ワレコ
しかしまあ11月下旬だと言うのに暖かい。
これは地球温暖化の影響である事は間違い無い。
さて2020年5月頃に自作した「ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)」であるが、このアンプはノイズも皆無で長時間聴いていても耳に心地よく、小音量で聴くPCオーディオ環境には最適だ。
しかしながら、自作木製シャーシに入れているので見た目が今一つ良くない。
そこでFusion360で設計してPCBWayさんにレーザー切断加工で発注したシャーシのアルミパネル部品を組み立てて超高級感がある自作アルミシャーシを作成したのだ。
その製作過程は前回記事で紹介している。
その自作アルミシャーシに「ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)」の中身を移植したので、当記事ではその作業過程を紹介したい。
写真を沢山撮影したので前編(当記事)・後編(次回記事)に分けて紹介したい。
では、本題に入ろう。
移植前のぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)
下写真の黒スプレー塗装している木製シャーシに入っているのがぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)だ。
写真 ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)
見ての通り、手作り感丸出しの自作アンプである事がバレバレだ。まあバレても困らないが出来ればもう少し見た目を良くしたい。
このアンプは天板を付けると内部温度が50度以上になるので、通常は天板無しで冷却している。
デジタル温度計はアルミヒートシンク表面の温度を計測している。天板無しだと50度以下くらいで安定している。
ちなみにアンプの下にあるMDFボードパネルに五連プッシュボタンが付いている機器は、ワテ自作のスピーカーセレクターだ。
モーメンタリ型のプッシュボタンを押すと、ラッチングリレーが切り替わるようにしている。上写真は左チャンネルのスピーカー切り替え用で、もう一台同じ物が右チャンネルスピーカー切り替え用に設置している。ただし右チャンネルにはプッシュボタンは付いていない。
左右のユニットは有線式で連動するようにしている。
このラッチングリレー式左右モノラル構成のスピーカーセレクターの製作記事はこちら。
なお、上写真の右に写っているのは、金田式超多機能アナログ&デジタル再生システムだ。その製作記事はこちら。あまり使っていないので処分するかどうか検討中だ。
アンプ基板を取り出す
さて、下写真左がPCBWayさんに発注したアルミパネルを四枚組み合わせて作成したアンプ用のシャーシだ。
写真 左:新型アルミシャーシと右:旧型木製シャーシ(ぺるけ式トランジスタミニワッター)
下写真のぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)を分解する。
写真 2020年5月頃に自作したぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)
このアンプはコネクタを多用して分解し易いように製作している。
その結果、数個のコネクタを外すだけで下写真のようにアンプ基板を取り出す事が出来るのだ。
写真 コネクタを多用したので簡単に分解出来る(メンテナンス性抜群)
なお、この「ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)」に使ったワテ自作のプリント基板はまだ何枚か余っているので、もし欲しい人が有れば差し上げても良いのだが、匿名でブログを運営している関係で発送も匿名に出来れば良いのだが、それは難しいのかな?
ちなみにこの黒色プリント基板の仕様は以下の通り。
ワテ自作のぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)基板の仕様
上写真に於いて、幾つかのコネクタが写っているがその説明をしておこう。
電源コネクタはVH8ピンメスコネクタを使っている。これは採用したスイッチング電源出力がVH8ピンオスなので、それに合うVH8ピンメスを秋月電子で購入したのだ。AC100V入力端子もVH5ピンコネクタが使われている。
