ワレコ
先日、シャインマスカットを生まれて初めて食べた。
窃盗にも遭う高級ブドウだ。
う~ん、確かに甘くて美味いけれど、渋味が殆ど無い。
葡萄と言えばワテは巨峰のように甘さと渋味が共存している品種が好きだ。
さて、表題の「金田式No. 128オールFETスーパーストレートパワーアンプ」製作プロジェクトであるが、PCBWay製基板にパーツの半田付けがほぼ完了した。
このパワーアンプは、無線と実験1993年3月号に掲載されている「金田式No. 128オールFET万能型スーパーストレートプリメインアンプ」のパワーアンプ部を単体で取り出した物だ。
ちなみにそのNo.128オリジナルのプリメインアンプは電源にはマンガン乾電池あるいはニッカド電池を使うのだが、ワテの場合はTDK-Lambdaのスイッチング電源を使う予定だ。15V3.6Aのやつを四台使って±30V電源の構成にする予定だ。
では、本題に入ろう。
前回記事はこちら↴
電源のパスコンを半田付け
金田式No.128オリジナルアンプでは、パワーアンプ部には二種類の電源が供給されている。すなわち電圧増幅段の±36Vと出力段の±30Vだ。
ワテ設計の専用基板は±36Vと±30Vを別々に供給出来るようにしているが、今回の製作では取り敢えず全部±30Vでやってみる予定だ。
写真 電源のパスコンに日精電機のフィルムコンデンサを半田付け(PCBWay製基板)
ワテのパーツボックスを漁ったらオレンジ色の鮮やかなフィルムコンデンサを発見した。確か千石電商さんかマルツパーツあたりで購入した奴だと思う。
大きいやつが0.22μ、小さいやつが0.1μだ。
下写真のようにマスキングテープでコンデンサを固定しておくとやり易い。
写真 マスキングテープでコンデンサを固定しておく
そして下写真のようにプリント基板を裏返して半田面を上にする。
写真 プリント基板ホルダーに基板を固定して裏返す(半田面を上にする)
ワテが使っているのは下写真のようなプリント基板ホルダーだ。
このホルダーはコンデンサなどの背の高いパーツを半田付けする時に役立つ。
まず、下写真のようにニッパでリード線を切り取る。
写真 ニッパでリード線を切り取る
そして下写真のように半田付けする。
写真 コンデンサを半田付けする
半田付けが終わったら掃除機で余分な半田クズやリード線の切れ端などのゴミを清掃しておくと良い。
写真 こまめに基板を掃除機で吸い取ると良い
そして、下写真のように床も掃除して、次の作業に備えるのだ。
写真 電子工作を成功させる秘訣は掃除と整理
ツェナーダイオードを半田付け
オリジナル記事では、電圧増幅段の差動増幅回路の二段目にある二個の2SJ77の共通ゲートと+36V電源の間に東芝の05Z5.1Xと言うツェナーダイオードが使われている。
ワテの手持ちには下写真のHZ5C1と言う日立のツェナーダイオードが有ったのでそれを付ける事にした。
写真 HZ5C1と言う日立のツェナーダイオードを使う
いちおう抵抗とツェナーダイオードを直列に接続して、定電圧電源で電圧を掛けて、ツェナー電圧を測定して選別した。
写真 抵抗とツェナーダイオードを直列接続しツェナー電圧選別中
その結果、下写真のようにHZ5C1で5.1V程度のツェナー電圧を示すやつが二本あったのでそれを使う事にした。
写真 HZ5C1でツェナー電圧5.1Vくらいのやつを二本選別した
下写真のようにツェナーダイオードのリード線をサンハヤトリードベンダーで折り曲げた。
写真 リード線をサンハヤトリードベンダーで折り曲げて半田付けする
このあと、無事に半田付けした。小さな部品なので長時間熱すると壊れやすいので、素早く半田付けを終えるように心がけている。
