ワレコ
当記事は12V車に24Vバッテリー(Redodo リン酸鉄リチウムイオンバッテリー24V100Ah)を搭載して昇圧走行充電システムを自作するプロジェクトの第二回目の記事だ。
前回記事で紹介したように、ワテは軽バン(ハイゼットカーゴ)にサブバッテリーシステムを自作して搭載する事にしたのだ。
前回記事(設計編)はこちら↴
今回はその記事の第二回目。
前回設計した昇圧走行充電システムの設計図に基づいて、実際に製作してみた。
その結果、いい感じで完成した。
ただし当記事で紹介しているサブバッテリーシステムは最終完成版ではなく、あくまで試作段階の作品だ。
サブバッテリーシステム最終完成版は下記事で解説しています。
では本題に入ろう。
12V車に24Vサブバッテリーが有利な理由
12V車に12Vサブバッテリーを搭載して走行充電システムを自作している例は多い。
でもワテは12V車に24Vサブバッテリーを搭載するのだ。
その理由は、電圧を上げる事で電流を減らす事が出来るからだ。
例えば2000Wのインバーターを使う場合の電流を比較すると以下の通り。
24Vバッテリーの場合の最大電流I = 2000W / 24V = 83A
つまり12Vバッテリーの場合だと最大で167Aもの電流が流れるのだ。
従ってバッテリーとインバーターの接続に使う赤黒ケーブルは12Vバッテリーの場合なら38sq(許容電流162A)か60sq(許容電流 217A)あたりの極太ケーブルを使う必要がある(下表)。
サイズ(mm2) | 外径(mm) | 許容電流(A) | 導体抵抗(Ω/km 20℃) |
14 sq | 7.7 | 88 | 1.32 以下 |
22 sq | 9.9 | 115 | 0.844 以下 |
38 sq | 12.4 | 162 | 0.496 以下 |
60 sq | 14.8 | 217 | 0.311 以下 |
https://www.taiyocable.com/upImage/product/216%20KIV%20LF202112.pdf
引用元 太陽ケーブルテック株式会社
一方、24Vバッテリーを採用すれば最大電流83Aなので上表から14sq(許容電流 88A)で良いのだ。
電力損失は電流の二乗に比例する
電流が半分になると電力損失は四分の一になるのだ。
つまり、消費電力は以下の式になるが、
一方、オームの法則は以下の通り。
これらを組み合わせると、消費電力は電流の二乗に比例する事が分るだろう(下式)
その結果、12Vバッテリーシステムの配線ケーブルで熱損失として消費される無駄な電力も、24Vバッテリーシステムなら四分の一に出来るのだ。
と言う訳で、高電圧バッテリーを使う事は何かと有利なのだ。
ワテは24Vバッテリーを採用したが、もし予算的に可能なら48Vバッテリー(24Vを二台直列)に48Vインバーターを組み合わせるのが現時点で最もお勧めな構成だと思う。
だいたい世の中の充電式電動工具も徐々に高電圧化している。
つまり10.8Vが14.4Vになり、次は18V。そして今では36Vが主流だ。
今後72V、108Vなどの高電圧電動工具が出て来るかもしれない。
ソーラーチャージャーに端子台を付けて使い易くする
ワテが昇圧走行充電システムに採用したのが下写真のソーラーチャージャー(ソーラー充電器)だ。
このALLPOWERSのソーラー充電器は12V出力ソーラーパネルを接続すれば12Vバッテリーの充電が出来るだけでなく、24Vソーラーパネルを接続すれば24Vバッテリーの充電が出来るのだ。
つまり12Vバッテリーにも24Vバッテリーにも対応している。
ただし、昇圧回路は内蔵していないので12Vソーラーパネル、24Vバッテリーの組み合わせでは使えない。
なのでワテの場合は12Vを24Vに昇圧するDCDCコンバ-ターを別途購入して、このソーラーチャージャーの前段に入れる。
さて、このソーラーチャージャーの接続端子は単線を挿し込んでネジで固定する構造だ。
これだと実験で何度も配線を変更する場合に使い辛いので、下写真のように端子台を使って接続端子を外部に取り出す事にした(下図)。
