の綺麗な淡い色の基板に仕上がっている。
かつ、無電解金フラッシュ(ENIG)の表面仕上げを選択したもんだから、何の装飾もないレジスト無し基板の上に高級感ある金メッキの配線パターンが益々引き立っているぞ。
素晴らしい。
レジスト無し基板と黄色レジスト基板を比較する
下写真では、このレジスト無し基板(左)とワテが以前に同じくPCBWayさんに発注した黄色レジスト基板(右)とを比較してみる。
写真 レジスト無し基板(無電解金フラッシュENIG仕上げ)と黄色レジスト基板(有鉛半田レベラー仕上げ)
ワテは上写真右の黄色レジスト基板も好みの色なのだ。
その理由は、黄色レジスト基板は紙フェノール基板の茶色っぽい雰囲気に似ているので。
なお、上写真のリング型基板は実体顕微鏡のLED照明の部分で、中央にある長方形基板は切り取って使う。
その基板はLEDをPWM制御で調光するものだ。
その回路はワテがLM393コンパレータを使って自分で設計した回路で、初期版は手配線でユニバーサル基板で自作した。
その後、上写真のリング型基板をKiCadで設計してPCBWayさんに発注し、その基板を使って無事にPWM式LED調光回路は完成した(一部回路が間違っていたが何故か正常っぽく動作している)。
そして、今回、その間違い部分を修正して、配線レイアウトも若干修正して端子台を採用して、PCBWayさんに発注したのがこのレジスト無し基板無電解金フラッシュ(ENIG)仕上げなのだ。
下写真では、両者の拡大写真を比較してみた。
写真 レジスト無し基板(無電解金フラッシュENIG仕上げ)と黄色レジスト基板(有鉛半田レベラー仕上げ)拡大写真
やっぱり金メッキ基板はいいなあ。
レジスト無し基板(無電解金フラッシュENIG仕上げ)の表と裏
プリント基板の裏と表の写真を撮ってみた。
写真 レジスト無し基板(無電解金フラッシュENIG仕上げ)の表と裏(カメラフラッシュ有撮影)
上写真左が半田面、右が部品面だ。
でも、この基板はレジスト無しなので、どちらの面も半田付けをする事が可能だ。
下写真はカメラフラッシュ無しで撮影してみた。
金メッキの様子が良く分かるだろう。
写真 レジスト無し基板(無電解金フラッシュENIG仕上げ)の表と裏(カメラフラッシュ無し撮影)
それにしても、金メッキ基板は綺麗だなあ。
昔のテクトロニクスのアナログ基板のような雰囲気
ワテがこの金メッキ基板を見た第一印象は、昔のテクトロニクスのアナログオシロスコープのプラグイン基板みたいに金メッキが綺麗だなあというものだ。
具体的には、下写真に示すテクトロニクス 7000シリーズ 1GHzアナログオシロの例えば7A29と言う1GHzの垂直アンププラグイン基板をネットで見付けたので以下に引用してみる。
写真 Tektronix 7A29 1GHz single-channel vertical plug-in for 7000-series scopes
引用元 https://www.eevblog.com/forum/testgear/tektronix-7a29-teardown/
どう!?
似ているでしょ。
最後に、もう一度、レジスト無し基板(無電解金フラッシュENIG仕上げ)基板の拡大写真を見てこの記事を終わろう。
写真 レジスト無し基板(無電解金フラッシュENIG仕上げ)部品面
写真 レジスト無し基板(無電解金フラッシュENIG仕上げ)半田面
何度も言うけれど、今回初めてこの無電解金フラッシュ(ENIG仕上げ)を指定してみた。
かつ、レジスト無し仕上げを選んだので、出来上がったプリント基板は古き良きテクトロニクスのアナログ基板を彷彿とさせるワテ好みの基板に仕上がった。
この基板は冒頭でも紹介したようにLM393コンパレータを使った簡単なPWM制御回路に使う。
そんな回路にこの金メッキ基板を使うのは、猫に小判と言うか、ワテに金メッキ基板と言うか、ちょっとどころか、かなり高級過ぎるがまあ発注したものは仕方ない。
無事に回路を完成させて活用したい。
まとめ
ワレコ
PCBWay製のレジスト無しで無電解金フラッシュENIG仕上げの基板は超高級基板と言っても良い雰囲気がある。
一方、黒色レジストつや無し基板も、メーカー製高級オーディオ機器に採用されているような雰囲気の基板だ。
今後、オーディオ機器を自作する場合には、このどちらかの基板と同じ色合いで発注してみようかな。
オーディオ機器は見た目も重要だ。
当記事では、PCBWayさんに発注していたPWM制御式DCファン回転数コントローラー回路基板が到着したのでその出来上がり具合を紹介した。
そのコントローラーを、車に搭載予定の自作自動車換気扇の回転数コントローラーとして使うのだ。
今回発注した二種類の基板は、ワテが今まで発注した事が無いレジストや表面仕上げを指定した。
その結果、自称プリント基板好きのワテが初めて見るくらいに美しい仕上がりの基板が完成したのだ。
特に、レジスト無しの無電解金フラッシュ(ENIG)仕上げ基板は、プリント基板好きには堪らない美しさと言っても過言ではない。
非常に美しくて高級感がある基板に仕上がるので、オーディオ機器などの製作を趣味としている人にはお勧めの基板だ。
さっそくこの基板を使ってPWM式DCファンコントローラを完成させたい。
(続く)
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