天然砥石を買ってみた。
その砥石をカシュー塗料で養生した。
カシュー塗料を毎日一回塗って三日掛けて三回重ね塗りしたのだが、使い残した塗料や刷毛を翌日までそのままの状態で保管する良い方法を見付けたので記事中で紹介している。
天然砥石にカシュー塗料を重ね塗りする時にお勧めの方法だ。
では本題に入ろう。
天然砥石をカシュー塗料で養生する
天然砥石はピンからキリまで有る。
高いものだと何十万円、何百万円の世界だ。
安くても数千円とか一万円前後。
と言う事で、天然砥石初心者のワテも天然砥石を買ってみた。
もちろん一万円程度の低価格帯のやつだ。
産地は京都らしいが、詳しい産地は不明だ。
なので有名な京都産の本山合砥(ほんやまあわせど)とかでは絶対に無いと思う。
とは言っても数千円くらいの人造砥石しか使ったことの無いワテにはかなりの高級天然砥石だが。
写真 今回養生する天然砥石
天然砥石でネット検索すると、使う前に養生する作業が必要との事だ。
天然砥石の養生とは何か?
ネット情報によると、天然砥石は数億年前に海に堆積した土や泥が隆起して岩石になったものを切り出した物なので、砥石の断面を見ると堆積物が層状になっている。
その天然砥石を水に濡らすと、その層の間に水が入り込み層が剥離したり、ひび割れが生じることが有るらしい。
濡れた砥石を冬場に凍らせたりすると、割れてしまう事も有るとのことだ。
なので、直方体の砥石の六面のうちの上面を除く五面に漆やカシュー塗料を塗って水が入り込みにくくする作業をするのだ。それが砥石の養生と呼ばれる。
という知識を最近知ったワテである。
カシュー塗料とは何か?
カシューナッツと言う食べ物があるが、カシュー塗料とはカシューナッツの殻を搾った油(カシューオイル)を原料にして作った塗料らしい。
カシュー塗料は漆の代用として良く使われるようだ。
と言う事でワテもカシュー塗料と専用うすめ液を購入した。
写真 天然砥石の養生に使うカシュー塗料と専用うすめ液を購入
カシュー塗料は色んな色がある。
透明系でも
- カシュー スーパークリヤー 1/12L
- カシュー No48 ネオクリヤー 1/12L
- カシュー No51 クリヤー 1/12L
- カシュー No52 淡透 1/12L
- カシュー 透 80g│油性塗料 特殊油性塗料
などの種類がある。
ワテが買ったスーパークリアーは最も透明度が高いとの事だ。
まあ色んな色があるので自分の好みに応じて選べば良いだろう。ワテは砥石の色合いを残したいので透明系を選んだのだ。
砥石の表面にマスキングテープを貼る
下写真が砥石の裏側だ。この裏面と四つの側面の合計五面にカシュー塗料を塗るのだ。
写真 砥石の裏側
一方、砥石の表面にはカシュー塗料は塗らないので下写真のようにマスキングテープを貼って養生しておく。
写真 砥石の表面(研磨面)はマスキングテープで養生
下写真のようにカッティングボードの上でマスキングテープの余分な部分をカッターナイフで切り落とすとやり易い。
写真 砥石の形状に沿ってマスキングテープをカットする
下写真がマスキングテープ養生が完了した状態だ。
写真 マスキングテープ養生が完了した状態
回転台の上に砥石を載せる
下写真の回転台はダイソーで200円で売っているやつだ。
写真 ダイソー200円の回転台に木片を載せる
このダイソー回転台は塗装に使っている人も多い。
塗装作業中に対象物に触らずに向きを変えることが出来るので塗装作業が捗るのだ。
その木片の上に下写真のように天然砥石を載せた。
写真 木片の上にに天然砥石を載せた
いよいよ塗装作業を行う。
カシュー塗料を塗る(一回目)
ネット情報によるとカシュー塗料は三回くらい重ね塗りするのが一般的なようだ。
カシュー塗料は粘度が高いのでカシューうすめ液で薄めると塗り易いが、とある砥石系Youtubeの動画では以下のような混合比率が紹介されていた。
一回目 | カシュー塗料 1 | うすめ液 3 |
二回目 | カシュー塗料 1 | うすめ液 2 |
三回目 | カシュー塗料 1 | うすめ液 1 |
なのでワテもこれくらいの比率で薄めて塗ってみることにした。
使う筆はダイソーの「万能用メジ刷毛30mm」だ。
写真 ダイソーの「万能用メジ刷毛30mm」
下写真のように豆腐のポリプロピレン容器にカシュー塗料を少量取り出す。
写真 刷毛を使ってカシュー塗料をポリプロピレン容器に取り出す
上写真では刷毛にカシュー塗料を染み込ませて豆腐容器に少量のカシュー塗料を取り出した。
三回くらい往復すれば上写真くらいの量のカシュー塗料が取り出せる。
このカシュー塗料に対して下写真のように3倍程度のカシューうすめ液を注いだ。
写真 カシュー塗料1に対して3倍程度のカシューうすめ液を注いだ
刷毛を使って良く混ぜた(下写真)。
写真 カシュー1:うすめ液3の比率で混ぜた塗料
読者の皆さんは上写真を見ると、かなり少量に思えるだろう。
ワテも当初はこれだと一回目で使い切るかなと思ったのだが、実際はこの量で三回塗りまでやり通す事が出来た。
なお、カシュー塗料は匂いがキツイとの情報も有ったのでどんなに臭いのか!?と気になっていたのだが、まあ確かに臭いが有機溶剤系の匂いなのでワテはそんなには気にならない。
でも、換気扇を回して部屋の空気を入れ替えながら作業を行った。
必要なら防護メガネや防毒マスク(有機溶剤用)を着用すると良いだろう。
下写真のように裏面に塗ってみた。
写真 カシュー塗料を砥石裏面に塗った(一回目)
次は側面も塗る。
写真 側面を塗る前
下写真のように側面も塗り終えた(一回目)。
写真 側面も塗り終えた(一回目)
下写真のように、砥石の五面全部に一回目のカシュー塗装が完了した。
写真 砥石の五面全部に一回目のカシュー塗装が完了した
砥石の底面は養生すべきでは無い?
