ワテの場合、2012年頃にぺるけさん設計の有名なUSB-DACを自作した。
秋月電子で売っている1台 ¥1,700(税込)のUSB-DAC自作キットに、少しの改造と周辺回路に追加部品を付けるだけで、物凄く良い音が出るのだ。
写真 秋月電子で販売しているUSB-DAC自作キット
引用元 http://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-05369/
ワテもその記事を参考にさせて頂いて、2012年にそのぺるけ式DACを作った。
このUSB-DAC自作に関しては、以下のぺるけさんのサイトが参考になるだろう。
アナログな人のためのデジタルオーディオ
Digital Audio & Home Recording
AKI.DAC-U2704を使った・・・トランス式USB DAC
Digital Home Recording
AKI.DAC-U2704 (秋月電子のDACキット) の使い方
Digital Home Recording
さて、そのぺるけ式の秋月USB-DACは、ぺるけさんのサイトも頻繁に更新されていて、ワテが製作した当時の回路からかなり変更が加わっているのだ。
具体的に言うと、
- AKI-DAC基板上にある6個の電解コンデンサの容量を増強(左右チャンネルのクロストーク対策)
- 出力回路のフィルターにぺるけさん特注のインダクタを使う
などのチューニングが施されているのだ。
当記事では、この土日を利用してワテが2012年に自作したぺるけ式秋月DACにこれらの改造を施してバージョンアンプしたので、その過程を紹介したい。
結論としては、いい感じで成功した。
また、タムラトランスと永谷園の茶漬けとの関係を紹介したい。
AKI.DAC-U2704を使ったトランス式USB DAC(ワテ作成版 2012年)
下図が、ワテが2012年11月頃にぺるけさんのサイトの記事を参考にして自作した
「AKI.DAC-U2704を使ったトランス式USB DAC」
だ。
図 ワテが自作したAKI.DAC-U2704を使ったトランス式USB DAC(ぺるけさん設計)
引用元 http://www.op316.com/tubes/lpcd/trans-dac.htm(2012年11月1日頃)
赤字はワテが使ったパーツを示す。
ちなみに、ぺるけさんのサイトには上図の回路図が良く出て来るのだが、ワテの場合はこの回路図を見ていて、どこまでが秋月DAC基板で、どこからが外付けの追加回路なのか良く混乱する。なので、分かり易くする為に秋月DAC部分を茶色点線枠で描画させて頂いた。
秋月DACの出力部分の電解コンデンサ(C5,C6)はオリジナルでは47uF/25Vなのだが、ぺるけさんの2012年当時の製作例では220uFとなっている。
今回の改良では、このC5,C6を含む秋月DAC基板上の合計6個の電解コンデンサの容量を増強する。C5,C6は470uFに増量する。
また、160Ω抵抗と0.022uFコンデンサによるRCフィルター回路を、コイルによるフィルター回路に改良するのだ。
ライントランス | インピーダンスImpedance(Ω) | LPF | 2次側負荷 |
THs-2 | 600Ω:10kΩ | 150Ω+0.022μF | 11kΩ |
TK-2 | 600Ω:10kΩ | 160Ω+0.022μF | 11kΩ |
TpAs-2S | 600Ω:7kΩ | 160Ω+0.022μF | 9.1kΩ |
東栄変成器 | 600Ω:10kΩ | 150Ω+0.022μF | ぺるけさんのサイトに記載なし。要確認。 |
表 使用トランスとRCフィルタの値(2012頃のぺるけ式USB-DAC)
引用元 http://www.op316.com/tubes/lpcd/trans-dac.htm(2012年11月1日頃)
ワテはTpAs-2Sを使っていたのでRCフィルタの場合は160Ωを入れていた。
ぺるけさんによるAKI-DACの改造の意味を理解する
ワテが保管しておいた2012年頃のぺるけさんのサイト「AKI.DAC-U2704を使ったトランス式USB DAC」の製作記事から引用させて頂く。
秋月のキットに対して変更・追加したのはもっぱらアナログ出力部分です。PCM2704からみると、負荷インピーダンスが600Ωあるいはそれ以下になります。そこで、C5,C6を220μFに増やしてあり、その後ろに150Ωと0.022μFの簡易LPFが続きます。
引用元 http://www.op316.com/tubes/lpcd/trans-dac.htm(2012年11月1日頃)
自称電子回路の初心者のワテであるが、上の説明は下図の理解で良いのか?
図 ハイパスフィルタとローパスフィルタ
つまり、
遮断周波数 fH[Hz] = 1/2πRC = 1/(2・3.14・600・220×10-6 ) = 1.2[Hz]
遮断周波数 fL[Hz] = 1/2πRC = 1/(2・3.14・150・0.022×10-6 ) = 48.2[KHz]
という計算で良いのか?