写真 ソーラーチャージャー(ソーラー充電器)の6個の接続端子を端子台に引き出す
ソーラーチャージャーや端子台は針葉樹合板12ミリの端材にトラスネジで固定している。
このソーラーチャージャーの六個の電極の意味は左から右に向かって以下の通り。
1 | ソーラーパネル⊕に接続 |
2 | ソーラーパネル⊖に接続 |
3 | バッテリー⊕に接続 |
4 | バッテリー⊖に接続 |
5 | 外部負荷⊕に接続(必要に応じて) |
6 | 外部負荷⊖に接続(必要に応じて) |
表 ALLPOWERS製ソーラーチャージャーの電極の意味
なお、これらの電極のうち三つの⊕電極は内部的につながっているので要注意。
つまりこのソーラーチャージャーコントローラーは⊖側の電圧(負電圧)を制御する方式なのだ。
Φ2.0の三芯VVFケーブルをばらして赤黒白の三種類の電線を取り出したものが手持ちに有ったのでそれを使って配線した。
写真 Φ2.0mmのVVFケーブルで配線作業中
今回はΦ2.0mmVVFケーブルを使ったが、Φ1.6mmでも良かったと思う。
写真 Φ2.0VVFケーブルを使って6端子を外部に延長した完成形
上写真のように六個の内部電極を端子台に取り出したので、汎用性が高くなった。
ここで採用した端子台は春日電機の以下の製品だ。
極数 | 6 |
長さ(mm) x 幅(mm) x 高さ(mm) | 82 x 30 x 21 |
定格 | 250V-20A |
端子ねじ | M3.5 |
商用周波耐電圧 | 2000V 1分間 |
適合電線(mm2): | 0.75~2 |
表 春日電機 組端子台 極数6 (型番:T1006)の主な仕様
ワテが採用したソーラーチャージャーは最大20Aなので、端子台も定格250V-20Aを選んだ。
Redodo 24Vバッテリーを使ったサブバッテリーシステムの配線作業
ソーラーチャージャーの電極取り出し作業が完了したので、いよいよリン酸鉄リチウムイオンバッテリー、24Vインバーター、ソーラーチャージャーをケーブルで接続する。
使うのはRedodo 24V 100Ahリン酸鉄リチウムイオンバッテリーだ。
インバーターは電菱(DENRYO)24V 700W DC-AC正弦波インバータ SP-700-124だ
もちろんこの電菱製インバーターは純正弦波インバーターだ。
これらの機器を下写真の配線材料や工具を使って配線する。
写真 12V昇圧24Vサブバッテリー走行充電システム自作に使うパーツ一式
電線は二種類の太さを購入した。
写真 8sqケーブル(赤黒)、2sqケーブル(赤黒)
ワテが購入した電菱インバーター(SP-700-124A)は最大出力700Wなので、バッテリーとの接続ケーブルは取説によると5.5sq(許容電流 49A)で十分なのだが、念のためにワンサイズ太い8sq(許容電流 61A)KIVケーブルを採用した。
8sqなら14sqや38sqの極太ケーブルと比較しても、かなり細い。
一方、ソーラーチャージャーとバッテリーとの接続は2sq(許容電流 27A)KIVケーブルを採用した。実際には5A以下程度しか流さないので、1.25sq(許容電流 19A)でも良かったが、将来的には10Aくらい流して24Vx10A=240W程度でバッテリーを充電する可能性もあるので2sqケーブルを採用した。
下写真のようにインバーターとソーラーチャージャーを針葉樹合板12mm厚端材にトラスタッピングネジで固定した。
写真 Redodo 24V 100Ahリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの上に載せたインバーター
上写真で、針葉樹合板はバッテリーの上に載せているだけだ。
将来、車載する場合には両面テープで貼るなどの固定を予定している。
8sq KIVケーブルにR8-8裸圧着端子を圧着
さて、電子工作が趣味のワテであるが実は8sqなんて言う太いケーブルを使うのは初めての経験だ。
写真 8sq KIVケーブル(赤黒)、R8-8裸圧着端子、#3サイズ大型プラスドライバーなど
こんな太いケーブルを見ただけで緊張するワテである。
