このところ、木工DIYに情熱を燃やすワテであるが、新たにDIYで物作りに挑戦する事にした。
今まで作ったのは、丈夫な棚が三台だ。
ホームセンターでサブロク板サイズ(1820x910x12)の針葉樹合板をカットして貰って、木工用ボンドで貼り合わせるだけで完成した。
棚一台作るのにサブロク板を二枚使うが、サブロク板は1000円/枚くらいの価格で、それにカット代が600円程度(30円/カット x 約20カット)掛るが、それでも僅か2600円の材料費で製作出来た。
興味ある人はそれらの棚の製作記事を参考にして下さい。
一作目~三作目まで、全部同じサイズ(高さ948x幅900x奥298)だ。
二作目と三作目は全く同じ構造。一作目と二・三作目の違いは、天板・底板と側板の組木の違いだけだ。
組み立て作業時間は実質2~3時間くらいで、木工用ボンドを乾かす為に一晩置けば完成だ。
さて、DIY第四弾ではオーディオラックの自作を検討してみた。
この記事では、市販の様々なオーディオラックの構造などを比較検討して、オーディオ評論の達人(自称)としてのワテの革新的アイディアも加味して、自作オーディオラックの設計を行ってみた。
結論としては、物凄く素晴らしいデザインが出来たと思っている。
製作は、今後行いたい。
詳細な設計図付きなので、この設計図を基にワテよりも先にどなたか読者の皆さんが製作して頂くと言うのも歓迎です。
では、本題に入ろう。
かなり長編の記事です。
市販のオーディオラックの調査
市販のオーディオラックは多数のメーカーから、多数のデザインのものが販売されている。
まずは、オーソドックスなスタイルのオーディオラックから見てみよう。
なお、ワテ設計のクアドラスパイア風オーディオラックの設計図はこの記事の後半にある。
市販オーディオラックにあまり興味無い人は、この章は飛ばして後半部分をご覧ください。
ガラス扉付きオーディオラック
こう言うガラス扉付きのオーディオラックは、昔から有るオーソドックスなスタイルだ。
古いオーディオ機器の情報サイトで有名な
オーディオ懐古録 http://www.niji.or.jp/home/k-nisi/
オーディオの足跡 http://audio-heritage.jp/
を見ると、日本のオーディオメーカーが勢いが有ったのは1970~1980年代のようだ。
主なオーディオメーカー
その当時の主なオーディオメーカーでワテが知っているものは以下の通り。
現在も継続しているブランドもあれば、消滅しているブランドもある。
- 東芝 Aurex オーレックス
- 日立 Lo-D ローディ
- 三菱電機 Diatone ダイヤトーン
- オンキヨー ONKYO
- シャープ Sharp
- NEC
- 三洋電機 OTTO
- アイワ AIWA
- ティアック TEAC
- パイオニア PIONEER
- ケンウッド KENWOOD
- 山水 SANSUI
- 松下電器 Technics/Panasonic
- ヤマハ YAMAHA
- マランツ Marantz
- ソニー SONY
- 赤井電機 AKAI
- ラックスマン LUXMAN
- デンオン Denon (現デノン)
- ローテル ROTEL
- シーイーシー CEC(昔はレコードプレーヤーを作っていた)
- McIntosh マッキントッシュ(アップルのパソコンはMacintosh)
東芝 オーレックス Aurex
最近何かと話題の東芝なんて、昔は良いオーディオ製品を作っていたようだ。
有名な「オーディオの足跡」さんのサイトから引用させて頂くと、
Aurex SY-Λ88II ¥265,000(1981年頃)
と言うプリアンプがある。
引用元 http://audio-heritage.jp/AUREX/amp/sy-lambda88ii.html
プリント基板の銅箔の厚さは280ミクロンもあるらしい。
分厚いにも程がある。
普通のプリント基板の銅箔の厚さは18umか35umだ。
銅箔厚み
(試作時標準)35µm、(量産時標準)18µm
(オプション)70µm
引用元 株式会社システムギアダイレクト https://www.systemgear.jp/kiban/input_help.php
さらに、Aurex SY-Λ88II は
- 銅箔スチロールコンデンサー
- 銅箔フィルムコンデンサー
などの銅箔パーツが採用されているらしい。
どんだけ「銅」が好きなんだよ!