電子工作をやる人でリードベンダーを知らない人は素人だぞ。
2SK30A-GRペア取りと半田付け
差動増幅回路の初段には手持ちの2SK30A-GRペアを使う。オリジナル記事では2SK30ATMが指定されている。
2SK30A-GRと2SK30ATMの違いはワテは知らない。まあどちらも東芝の2SK30シリーズのFETだと思うので、多分どっちでも良いだろう。
「ぺるけ式FET & CRD選別冶具(改訂版)」で2SK30A-GR選別
下写真のようにNch用FET(2SK*)のIDSSやVGSを計測出来る「ぺるけ式FET & CRD選別冶具(改訂版)」を使って2SK30A-GRを選別した。
写真 「ぺるけ式FET & CRD選別冶具(改訂版)」で2SK30A-GR選別中
この選別冶具の製作記事はこちら↴
無線と実験の記事では、2SK30ATMペアはIDSS=3mA以上、ΔIDSS=0.3mA以下と記載されている。
写真 IDSS=4.322mAと計測された2SK30A-GR
そこで、数個の2SK30A-GRを選別して、IDSS=4.3mAくらいでΔIDSS=0.05mA以下くらいのやつを四個選別出来たので、それらでペアを組む。超高精度選別ペアだ。
下写真のようにダイソーの瞬間接着剤ゼリータイプを使って貼り合わせた。
写真 ダイソーの瞬間接着剤ゼリータイプを使って貼り合わせた2SK30A-GR
その結果、下写真のように貼り合わせる事は出来たが、はみ出した接着剤で黒いモールド部が白っぽくなってしまった。
写真 はみ出した接着剤で黒いモールド部が白っぽくなってしまった2SK30A-GR
まあ、これは素人が良くやる失敗だ。これだけは避けたかったのだが、久しぶりにやったら上写真のように失敗してしまった。まあ見た目が悪いが音には影響しないから気にしないと言いつつ、三日くらい気になるワテである。
選別した2SK30A-GRペアを半田付けする
下写真が差動増幅回路初段の2SK30A-GRペアを取り付ける部分だ。
写真 差動増幅回路初段の2SK30A-GRペア取り付け部分(PCBWay製基板)
KiCadで設計してPCBWayさんに発注したこの専用基板は、上写真のようにTO-92タイプの素子がピッタリと差し込めるのだ。
実際に2SK30A-GRを挿し込んだ様子を下写真に示す。
写真 2SK30A-GR選別ペアをプリント基板に挿し込んだ(PCBWay製基板)
どう!
いい感じでしょ!
こういう風にピッタリとパーツのリード線が基板のスルーホールに差し込めると、超快感なのだ。
これぞ専用基板を使う醍醐味と言うやつだ!
もうサンハヤトのユニバーサル基板は使えないワテである。つまり純正金田式のオーディオ機器はワテには作れないのだ。
白光こて先クリーナーワイヤーはお勧め
下写真がワテが普段良く使っているD型コテ先だ。先端幅2.4mmある。
写真 最近よく使っているD型コテ先2.4mm幅
そのコテ先を白光のワイヤー式のコテ先クリーナーで擦ると下写真のように余分な半田が除去出来るのだ。
写真 コテ先をワイヤークリーナーで擦ると余分な半田が除去出来た
ワテお勧めのワイヤークリーナーはこれだ!
従来のワテはBC型コテ先(円錐で先端斜めカット)やC形コテ先(円柱型で先端斜めカット)を良く使っていたのだが、最近なんとなくこのD型コテ先を使い始めた。
その結果、D型はなかなか使い易いぞ。つまりコテ先は2.4mmの直線状で、その角を使えば細かい部品も半田付け出来るし、コテ先を少し寝かせれば広い接触面積で基板を一気に熱する事も出来る万能型だ。
で、下写真のように六本の足を半田付けした。
写真 2SK30A-GRペアの六本の足を半田付けした
いや~、専用基板って本当にいいもんですね!