下写真のように電工ナイフを使って被覆を剥いて、無事にR8-8裸圧着端子を圧着する事が出来た。
写真 8sq KIVケーブルにR8-8裸圧着端子を圧着成功
ちなみに裸圧着端子R8-8の意味はRはRing型(丸型とも言う)、一つ目の8は8sqケーブル用、二番目の8はM8ネジ用の穴があると言う事。この後でR2-8も使う。この場合は2sq用を意味する。この数字の順番を良く忘れるので、ワテの場合は、ケーブルsq、リング径の順番だと覚えている。最初に来るのがケーブルのsq、次がリングの径だ。
ここで使ったパーツは以下の通り(一部類似品を掲載している)。
KIVケーブル 8sq 赤黒セット 切り売り | 購入した電菱インバーターは5.5sqでも良いのだがワンサイズ太い8sqを購入。 | |
電工ナイフ | 1000円くらいで購入可能 | |
MARVEL 裸圧着端子・スリーブ用 MH-14 | リサイクル屋で新品未使用を購入。14sqまで対応。 | |
日本圧着端子製造(JST) R8-8 (100個入) | 箱買いすると安いので100個購入 | |
8sq 絶縁 キャップ 赤 裸圧着端子 | 絶縁キャップを被せると安全 | |
8sq 絶縁 キャップ 黒 裸圧着端子 | 絶縁キャップを被せると安全 |
表 Redodo 24V 100Ahバッテリーと電菱24Vインバーターの接続に使ったパーツ、工具
下写真のように8sq用絶縁キャップを被せると見た目も良いし安全性も高まる。
写真 三ツ星電線8sq KIVケーブルにR8-8裸圧着端子を圧着して絶縁キャップを被せて完成
完成した8sq接続ケーブルを電菱インバーターの接続端子に接続する(下写真)。
写真 自作した8sq接続ケーブルを電菱インバーターの接続端子に接続している様子
下写真のようにR8-8裸圧着端子が無事に電菱インバーターの電極に差し込む事が出来た。この後、付属のプラスネジを締めて固定した。
写真 R8-8裸圧着端子を付けた8sq KIVケーブルを電菱インバーターの電極に固定した
同様に赤色ケーブル(8sq KIV)もR8-8裸圧着端子を圧着して配線する(下図)。
写真 フジ矢のケーブルカッターで8sq KIVをスパット切断
今回、このプロジェクト用に購入した上写真のフジ矢のケーブルカッターは良く斬れる。最大60sqまで切れる物凄い性能だ。
フジ矢 ケーブルハンディカッター 240mm 600-240 | 最大60sqまで切断可能 |
ちなみに絶縁キャップの被せる向きを間違えやすいので下写真に正解を示しておこう。
写真 絶縁キャップを被せる向きに注意
絶縁キャップは上写真のように被せるのが正しい。
つまり絶縁キャップの左右のエッジを見て、スパッと平に切断したような側を圧着端子側に付ける。
一方、角を丸めて手触りを良くしている側がケーブル側に来るのが正しい。
この情報は圧着端子最大手のニチフさんのカタログに掲載されていた(下図)。
図 TICキャップの装着方向
引用元 https://www.nichifu.co.jp/j/catalog/ebook/#target/page_no=41 の絶縁キャップのページ
注)TICキャップ:Terminal Industrial Insulation Cap(端子絶縁キャップ)
ちなみにワテの場合は各種のサイズ(1.25~5.5くらい)の絶縁キャップを常備している。
写真 ワテが常備している各種のサイズ(1.25~5.5くらい)の絶縁キャップ
絶縁キャップは時々使うので必要に応じてサイズを買い揃えて溜めておくと、いざと言う時に役立つ。一個や十個などの少量で買うと単価が高いが100個袋ならかなり割安になる。
同様に圧着端子(下写真)も100個入りケースで買うと単価が安くなるのでお勧めだ。
写真 今回買ったR2-8(左)と手持ちに有ったR2-3.5(右)丸形裸圧着端子
ホームセンターの切り売りで買った2sq KIVケーブルにR2-8 丸形裸圧着端子(Redodoバッテリー側)とR2-3.5 丸形裸圧着端子(春日電機 T1006端子台側)を圧着する(下写真)。
写真 2sq KIVケーブルにR2-8(Redodoバッテリー側)とR2-3.5(春日電機 T1006端子台側)を圧着
