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【ワレコの電子工作】ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプのハムノイズ問題解決して完成した【いい音だ】

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ワレコ

「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V基板バージョン(2017年)」が遂に完成した。

前回記事で報告したノイズ問題は無事に解決したのだ。

完成したアンプの音は繊細で透明感があり、こんなにナチュラルな音が出るヘッドホンアンプが有るのか!と感動するくらい素晴らしい音だ。

ワテの場合、オーディオマニアと言うほどでは無いが、良い音で音楽やPCオーディオを聴きたいという思いは強い。

今回無事に完成した「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V基板バージョン(2017年)」の音は、本当に素晴らしいぞ。

フルボリュームにしても「シャー」と言う残留ノイズがヘッドホンから聞こえないのだ。

この静寂感と透明感はワテも今まで色んなオーディオ機器を使って来たが、未だかつて一度も体験した事がない素晴らしい性能だ。

と言う事で、当記事では前回記事で報告したノイズ問題の原因と解決までの手順を紹介したい。

では本題に入ろう。

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どんなノイズが乗るのか?

前回記事で報告したように、このヘッドホンアンプ「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V基板バージョン(2017年)」は配線作業は完了したのだが、試聴してみたところ「ブーン」と言うノイズが左右ヘッドホンから聞こえて来る。

ノイズの症状をまとめると以下の通り。

  • ヘッドホンはTRS端子つまりアンバランス出力ジャックに差し込んでいる。
  • ボリュームの位置に関係なく一定音量で鳴る
  • 入力セレクターで入力1のUSB-DACを選んでも鳴る。
  • USB-DACとパソコンを接続するUSBケーブルを抜いても鳴る。
  • 入力2から入力4までの汎用バランス入力を選んでも鳴る。この場合、入力2から入力4までの入力端子(XLR5メス)には何も接続していない。

う~ん、ノイズの原因が分からない。

このヘッドホンアンプはぺるけさんのサイトに公開されている回路図に基づいて製作している。

Balanced Project

ただし幾つかの点でワテ自作版とぺるけさんオリジナル版とは差異がある。

それらの相違点を下表にまとめてみた。

  ぺるけさんオリジナル Wareko版
電源

ACアダプタ

DC15V±0.5V、0.5A>

電源トランス(一次AC100V、二次AC15V)採用し ブリッジ整流後にLM317可変三端子レギュレータでDC15V生成
ケース タカチ HEN110620 Wareko自作(PCBWay製アルミパネル利用)
基板 タカスユニバーサル基板 KiCad設計しPCBWayへ発注の専用基板が数枚
入力セレクター 無し 四入力切り替え回路追加(ラッチリレー式)
追加した回路 無し
  • ぺるけ式秋月USB-DACタムラトランスTpAs-2Sバランス出力版を入力1に組み込んだ
  • ラッチリレー式入力セレクター基板
  • その電源基板(5V, 3.3V)

表 「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V基板バージョン(2017年)」のぺるけさんオリジナル版とWareko版の相違箇所

まあ最も疑わしいのは電源トランスだろう。

ハムノイズは電源トランスが怪しい

そこでオシロスコープを使ってアンプ出力端子などにプローブを当てて波形を計測してみたが、何故かそれらしいノイズが計測出来なかった。

電源トランスを使わずに安定化電源で実験した

そこで兎に角、最も疑わしい電源トランス基板(下写真)を外すと同時にAC100Vの電源コードも抜いた。

写真 白:ヘッドホンアンプ本体、青:LM317電源、黄:SMD版三端子レギュレータ(5V, 3.3V)

そして上写真の赤黒ミノムシクリップの部分にはワテ所有の高砂製作所製の安定化電源でDC20Vを供給してみた。

この細長い青色レジスト基板はLM317可変三端子レギュレータを使った定電圧回路基板(DC15V出力)だ。この基板もワテがKiCadで設計してPCBWayさんに発注して製作したものだ。

そしてヘッドホンを耳に当ててノイズの有無を確認したところ、ノイズが消えている!

やっぱりノイズの原因は電源トランスだったようだ。

でもオシロスコープではそれらしいノイズを計測出来なかったのでその点は気になるが、まあ兎に角、電源トランスの使用は中止してぺるけさんオリジナル版と同じくACアダプターに変更する事にした。

正確に言うとACアダプターでは無くて、手持ちにあったDC24V出力(±10%の範囲で出力電圧可変)スイッチング電源に付け替えてみる事にしたのだ。

貼り付けスペーサーを剥がして再利用する

最近のワテは電子工作ではシャーシにはネジ穴を開けずに下写真のような貼り付け式スペーサーを多用している。

写真 貼り付けスペーサーを剥がす前(オレンジ色パーツは入力セレクターのラッチリレー)

