ワレコ
秋だ。
今日は三連休の初日。
自宅でMBSラジオの「こんちわコンちゃんお昼ですょ!」を聴いている。
さて、先日ほぼ組み立てが完了した「金田式No. 128オールFETスーパーストレートパワーアンプ」であるが、少し手直しを行った。
このアンプは無線と実験1993年3月号に製作記事が紹介されていて、物好きなワテはこの三十年程前の雑誌記事を参考にして表題のパワーアンプを製作しているのだ。
プリント基板、ヒートシンク、シャーシに使うパネルは全てPCBWayさんに発注した。
前回記事はこちら↴
では本題に入ろう。
左右アンプユニットの赤青配線間違いを修正する
さて下写真が現在のアンプの様子だ。
写真 組み立て中にシャーシフロントパネルの接着が剥がれたアンプ(PCBWay基板採用)
前回記事で説明したようにシャーシにスイッチング電源やアンプユニットを取り付けて配線している時に、ワテ自作シャーシのフロントパネルが剥がれてしまったのだ。
このシャーシはアルミパネル(フロントとリアの二枚)を木製サイドウッドとアルミ複合板(297x210x3t)底板に接着剤で貼り付けて作成している。
このパネル剥がれ問題は当記事の後半で修復作業の様子を紹介する。
このアンプには別の些細な問題がある。
それは左右のアンプユニットの入出力部分の配線色を左右で間違えてしまったのだ。
写真 左アンプユニットの配線色が赤、右アンプユニットの配線色が青になっている
上写真はアンプの背面から撮影しているが、本当なら左アンプユニットの配線色は青、右アンプユニットの配線色は赤にする予定であった。
ところが前回の配線作業でウッカリ間違えて赤と青を入れ替えてしまったのだ。
まあその時には、色が違っていても音は出るし、本質的な問題では無いのでそのまま放置していた。
でも何だか気色悪い。
と言う事で配線作業をやり直す事にした。
アンプユニットの入出力配線をやり直す
金田式アンプはコネクタなどは一切使わずにケーブルと基板を直接半田付けして製作するのが本来のやり方らしい。
でもワテの場合はメンテナンスし易いようにコネクタを使う事が多い。
このアンプに関しても、アンプ基板の三カ所にコネクタを付ける予定であった。
- 電源供給部 ±30V, GNDはサイド型VHコネクタ3ピン
- 入力信号部はXHコネクタ2ピン
- スピーカー出力部はサイド型VHコネクタ2ピン
しかしながら、電源部に採用したサイド型VHコネクタ3ピンは手持ちに無かったので省略し直接電線を基板に半田付けした。
入力部は下写真のようにXHコネクタ式にした。
写真 配線の赤青を入れ替え作業でアンプユニットを外す(PCBWay製ヒートシンク)
当初はビニルチューブを挿せばそのビニルチューブを手で摘まんで回せば軸も回せるかなと思ったのだが、現状では若干緩くて軸は回せない。
スピーカー出力部もサイド型VHコネクタ2ピンが入手出来なかったのでケーブルを直接半田付けした。
しかしその時に、赤青のケーブルを入れ違えて配線してしまった。
写真 配線の赤青を入れ替え作業中(スピーカー配線を外した)
上写真のようにワテ設計のこのアンプは左右二枚のアンプ基板と出力段パワーMOS FET四個がヒートシンクと一体になっているので、一体として取り外す事が可能なのだ。
メンテナンス性を考慮した完璧な設計になっているのだ。
写真 入力RCAコネクタ部やNEUTRIKスピコンの配線を外した(PCBWay製リアパネル)
このパワーアンプにワテが採用したコネクタは以下の通り。
スピーカーターミナルは安い汎用品だ。
RCAジャックはトモカの製品だ。前後が六角ナット形状なのでパネル取り付け作業がやり易い。
似たようなものは他社製でも沢山あるがワテがトモカ製を気に入っている理由は、赤色RCAジャックは樹脂の部分が全部赤いので分かり易いのだ。
他社製の赤色RCAジャックの多くは金メッキ部分に赤色リング状の印があるが、同軸の樹脂部分は白い物が多い。なので真後ろから見ると赤色ジャックなのか白色ジャックなのか区別できない。ワテはそれは嫌い。
ノイトリックスピコンはM3皿ネジで固定している(下写真)。
写真 ノイトリックスピコンNL4MPをM3皿ネジで固定する
上写真でM3ナット付近は狭いのでナットドライバーが挿し込めない。
そう言う場合には精密マイナスドライバーをナットの側面に挿し込んで固定しながらネジを締めると良い。完璧なテクニックだ。
こう言うナットドライバーセットは電子工作には必須だ。
あるいは下写真のような⊕⊖の精密ドライバーセットも持っておくと良い。
と言う訳で、無事に配線入れ替え作業は完了した。
ワテお勧めのコネクタ
ワテの場合、電子工作では主に三種類のコネクタを使う。
QI, XH, VHの三種類のコネクタだ。
2.54mmピッチ
QIコネクタ
XHコネクタ
3.96mmピッチ
VHコネクタ
QIコネクタはピンヘッダーに挿し込める。
ピンヘッダは手で折って何ピンにでも出来るので手軽に利用出来る。