圧着端子は上写真のような丸型(=R型)を使うのが良い。もしY型圧着端子を使うとネジが緩んだ場合に配線が簡単に抜け落ちてしまう。その結果、重大なショート事故が起こる可能性がある。
一方、丸形なら少しネジが緩んだとしても直ぐに抜け落ちる心配がないので、信頼性が高いのだ。
下写真のように二本の赤黒2sq KIV接続ケーブルを自作した。
写真 二本の赤黒2sq KIV接続ケーブルを自作した
ワテの場合は、圧着工具を使ってケーブルを自作するのはある種の快感がある。それはつまり、寸法を測ってピッタリの長さのケーブルが完成したときの充実感みたいなもんか。
今回初めて8sqというぶっといケーブルを圧着したのだが、緊張しながら圧着ペンチを強く握って無事に圧着に成功した。
いつか38sqとか60sqの圧着もやってみたい。
バッテリーとインバーターを配線する時の火花の対策
これらのケーブルを使ってバッテリー、インバーター、ソーラーチャージャーを接続するのだが、接続した瞬間に火花が出るのでその対策をする。
まず、安全対策だ。
下写真のように安全ゴーグルは必須だ。それと絶縁手袋も必須だ。そして白っぽい長方形のやつはセメント抵抗だ。
写真 安全ゴーグルと絶縁手袋とセメント抵抗を用意する
大容量バッテリーは数百アンペア級の大電流を流す能力があるので、本当なら下写真のような電気工事用の絶縁手袋を着用するのが望ましい。
ワテの場合は、下写真のショーワグローブの組立グリップを着用した。
この手袋は絶縁手袋ではないが素手で作業するよりは安全性が高いのでこれで代用したのだ。
さて、ワテの手持ちに有ったセメント抵抗は下写真のTAKMAN(タクマン)製5W 470Ωだ。
写真 手持ちに有ったセメント抵抗TAKMAN(タクマン)5W 470Ω
まあ、似たようなやつならどんな抵抗でも良いだろう。
24Vバッテリーなので、470Ωなら流れる電流は 24V / 470Ω= 0.05A だ。
下写真のようにRedodo 24V 100Ahバッテリーの電極には透明樹脂製の絶縁キャップが嵌め込んであるのでそれを外す。
写真 Redodo 24V 100Ahバッテリーの電極に嵌めてある透明樹脂製の絶縁キャップ外す
下写真のように黒色ケーブルでバッテリー、インバーター、ソーラーチャージャーの⊖側配線は完了した。
写真 黒色配線が完了したので赤色配線を行う様子
上写真で赤色8sq KIVケーブルの先端に付けたR8-8裸圧着端子の金属部分をRedodoバッテリーのプラス電極に接触させるとその瞬間に火花が飛ぶのだ。
その理由は、インバーターの中には大容量の電解コンデンサが搭載されているので、ケーブルを接触させた瞬間にバッテリーから大電流が出て電解コンデンサが充電されるからだ。まあ要するにスポット溶接みたいな現象が起こるのだ。電流が強い場合にはバッテリー電極が融ける事もある。
その火花対策として先ずは下写真のようにセメント抵抗のリード線の一端を圧着端子に接続する。
写真 小型ハンドクランプを二個使ってセメント抵抗リード線を圧着端子に固定
これで準備完了なので、下写真のようにセメント抵抗のもう一方のリード線をRedodoバッテリーのプラス電極に接触させる。
写真 セメント抵抗を使うとバッテリーの電極から火花が出るのを防げる
上写真のようにセメント抵抗を使うと火花を出さずにケーブルを接続する事が出来た。
あとは下写真のように1/2インチ(12.7mm)メガネレンチを使ってRedodo 24V 100Ahリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの電極のボルトを締めておいた。13mmサイズ(M8ボルト用)のレンチを使っても良い。
写真 Redodo 24V 100Ahバッテリー電極ボルトは1/2インチ(12.7mm)か13mmサイズ(M8ボルト用)メガネレンチで締める
電極ボルトを締める際の注意事項としては、あまり強い力で締めると電極端子を壊す場合があるのでほどほどの力で締めるのが良いだろう。
配線作業が完了した24Vサブバッテリーシステムで掃除機を動かす