まあこれなら1.2~48KHzまでの周波数なら通過できる。
自称電子回路の初心者のワテなので、間違っているかもしれない。
兎に角次に進もう。
この150Ωはフィルタ効果だけでなく、トランスからみた信号源インピーダンスを一定値に保って高域側の周波数特性整える役割も兼ねています。
トランスは600Ω:10kΩのものを使いました。巻き線比が1:4くらいありますので、ロスを計算に入れて2V弱くらいの出力が得られるはずです。トランスの2次側には11kΩのダミーロードがあります。
実際には、その先にプリアンプなどがつながるわけで、その入力インピーダンスが50kΩであるとすると、トランスの負荷は11kΩ//50kΩですから約9kΩとなります。10kΩを超えるようですと高域側にピークが出ますので、10kΩまたはそれ以下となるようにしてください。
引用元 http://www.op316.com/tubes/lpcd/trans-dac.htm(2012年11月1日頃)
上の説明は、ある程度はワテにも分る。でも10KΩを超えると高域にピークが出ると言うのは分からない。実測結果なのかな?
ちなみにワテの場合にはTpAs-2S(600Ω:7kΩ)を使った。
このトランスは、昔、ジャンク屋でマイカコンデンサが沢山付いた基板が100円くらいで売っていたので数枚買ったらこのトランスが数個付いていた。マイカコンデンサは貴重品なので部品取りに買ったのだが、トランスは使い道が無くて困っていたのだが、ぺるけさんのお陰で利用する事が出来た。
タムラ TpAs-2S トランスについて
ワテがジャンク基板からゲットしたTAMURA TpAs-2Sライントランスであるが、ぺるけさんの評価は高いぞ。
<TpAs-2Sの場合>
インピーダンス比が600Ω:7kΩなのでTHs-2やTK-2よりも出力はやや低めです。
出力電圧: 1.59V(0dBFS)
残留雑音: 75μV(帯域=80kHz)、30μV(帯域=20kHz)・・・PCの種類にかかわらず一定
S/N比: 84.5dB(帯域=80kHz)、96.5dB(帯域=20kHz)
LPF: 160Ω+0.022μF
2次側負荷: 9.1kΩ
この小型トランスは非常に優秀で、歪率特性はより大型のTK-2をしのぐ数値を出してくれました。音は非常に明快かつローエンドまでしっかりと伸びています。聴感上も明らかにTHs-2を引き離した感じがあります。聞くところによると、このトランスはNHKの要求仕様に合わせたものらしく、どんな場面で使っても一定の音が得られるものだそうです。
引用元 http://www.op316.com/tubes/lpcd/trans-dac.htm(2012年11月1日頃)
何や知らんが、TpAs-2Sは優秀らしい。
なんだかワテが褒められたような気分だ。
なぜぺるけ式のオーディオ機器が耳に心地よいのか?
ワテの場合、「無線と実験」とか「ラジオ技術」などの雑誌は数年に一回くらいしか買わない。買わない理由は、毎月買っていたら切りがないし、部屋には本がどんどん溜まるし。
なので、たまに立ち読みして、自作してみるか!というような記事があった場合に限り買う事もある。でも、興味ある自作記事が載っている号を買い忘れた時にはネットでバックナンバーも手軽に購入出来るので便利な時代になったものだ。
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ぺるけさんはタムラのトランスをオーディオ機器に良く採用する
さて、そんなヘッポコ自作派のワテであるが、オーディオ機器の自作記事、特にトランジスタを使った回路でタムラのライントランスを使った記事はワテは知らない。
上述の通り、雑誌をくまなく読んでいる訳ではないから断定は出来ないが、ワテが知る限り、金田式とか安井式とか窪田式とかそう言う有名な先生の自作記事ではタムラのライントランスを使う作例は見た事が無い。
一方、真空管アンプの回路なら、トランスは色んな用途で使われているが、ワテは真空管には詳しくないので良く知らない。
さて、ぺるけさんの回路ではタムラのライントランスが良く使われる。
音声信号をそのトランスを通して聴くと、耳に心地よくていい感じなのだ。
何時間も聴いていても疲れないし、ナチュラルな感じなのだ。
自称、オーディオ評論家でも無いし、電子回路の初心者のワテであるが、なぜぺるけさん設計のオーディオ機器が耳に心地よいのか考えてみた。
たぶんそれは、タムラのトランスのせいだろう。
タムラトランスは永谷園の茶漬けか?