なおQIコネクタはどちら向きにでも挿し込めるので向きを間違える可能性がある。なのでワテの場合は、基板とQIコネクタの両方に赤マジックや白色修正液などで印を付けて、取り付け向きを間違えないように工夫している。
あるいはXHコネクタなら挿し込み向きは決まっているので、こちらのほうが安全性は高い。
電源やスピーカー出力などのある程度大きな電流容量が必要とされる箇所には大型のVHコネクタを使う事が多い。
XHコネクタもVHコネクタも2P, 3Pが有ればほぼどんな場面でも足りると思う。ちなみにワテは手持ちに何台かあるスイッチング電源が5ピンVHコネクタ(2,4ピンが無く、1,3,5の3ピンのみ使用)なのでVH5ピンのメスハウジングも持っている。
なお、これらQI、XH、VHなどのコネクタは全て下写真のエンジニア製精密圧着ペンチで加工が出来る。
ワテも二年ほど前にこの圧着ペンチを買って、それ以来ちょっとした配線接続部分はなるべくコネクタ式にするようにし始めた。
その結果、何らかのトラブルで基板をチェックしたい場合には、簡単に基板を取り外せるのでメンテナンスし易いのだ。
皆さんにもお勧めしたい。
ちなみに、上で説明したようにこのアンプ基板の±30V電源供給部分やスピーカー出力部分はサイド型のVHコネクタ(3ピン、2ピン)を付ける予定であったが手持ちにコネクタが無かったのでケーブルを直接半田付けした。
VHコネクタはネット通販サイトを見ても100個単位や1000個単位でしか買えない。100個は多過ぎるので買うのを断念した。
でも、先日モノタロウさんでVHコネクタを探したら10個入り1パックから発注出来る事を発見。
そこで下写真のようにサイド型(オスピンがL字に折れ曲がっている)のVHコネクタの2, 3, 4ピンを各10個買ってみた。それと250V3Aヒューズも一緒に買った。
写真 モノタロウさんで買ったサイド型VHコネクタは結局不採用となった
しかしながら、モノタロウさんで買ったサイド型VHコネクタは結局不採用となった。
その理由は、現状、ケーブルを基板に直接半田付けしていてそれで正常動作しているのでわざわざコネクタ式にするのが面倒。
それと、二枚のアンプ基板を狭いシャーシに収納しているので、ケーブルが横向きに出るサイド型VHコネクタを使うと横向きに出るケーブルがサイドウッドに干渉して挿し込めない問題が出る(下写真)。
写真 アンプ基板の両側にVH3ピンコネクタを取り付ける設計になっている
つまり設計ミス!
大失敗やがな。
と言う事で、サイド型VHコネクタは今回は不採用となった。
今後の教訓としては、ケーブルが横向きに出るサイド型コネクタを使う場合には、ケーブルの出る方向も考慮して基板を設計する必要がある。
組み立て中に分解してしまったシャーシを修復する
兎に角、赤青配線の入れ替え作業は無事に完了した。そして、パルジェネで方形波を入れて出力波形をオシロで再計測したところ、正常動作している事が確認出来た。
なので、前回剥がれてしまったシャーシパネルを接着してアンプを完成させる事にした。
写真 アルミパネルが剥がれてダラーっと垂れ下がった状態
ワテお勧めの接着剤を使って剥がれたフロントパネルを貼り付ける。
超多用途なので、大抵のものは接着出来る。
下写真のようにF型クランプで前後パネルを固定して、サイドウッドは万力を重石にして密着させる。
写真 F型クランプや万力(重石)を使ってシャーシを再接着中
このセメダイン超多用途接着剤スーパーXクリアは数時間ほどで固まる。
固まってもある程度の弾力性があり、はみ出した部分は手で引っ張れば剥がせるので修正作業も楽だ。
その反面、粘着力は若干弱めなので、強く引き剥がせば剥がす事も可能なので、試行錯誤の多いDIYには適している接着剤だと思う。
もし2液混合のエポキシ系接着剤などを使うと強固に接着出来て接着後にはカチカチに固まるが、引き剥がすのは困難だ。
定番の二液混合エポキシ系接着剤はアラルダイト。
と言う事で、接着剤は用途に応じて使い分けると良い。
下写真に再接着完了したシャーシを示す。
写真 再接着完了したシャーシ(PCBWay製フロントパネル、リアパネル)
このパワーアンプはかなり発熱するのでシャーシ内部には熱が籠る。
もしその熱でセメダイン 超多用途接着剤 スーパーX クリアが柔らかくなり再び剥がれてしまった場合には、エポキシ系接着剤で強固に貼り付ける予定だ。
実は、同じ構造のシャーシをぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプにも採用しているのだが、最近、フロントパネルの接着が緩くなって少しぐら付いている。あかんがなw
なので、近日中にフロントパネル部分の接着をやり直す予定だ。
記念撮影
表題の「金田式No. 128オールFETスーパーストレートパワーアンプ」はほぼ完成した。
残す問題は、発熱対策だ。現状ではパワーMOS FET表面が80℃くらいになる。
その対策は現在検討中だ。
と言う事で、一応の完成の目途が立ったので記念撮影した。
写真 左:金田式DCプリアンプ(最新DAC内蔵)、右:金田式No. 128オールFETスーパーストレートパワーアンプ(PCBWay製基板、アルミパネル採用)