出力はVH8ピンだがそのうち四つが出力電圧、残り四つがグランドだ。⊕⊕⊕⊕⊖⊖⊖⊖ こんな配置になっている。
VHコネクタは定格電圧・電流が250V/10Aなので、大電流を扱う電源回路やパワーアンプ出力端子などでワテは良く使っている。このぺるけ式アンプ基板のスピーカー出力端子にもVHコネクタの2ピンのやつを使っている。
なお、このスイッチング電源はDC24V、4.5A出力だが調整用ボリュームを回して出力電圧を最低のDC19.5Vに設定している。
次に、アンプ基板から出ている青白ツイストケーブル、赤白ツイストケーブルはBASS BOOST機能用だ。ピンヘッダやソケットを利用してコネクタを自作している。
このケーブルがオープン状態(上写真)ならBASS BOOSTが有効化される。ショートすると無効化される。
旧型木製シャーシの時には、トグルスイッチを利用してこの配線のオープン・クローズを切り替えていた。具体的には2極双投(DPDT)のトグルスイッチを使っていた。
新型シャーシでは、BASS BOOST有効化時にはLEDを点灯させる機能を入れたい。となると、LED点灯用にもう1回路必要になるので、3極双投のトグルスイッチを使えば良いのだが、手持ちに手頃なスイッチが無いのでリレーを組み合わせる事にした。
詳細は次回記事参照。
コネクタ類は再利用する
下写真のように旧型木製シャーシのリアパネルには、入出力端子としてNEUTRIKの四極スピコンコネクタが二個、XLR31の5ピンメスが一個付いている。
写真 左からBASS BOOST切り替えトグルスイッチ、ヘッドホンジャック、リアパネルなど
新型シャーシでもNEUTRIKスピコンコネクタを使うのでこれらは再利用する。
一方、入力端子は旧型木製シャーシではXLR31の5ピンメスだったが、これは廃止して普通の紅白RCAジャックに変更する。
このぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)は平衡入力(バランス)では無く普通の不平衡入力(アンバランス)アンプなのだがそれにも係わらずXLR5ピンメスを入力に使っていた。
その理由は、このぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)の前段に接続している「ぺるけ式FET式平衡型差動プリアンプVersion2」がバランス出力タイプでXLR5ピンオスの出力端子を持っていて、かつ平衡・不平衡のどちらのパワーアンプにも接続可能なのだ。
そこで、それらの接続を一本のXLR5ピンのケーブルで出来るようにするために、パワーアンプ側入力端子にはXLR5ピンメスを採用したのだ。
しかしながら一般にはXLR3ピンやXLR5ピンのコネクタはバランス入出力用に使われる。
ワテの場合は、それは無視してアンバランス(不平衡)な信号をXLR5ピンで扱っていたので、それは混乱の元だ。なので、今回の移植作業では基本に戻ってアンバランス信号はRCAジャックで受ける事にしたのだ。
下写真が解体中の旧型木製シャーシリアパネル。
写真 旧型木製シャーシのリアパネル(中央白色コネクタがスピーカー出力用VH2ピンメスハウジング)
上写真のヒューズホルダーや2極ACインレットは、新型シャーシには形状が合わないので再利用しない。
リアパネルにコネクタを取り付ける
さて、新型シャーシのリアパネルにパーツを取り付ける。
写真 新型シャーシに取り付け予定の各種パーツ
リアパネルにはレーザー切断加工で取り付けパーツにピッタリと合う形状の穴が開いているので簡単に取り付けられる。
ただし、下写真のACアウトレットの取り付けは若干工夫が必要だった。
写真 エコー電子製パネルマウント用ACアウトレット AC-1F
このACアウトレットは、他の機器に電源を供給出来るように追加した。
上写真で分かるようにこのACアウトレットはパネルに嵌め込んで二個の爪でロックする構造だ。
ところがこの手の部品は、取り付け可能なパネル厚さは1~2mm程度なので、今回採用した3mm厚アルミパネルは厚すぎるのだ。
もしCNCフライスでアルミパネル加工をした場合なら、ACアウトレットを取り付ける部分を削って厚さを2mmにするなどは可能だ。
でもレーザー切断加工でPCBWayさんにアルミパネル加工を発注したので、CNCフライスで部分的に削るような加工はレーザー切断加工では出来ない。