ぺるけさん設計のオーディオ機器が耳に心地よい理由は、上のぺるけさんの文章の太字部分にあると思う。
それを再び引用すると、以下の通り。
聞くところによると、このトランスはNHKの要求仕様に合わせたものらしく、どんな場面で使っても一定の音が得られるものだそうです。
ん?
これの何が耳に心地よい理由なのか?
あくまでワテの勝手な推測であるが、要するに殆ど全ての日本人は、このタムラトランスTpAs-2Sなどを通したNHKのテレビ・ラジオ音声を長年に渡り聴いて来たのだ。
今現在、NHKや民放の放送機器の中にタムラのライントランスが使われているのかどうかは知らないが、少なくとも昭和の時代には放送機器と言えばタムラのトランスが至ることろで使われていたはずだ。
だからワテを含めて、日本人はタムラのトランスの音がデフォルトと言うか標準と言うか、聴き慣れているのだと思う。
従って、他社製の高級オーディオ機器で音楽を聴けば、今まで聞いた事が無い音なので新鮮に感じる場合もあるが、やはり、原点はタムラトランスを使ったオーディオ機器の音に戻るのだろう。
つまりまあ、海外旅行に行って色々な料理を食べても、日本に帰って来たら味噌汁を飲むと安心するみたいなもんか。
あるいは、成りあがって金持ちになって三ツ星レストランで美味しいフランス料理を食べても、実は永谷園の茶漬けのほうが美味しいと感じるとか。
要するに、味覚は幼少期に食べ慣れたものが、大人になっても美味しく感じるのだ。
それと同じで、聴覚も、幼少期から聴いてきたタムラトランスを通す放送機器の音が耳に慣れているので、オーディオ機器の信号をタムラトランスに通すと、それは永谷園の茶漬けに匹敵する効果があるのだ。
これが「タムラライントランス=永谷園茶漬け説」である。
ほんまかいな。
従って、TpAs-2S (600Ω:7kΩ) や TpAs-203 (600Ω:10kΩ) などのタムラライントランスの音の違いは何かと言えば、茶漬けで言えば鮭茶漬けと梅茶漬けの違いみたいなもんだ。
また、NIHON KOHDEN(日本光電)のトランスは丸美屋のお茶漬けや大森屋のお茶漬けみたいなもんか?
なんのこっちゃw
ちなみにワテの場合は海苔茶漬けと梅茶漬けが好きだ。鮭も好きだが。
以上、あくまで自称電子回路の初心者のワテの勝手な推測なので、全く根拠が無い事は言うまでも無い。
信じる信じないは貴方次第。
ぺるけ式秋月USB-DACのコンデンサ容量増強、インダクタ追加
さて、ワテ自作のUSB-DACに二種類の改造を行った。
2012年に製作したのだが、その後のぺるけさんの改造によって最新型とは回路が若干異なっているのだ。
なので、最新型ぺるけ式秋月USB-DACと同じスペックにすべく以下の改良を行った。
- 秋月USB-DACのコンデンサ容量増強
- インダクタ式ローパスフィルタ追加(従来はRC式のLPF)
だ。
これらの改良の効果は以下に引用させて頂くぺるけさんの説明を参照下さい。
全く、迂闊でした。AKI.DAC側の弱点を見落としておりました。今の今まで(2018.5)、AKI.DACの基板に取り付けるコンデンサ容量が左右チャネル間クロストークに大きなインパクトがあることに気づきませんでした。
さらにもうひとつ、インダクタの相互干渉を甘くみておりました。USB DACのLCフィルタで使用しているインダクタですが、左右両チャネルの距離とコア軸の角度によって高い周波数になるほど左右チャネル間クロストークが劣化します。この現象はある方からレポートをいただいていたのですが、入院治療が近いなどそれどころではない時期であったため対応が遅れました。
引用元 http://www.op316.com/tubes/lpcd/crosstalk-issue.htm
要するに、左右チャンネルのクロストークを改善するのが今回の改良の目的なのだ。
秋月USB-DACのコンデンサ容量増強
これらの作業を行うに当たり、ぺるけさんの以下の公式サイトの記事を参考にさせて頂いた。
AKI.DAC-U2704 (秋月電子のDACキット) の使い方
Digital Home Recording左右チャネル間クロストーク対策・・・AKI.DAC側の対策+インダクタ実装上の注意
Digital Home Recording
秋月USB-DACの基板上には6つの電解コンデンサが載っている。
それを以下のように変更する。
回路図部品名 |
キット付属 |
変更後 |
コメント |
C5 |
47μF/25V |
470μF/10V~16V |
600Ωトランスにおける適正値 |
C6 |
47μF/25V |
470μF/10V~16V |
600Ωトランスにおける適正値 |
C11 |
47μF/35V |
470μF~1500μF/10V~16V |