差動二段目の2SJ73デュアルFETを半田付け
無線と実験記事では差動増幅回路の二段目には2SJ72BLと言う東芝製Pch FETが熱結合ペアで使われている。その推奨IDSS値は以下の通り。
ワテのパーツボックスを漁ったら、2SJ72GRや2SJ73GR(DUALタイプ)が幾つか見付かった(下写真)。たぶん2000年以前に買ったやつだと思う。
写真 2SJ72GRや2SJ73GR(アルミキャップ付き)
これらのFETはパーツボックスの中で長期間熟成したので、いい音が出るに違いない。
2SJ73は2SJ72の特性の揃ったものを二個ペアにしたものだ。
ちなみにこの東芝のDUALタイプ2SJ73/2SK146やシングルタイプ2SJ72/2SK147は今では幻のFETと呼ばれているようだ。ワテの手持ちには未だあと少しあるのでドンドン使いたい。
さて、記事ではBLランクが指定されているが、GRランクしか手持ちには無いが、まあ無い物は仕方ないのでこの2SJ73GRランクを使う事にした。
念のために2SJ73GRのIDSSを計測してみた。
写真 2SJ73GRのIDSSを計測中
ぺるけさんオリジナルのFET選別冶具はNch FET用だが、ワテはそのNch FET用を作った後で、それを参考にPch FET用の選別冶具も自作した。
そのPch FET選別冶具を使って2SJ73GRの中に入っている二個の2SJ72GRを計測した結果、共にIDSS=7mA程度で、その差ΔIDSS=0.2mA程度だった。確かに東芝純正のDUAL FETペアだけの事はあり良く特性が揃っている。
二個の2SJ73GRともにこれくらいの値だったので、要するに四個の2SJ72GRがこれくらいのIDSS特性で揃っていた。まあIDSS=7mAなので記事指定のIDSS=10mA以上には足りないが、これしか無いのでこれで行く。
2SJ73GRの足が酸化していたので、下写真のように320番手の研磨シートで磨いておいた。
写真 2SJ73GRの足の酸化膜を320番手研磨シートで磨いた
紙ヤスリだとリード線の表面を研磨するのが難しいが、この研磨シートは繊維が積み重なっているので、酸化したパーツのリード線を数回抜き差しすれば簡単に酸化膜が除去出来る。ワテお勧めだ。
下写真のように2SJ73GRの高さを15mmにした。
写真 一つ目の2SJ73GRの高さを15mmにした
そして二個目の2SJ73GRの高さも15mmに揃えた。
その結果、下写真のように非常に綺麗に高さが揃って半田付けに成功した。
写真 2SK73GRデュアルFETの高さを揃えて見栄えにこだわる(PCBWay製基板)
まさに超神経質なワテである。
この手の作業にはシンワの15cmスケールが役立つ。
ワテの場合は、電子工作用と木工作業用に合計二本使っている。ワテお勧めのアイテムだ。
2SJ77-2SK214ペア取りと半田付け
差動増幅回路の二段目には日立製作所2SJ77/2SK214コンプリメンタリーペアが使われている。かつ、二個の2SJ77が熱結合されている。要するに片チャンネル当たり二個の2SJ77と一個の2SK214を使うので、両チャンネルで四個の2SJ77、二個の2SK214が必要になる。
ワテのパーツボックスには2SJ76/2SK213, 2SJ77/2SK214が何個かある。実はこの日の為に二年ほど前にヤフオクで入手していたのだ。
で、再び「ぺるけ式FET & CRD選別冶具(改訂版)」のPch版を使ってFETを選別してみた。
下写真ではそのPch FET用選別冶具を使って2SJ77(緑色)を選別している様子を示す。
写真 Pch FET用選別冶具を使って2SJ77(緑色)を選別中
一方、下写真はNch FET用選別冶具を使って2SK213を選別している様子を示す。
写真 Nch FET用選別冶具を使って2SK213を選別中
なお、ぺるけさんのFET選別冶具はこれらのMOS FETの選別に利用出来るのかどうかは良く知らない。