まあ確かに「銅」と言うと、電気を良く通す気がする。
主な金属の電気抵抗率
電気抵抗率を見てみよう。
値が小さいほうが電気を良く通す。
電気抵抗率 (Ωm) | 物質 |
1.59 × 10−8 | 銀 |
1.68 × 10−8 | 銅 |
2.44 × 10−8 | 金 |
2.82 × 10−8 | アルミニウム |
104 〜 1010 | 紙 |
1010 〜 1013 | 乾燥木材 |
1010 〜 1014 | ガラス |
1012 〜 1014 | ポリエステル |
1013 〜 1016 | 雲母 |
引用元 https://ja.wikipedia.org/wiki/電気抵抗率の比較
電気抵抗率の逆数を電気伝導率(導電率)と呼ぶ。
まあ、確かに銅のほうがアルミに比べて電気抵抗率が小さい。
じゃあ、銅よりも小さい銀がいいんじゃないの!と言う考えもある。
実際、高級オーディオケーブルには純銀製なんて言うのもある。
でもなあ、銀は直ぐに表面が酸化して黒くなるけれど、その点は大丈夫なのかな?
酸化銀になると電気抵抗高そうだし。
まあ、普通に平凡な銅線ケーブルを使うのが無難かも知れない。
アマゾンで
ちなみにAurex SY-Λ88II の内部はこんな感じだ。
http://audio-heritage.jp/AUREX/amp/sy-lambda88ii.html
「新開発uΛーII型コンデンサー」や上述の銅箔コンデンサが多数使われている。
それに二連ボリューム、四連ボリュームなども多数あるし。
1981年頃で¥265,000らしいが、今作ると100万円くらい掛かりそうな感じがする。
東芝メモリを売却してしまうと稼ぎ頭が無くなるが、ここはオーディオブランドAurexを復活させるなんて案はどうだろうか。
世界的にレコードブームも来ているし、アナログオーディオが復活するとワテは予感している。是非東芝さんに検討して頂きたい。
さて、ハードディスクは東芝に限ると決めているくらい東芝ハードディスク好きのワテであるが、自作パソコンでも3台も東芝HDDを使っている。
その結果、オーレックスの話題で横道に逸れてしまった。
本題に戻って、オーディオラックの紹介を続けたい。
扉の無いシンプルな木製ラック
ハヤミ工産株式会社のラックは昔から有名だ。
ハヤミの製品は高級感があるが値段が高いと思っていたが、この商品なら比較的安めの価格設定だと思う。
丈夫そうなヤマハのオーディオラック
ヤマハはピアノも作っているが、昔は家具も作っていた。だからこんな丈夫なラックを作るのかな?それは知らない。
色違いもある。
シンプルで飽きの来ないワテ好みのデザインだ。
積み重ねるタイプのオーディオラック
数個買って積み重ねればいい感じのオーディオラックが自作出来るなあ。
縦型にしても良いし、横に並べて二連式にしても良いし。
良いアイデアだと思う。値段もそこそこ安いし。
四本柱の木製ラック
今まで見て来たオーディオラックはどれも側面が塞がれていた。
以下では、通気性の良さそうなラックを調査してみた。
安いにも程がある!!!
自作するのやめてこれ買うかな!
周囲温度に対する電解コンデンサの寿命計算
発熱の大きなパワーアンプを使う場合には、アンプ内部に熱が籠ってパーツの劣化が加速する危険性がある。
ニチコンの適当な105℃グレードと85℃グレードの電解コンデンサを選んで、それらに対して周囲温度と寿命の関係を求めてみたものだ。
シリーズ | LAK | LLG |
寿命時間[Lo] | 2000 時間 | 2000 時間 |
コンデンサのカテゴリ上限温度[To] | 105 ℃ | 85 ℃ |
表 ニチコンのLAKシリーズ(105℃)とLLGシリーズ(85℃)に対して寿命計算してみる
上の二つのコンデンサに対する周囲温度と推定寿命の計算結果は以下の通り。
シリーズ | LAK(105℃タイプ) | LLG(85℃タイプ) |
コンデンサの周囲温度[Tn] | 推定寿命[年] | 推定寿命[年] |
20 | 15 | 5.9 |
30 | 15 | 5.9 |
40 | 15 | 5.9 |
50 | 14.6 | 2.9 |
60 | 7.3 | 1.4 |
70 | 3.6 | 0.7 |
表 ニチコンのLAKシリーズ(105℃)とLLGシリーズ(85℃)に対して寿命計算結果