大きいほど低域の左右チャネル間クロストークが良くなる |
C14 |
470μF/25V |
1000μF/10V~16V |
値は厳密ではない |
C16 |
100μF/35V |
220μF/10V~25V |
値は厳密ではない |
C17 |
100μF/35V |
220μF/10V~25V |
値は厳密ではない |
引用元 http://www.op316.com/tubes/lpcd/trans-dac.htm
赤数字はワテが実際に使ったコンデンサの値だ。
要するに電解コンデンサの容量を大きくすれば左右チャンネルのクロストークが低減できるらしい。
自称、電子回路の初心者のワテなので詳しい理由は良く知らない。
出力コンデンサ(C5、C6)について
出力コンデンサ(C5、C6)の値は、後続の回路方式に依存するらしい。
出力コンデンサ(C5、C6)について
アナログ出力のところにある2つのコンデンサ(C5、C6)はDCを遮断するためについています。キット付属にはニチコンのFineGoldというオーディオタイプで47μF/25Vのものが使われています。この場所のコンデンサの容量は、後続する回路がどんな構成でどんな入力インピーダンスであるかによって決めることになります。
引用元 http://www.op316.com/tubes/lpcd/aki-dac.htm
具体的には、後続の回路方式に応じて以下のようにC5,C6の容量を決めると良いらしい。
後続の回路方式 |
想定負荷インピーダンス |
推奨容量 |
説明 |
<AKI.DACキットオリジナル> |
10k~100kΩ |
47μF |
プリアンプやパワーアンプとしては過剰 |
LC型LPFのみ |
330~390Ω |
470μF |
LCフィルタのみ |
トランス式・・・600Ω |
250~350Ω |
470μF |
LCフィルタ付トランス式USB DAC |
トランス式・・・150Ω |
100Ω |
2200μF |
LCフィルタ付トランス式USB DAC |
FET差動バッファ式 |
330~390Ω |
470μF |
LCフィルタ付FET差動バッファ式USB DAC |
引用元 http://www.op316.com/tubes/lpcd/aki-dac.htm
まあ、しかし、ぺるけさんはマメだなあ。研究熱心だし。博識だし。
ワテも見習いたい。
兎に角でかい電解コンデンサにすれば良いのか?
さて、このぺるけさんの改良記事を読んでいたら、じゃあ兎に角、どでかい電解コンデンサに交換すればいいのか?と思う。
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電子回路の初心者の素人が良くやるパターンだ。まるでワテやがな。
それはダメらしい。理由は以下の通り。
結合コンデンサは自身の容量と受け側の入力インピーダンスによってローカット特性のフィルタ(HPF)を形成します。
上記のケースですと、1k~1.3kΩと100μFの組み合わせではローカットがはじまる(-3dBになる)周波数は1.2Hz~1.6Hzになります。オーディオ帯域を考えると10Hzとか20Hzくらいでもいいのではないかと思うかもしれません。
しかし、アルミ電解コンデンサはフィルムコンデンサなどと違って低い周波数での電圧特性が想像以上に劣りますので、低めの周波数に設定する必要があるためこのような定数にしてあります。
しかし、調子に乗ってあまり大きな容量にしてしまうと、電源ON後に動作が定まるまでに時間がかかってしまうので限度があります。
引用元 http://www.op316.com/tubes/lpcd/aki-dac.htm
まあ、ワテも危うく調子に乗って100万マイクロファラッドくらいの電解コンデンサに交換してみようかなあと思ったりしたが、やらなくて良かった。
過ぎたるは猶及ばざるが如し
か。
これは杉田かおるさん。
なんのこっちゃ。
インダクタ式ローパスフィルタ追加(従来はRC式のLPF)
もう一つの改良は、DAC出力部分に付けていたローパスフィルタを従来の抵抗とコンデンサから成るRC式から、インダクタやコンデンサを使ったLC式に変更するのだ。
この記事を参考にさせて頂いた。
左右チャネル間クロストーク対策・・・AKI.DAC側の対策+インダクタ実装上の注意
Digital Home Recording
具体的には、以下の回路図にある
- 2.7mH コイル
- 0.01uF コンデンサ
- 430~1KΩ 抵抗
- 8.2~13KΩ 抵抗
を使う。
引用元 http://www.op316.com/tubes/lpcd/trans-dac.htm
ただし、抵抗値は使うトランスに応じて最適値が異なる。
下表はぺるけさんが実験によって最適化された抵抗値だと思う。マメや。尊敬するわ。