この選別冶具は2SK30A-GRの場合ならIDSS計測モードの時にテスター測定電圧値が例えば0.43VならIDSS=4.3mAを意味するのだが、MOS FETの2SK213の場合には何故か0mVだったのでIDSSは計測出来なかった。ゲート電圧が低すぎたのかもしれない。
一方、VGS計測モードではロータリースイッチでIDを0.5、0.75、1.0、2.0、3.0mAの電流値に設定してVGSを計測する。
VGSの計測に関しては、MOS FETの2SJ77/2SK213の場合でもそれらしい値が計測出来たので、値の近いやつを選んで選別した(下写真)。
写真 選別した日立製2SJ77ペア(緑)と2SK213(黒)
まあ、良く分かっていない部分もあるが、兎に角、ペアが組めた事にしよう。
大丈夫かいなw
日立2SJ77ペアを基板に半田付けする
下写真が日立2SJ77熱結合ペアを挿し込むスルーホール部分だ。
写真 日立2SJ77熱結合ペアを挿し込むスルーホール部分(PCBWay製基板)
ワテの場合、上写真に示すようにFETの三本足のGSDの並びをシルク文字で基板に描くようにしている。
KiCadにあるトランジスタやFETの標準のフットプリントには、ECBやGSDなどの文字は描かれていない。
そこで、ワテはフットプリントの上に手作業でGSDなどの文字を描くようにしている。
こうしておくと、パーツを取り付ける時に差し込み間違いを排除できるので。あるいはもし代替部品を取り付ける場合でも、GSDなどの文字が有れば作業がやり易いからだ。
超慎重派のワテである。
ここまで来ればあとはマスキングテープを使ってFETを固定しておいて半田付け作業を行えば良い。
写真 マスキングテープを使ってMOSFETを固定
下写真のようにペアを組んだMOS FET(2SJ77x2個)の六本の足が綺麗にスルーホールから出ている。
写真 ペアを組んだMOS FET(2SJ77x2個)の六本の足
やっぱり専用基板は素晴らしいぞ。
10x10cm2以内の基板サイズなら10枚発注しても5ドル程度と言う超低価格で両面スルーホールの専用基板が発注出来る時代なんだから、驚き桃の木山椒の木だ。
もちろん銅箔厚さを標準の35μmではなく70μm(当基板)などに増やすと料金は加算されるが。
と言う訳で、下写真のように無事にMOS FET(2SJ77x2個)を取り付けた。
写真 MOS FET(2SJ77x2個)を挿し込んだ(半田付け前)
と言う事で、残すは出力段のパワーMOS FETやそのヒートシンクの取り付け作業を残すのみだ。
それにしても、数十年に渡り、サンハヤトのユニバーサル基板だけを使ってアンプを作り続ける金田明彦先生は尊敬するわ。
一度その作業風景を拝見させて欲しいくらいだ。
ヒートシンクとパスコン干渉問題発覚
さて、当プロジェクトの最大の見せ場であるところの出力段パワーMOS FET用ヒートシンク(ゴールド色)とプリント基板との合体作業だ。
だんじり祭りなら急旋回する「やりまわし」の場面と言っても良いだろう。
写真 ヒートシンクとプリント基板を合体する前(どちらもPCBWay製)
アルミ板ヒートシンクの素材はAluminum 6061で、サイズは196x62x5t だ。
この金色のアルミ板(金色アルマイト仕上げ)はPCBWayさんのCNC加工発注メニューから注文したものだ。
さて、そのヒートシンクとプリント基板は下写真のような位置関係になるのだが、問題が発覚した。
写真 オレンジのフィルムコンデンサが金色アルミ板に干渉する問題発覚
それは上写真の金色アルミ板ヒートシンクは本当はあと3mmほど左に寄せる必要がある。そうしないとヒートシンクと基板に開けているTO-3デバイス用の穴位置が合わないのだ。
ところが上写真で分かるように、日精電機のオレンジ色フィルムコンデンサが邪魔をして金色アルミ板がもうそれ以上左に寄せられないのだ。
あかんがな。
要するに設計ミス!