なので、ACアウトレット側を改造した。具体的には下写真のように二箇所の爪の先端をカッターナイフで削って3mm厚アルミパネルでも爪がロック出来るようにしたのだ。
写真 エコー電子製ACアウトレット「 AC-1F」の爪を切って厚板パネルに取り付け可能に改造
この改造によって下写真のように無事にACアウトレットを3mmアルミパネルに固定する事が出来た。
写真 無事に3mm厚パネルに取り付け出来たエコー電子製ACアウトレット「 AC-1F」
あとは、2極ACインレットを下写真のようにネジ固定する。
写真 エコー電子(EDK)製パネルマウント用メガネACインレット AC-M01SB02
次に下写真のヒューズホルダーを固定する。このサトーパーツのヒューズホルダーは円形胴体の一箇所に回転防止の突起がある。
アルミパネルにもその突起がピッタリとはまるように加工されている。レーザー切断加工ではこの手の加工も難なく出来るのだ。
写真 サトーパーツのヒューズホルダー F-95-Nを使った
紅白のRCAジャックも下写真のように固定する。
写真 紅白RCAジャックをパネルに取り付ける
下写真はスピーカー出力端子に採用したNEUTRIKの四極スピコンコネクタだ。
写真 最近のワテはスピーカー端子にはスピコンを良く使う
スピーカー出力は左右共に+極、ー極の2信号のみなので2極スピコンコネクタでも良い。4極スピコンコネクタを使った理由は単に手持ちに有ったので。
これに接続するスピーカーケーブルには下写真のスピコンコネクタを付けるのだ。
と言う事で、下写真のようにリアパネルにコネクタ類の取り付けが完了した。
写真 パネル加工はPCBWayさんに発注して正解だった。手作業ではここまでは出来ない。
なお上写真に於いて、リアパネル中央の二つの大穴は30×30のDCブラシレスファン取付用に開けている。
もし新型シャーシに移植したぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)の発熱が大きい場合には、DCブラシレスファンを追加してみたいと思っている。
手持ちにある30mm角のDCブラシレスファンはDC12V駆動なので二個直列に接続して、スイッチング電源DC19.5Vに接続すれば、フル回転にはならないが回るとは思う。もし風量が足りない場合には別途DC24V電源、あるいはDC12V電源を用意したい。
リアパネルに取り付けた各種のパーツ(下写真)。
写真 メーカー製高級アンプか!?と勘違いするくらい完璧に組み上がったリアパネル
やっぱりレーザー切断加工で綺麗に開いている穴に、部品がピッタリとはまると快感がある。
一回でもこの快感を体験すると、もはや以前のような手作業でのパネル加工には戻れない。
まさに中毒症状。禁断のレーザー切断加工だ。
タイマーズのテーマ~Theme from THE TIMERS
の歌詞みたいなもんか。
なんのこっちゃw
フロントパネルにパーツを取り付ける
次はフロントパネルにパーツを取り付ける。
電源スイッチには照光ロッカースイッチを採用した。
写真 電源スイッチにはエコー電子製のロッカースイッチ(照光タイプ)を使う
ロッカースイッチは縦向きに付ける場合もあるが、今回は横向きに取り付ける事にした。
その理由は、フロントパネルが210x60x3tと言う横長スタイルなので、ロッカースイッチの向きも横向きのほうがバランスが良いかなと言う判断だ。
スイッチの一つの向きにすら細心の注意を払うワテである。まあ要するに神経質で細かい事が気になる性格と言うだけだが。
下写真はBASS BOOST用の2極双投トグルスイッチとヘッドホンジャックだ。
写真 旧型木製シャーシから取り出したNKK製トグルスイッチとヘッドホンジャック
下写真のようにいい感じに取り付ける事が出来た。
写真 この凸型(円筒部Φ2mm)の発光ダイオードはワテお勧め
BASS BOOSTをON(トグルスイッチを上に倒す)した場合には、緑LEDを点灯させる事にした。
そこで旧型木製シャーシの電源表示に使っていた緑LED(上写真)を再利用する。
このLEDは円筒部分がΦ2mmと言う細型で、下写真のようにフロントパネルに開けているΦ2mmの穴にピッタリとはまる。
写真 BASS BOOSTスイッチ、表示用LED、ヘッドホンジャックが見事に収まったフロントパネル
完璧や!