下写真のように無事に配線作業が完了した。
太い赤黒ケーブル(8sq)はRedodoバッテリーと電菱インバーター接続用。細い赤黒ケーブル(2sq)はソーラーチャージャーとRedodoバッテリーの接続用だ。
写真 8sqや2sqのケーブルで配線作業が完了したサブバッテリーシステム
さて、この時点でソーラーチャージャーにはRedodoバッテリーから24V電圧が供給されるので下写真のように電源ONの状態になる。
写真 Redodoバッテリーと接続したALLPOWERS製ソーラーチャージャー表示は26.1V
上写真のようにALLPOWERS製ソーラーチャージャーの電圧表示は26.1Vだ。
これは現在のRedodo 24V 100Ah リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの電圧を示している。
この電圧26.1Vを下表に当てはめると、バッテリーは約35%くらいの残量で有る事が分かる。
容量 | 電圧 |
100% | 27V |
99% | 26.8V |
90% | 26.6V |
70% | 26.4V |
40% | 26.2V |
30% | 26.0V |
20% | 25.8V |
10% | 25.6V |
1% | ◉ 21.6V(推奨低電圧切断電圧) |
0% | 19V |
表 Redodo 24V 100Ahバッテリー容量と電圧の関係(引用元 付属製品マニュアル 8ページ)
このようにワテの場合は、Redodo24V 100Ahバッテリーは開封時点で約35%程度の容量だった。
と言う訳で、バッテリー、インバーター、ソーラーチャージャーの配線作業は無事に完了した。
今回の作業で使った工具類を下写真に示す。
写真 バッテリー、インバーター、ソーラーチャージャーの配線作業で使った工具類
下写真が完成した24Vサブバッテリーシステムだ。
写真 完成した24Vサブバッテリーシステム
下写真のように試しに掃除機を動かしてみた。
写真 掃除機(定格消費電力1000W)は弱なら起動するが数秒後に停止
この掃除機は定格消費電力1000Wなので電菱700Wインバーターでは電力不足で動かないと思うが試しにやってみた。
その結果、掃除機の吸引力設定をダイヤルで弱にするとモーターは起動したが、数秒後に電菱インバーターの保護回路が働いて停止した。まあそうだろうなあ。
電化製品の中でもモーターを使う製品は起動時の突入電流があるので700Wクラスのインバーターでは動かせないのは当然だろう。もし車内で掃除機とかIHクッキングヒーター、電子レンジなどの消費電力の大きな家電を使いたい人は2000Wや3000Wのインバーターがお勧めだ。
下写真のリョクエン(LVYUAN )製のインバーターはアマゾンでも良く見かける。
上写真のLVYUAN製品は24V4000Wと言う物凄い出力だが、これくらいのパワーのあるインバーターを使えば、1KWの掃除機なんて軽々と動かせるだろう。実際に試してみたいが、上写真の製品は5万円弱なので手軽には買えない。
ちなみに最大電流は 4000W / 24V=167A と言う計算になる。これくらいの電流に耐えられるケーブルは、38sq(許容電流162A)か60sq(同 217A)を使って接続するのが安全だろう。
さて、ワテの場合は車内では扇風機やノートパソコンが使える程度で良い。
下写真の山善のサーキュレーター(27W、60Hz)は問題無く動作した。
写真 山善のサーキュレーター(27W、60Hz)は問題無く動作した
と言う訳で、サブバッテリーシステムが着々と完成に近づいているぞ。
ソーラーチャージャーに24Vを入れて昇圧充電を試してみる
さて、ワテの最終目標はこのサブバッテリーシステムの前段に12V→24Vの昇圧コンバーターを取り付けて、その24V(厳密に言うと28V前後)出力をソーラーチャージャーの入力に入れて24Vバッテリーを充電する事だ。
そうすれば12V車のハイゼットカーゴにこのサブバッテリーシステムを搭載して走行充電が可能になり、車中泊などの時に車内でAC100Vの家電を使う事が出来るのだ。