なお、ワテの場合は砥石の上面以外の五面全部にカシュー塗料を塗ったが、ネット情報によると底面には塗らずに側面だけに塗る人もいるようだ。
つまり水が侵入するのは主に層状になっている側面からなので側面を塗料で養生すれば十分との考え方だ。一方、側面に加えて底面にも塗料を塗ると濡れた砥石が乾燥しにくくなるとの理由で底面には塗らないと言う説明をネット情報で見た。
五面を塗った場合には、使い終わった砥石は上下逆さにして乾燥させると養生していない研磨面から水が出るので乾燥しやすいとの説明もネット情報で見た。
もし底面に塗るとしても側面には厚めに塗って、底面は薄く塗るのが良いという説明もどこかで見た。
と言う事で、砥石の養生に関しては各人各様のやり方があるようなので、とりあえずワテの場合は五面を養生する事にしたのだ。
刷毛と塗料をナイロン袋に密閉して保管する
下写真は一回目の塗装を終えた時点の残りの塗料を示す。
写真 一回目の塗装を終えた時点の残りの塗料
上写真のようにまだ半分以上は残っているので捨てるのは勿体無い。
でも大橋塗料株式会社さんのサイトの説明によると、室温20℃の場合ならカシュー塗料を重ね塗りする場合には20時間乾燥させることが推奨されている。
刷毛塗り・厚さ0.03mmの場合 | 10℃ | 20℃ | 30℃ | 40℃ |
表面乾燥時間 | 8時間 | 3時間 | 2時間 | 1時間 |
次工程へ移れる時間 | 32時間 | 20時間 | 15時間 | 12時間 |
完全乾燥時間 | 150時間 | 100時間 | 70時間 | 48時間 |
表 温度とカシュー塗料乾燥時間の関係
引用元 https://ohhashi.net/products/list.php?category_id=11
ただし上表はカシュー塗料の粘度にも依存すると思うので、とりあえず一晩乾燥させてみて翌朝に砥石の表面の状態を確認してみることにした。
そこで下写真のようにナイロン袋に刷毛や容器を全部入れて輪ゴムで密閉した。
写真 残った塗料は刷毛も一緒に容器ごとナイロン袋に入れて輪ゴムで密閉保管
翌日には下写真のように表面にカシュー塗料の塗膜が出来ていて、指で触ると若干は粘性を感じるが7~8割くらいは乾燥している感じだ。
写真 一回目のカシュー塗装後24時間くらい乾燥させた
カシュー塗料を塗る(二回目)
写真を取り忘れたが、ナイロン袋に保管していたカシュー塗料は翌日開封してみたが、固まる事もなく液体状であった。
ただし、若干ではあるがうすめ液が蒸発しているようで、粘度が増していた。
と言う事は、一回目に比べて二回目は濃い目のカシュー塗料を塗る予定だったので、これは都合が良い。
同様に二回目も塗り重ねた。
そして、再びナイロン袋に密閉して保管して、翌日三回目の塗装に備える。
写真 二回目塗装後にナイロン袋保管した刷毛とカシュー塗料容器
カシュー塗料を塗る(三回目)
下写真が翌日ナイロン袋から取り出したカシュー塗料だ。
写真 三回目の塗装に使うカシュー塗料
上写真のように一回目、二回目に比べて更に粘度が増している。
と言う事でカシュー塗料をナイロン袋に保管するやり方は、カシュー塗料で砥石を養生する為に重ね塗りする作業にはとっても良い方法で有ることを発見したのだ。
「ワレコ式カシュー塗料と刷毛をナイロン袋に輪ゴム閉じ保管して濃度を自然に濃くする方法」
と呼んで頂きたい。
下写真が三回目の重ね塗りを終えた状態だ。
写真 三回目の重ね塗りを終えた状態
写真 三回目の重ね塗りを終えた状態
まあ兎に角、砥石の五面全部にカシュー塗料を三回塗り重ねた。
最初に用意したカシュー塗料を過不足なく全部使い切ることが出来たので無駄を省く事が出来た。
カシュー スーパークリヤー 1/12Lを使ったので、上写真のように透明度も高いので砥石の地肌の色が見えている。
この状態で数日間乾燥させれば表面のベトつきも無くなるだろう。
注意事項としては、作業中や乾燥中には砥石に塵や埃が降りかからないようにする必要がある。
まとめ
ワテもいよいよ天然砥石を使うぞ。
ワテは刃物を研ぐのは好きなのだが、人造砥石しか使ったことがない。
いや正確に言うと天然砥石も安いやつは二つ持っている。
和歌山県産の大村砥石(約#130番)、天草砥石(約#500番)だ。
どちらもかなり昔に二千円前後で買った気がする。
残りの砥石はキングと刃の黒幕の人造砥石だ。
今回養生した天然砥石はまだ刃物は研いでいないが、硬めの感じだ。
鉋、鑿、包丁の刃の最終仕上げに使いたいので硬めの砥石を選んだのだ。
硬いほうが長持ちしそうだし。
と言う事で数日後には養生が完了するので、まずは包丁を研いでみたい。
その使用結果はここに追記したいと思っている。
(続く)
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