ニチコンの「コンデンサ推定寿命計算」ツールはこちら↴(要会員登録)
105℃グレードの場合、周囲温度が60度(寿命7.3年)になると、20度(15年)の場合の半分の寿命だ。
85℃グレードの場合、周囲温度が60度だと寿命は1.4年と短い。
ラックの通気が悪い場合にアンプ内部温度が60度になるなんてのは普通に有り得る。
やはり通気性が良いラックを選択したい。
山本音響工芸さんも有名なオーディオメーカーだ。
ワテの印象では山本音響工芸さんは木工製品の加工が美しい。
コンパクトなタイプもある。
値段的には安くは無いが、高品質で高級感があるのでマニアな人には人気あるだろう。
さて、いろんなオーディオラックを見てみたので、ワテも木製のオーディオラックをデザインしてみた。
木製のオーディオラックを設計する
最近使い始めたモデリングソフトRhinocerosで作成してみた。
図 ワテ設計の木製オーディオラック
特徴としては、一枚1000円くらいの針葉樹合板(1820x910x12)をホームセンターでカットして貰って、あとは木工用ボンドで貼り合わせて作成する。
その手法で棚を自作した時には、二枚を貼り合わせたが今回は耐荷重性を重視して三枚重ねにしてみた。
図 ワテ設計のオーディオラック、棚板、側板は36ミリ厚
厚さ12ミリの針葉樹合板を三枚貼り合わせるので36ミリの厚さになる。
かなりの重量だ。
なお、棚板の間隔は260ミリ前後になっているが、適当に決めただけなので、実際に製作する場合には自分の使用している機器に応じて決めれば良い。
横内寸で1028あるので、EIA規格の機器(幅19インチ= 482.6mm) を二台横に並べて置く事が出来る余裕がある。
なお、この設計だと針葉樹合板(1820x910x12)を7枚くらい使うと思う。
一枚当たり10キロとして、70キロくらいの重量になるかも。
その後、このオーディオラックを自作した。
その解説記事はこちら。
針葉樹合板の例
このお店はネット注文で合板をカット販売してくれる。
ホームセンターに行かずに自宅から注文するだけで、カットした材料が送られてくる訳なので、物凄くお手軽だ。
四本柱版のワテ設計オーディオラック
通気性を考慮して、四本柱版も設計してみた。
図 ワテ設計の木製オーディオラック(四本柱版)
Rhinocerosを使うと物体を平面で切断する事も簡単に出来る。
その機能を使って、最初に紹介したデザインからこのデザインを作成しただけだが。
数分で完成した。
見た目は複雑だが、ホームセンターで板を直線カットして貰うだけなので、あとは木工用ボンドで順番に貼り合わせるだけでよい。
ただし、この設計図に基づいてまだ作っていないので、実際に作るとどうなるかは未確認だ。
どなたか試しに作ってみて下さい。
(追記)その後、実際に作ってみた。
費用約一万円で、理想的なオーディオラックが完成したのだ!
市販のオーディオラックの調査 その2
もう少し他のラックも見てみよう。
デザインは奇抜だが、こんな奇抜なスタイルのラックが似合う部屋に住んでいる人には、向いているデザインかも知れない。
ひな祭りにお人形さんを飾っても良いかも。
ポール式のオーディオラック
支柱にポールを使うラックも種類が多い。
上の製品は、木製のポールだ。
価格的にも安めだ。
上の製品の場合、支柱が金属製で棚板も高級感がある。
脚の先端はスパイク状になっている。
スパイクにすると何が良いのかは知らない。
金属ポール支柱、木製棚板、スパイク脚のデザインは多い
下の製品は、同じく金属支柱と木製棚板、そして脚はスパイクと言う構造だ。
下の製品も似た様な構図だ。
クアドラスパイア
金属ポール支柱、木製棚板、スパイク脚のデザインの起源はクアドラスパイアなのかな?
兎に角、クアドラスパイア社のオーディオラックは、このデザインで一貫している。
見た目もシンプルで物凄く高級感があり、棚板も数種類の材質や色合いを選択出来る。
かつ、縦型、横二連、横三連までのラインナップがある(ワテが知っている範囲で)。
オーディオ好きな人に人気があるラックの老舗ブランドだ。
金属ポール支柱式ラックはクアドラスパイアが有名
下の製品は、オーソドックスな縦型のラックだ。
棚板が長方形では無くて、曲線にカットされている理由は、
棚板のカーブには、何か意味があるのでしょうか?