しまったしまった島倉千代子
まあ、ここは冷静になって20秒程考えて、下写真のようにフィルムコンデンサのリード線を曲げて対処した。
写真 オレンジ色コンデンサを3mmほど横に寄せる事に成功!
上写真のようにオレンジコンデンサの胴体を横に押して解決した。
なお、ワテの場合はパーツを半田付けする際に、ニッパでリード線をカットする時に、若干長めに残している。
具体的には基板からリード線が3~4mmくらい出るように長めにカットしている。
上写真のオレンジコンデンサもリード線が3mmほど半田面に出ていたので、それを半田ゴテで半田を溶かしてコンデンサを上に引っ張って、部品面のリード線を長くしたのだ。
そうしておいて、上写真のようにリード線を横に押したので、3mmほど横にずらす事が出来たのだ。
完璧なリカバリーだ!
このような難問に対して瞬時にこんな素晴らしい解決策出せる人間は滅多に居ない。
なお、なぜワテがリード線を長めにカットするのかというと、リード線を短く切り詰めると、それはまるで爪切りで深爪したような気分になるので嫌なのだ。
ヒートシンクと基板を合体しパワーMOS FET(2SK134/2SJ49)をネジ固定
ヒートシンク固定に長いM3ネジ採用案は中止
さて、いよいよヒートシンクにプリント基板とTO-3型パワーMOS FETを合体する。
写真 TO-3型デバイス用絶縁ラバーシートとパワーMOS FET(2SK134/2SJ49)
上写真の大量の絶縁ラバーシートは千石電商さんで買ったようだ。まだ90枚以上残っているのでドンドン使うぞ。ちなみにワテのパーツボックスを漁ったらTO-3型のトランジスタが20個くらい見付けた。今後はそれらのデバイスを使って何か作りたい。
さて、コンデンサとヒートシンクの干渉問題も発覚したが、無事に解決してここまでの作業はほぼ完璧に順調に進んでいる。
写真 プリント基板、金色アルミ板、MOS FET、ラバーシート
下写真のようにM3x25の長い鍋ネジが手持ちに有ったので、それを使って基板、アルミ板、MOS FETを固定する事を考えた。
写真 M3x25の長い鍋ネジで基板、アルミ板、MOS FETを固定
下写真のようにアルミ板裏面にはTO-3デバイス用の樹脂製のスペーサーをはめる。
写真 アルミ板裏面にはTO-3デバイス用の樹脂製のスペーサーをはめる
下写真のようにアルミ板には四つのパワーMOS FETをM3x25鍋ネジで固定できた。
写真 アルミ板には四つのパワーMOS FETをM3x25鍋ネジで固定した(PCBWay製アルミヒートシンク)
そして、このアルミ板を下写真のようにプリント基板に固定してみたのだが、今一つ上手く行かない。
写真 M3x25の長い鍋ネジでアルミ板とプリント基板を固定する案は中止
何が上手く行かないかと言うと、上写真のように長いM3ネジを基板に開けた穴に通して六角ナットで固定すれば、固定は出来なくはない
でもこの方式だと、もし将来、何らかの理由でどれかのMOS FETを取り外してチェックしたい場合には、分解作業が非常に困難だ。
と言う事で、長いM3x25mm鍋ネジを使う案は不採用とした。
ヒートシンク固定に六角スペーサー採用
最終的には、下写真右のように六角スペーサーを使う事にした。
写真 左二個のMOS FETは不採用案(M3x25mmネジ固定)、右二個は六角スペーサー固定採用案
上写真で、左二個のMOS FETはM3x25mmネジ固定しているが、これは不採用とした。
一方、右二個は六角スペーサーを使っている。MOS FETの固定はM3x10の鍋ネジを使っている。
このやり方なら、どれかのMOS FETを取り外したい場合には、そのMOS FETを固定している二個のM3ネジを緩めるだけで良いのだ。
と言う事で四つ全てのMOS FETをこの六角スペーサーとM3x10鍋ネジ固定方式に変更した。
写真 四つ全てのMOS FETを六角スペーサーとM3x10鍋ネジ固定方式に変更
下写真のように金属製の六角スペーサーを使ってMOS FETの固定は完了した。
写真 金属製六角スペーサーを使ってMOS FETの固定は完了(PCBWay製アルミヒートシンク)
さて、下写真のようにプリント基板も固定する。
写真 プリント基板もアルミ板ヒートシンクに固定する
下写真のようにアルミ板ヒートシンクはオレンジコンデンサとの干渉も1mmほどのクリアランスで解消出来ている!