ブランド | 型番 | インピーダンス | 推奨値 | 巻き線比 <実測> |
公称周波数特性 | 最大使用 レベル |
形状 | 価格 (2014.6) |
|||
LPF L |
LPF C//R |
2次負荷 R |
2次負荷 Net |
||||||||
TAMRA | TpAs-203 | 600Ω:10kΩ | 2.7mH(10Ω) | (未検証) | 12~13kΩ | 10kΩ | 1:4.08(推定) | 30Hz~20kHz±0.2dB | 5dBm | TpAs | 7,390円 |
TpAs-2S | 600Ω:7kΩ | 2.7mH(10Ω) | 0.01μF//820Ω | 12kΩ | 9.7kΩ | 1:04 | 30Hz~20kHz±0.25dB | 7dBm | TpAs | 7,390円 | |
TpAs-10S | 600Ω:10kΩ | 2.7mH(10Ω) | 0.01μF//1kΩ | 12~13kΩ | 10kΩ | 01:04.1 | 30Hz~20kHz±0.25dB | 7dBm | TpAs | 7,390円 |
引用元 http://www.op316.com/tubes/lpcd/trans-dac.htm(表の一部を引用)
ワテの場合は、TpAs-2Sを使うので上表赤色文字の行になる。
なお、上表では、2次側負荷抵抗R=12KΩが推奨値となっているが、ワテの場合は、15KΩを付けている。
確か、このDAC出力を接続するプリアンプ(ぺるけ式FET式差動ヘッドホンアンプ Version 3, http://www.op316.com/tubes/hpa/version3.htm)を作った時に指定ボリューム50KΩAカーブが無くて、10KΩAカーブを使ったのだがその時に10KΩのボリュームなら2次負荷抵抗は15KΩが良いと教えて貰ったからだ(ワテの記憶が確かなら)。
まあ、12KΩでも15KΩでもたいして変わらないので、どっちでもいいや。ワテの駄耳には違いは分からないと思うし。
なので今回は指定12KΩではなくて現状の15KΩのままとする。
なお、DACを接続するアンプの入力インピーダンスと2次負荷抵抗値の関係は以下の記事で紹介されている。
アンプの入力インピーダンスの値は、低いもので10kΩくらい、高いものでは200kΩ以上、最も多いのは25kΩ~100kΩの間です。当サイトの製作例ではそのほとんどが30kΩ~100kΩの範囲内です。アンプの入力インピーダンスが50kΩだとして、2次巻き線側の負荷インピーダンスがちょうど10kΩとなるようにするためには、2次側には何kΩを入れたらいいでしょうか。並列になった2つの抵抗X、Yの合成値が以下の式で求められます。
並列合成抵抗値=(X×Y)÷(X+Y)
そこで、X=50kΩと置いてこの式を解くと、Yが求まります。
10kΩ=(50kΩ×Y)÷(50kΩ+Y)
Y=12.5kΩ
引用元 http://www.op316.com/tubes/lpcd/trans-dac.htm
まあ要するに抵抗Xと抵抗Yを並列接続した場合の抵抗値の計算式だ。
こう言う事か?
図 並列接続した抵抗の合成抵抗
アンプの入力インピーダンス X=50KΩ
2次巻き線側の負荷インピーダンス(並列合成抵抗値) Z=10KΩ
2次側に入れる抵抗をY
とすると、
Y = X・Z / (X – Z) = 50K・10K / (50K – 10K) = 500K2 / 40K = 12.5KΩ
で求まる。
でもこの計算式でアンプの入力インピーダンスX=10KΩだと、分母が0になるので、Yは無限大になるぞ。まあ、大き目の抵抗を入れておけば良いと言う事なのかな?
分からんので次に進もう。
秋月USB-DACのコンデンサ容量増強、インダクタ追加作業開始
これがワテが2012年に作成した秋月USB-DACのタムラトランスTpAs-2S(600Ω:7KΩ)版だ。
図 秋月USB-DACのタムラトランスTpAs-2S(600Ω:7KΩ)版 改造前
ブラウンゴールドのアルミシャーシはタカチ製だ。
CD-120と言う型番だった。
でも、現在CDシリーズは廃版になっていて、代替製品はEXP15-6-15BBなどがある。
タカチパラメトリック検索サイトでキーワード 「EXP」で検索する場合は↓をクリック
日本初(と思う)のタカチシャーシ専用のパラメトリック検索サイトだ。
その背面は以下の通り。
図 秋月USB-DACのタムラトランスTpAs-2S(600Ω:7KΩ)版 背面
紅白RCAプラグとUSBミニBコネクタ端子がある。
ちなみに、RCAジャック、RCAプラグ、どっちがどっちなのかワテは覚えられない。
プラグ オス
ジャック メス
でいいのかな?