A はい。棚板のはカーブには、向かい合う面が平行にならないことで、定在波を拡散し、軽減される効果があります。お使いになるHIFI機器のパフォーマンスを向上します。
引用元 http://www.quadraspire.jp/faq/faq_01.html#09
らしい。
う~ん、その定在波と言うのがどの程度軽減されるのか定量的なデータが有れば見てみたい。
まあ、疑っている訳では無いのだが、何事も鵜呑みにすると失敗の元なので。
さて、色違いもある。
上図の製品は、艶消しアルミシルバーのポールにローズナットの赤い棚板が綺麗だなあ。
放熱効果の高い製品もある。
上の製品は、棚板にスリットは多数入っている。
またポールの太さも標準の直径19ミリではなくて、32ミリの太いタイプで中央がくびれているやつだ。ちなみに32ミリの一定太さのやつもある。
ガラス棚板もある。
う~ん、一度設置して引っ越す予定が無いならこんな製品も良いかも。
でも、ガラス製品は引っ越しする場合に厳重に梱包して慎重に扱う必要が有るので神経を使う(ワテの場合)。
そう言う心配性な人には向かないかも知れない。
ガラスは木材に比べて表面が硬いから、耐久性は高いだろう。また、表面を金鳥サッサなどで軽く拭けば綺麗になるし。お手入れが簡単だ。
クアドラスパイアはパーツを追加購入出来る
クアドラスパイアは棚板やポールを追加購入出来る。
ポールの太さは三種類。
- 19mm径ポール
- 32mm径ポール
- VENT用32mm径ポール(中央がくびれているやつ)
ポールの長さは以下の通り。
- 100mmポール
- 140mmポール
- 180mmポール
- 216mmポール
- 256mmポール
- 326mmポール
所有しているオーディオ機器に応じて、必要な長さのポールを追加購入すれば良い。
ちなみに、短いポールを連結して使うのは推奨されていない。
例えば
100ミリ + 140ミリ = 240ミリポール
として使うのは非推奨だ。
その理由は以下の通り。
Q 棚板間の距離を大きく設けたいのですが、ポール同士をつないで使用しても構いませんか?
A ポールの構造及び強度の面からお薦めできません。推奨仕様対象外でのご使用での破損に伴う保証は一切しかねますので、どうぞご了承下さい。
引用元 http://www.quadraspire.jp/faq/faq_01.html#05
まあ、ワテの知り合いに、非推奨を承知の上で2連結で使っている人は居た。ただしその場合でも、最上部の荷重が加わりにくい部分での使用だった。
最下段でポール2連結にすると荷重も掛るので、確かに危険性は高い。いずれにしても自己責任になる。
脚部も種類が多い
棚板も多数の種類がある
クアドラスパイアの横型ラック
上の製品はかなり高額だ。
30畳~50畳くらいの広さのリビングに置くといい感じになるだろう。
大型のオーディオ機器を6台設置出来るので、仮に一台当たり30キロとしても、180キロ。ラックも入れると200キロは超える。
下図は、スリットが入ったタイプで、横二連のデザインだ。
シンプルでいい感じだなあ。
チェリーレッドの明るい色合いの棚板も見栄えが良いが、上図のナチュラルチェリー棚板も良いなあ。
以上、多数のクアドラスパイアの製品を見て来たが、その中でワテが一番気に入ったのがこの製品だ。
クアドラスパイアのポールの構造
クアドラスパイアのポールの構造を紹介しよう。
全製品では無い様だが、一部の製品では、下図のような構造になっている。
引用元 https://www.phileweb.com/news/d-av/image.php?id=18658&row=2
特徴としては、図中にある筒状の部品だ。
「デカップラー」と言うパーツらしい。
もしこの部品が無いと、上下のポールで単純に棚板を挟み込む構造だが、「デカップラー」がある事より、あえて棚板を強固には固定しないようになっている。
その辺りの理由を調べてみた。
デカップラー
下図は、上図を元にワテが独自に作図してみたものだ。
クアドラスパイア純正の図ではないので要注意だ。
図 クアドラスパイアのデカップラーの構造の解説
繰り返しになるが、この図はあくまでワテの理解の為に作図したものであり、実際のクアドラスパイアの構造とは異なる可能性がある。
上図において、水色が「デカップラー」を表す。実物は金属製なので銀色だ。
デカップラーの高さ > 棚板厚さ
なので、上下のポールを強く捻じ込んでも棚板はリジッドには固定されない。
デカップラーの効果・目的
ではそのデカップラーの効果・目的は何なのか?