トグルスイッチやヘッドホンジャックを内側から見た写真を下に示す。
写真 フロントパネルに仮止めしたトグルスイッチやヘッドホンジャック
ヒートシンクのサイズを小さくする
新型シャーシは天板・底板のサイズを297x210x2tにした。A4サイズだ。
写真 ヒートシンク幅が新型シャーシより20mmほど広い問題
新型シャーシの内寸は旧型木製シャーシの内寸よりも若干狭い。その結果、上写真のようにアルミヒートシンクが新型シャーシのからはみ出すのだ。
そこでヒートシンクの端っこを20mm程度切断した。
写真 ダイソー金切り鋸でアルミ製ヒートシンクを切断中
下写真のように切断できた。
写真 ヒートシンクを切断した
ちなみにこのヒートシンクはワテの手作りで、アルミ平板と十個程のアルミLアングル小片をアロンアルフアで貼り付けて自作したのだ。
小型化したアルミヒートシンクをアンプ基板に固定した(下写真)。
写真 小型化したアルミヒートシンクにパワートランジスタをネジ止め
さて、旧型木製シャーシではこのアンプ基板はシャーシ底板の上に載せているだけだったのだ。ネジ固定すらしていなかった。
その理由は、上写真のようにアンプ基板の四隅にはM3ネジ固定用のΦ3.2穴を開けていたのだが、ヒートシンクを取り付けると基板のネジ穴が隠れてしまってドライバーでネジ固定出来ないのだ。
完全な設計ミスだったのだ。
そこで新型シャーシでは、下写真のようにヒートシンクにΦ3.5の穴を開けてL型金具をネジ固定した。
写真 ヒートシンクに2個のL金具を付けて固定支柱にした
そのL型金具の底部には、タカチ電機の貼り付けボス(四個)をネジ固定した。
写真 4つの各L金具にタカチ貼り付けボスをネジ固定した
ワテが使ったやつとは色が違うが、例えば下写真のような貼り付けボスを使ったのだ。
貼り付けボスは強力な両面テープ付きなので、保護シートを剥がして新型シャーシの底板に貼り付けた(下写真)。
写真 パネルの穴を利用してドライバーでネジを回す工夫(自称DIY達人のワテの技)
上写真のようにアンプ基板の両側にあるパワートランジスタの固定ネジを締めた。
新型シャーシは接着剤でサイドウッドに貼り付けているので分解が出来ない。
なので、上写真のようにナットドライバーをDCブラシレスファン取り付け穴から入れて作業した。
ところが反対側のネジはパネルに穴が開いていないので真っ直ぐなドライバーでは作業出来なかった。
そこで下写真のようなフレキシブルシャフトを使ってネジを締めた。
写真 フレキシブルシャフトなドライバーがあると便利
ワテが使っているのは下写真のようなドライバーセットだ。その中にフレキシブルシャフトも付いていた。
その結果、下写真のように無事にヒートシンクを新型シャーシに固定する事が出来た。
写真 ヒートシンクを小型化して新型シャーシにアンプ基板の取り付け完了
なお、このアンプ基板は左右にあるパワートランジスタの部分でアルミヒートシンクに固定されていて、吊り下げる形になっている。
その結果、アンプ基板の重量を四つのパワートランジスタが支えているのだ。なので、構造的にはあまり良いとは言えない。
なぜなら長期間この状態のままだと、パワートランジスタの足の半田付け部分に荷重が掛かって、半田にクラックが入るなどの可能性もあるからだ。
でも、まあ、その時はその時だ。
故障したら直せば良い。
兎に角、DIYでは前に進む事が重要だ。
まとめ
ワレコ
PCBWayさんに発注してレーザー切断加工されたアルミパネルに、パーツがピッタリとはまるのは気分が良い。
ハンドニブラやリーマーを使ってアルミパネルに穴開け加工していた昔が懐かしい。
当記事では、2020年5月頃に自作した「ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)」の自作木製シャーシを、新たに作成したアルミ製シャーシに変更する作業の前半部分を紹介した。
Fusion360で設計してPCBWayさんに発注したアルミパネルを自作サイドウッドに接着して完成したアルミシャーシには、取り付け予定部品の形状に合わせてピッタリの穴開け加工が成されている。
その結果、各種のコネクタは穴に差し込んで固定ナットを締め付けるだけで良いのだ。
従来のワテは、ハンドニブラ、リーマー、ヤスリを駆使して必死で穴開け加工をしていたのだが、手作業でのシャーシ作りは限界がある。
210x60x3tのアルミパネルは、数個の穴開け加工とシルクスクリーン印刷あるいはレーザー刻印加工で文字入れもしている。PCBWayさんに発注した場合、五千円前後の費用でこれらのパネルを製作出来る。
なので前後二枚のパネルの製作費が一万円くらい、あとは送料が三千円弱。合計一万三千円程度でいい感じのアルミケースを自作する事が出来るのだ。
金属加工の外注はとっても便利なので皆さんにもお勧めしたい。
PCBWay公式サイトはこちら
(続く)
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