なぜなら、バナナプラグならこんな感じでオスタイプを指すからだ。
秋月USB-DACのタムラトランスTpAs-2S(600Ω:7KΩ)版を分解
写真 秋月USB-DACのタムラトランスTpAs-2S(600Ω:7KΩ)版の中身
写真 秋月USB-DACのタムラトランスTpAs-2S(600Ω:7KΩ)版の交換用コンデンサ一式
写真 秋月USB-DACのタムラトランスTpAs-2S(600Ω:7KΩ)版の交換用コンデンサ一式
右側の未使用6個のコンデンサが交換用部品だ。
なお、プリント基板上の上から2番目(C17)、3番目(C16)のコンデンサはワテが製作した時に既に220uFを付けていたので、今回の交換用コンデンサ(220uF)は同容量なので交換しなかった。
それ故に、上記未使用コンデンサの右の四個を使用した。
細かい作業は実体顕微鏡が便利
写真 実体顕微鏡で観察している例
上の写真のように実体顕微鏡と自作LED照明(PWM調光機能付き)でプリント基板を観察した。
表面実装用の小さいパーツが沢山基板上に載っているので、実体顕微鏡で拡大しないと見えない。
古いコンデンサ四個を取り外した
写真 古いコンデンサの取り外し完了
ワテの場合、プリント基板に付いている部品を取り外すのは、実は割と上手いと思っている。
まあ、こんな便利なツールを持っていれば誰でも出来るのかもしれないが。
有名な「 サンハヤト はんだシュッ太郎」だ。
ワテの場合は、そんな便利なツールは持っていない。
もう、半田吸い取り銅網線でちまちま半田を吸い取る作業なんて殆どやる必要が無い!
ワテの場合は、オーソドックスな半田吸い取り銅網線だ。
ワテはこの幅3ミリが好きだ。
半田ゴテの選択
ワテが電子工作に使う半田ゴテはこれでは無いがこんな感じ。
ワテの場合は25Wと18Wを使っている。
25Wでは、下図のような先端が平になっているコテ先を付けている。
先端が平なので多層基板のベタアースのような熱が逃げやすい箇所でも面接触で熱を加える事が出来るので短時間で半田を溶かす事が出来る。今回の秋月基板もまさにそんな感じ。
一方、通常の部品の取り付け作業では、18Wのほうの半田ごてに先端が尖ったタイプのコテ先を付けている。
こんな感じか。
あるいは、こんなセットも安いしマルチメータまで付いているのでお買い得かもしれない。
温調式はんだこては必要か?
こう言う高級半田ステーションもある。
ツマミを回すと温度が可変出来る。
まあ、ワテも学校や会社でこの手の調温半田ごてを使った事はある。
一本の半田ゴテでワット数を可変出来るので、数本の半田ごてを一本に置き換える事が出来る。
そう言う点では便利だとは思う。
でもまあ、ワテの場合は大小二本の半田ごてで十分足りている。18Wと25Wで十分だ。
稀に、ぶっといVVF電線を半田付けする場合などは、60Wの半田ごても持っているのでそれを使う場合もある。
部品を取り外すコツ
プリント基板に半田付けした部品を取り外すのは難しい。
まあ、ワテの場合、冒頭でも述べたが、昔はジャンク屋の基板から部品を取って再利用していたので、部品を取り外すコツは心得ている。
その当時は半田吸い取り線も持っていなかったので(そんな便利な物の存在すら知らなかった)、半田が溶けたら衝撃を与えて溶けた半田を床に飛ばすと言う荒業でやっていた。
今回は、半田吸い取り線だけを使ってコンデンサの取り外しを行った。
熱するのは2秒以内
コツは、半田吸い取り線の新しい部分を目的の箇所に当てて、25Wの大型のコテで
- 吸い取り線
- 基板の銅箔
- 半田
- パーツのリード線
の四者を同時に一気に熱すると良い。
そして溶けた半田を吸い取り線が吸い取ってくれる。
一回では難しいので、数回に分けて同じ作業をする。
ただし、一回の作業では、半田ゴテで熱するのは2秒以内と決めている。
2秒を超えたら、そこで一旦中止。
暫く冷やす為に他の箇所の半田除去作業を行う。
素人の人は、同じ個所を何秒も熱するので部品を壊すのだ。
半田吸い取り線の新しい部分をケチらずに使う
兎に角、今の場合は重要なのは半田吸い取り線は新しい部分をドンドン使うのがコツだ。
貧乏性のワテであるが、半田吸い取り線は、新しい部分をドンドン使うようにしているのだ。
電解コンデンサの場合、2本のリード線がスルーホールを通っているので片側の足をコテで熱しても、もう一方の足が固定されているので簡単には抜き取れない。
幅広のコテ先タイプを持っていれば2本のリード線を同時に熱する事も出来るが、除去専用のそんなのコテ先を持っている人は少ない。