技術詳細
■ デカップリングシステム
振動の発生から遅延して生じる広範な悪影響を低減させる為に、速やかに熱に変換させる伝播経路の確保と棚板相互の分離を両立させたユニークな構造。
任意の棚板をデカップリングさせることができ、それぞれの機器を理想的に支持。全体域にわたり位相乱れがなく高純度な再生をサポートする事に貢献します。
引用元 クアドラスパイアのサイト https://www.quadraspire.jp
う~ん、何だか難しい事が書いてあるぞ。
ワテには良く分からん。
何らかの定量的なデータを示してもらえると納得するのだが。
まあ良いか。
次に進もう。
Q Q4D-VentやQ4D-Referenceにはデカップラーが付属されてきますが、何に使えばよいのでしょうか?
A 各々のポールの接合部にデカップラーをはめ込むことで、各棚板に起因するレゾナンス排除を効果的に行えます。お使いいただくデカップラーの場所は、お好みでお選び下さい。
引用元 http://www.quadraspire.jp/faq/faq_10.html#05
と言う事は、デカップラーは使っても使わなくても良いと言う事か。
最下段に使用する棚板へポールを指し込み、反対側からスパイク脚を取り付けます。なお、ここにはデカップラーは使用しません。
引用元 http://www.quadraspire.jp/pdf/q4dvent_build.pdf
なるほど。
確かに最下段の棚板の固定が緩いと棚全体がグラつくわな。
そりゃそうだ。
以上で、クアドラスパイアのほぼ全てのノウハウを理解出来た(事にしておく)。
それらの知識を元にして、ワテも金属ポール式のオーディオラックをデザインしてみた。
それがこれだ!
ワテ設計のオーディオラック
図 クアドラスパイア風オーディオラックの完成予想図
どう!
いい感じでしょ?!
この後で紹介するが、材料費は2万円程度。
まさに
「みりん」と「みりん風調味料」
の関係のように、
「クアドラスパイアオーディオラック」と「クアドラスパイア風オーディオラック」
の関係になる。
なんのこっちゃ。
ワテ設計のオーディオラックの仕様
以下では、単位はミリ。
棚板サイズ 1100 x 450 x 24 (12ミリ厚針葉樹合板を二枚貼り合わせ)
ねじはM16並目(ピッチ : 2.0)を使う。
M16ネジの場合、他に細目 (ピッチ : 1.5)もあるので要注意だ。
材質は鉄製の安いやつで良いだろう。外部からは見えないし。
予算に余裕がある人はステンレス製のネジやボルトを使っても良いだろう。
クアドラスパイア風オーディオラックの全材料を表にしてみた。
表 ワテ設計のクアドラスパイア風オーディオラックの全材料。
棚板の間隔が未定なので全ネジボルトの寸法も未定だ。
今回設計した案では、大体800~900ミリになる予定だ。
Rhinoceros(ライノセラス)で設計した
設計に使用したCADはRhinoceros(ライノセラス)と言う製品で、90日の無料お試し期間中だ。
ワテの場合、CAD関連の知識はあまり無いのだが、YouTubeに沢山あるRhinocerosの学習動画を見て練習した。
今まで、学校でも仕事でも趣味でも本格的な2Dや3Dの図面などは描いた事は無い。
でも、Rhinocerosを使って適当にモデリングしたら、上図くらいの作品なら自力で作成できるようになった。
表示モードは
- ワイヤフレーム
- シェーディング
- レンダリング
- レイトレース
の四つがあるのだが(ワテが試した範囲では)、ワイヤーフレームは分かり易い。
文字通り、輪郭線でモデルを表示するのだ。
シェーディングとレンダリング表示の違いが良く分からない。
この記事でキャプチャしている画像の多くはレンダリングモードで表示した画面だ。
レンダリング表示にすると、金属の質感や表面の凹凸などを表現する事が出来た。
この後で各部の構造を紹介するが、M16サイズの六角ボルト表面の質感など、いい感じで再現出来た。
たぶん、ワテが使っているNVIDIA社のグラフィックカードでそう言うCG効果を計算して表示しているのだろう。マウスでモデルをグリグリ動かしても、瞬時にその位置でレンダリング表示できる。
一方、レイトレースモードにすると、数十秒から数分くらい掛けて計算をしている。
マウスでモデルを動かす度に計算が始まるので、少々まどろっこしい。
多分、CG画像作成の計算をバックグラウンド処理でやっているのだと思うが、出来上がる画面を見ると、それほど良くないのだ。例えば、レイトレースモードで計算した画像ではレンダリングモードのようなボルト表面の凹凸が表現出なかった。理由は、たぶん、ワテの設定が悪いのだろう。