その目的の為に、先日アマゾンで12V→24Vの昇圧コンバーターは発注している。二週間後くらいに到着予定だ。
ワテが買ったのは下写真の製品だ。安かったので二機種買ってみた。
一番目のやつは600W、二番目のやつは1200Wとの事だが、このサイズで600Wや1200Wは恐らく無理だと思う。たぶんファンを追加するなどして冷却効率を上げれば1200Wまで行けるのかも知れない。
二番目のやつの仕様は以下の通り。
DC 12V〜83Vの連続可変出力電圧(最大18Aの出力電流)
このサイズのヒートシンクで60V20A入力を83V18Aに変換できるのか?ほんまかいな?と言う感じなので、取り敢えず実験目的で二種類の製品を発注してみた。
まあワテの場合にはハイゼットカーゴのシガープラグから12V最大10A(120W)を取り出してそれをこれらの昇圧DCDCコンバータで24V最大5A(120W)に変換出来れば良いので、それくらいの電力なら上の二つの製品のどちらでも対処可能だと思う。
可変安定化電源を使って24Vバッテリー充電に成功
さて、その昇圧DCDCコンバータが届く前に、可変安定化電源を使って実験を試みた。
つまり、昇圧DCDCコンバータの出力電圧(28V前後)の代わりに可変安定化電源でそれくらいの電圧を生成して、ソーラーチャージャーの入力に印可し、サブバッテリーが正常に充電出来るかどうか実験したのだ。
下写真のようにソーラーチャージャーの左から1番と2番の端子に赤青ケーブルを接続した。
写真 ソーラーチャージャーの左から1番と2番の端子に赤青ケーブルを接続した
この二本のケーブルは下写真の可変安定化電源に接続している。
写真 可変安定化電源の出力をソーラーチャージャーに入れる実験(20.1V)
上写真のように出力20.1Vだと電流は0.0Aだ。
もう少し電圧を上げて行くと電流が流れた(下写真)。
26.1Vで0.18A | 26.3Vで1.09A | 27.3Vで3.51A |
写真 可変安定化電源の電圧と流れた電流の値
26Vを超えるあたりから急に電流が流れ始めて、27.3Vでは3.51Aが流れた(27.3×3.51=95W)。
推奨充電電流 20A(0.2C)の意味
Redodo 24V 100Ah リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiFePO4)の場合、充電に関する推奨条件は以下の通り。
推奨充電電圧 28.4V~29.2V
推奨充電電流 20A(0.2C)約5時間で容量の100%まで満充電されます。
推奨充電電流 50A(0.5C)約2時間で容量の97%まで充電されます。
引用元 Redodo 24V 100Ahバッテリーの製品マニュアル 7ページ
なお、上記の推奨充電電流で例えば20Aと言う値は、必ずしも20Aでバッテリーを充電しなくてはならないと言う意味ではない。
当初はワテもこの記述を見て、Redodo 24V 100Ahバッテリーに対して20Aではなくて例えば5Aなどの小電流でバッテリーを充電すると何かバッテリーにとって悪影響でもあるのかと思った。
そこでRedodoさんのサポートメールに問い合わせた結果、推奨充電電圧 28.4V~29.2Vを掛けて20A程度で充電すれば約5時間でフル充電が出来ますと言う事だ。
もし充電電圧を26~27Vくらいに下げて5A程度の小電流で充電しても問題は無いが当然ながら充電時間が長くなるし、フル充電は出来ないとの事だ。
さらに、Redodo 24V 100Ahバッテリーの場合は充電する場合の電流は1~100Aまで対応しているが充電電流が大きいほどバッテリーの寿命が落ちてしまうので一番バランスが良いのは20A(0.2C)との事だ。
要するに20A(0.2C)は推奨値であるが必要条件ではないとの事だ。
なるほど、そう言うことか。
0.2Cとは何か?
ここで0.2Cの意味も調べてみた。
物理学の世界で単位Cはクーロンを意味するが、バッテリー業界ではCはクーロンでは無くてCレートと言う単位らしい。
アマゾンのQ&Aで見付けた回答が分かり易いので以下に引用させて頂く。
質問: 0.2Cはどういう意味ですか?