写真 アルミ板ヒートシンクとオレンジコンデンサとの干渉も無い(PCBWay製基板)
まあヒートシンクでコンデンサが熱くなる可能性もあるが、まあ大丈夫だろう。
そして下写真のように無事に二枚のプリント基板をアルミ板ヒートシンクにM3六角ナットで固定出来た。
写真 二枚のプリント基板をアルミ板ヒートシンクにM3六角ナットで固定
完璧や!
と思ったら、下写真のようにTO-3型パワーMOS FET(2SK134/2SJ49)の足がプリント基板に届かない問題が発覚。
写真 TO-3型パワーMOS FET(2SK134/2SJ49)の足がプリント基板に届かない問題発覚
一難去ってまた一難と言うやつや。
本当ならアルミ板ヒートシンクの位置はもう少し下に寄せてプリント基板に近づける予定であった。
ところが、上写真で分かるようにアルミ板ヒートシンクを下げて行くと、左にある抵抗に干渉するのだ。
まあ、神がワテに試練を与えているに違いない。
パワーMOS FET(2SK134/2SJ49)を半田付け
足が届かないなら延長すれば良い。
と言う事で、手持ちにあった銅単線Φ0.53mmを使ってMOS FETの足を延長する事にした。
下写真のように精密ドライバーの先端(Φ1.0mmくらい)に銅単線を三回巻いて2cmほど間隔を開けて、それを8回繰り返した。
写真 精密ドライバー軸を使って足延長用パーツを作る
下写真のようにニッパでカットした。
写真 MOS FETの足延長用パーツ完成
この銅単線を下写真のようにMOS FETの足に挿して半田付けした。
写真 自作銅単線延長用パーツをMOS FETの足に挿して半田付けする
このようにして四つのMOS FETの全ての足を銅単線で2cm程延長する事が出来た(下写真)。
写真 四つのMOS FETの全ての足を銅単線で2cm程延長した
そして、下写真のようにアルミ板ヒートシンクにプリント基板を固定する。
写真 アルミ板ヒートシンクにプリント基板を固定
上写真のように銅単線が上手い具合にプリント基板のスルーホールから顔を出した。
延長成功だ。
部品面も下写真のように、いい感じで決まっているぞ!
写真 アルミヒートシンク、MOS FET、プリント基板が合体成功
複数のTO-3型デバイスを使う場合、上写真のように真っ直ぐに横に並べて配置するのでは無くて、45度ほど回転させて配置している例を良く見かける。その方が放熱板の幅も短く出来るので、放熱板のデザインの自由度が大きくなる。
でもワテは敢えて真っ直ぐに四つのデバイスを並べた。そのほうが素直だし、文字通りスーパーストレートな音が出る気分になるからだ。
そして下写真のように合計八本の銅単線をプリント基板に半田付け完了。
写真 合計八本の銅単線をプリント基板に半田付け完了
パワーMOSFETのTO-3ケースはソース電極だが、基板との導通は電線ではなくて金属製六角スペーサーで導通させている。無線と実験の記事ではここはダイエイ電線に丸型圧着端子を付けて配線しているが、まあ六角スペーサーでも大丈夫だろう。
このアンプが完成したら、カクカクと輪郭に角のある音が鳴るに違いない。
これでパワーMOS FETの取り付け作業は無事に完了した。
写真 PCBWay製プリント基板、PCBWay製アルミ板ヒートシンクの合体成功
と言う事で、MOS FETの足が基板に届かない問題も銅単線で延長する事で完璧に解決出来たのだ。
よく考えてみると、この銅単線による足延長作戦はメンテナンスの観点でも素晴らしい手法だと思う。
なぜなら、もしMOS FETの二本の足をプリント基板に直接半田付けしてしまうと、あとからそのMOS FETを取り外したくても非常に困難だ。