なぜなら、Wikipediaの「レイトレーシング」を引用すると以下の通り。
レイトレーシング(ray tracing, 光線追跡法)は、光線などを追跡することで、ある点において観測される像などをシミュレートする手法である。
光線の他、直線的に伝わる(回析などの影響が少ない)ものであれば任意の波に適用できる手法であり、たとえば光以外の波長の短い電磁波(電波)や音波など(地震波や超音波など)が挙げられる。「波線追跡法」「音線追跡法」などといった語もある。
(略)
こういった拡散反射は乱数によってランダムに選ばれた方向のみに限定することで演算量を現実的な処理量に抑えた「モンテカルロ・レイトレーシング」によってシミュレートされる。
レイトレーシングのWikipediaから引用
要するに、コンピュータのCPUを使って、CGモデルに光が反射する様子をシミュレーション計算するらしい。それもモンテカルロ法を用いて何度も計算するらしい。確かにRhinocerosでレイトレースモードにすると、モデルの位置を動かす度に徐々にCG画像が浮かび上がって来るのだ。
世の中、ワテの知らない事ばかりだ。
さて、本題に戻って、ワテ設計の「みりん風調味料」ではなくて、「クアドラスパイア風ラック」の各部の詳細を説明しよう。ここ、ちょっと笑うところ。
しかしまあ、毎回「クアドラスパイア風ラック」と言うのは面倒だ。
取り敢えず、「ワレコスパイア(仮称)」にするかな。
ワレコスパイア(仮称)の内部構造を解説
下図は、アルミパイプを非表示にした状態。
アルミパイプはあくまで装飾のために使うので、構造的にはアルミパイプは無くても良い。
実際、世の中には上図のような見た目のオーディオラックを自作している人は多い。
キーワード = オーディオラック 全ネジボルト
で画像検索すると沢山ヒットする。
ワテの場合は全ネジボルトが剥き出しの武骨なデザインが好きになれない。
それを改善する画期的なアイディアがアルミパイプの利用だ。
表面が艶消し加工されているアルミパイプを使うと、落ち着いた感じに仕上がる。
なお、ワテのデザインでは、全ネジボルトの上下に高ナットと言う寸法の長いナット(長さ60ミリ)を使っている。
棚板はM16ナットで固定
純正クアドラスパイアのラックでは、棚板を敢えてリジッドに固定しない「デカップリング」の構造を採用している事は上で説明した。
一方、ワテ設計のクアドラスパイア風ラックでは、そんな事は一切考慮せずに棚板を上下のボルトで強固に締め付けて固定する方式だ。
なお、必要ならばボルトを緩めにしておけば棚板をデカップリング構造に出来る。
ただし、クアドラスパイア社のデカップリング構造と同等の機能があるかどうかは未確認だ。
もちろん全部の棚板を緩めに固定すると、単に、棚がグラついて不安定になるだけだろう。
この点は純正クアドラスパイアのラックでも同じだ。
従って、最下部と最上部の棚板は強固に固定して、中間の二枚の棚板は緩めに固定しても良いだろう。
いずれにしても、ワテ設計のラックはあくまでクアドラスパイア社の高級ラック風に作りたいだけなので、細かい事は考えない。
兎に角、オーディオラックとして使えれば良しとする。
天板の固定方法
下図において、高ナットとその下のナットを互いに締め合うことで高ナットを全ネジボルトに固定している。ダブルナットと言うやつだ。
その高ナットに天板を載せて、最上部からボルトで天板を固定する構造にした。
天板の固定ボルトは目に付くので、ステンレスとか真鍮とか、見た目の美しいものを選ぶと良いだろう。
六角キャップボルトでも良い。
でもまあ、高ナットを使う構造にせずに全ネジボルトを上部まで貫通させて、最上部もナットで固定しても良い。
あるいは、袋ナットにするとボルトの断面が見えないように出来る。
例えばこんなやつ。
ちなみに自動車のホイールナットは見た目が綺麗なのが沢山ある。
ただしホイールナットでM16並目サイズがあるのかどうかは未確認だ。
脚の部分はM16ボルト
脚の部分にも高ナットを利用した。
上図において、脚の部分はボルトを取り付ける。
ボルトを使う事で、高さ調整機能を実現出来る。
脚をボルトにせずに、以下のようなパーツを利用しても良い。
以下の製品は安くて良いが、M16サイズのヤツはアマゾンでは見付からなかった。
もし上の製品をM16ボルトに取り付けるなら、以下のような異径高ナットを使えば可能だと思う。
ただし、ワテは試していない。
天板の固定詳細
下図が完成図。
- 艶消しアルミパイプ