答え: Cレートとは、電池に対して充放電するときの電流の大きさを表します。 1Cの「C」は電池の公称容量(Capacity)を定格放電して1時間(1h)で放電終了となる電流値のことです(0.2Cなら5時間で放電終了)”
なるほど、Redodo 24V 100Ahなら公称容量は100Ahなので100A放電なら1時間(1h)で放電終了になる。あるいは逆に100A充電なら1時間で充電完了になる。このようにRedodo 24V 100Ahの場合には100Aが1Cになるのだ。
でも100A充電はバッテリーの寿命に悪いので、その五分の一の0.2C(20A)での充電が推奨電流になっているのだ。
なるほど、そう言う事か。疑問が解消したのでスッキリした。
なお、Redodo24V 100Ahバッテリーは開封時点で約35%程度の容量だったが、この可変安定化電源を使って約2~3A程度の電流で二晩ほど連続で充電を続けたらバッテリー電圧は26.8Vまで上がった。
これは99%の充電状態を示すので、ほぼ満充電が出来ている。
でも満充電に丸二日も掛かるのは実用上問題があるので、やはり専用の24V20A程度の充電器が必要だと思う。
で検索してみたが、Redodoさんの公式サイトを見ると12V用の充電器は三種類(10A、20A、40A)ある。下写真はRedodo純正の20A充電器だ。
でも24V用は現時点ではRedodoさんの製品ラインナップに無いようだ。
他社製なら例えば下写真のやつが24V20A用だ。
この充電器を試してみたいのだが、結構値段が高いぞ。
ALLPOWERS製バッテリーチャージャーは高性能
下写真は可変安定化電源で27Vくらいの電圧をソーラーチャージャーに入れて、バッテリー充電電圧をFlukeのデジタルテスターで計測している様子を示す。
写真 可変安定化電源から約27Vをソーラーチャージャーに入れてバッテリー充電電圧をテスターで計測
その時のバッテリー充電電圧は下写真のようにDC 26.7Vだ。
写真 現在26.7VでRedodoバッテリーを充電中(Flukeデジタルテスターで実測した値)
下写真のようにバッテリー充電電圧は、ソーラーチャージャーにも表示出来る。
写真 ソーラーチャージャーでもバッテリー充電電圧や電流などを表示出来る(電圧表示の例)
下写真はバッテリー充電電流値を表示したものだ。現在2.9Aで充電されている。
写真 バッテリー充電電流は2.9Aと表示
ALLPOWERS製バッテリーチャージャーの場合、本体中央に三つ並んだボタンの左端のボタンを押すと、表示を順番に切り替える事が可能だ。
初期状態ではバッテリーの電圧が表示される(一つ前の写真のように現在は26.7V)。
ここでボタンを押すと、以下のように順番に表示が切り替わる。
コントローラーの温度
ソーラーパネルの発電電流(現状は安定化電源から供給される電流 2.9A)
負荷側の放電電流(現状は未接続なので0A)
・・・(省略)・・・
バッテリータイプ B03
バッテリータイプの意味は以下の通り。
B02 3×3.7V リチウムイオンバッテリー
B03 4×3.2V リン酸鉄リチウムイオンバッテリー
初期設定ではB01だったので、ワテが設定を変更してB03に変えたのだ。
少し実験した限りでは、ALLPOWERS製バッテリーチャージャーは約二千円の実売価格なのに、サブバッテリーチャージャーとして十分な性能を持っていると思う。
Renogyさんの走行充電器も人気がある。
と言う事で安定化電源を使った実験では27V前後の電圧をソーラーチャージャーに入力すれば無事にRedodoバッテリーが充電できる事が確認出来た。
あとは二週間後くらいの到着予定の昇圧型DCDCコンバーターを取り付けて、それらを車に積めば24V昇圧型走行充電システムが完成する。
まとめ
ワレコ
春ですねぇ
この24V昇圧型走行充電システムが完成したら、ぶらりと車中泊の旅に出掛けたいと思っている。
当記事では、現在ワテが製作中の走行充電システムの組み立て作業や配線作業を紹介した。
12V車(ハイゼットカーゴ)にRedodoさんの24V100Ahリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載して、24V電菱製インバーターを組み合わせる。
そして昇圧型DCDCコンバーターを使って12Vを24Vに昇圧して、ALLPOWERS製バッテリーチャージャーにソーラー発電電力の代わりに昇圧24Vを入れる。その電源を使ってを使ってRedodoバッテリーの走行充電を行うのだ。
繰り返しになるが、バッテリーには発火の危険性が少なくて安全性の高いリン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiFePO4)がお勧めだ。
昇圧型DCDCコンバーターを使って12Vを24Vに昇圧する部分以外は記事中で紹介したように無事に完成した。
あとは昇圧型DCDCコンバーターを取り付ける作業と、装置全体を車に搭載する作業を残すのみだ。
それらの作業を行って完成した12Vから24Vへの昇圧型走行充電システム(=サブバッテリーシステムは)の最終完成版は以下の記事で紹介している。
もしワテと同じ作品を作りたい人はこの記事を参考にして下さい⤵️
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