なので、焦らず急がず、片側ずつ半田吸い取り線で半田を吸い取って行けば良い。
それを数回繰り返していると、どちらかのリード線がスルーホールから外れるはずだ。
半田吸い取り線で限りなく半田を吸い取ってもスルーホールに入り込んでいる半田によってリード線はスルーホールにくっ付いている場合もある。
なので、リード線を熱したコテ先を離した瞬間にコンデンサをクネクネ小刻みに動かして溶けた半田が固まる時にリード線は固まらないようにするテクニックが必要になる。
この場合も、半田吸い取り線で限りなく半田を除去しているほどクネクネ作戦は成功する確率が上がる。
もし半田が少し残っていてスルーホールとリード線がくっ付いていても、マイナス精密ドライバーの先端などでリード線を押してみると、パリッと足がスルーホールから剥離出来る。
片側のリード線が外れたら、残りのリード線を熱してやればコンデンサはスッポリと抜き取れる。
と言う事で、半田吸い取り線と25Wくらいの半田ごてさえ有れば全く問題無く電解コンデンサの取り外しは出来る。
電解コンデンサが全部除去出来たら、半田吸い取り線でスルーホールの半田を完全に除去する。25Wくらいのコテを使えば、半田吸い取り線だけでスルーホール内の半田は綺麗に除去出来る。
針金などを使っても良い
基板から部品を取り外すやり方をネット検索してみると、スルーホール内部の半田の除去に針金を使って溶けた半田を押し出すなどの例を見掛ける。ゼムクリップを引き延ばして針金状にして使うなどだ。
ワテの場合は半田吸い取り線だけで十分なのだが、もし半田吸い取り線だけでは上手く部品を外せない人は針金作戦も良いだろう。
除去後は、基板がフラックスで汚れているので、フラックス除去剤や無水エタノール(99.5%)等を綿棒の先っちょに付けて、基板をゴシゴシ擦って清掃する。あるいは使い古した歯ブラシで擦るとフラックスが綺麗に取れる。
これでコンデンサの除去作業は完了だ。
新しい電解コンデンサを取り付ける
下図は新しい四つのコンデンサを取り付けた状態。
茶色の二個(日本ケミコン)220uFは元々ワテが付けていた奴だ。今回は交換せず。
写真 四つの電解コンデンサを交換したAKI-DAC
この交換作業では、コンデンサだけでなく、基板上に付いていたネジ式の端子台も取り除いた(上図)。
LINE-R, LINE-Lと言う文字がある場所に、そのネジ式端子台が有った。
端子台を取り除いてリード線を直接半田付けするほうが電気的な接続と言う観点でも信頼性が上がる。
写真 電解コンデンサ交換が完了したAKI-DACの裏側
部品を取り外した後の基板にはフラックスが汚く付着するので、フラックス除去液や100%エタノールを綿棒の先に付けて綺麗に清掃した。
この綿棒は耳かき用だが。
インダクタ式ローパスフィルタへの変更作業
下の写真が、TpAs-2S(600Ω:7KΩ)トランスと、RCから成るローパスフィルタだ。
写真 TpAs-2S(600Ω:7KΩ)トランスとRCから成るローパスフィルタ基板 変更前
鮮やかなオレンジ色のフィルムコンデンサは、ニッセイ製。見た目が綺麗だという理由だけで使ってみた。
その裏側(下図)。
写真 TpAs-2S(600Ω:7KΩ)トランスとRCから成るローパスフィルタ基板 変更前
上図の基板の裏側は、所謂(いわゆる)金田式で銅線を7本撚りして配線材料として使う手法で配線している。
ここに、ぺるけ式と金田式のコラボレーションが実現したのだ。
まあ、ローコストだが高性能なぺるけ式と、一個数千円の高級SEコンデンサなどを使う金田式はオーディオ自作界隈では対極にあると言っても良いだろう。水と油みたいな感じ。それぞれの愛好者は絶対に相容れないだろう。
その両者がコラボレーションした訳なので画期的と言っても良い。なんのこっちゃ。
なお、純正金田式では、たしかモガミ電線のシールド線の芯線やダイエー電線を使って7本撚り線を作るのだが、ワテの場合、その辺りにある適当な電線を使って7本撚りを作っている。
場合によっては8本撚りも混ざっているかも。
その辺りは、超手抜きなワテである。
要するに動けば良いのであまり〇〇式純正と言った手法やパーツには拘らない。
そんなのダメだろ!と言う意見に対しては、
かまへんかまへん
と言う感じだ。
さて、このローパスフィルタをLCタイプに置き換える。
使用するインダクタ27mHはぺるけさん特注なのだ。
ぺるけさんが各種のインダクタを比較して、理想的なものを業者に発注して特注されたようだ。研究熱心にも程がある。