- 木目調棚板
- 金属ボルトの質感
- 光の陰影
がモデリングソフトRhinocerosのCG画像で良く表現出来ている(自画自賛)。
下図は棚板を非表示とした状態。
下図は棚板とアルミパイプを非表示にした状態。
本当ならボルトにはネジ山を刻みたかったのだが、現在のワテのRhinoceros操作能力ではそこまでは無理だったので、単なる棒状にモデリングしている。
アルミパイプの選定
さて、ワレコスパイア(仮称)の見栄えを決定するのがこのアルミパイプだ。
外径32ミリ、内径30ミリのアルミパイプを選定してみた。
ワテが調べた限りでは、この手のアルミパイプは1ミリ刻みで直径の異なるものがある(どんな直径でもある訳では無さそうだが)。
また、肉厚も
- 1 mm
- 1.5 mm
- 2 mm
- 3 mm
- ・・・
のように多数ある。
一本の長さが4000mm (4メーター)が標準品のようだ。
なので、ネットでカット販売している業者さんにカット注文すれば良いだろう。
32ミリパイプはM16にピッタリ
ワレコスパイアはパイプの直径を32ミリにしてみた。
偶々だが、クアドラスパイアの32ミリポールと同じ太さになった。
理由はM16ナットの最大径にピッタリとフィットするので。詳細はこの後で説明。
直径32ミリポール版のワレコスパイアに利用できそうなアルミパイプの規格を調べてみた。
外径(mm) | 肉厚(mm) | 内径(mm) | 定尺(mm) | ワテのコメント |
32 | 1 | 30 | 4000 | ちょっと薄いか |
32 | 1.5 | 29 | 4000 | これでも良いかも |
32 | 2 | 28 | 4000 | 今回採用予定 |
表 外径32ミリの主なアルミパイプ
アルミパイプはネット販売でも買える。
定尺4000ミリ(4メートル)だが、ワンカット数十円くらいで指定長さにカットして貰える。
上表のアルミパイプなら4メートルで3000~4000円で買える。
楽天、Yahooショッピングでアルミパイプをかなり安値で買う人向け
ワテ自作の便利サイト、
何が出来るかと言うと、
Amazon.co.jp
楽天市場
ヤフーショッピング
の三つのショッピングサイトを同時検索して、商品を価格の安い順に表示出来ると言う、お買い物支援サイトだ。
「最安価格サーチ」で、
「アルミパイプ 32 4000」をかなり安値で探したい人は こちらから >
ワテ渾身の力作のかなり安値ショッピングサイトです。
外径Φ32x内径30アルミパイプとM16ナット案
図 M16ナットと外径Φ32x内径30アルミパイプの隙間
M16ナットの最大直径は約28ミリ。
正確にはワテの作図で計測すると27.71だ。
ネジ専門業者さんのサイトの記述でもこの数字なので正しい値だ。
上図において外径32x内径30ミリのアルミパイプは内径30なので、最大径28のナットを差し込むと約1ミリの隙間が開くが、そのままでも良いと思うが必要なら何らかの薄い素材を巻いて隙間を埋めても良いだろう。
外径Φ30x内径28アルミパイプとM16ナット案(これを採用した)
外径30x内径28ミリのアルミパイプも標準品である。
図 M16ナットとΦ30×28アルミパイプの隙間
この場合、寸法がギリギリなのでアルミパイプがスッポリと差し込めるかどうかが懸案事項となる。
ワテのち密な計算では
(28.00 – 27.71) ÷ 2 = 0.29 ÷ 2 = 0.145 (145ミクロン)
しか隙間が無い。
途中で引っ掛かって組み立てに苦労する可能性もある。
実際に作ってみないと分からない。
でも自称DIYの達人のワテの直感では、たぶんこの案で上手く行くと思う。
なので、この案を採用する予定だ。
パイプの長さは棚板間隔よりも短めにする事
ワレコスパイアの構造を支えるのは全ネジボルトだ。
アルミパイプはあくまで装飾目的である。
厚みは1ミリを選定したが、1.5ミリでも良いかも。
でも1ミリだと薄いのでウッカリ強く握ると凹んでしまう恐れがある。
そいう点では、1.5ミリか2ミリ厚が良いかも。
ただし値段は大して変わらない。
なお、アルミパイプの価格は、例外もあるようだが、だいたいは重量に比例するようだ。
と言う訳で自称オーディオラック設計の達人のワテが選んだのが1ミリ厚のアルミパイプ(外径30 x 内径28ミリ x 1ミリ厚)だ。
4000ミリ(4メートル)で3000~4000円前後だと思う。
注意事項としては、パイプ寸法は棚板間隔より1~2ミリ程度は短めにする事。
もしパイプ寸法が棚板間隔と同じかそれより長いと、棚板の荷重がアルミパイプに掛る。