一方、二本の足を銅単線で延長したやり方の場合なら、半田を溶かしてMOS FETの足から銅単線を外しても良いし、あるいは、面倒なら銅単線をニッパで切ってしまっても良い。
そうすれば、簡単にMOS FETをヒートシンクや基板から取り外す事が出来るのだ。
さすが自称DIY達人のワテである。自画自賛にも程が有る。
まとめ
ワレコ
シャインマスカット
社員マスカット
従業員マスカット
労働者マスカット
そのうち経営者マスカットが販売されるかも知れない。
でも自由人マスカットがいいな。
なんのこっちゃ訳分からん。
やっぱり葡萄は巨峰がワテ好み。種無しが食べ易いので好きだ。
当記事は無線と実験1993年3月号に掲載されている「金田式No. 128オールFET万能型スーパーストレートプリメインアンプ」のパワーアンプ部製作プロジェクトの連載記事だ。
ここまでの作業で、PCBWay製基板にパーツの半田付けがほぼ完了した。
PCBWayさんにCNC加工メニューで発注したアルミ板ヒートシンクも無事に設計通りにTO-3型パワーMOS FETを取り付けてプリント基板と合体する事に成功した。
事前にFUSION360を使ってアンプシャーシ、電源部、プリント基板部、アルミヒートシンク部、パワーMOS FET四個など、主要なパーツの3Dモデルを作成して、各部の干渉などチェックしていた。
それくらい入念に設計したにもかかわらず、オレンジ色コンデンサやスケルトン抵抗がアルミ板ヒートシンクに干渉する問題が発覚した。
でも、その問題は斬新なアイデアで無事に解決。
さらに、パワーMOS FETの足が基板に届かない問題も銅単線延長作戦で瞬時に解決すると同時に、完璧なメンテナンス性も同時に実現出来たのだ。
上の写真でも示したようにアンプ基板と出力段パワーMOS FETは一切の無駄な配線もなく、完璧な一体型ユニットになっているのだ。
このような一体構造を採用した事により、製作のやり易さ、メンテナンス性、その他様々なメリットがあるのだ。
残す作業は差動増幅回路初段の定電流回路の2N5465の半田付けのみだ。
ところが手持ちには2N5465なんて言う古いFETは無い。
無線と実験記事では、
と記載されている。
さて、どうするか?
少し調べたらヤフオクにも偶に2N5465は出品されているがIDSS=4mA前後となると、そんなに都合よく出品されるとは限らないし。
まあここは同じPch FETの2SJ103GR(2.6~6.5mA)で代替してみるかな。
手持ちには2SJ103GRなら沢山あるので、IDSS=4mA前後のものは多分選別出来るだろう。
(続く)
コメント
はじめまして。
数日前にGoogle検索で辿り着き、ワレコさんのお人柄にはまってしまいましたw
今回の記事もマニアックすぎて私にとってなんのことやらちんぷんかんぷんですが、ニヤニヤしながら拝読しました
リカバリーも最高でした!
どの記事を拝見しても多才で素晴らしいです、本当に器用でいらっしゃるので、尊敬します
私はWeb上で滅多に書き込みしませんが(ワレコさんと同じく超慎重派ですw)、とうとう我慢できずコメントさせていただきました
いちファンとして今後も楽しみにしています
グリーンドレス様
この度は小生のサイトにコメント有難うございました。
私は好きな事は熱中するのですが、飽きっぽい性格です。
その中でも長く続けている趣味として、電子工作、DIY、プログラミングなどがあります。
そう言う話題を中心にブログを初めてもう七年くらい経ちますね。
今後は、どこかに古民家付きの山を買って自分でリフォームしたいなあなどど考えているのですが。
そしてYouTuberデビューするかも知れません。
では、またいつでもお気軽にお越しください。