下の写真はインダクタタイプに交換した後のものだ。
写真 インダクタタイプのローパスフィルタに交換したワテのAKI-DAC
上の写真のように二つのインダクタは出来るだけ距離を離した。
一方のインダクタを寝かせて二つのインダクタが並行にならないようにするほうが、クロストーク低減効果がより高いらしいが、まあ、見た目も重視したいので両方立てておいた。
ワテの場合、駄耳なのでそもそもクロストークが有ってもあまり気にならないし。
茶色の二次側負荷抵抗はニッコーム(15KΩ)だ。
たまたま15KΩが手持ちに有ったので使った。
最後に、フロントパネルに緑色LEDを付けたのでその配線を済ませた。
写真 コンデンサ交換、LCフィルタへの交換が完了したAKI-DAC
ワテが好きなLEDはこれだ。
小型でパネル取り付けも簡単なので。
作業中は、トランスの塗装が剥げないように上図のように養生テープを貼っておいた。
養生テープはこう言う用途にも使える。
あるいは、半田付け作業の際に、基板を裏返しても抵抗が抜け落ちないように軽く固定するなどの用途にも使える。ワテの場合、そう言う用途のために机の周りに数枚の養生テープ片をポストイットのように貼っている。
新生・ぺるけ式秋月USB-DACの動作確認
写真 コンデンサ交換、LCインダクタ装着が完了したUSB-DACの音を聴く
ローランドの小型アンプSRA-50とJBL Control 1xtremeを接続して、USB-DACの音出しをした。
その結果、一発で音が出た。
いい感じだ。
その音質だが、やはりナチュラルでいい感じ。
まさに定番中の定番、永谷園海苔茶漬けの音だ。
なんのこっちゃ。
写真ではスピーカーがいつも使っているAuratone 5Cではなくて、JBL Control 1xtremeなのでAuratone 5Cと比べると低音が良く出る。
なので、ラジオのニュース音声などはAuratone 5Cのほうがワテには聴き取り易い。
なお、今回のバージョンアップを行う前の事であるが、このぺるけ式秋月USB-DACは、スピーカーからモゴモゴと言う謎の低音ノイズが出る症状があった。
製作した2012年頃は全く問題なく動作していたのだが、2018年になって、そんな症状が出るようになった。原因は分からない。
で、今回のバージョンアップの前に再びその症状を試してみたのだが、やはり同じくモゴモゴと言う低音のノイズが出る。
Roland SRA-50パワーアンプのボリュームを大きくしたり、Bass/Trebleボリュームを回すと出易い。
しかし、電源を入れて30分くらい聴いていると出なくなった。
なので、AKI-DAC基板上のコンデンサとか何かの部品が、数カ月も未通電だったので、久しぶりに使ったからそれが原因でノイズが出ていたのかもしれない。
今回、電解コンデンサも4個交換したが、交換直後の試聴では、ノイズなどは一切出ずにいい感じで鳴ってる。
と言う事で、謎のノイズ問題も解決したので言う事無し!だ。
まとめ
自称、電子回路の初心者のワテであるが、日曜日を利用してぺるけ式秋月USB-DACのバージョンアップを行い、無事に成功した。
その結果、ワテのぺるけ式秋月USB-DACは2018/7時点の最新版になった。
改造内容は、以下の3点。
- AKI-DAC基板上の電解コンデンサの容量アップ(全6カ所の4カ所を実施、2カ所は必要無し)
- 出力に追加したローパスフィルタをLCタイプに変更(従来はRCタイプ)
- 端子台を除去してリード線を直接半田付けする
だ。
2018/7/2現在のワテのPCオーディオ環境は以下の通り。
図 2018/7/2現在のワテのPCオーディオ環境
この図では、左上にあるぺるけ式秋月USB-DACは休止中になっているが、今回のバージョンアップが完了したので、今後は活用する予定だ。
現状では、金田式DACの出力をぺるけ式ヘッドホンアンプに入れて、それをローランドパワーアンプSRA-50とつないでAuratone 5Cで聴いている。
今のところ、この組み合わせがワテとしては最も良い音がするのだ。
今後は、ぺるけ式平衡FETプリアンプやミニワッターなどに挑戦したい。
真空管式のアンプも作ってみたいと思っている。
パソコン用USB-DACを購入する
まあ、パソコンで音楽を聴いている人は、市販のUSB-DACを試してみると良いだろう。
低価格にも関わらず、パソコンで再生する音楽が素晴らしく良い音に聞こえる製品もある。
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