その結果、アルミパイプが圧縮されて歪む恐れがあるからだ。
それを回避する為に、アルミパイプ寸法は棚板間隔よりも短くする必要がある。
隙間を埋める素材
全ネジボルトのナット部分に何らかの制振物質を巻いてやればアルミパイプとの隙間をピッタリと埋められる。
例えばこんなやつが良いかも。
でも、ワテなら養生テープを巻くかな。
安上がりだし。剥がし易いし。
ビニルテープなどを巻くと、粘着物質がべとついて剥がすのが面倒なのでワテは使わない。
ワレコスパイア材料費の見積
ネットで偶々見付けた螺子屋さんのサイトで、部品代を見積もってみた。
項目 | 説明 | 単価 | 個数 | 小計 |
針葉樹合板 | 1820x910x12 | 1000 | 4 | 4000 |
カット代 | 30/カット | 8回 | 240 | |
高ナット | ||||
材質 | 鉄 | |||
表面処理 | ユニクロ(銀) | |||
サイズ | 16X24X70 | 110 | 40 | 4400 |
寸切(荒先) | ||||
材質 | 鉄 | |||
表面処理 | 生地 | |||
サイズ | 16X240 | 129 | 24 | 3096 |
六角ナット(1種 | ||||
材質 | 鉄 | |||
表面処理 | 生地 | |||
サイズ | M16 | 14.13 | 100 | 1413 |
ワッシャー(ISO | ||||
材質 | 鉄 | |||
表面処理 | 生地 | |||
サイズ | 17X30X3.0 | 9.13 | 48 | 439 |
レベリングボルト | ||||
材質 | 鉄 | |||
表面処理 | 三価ホワイト(銀) | |||
サイズ | 16X40 | 189 | 6 | 1134 |
合計 | 14722 |
ここにアルミパイプの価格約5000円を追加すると総額20000円くらいになる。
と言う事でワテの計算では、約2万円の予算(税抜き)の材料費でワレコスパイアが実現出来るのだ。
まとめ
このところ、木工DIYに熱中しているワテであるが、オーディオラックの自作に挑戦したいと思っている。
市販のオーディオラックは、高級品になると数万円から何十万円の価格帯だ。
自作の目的は、モノづくり自体の楽しみもあるが、高級品っぽいデザインの物を安く作ると言う楽しみもある。
最近勉強中のモデリングソフトRhinocerosを駆使して、二種類のオーディオラックをデザインした。
一つは、全部木製のオーディオラック。
もう一つは、金属製のポール支柱方式のオーディオラックだ。
近々、この設計図に基づいてポール支柱方式のオーディオラックを製作したいと考えている。
名称は、「ワレコスパイア(仮称)」である。
CADを使って十分シミュレーションしているので、この設計図通りに作れば良い感じのが出来ると思っているのだが。
しかし、何事もやってみないと結果は分からない。
完璧だと思った設計であっても、重大な欠陥を見逃している場合もある。
その結果、ようやく完成したと思って使ってみたらガタついて使い物にならないなんて言う事態も有り得る。
その時に、思わずボヤいて
くわぁ~、どえらい失敗や!
まさに、
クワドラシッパイヤーの誕生である。
んなアホな。
チャレンジャー精神のある人は、この設計図を基にワテよりも先にクワドラシッパイヤーを製作して頂けると有難いです。
ワレコデザイン事務所
しかしまあ、Rhinocerosは便利だ。
今まではちょっとしたデザインはPowerPointを使って描画していた。
でもPowerPointの場合には、平面図を描くのには便利だが、三次元的な立体図面を描くのは難しい。
それに対して本格的な三次元モデリングソフトであるRhinocerosは抜群に使い易い。
何と言うかその、例えば、二つの物体があって、その一方をもう一方にピッタリをくっ付けたいとする。例えば、高ナットとナットをピッタリとくっ付けて配置したい。
そう言う場合に、「Onsnap」モードを有効化してあると、何だか知らないがいい感じで操作出来るのだ。
今後もRhinocerosを使って、思い付いたアイディアをバンバンとデザインしてみたい。
会社名は、
- ワレコデザイン
- ワレコデザイン事務所
- ワレコデザインラボラトリー
- ワレデザ
- ワレデザ研究所
などを検討中だ。
ワレコデザイン事務所にデザインを依頼したい人は、下のほうにあるコメント欄からお問い合わせ下さい。無いか。
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