上写真左の金田式DCプリアンプはワテが学生時代に作った古いやつを最近レストアしたのだ。そして最新の金田式DACを作って内蔵させた。
ただしこのプリアンプも問題が有って、DAC用電源基板±7.5V定電圧電源(LM317, LM337採用)が猛烈に発熱する。その理由はプリアンプ基板用の±35V電源から±7.5Vを生成しているのだが、電圧差が大きいので三端子レギュレータの消費電力が大きくて発熱するのだ。
なので、ジャンク品で安く入手したCOSELのDCDCコンバーター(入力18~36V、出力12V可変)を二個使って±10.5V電源を作ってそこから±7.5Vを生成して三端子レギュレーターの発熱を抑える作戦で行く予定だ。
それとDAC入力部分はデジタルRCA端子が一個だけだったのだが、ワテのパソコンにはデジタル出力は無くて光デジタル音声出力(TOSLINK規格)のみなので、デジタルRCAの代わりに秋月で売っているPLR135/Tと言う型番のTOSLINK用の光受信モジュールを付けた。
ただしその光受信モジュールはリアパネルには固定出来ていないので今後何らかの方法で固定する予定だ。
写真 左:金田式DCプリアンプ(最新DAC内蔵)、右:金田式No. 128オールFETスーパーストレートパワーアンプ(PCBWay製基板、アルミパネル採用)
プリアンプ内蔵DACの電源発熱問題、パワーアンプ出力MOS FETの発熱問題、この二つの発熱問題が解決すれば、これらの金田式アンプが完成するのだ!
ワテの場合、現状ではプリアンプに「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ」を、パワーアンプには「ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)」をPCオーディオ環境のメインシステムとして使っている。プリアンプには秋月USB-DACタムラトランスTpAs-2S版をバランス化改造して内蔵させている。
今回製作中の金田式プリアンプ(DAC内蔵)と金田式パワーアンプが完成したら、それはワテのベッドサイドのオーディオシステムに組み込んで使う予定だ。
まあ正確に言うとベッドサイドではなくて布団サイドになるが。
ワテは畳に綿布団を敷いて寝ている。背筋が伸びるのでワテ好みなのだ。
フカフカのスプリング式のクッション性の強いベットは苦手。
まあ兎に角、あまり沢山のオーディオ機器を自作しても使わないのは勿体ない。
長く愛着を持って使いたいので、プリント基板は専用基板を設計し外注、シャーシの前後パネルも設計して業者さんに発注した。
その結果、かなり満足の行く作品が完成しつつあるぞ。
まとめ
ワレコ
ワテがKiCadの使い方を覚えたのが2019年末頃だ。
必死で勉強したら一週間くらいでマスター出来た。
KiCadを使って専用基板を設計出来るようになると電子工作の楽しさが何倍にもなるぞ!
あと、Fusion360などの三次元CADをマスターすれば自分で好きな物を設計して3Dプリンタで印刷したり加工業者さんに発注する事も出来る。
今回はPCBWayさんに基板も金属加工も発注した。
KiCadもFusion360も無料なので、使わな損や!
当記事では現在製作中の「金田式No. 128オールFETスーパーストレートパワーアンプ」の左右配線修正とシャーシ再貼り付けの作業の様子を紹介した。
残す作業は出力段パワーMOS FETの発熱対策だ。
既存のアルミ板ヒートシンクに空冷式のフィンを貼り付けて追加する案、それに加えて小型ファンを追加する案など検討中だ。
ヒートシンクの改良案が確定したら、次は製作作業に入りたい。
その場合、自分で金属加工をしてもよいが、正確な設計図をFusion360で描いて金属加工業者さんに発注する案も検討したい。
PCBWayさんの場合、数千円台からCNC金属加工、レーザー切断加工などが発注出来る。
取り敢えずFusion360で3Dモデルを製作してPCBWayさんのサイトにアップロードすれば、見積金額も表示されるからその金額を見てから発注するかどうか決めてもいし。
KiCadを学習するなら以下の書籍がお勧め
表 ワテお勧めKiCad教科書
上表でワテは右端トランジスタ技術バックナンバーを取り寄せて勉強した。
Fusion360を学習するなら以下の教科書がお勧め
表 ワテお勧めのFusion360教科書
(続く)
プリアンプ基板用±35V電源からDAC用電源±7.5V(LM317, LM337採用)を生成している部分で、±27.5Vも電位差があるので三端子レギュレータが猛烈に発熱する問題の対策を施した。
COSEL絶縁型DCDCコンバーターを間に入れて以下の構成にした。
±35V ➡ ±10.5V(COSEL DCDC) ➡ ±7.5V
その結果、三端子レギュレーターの入出力電位差は±3Vに抑えることが出来たので発熱もほぼなくなった。その解説記事はこちら⤵
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