貼り付けスペーサーはシャーシにネジ穴を開ける作業が不要で便利なのだが唯一の欠点は貼り換え作業に手間が掛かると言う点だ。

まあ手間が掛かっても貼り付け場所を変更出来ると言うのは大きなメリットと言う事も出来るが。

貼り付けスペーサーはジワジワと引っ張れば剥がせる

下写真のように貼り付けスペーサーの支柱部にM3の長いネジを嵌めて、そのネジをプライヤーで挟んで引っ張る。

写真 貼り付けスペーサーはネジをジワジワと引っ張れば剥がせる

ネジを引っ張る時のコツは強い力で一気に引っ張ると樹脂製の貼り付けスペーサーが破損する。

なので、一気に引っ張るのではなくて数十秒かけてジワジワと引っ張るのが良い。

そうすると強力な両面テープが端っこから少しずつ剥がれるのだ。

その結果下写真のように両面テープの残骸が底板に貼り付いて残っている。

写真 貼り付けスペーサーを剥がしたあとの両面テープの残骸

あとは下写真のように両面テープの破片を剥がし取って、アルコールで底板をクリーニングしておく。

写真 両面テープを剥がして底板を清掃した

貼り付けスペーサーの裏側に新しい両面テープを貼って再生する

ワテお勧めの両面テープは下写真のNitto製の超強力両面テープ粗面用だ。

写真 ニトムズ(Nitto)超強力両面テープ粗面用T4593(-20℃~180℃)はDIYには最適

このニトムズ(日東電工の子会社)製の超強力両面テープ粗面用は、DIY用に一つ買っておくと色んな場面で活躍する。

その名の通り超強力で、なんと言っても使用可能温度範囲は下写真に示すように-20℃~180℃と広いので使える場面が多いのだ。

写真 ニトムズ(Nitto)超強力両面テープ粗面用T4593は使用温度範囲が広い(-20℃~180℃)

このニトムズT4593両面テープは使用可能な温度上限が180℃もあるので、自動車DIYでも大活躍する。

例えばドラレコのカメラをウインドウガラスに張り付けるなどの用途に最適だ。自動車の車内は夏場の炎天下なら70℃を超える事もあるので、市販の普通の両面テープならすぐに剥がれ落ちるのだ。

と言う事でワテ推薦の両面テープ紹介コーナーで脇道に逸れてしまったので本題に戻ろう。

さて、下写真のように貼り付けスペーサーを1mmほど間隔を開けて両面テープに貼り付ける。

写真 貼り付けスペーサーを両面テープに並べて貼り付ける

下写真のようにその1mmの隙間をカッターで切り取る。

写真 カッターで両面テープを切り分ける

無事に再生する事が出来た貼り付けスペーサー(下写真)。

写真 ニトムズの超強力両面テープで再生出来た貼り付けスペーサー(半永久的に使える)

このように貼り付けスペーサーは、剥がして再利用すれば半永久的に使えるのも大きな長所だ。

スイッチング電源に交換する

さて、今回電源トランスの代わりに採用したのが下写真の長野日本無線株式会社(Nagano JRC)製のALS30-24と言うスイッチング電源だ。

出力電力30W、出力電圧24V、出力電流1.3Aと言う仕様だ。確か大阪日本橋のデジットで買った気がする。

写真 長野日本無線株式会社(Nagano JRC)製のALS30スイッチング電源(DC24V ±10%可変)

このスイッチング電源は仕様では±10%の範囲で出力電圧を可変出来るが、実際は±15%くらいまで行けるようだ。

基板上にある半固定抵抗を左に目一杯回すと-15%まで下げられるのでその時の出力電圧は約DC20Vになる。

このDC20Vを下写真の青色の細長い基板(LM317可変三端子レギュレーター基板)に入れて安定化出力DC15Vを得ている。

写真 電源トランス基板を外してスイッチング電源に交換したヘッドホンアンプ電源周り

上写真のようにスイッチング電源、LM317青色基板、表面実装IC使用5V, 3.3V基板(黄色)の位置を決めて貼り付けスペーサーを貼り付けた。

スイッチング電源は高めのスペーサーに載せて嵩上げして、青色基板との干渉を避けている。貼り付けスペーサーはこう言う小細工も可能なので便利だ。

下写真は全体写真だ。

写真 電源トランスを廃止してスイッチング電源(DC20V出力)に変更したヘッドホンアンプ

上写真のように電源部分を改良した結果、原因不明のハムノイズは解消した。

これで一件落着かと思ったら、新たなノイズ問題が発覚した。

ボリュームに連動するノイズが出るようになった

電源トランス由来のハムノイズ問題はスイッチング電源に交換したら解消したのだが、新たに別のノイズが出ている事が判明した。

ボリュームを右に回すとそれに連動して大きくなるノイズが出ている。

このノイズは電源トランスをスイッチング電源に変更する前には無かったと思う。

スイッチング電源を採用した事と、この新たなノイズの発生が関係しているのかどうかは分からない。

兎に角、この新たなノイズの原因を突き止めて対策を施さなくてはヘッドホンアンプとしては使い物にならない。

アルミパネルとアンプ基板のアースを接続したら解決

ノイズの原因に関して、一つ心当たりがある。

それはアルミシャーシ内の八枚のプリント基板とアルミシャーシ(前後アルミパネル、アルミ複合板底板)とのアースの接続に関しては何も考慮していないので、現状ではシャーシはアースに落としていない。

その辺りが怪しい気がする。

そこで下写真のように白色ヘッドホンアンプ基板のGNDから黒い電線を引っ張って、リアパネルのノイトリックXLRタイプのUSBコネクタの固定ネジとを電気的に接続した。

写真 ヘッドホンアンプ基板のGNDとシャーシを接続した(黒色電線)

下写真はアンプ基板の拡大写真。

写真 ヘッドホンアンプ基板のGNDラインから電線を引っ張った

この白色アンプ基板はぺるけさん製作記事で紹介されているタカス基板のレイアウトに似せて基板パターンを引いている。

そのぺるけさんの製作例では下写真の基板の外周部分のパターンがGNDになっている。

この外周GND部に黒い電線を半田付けしたのだ。

一方、下写真はリアパネルのUSBコネクタの固定ネジの辺りの拡大写真。

写真 ヘッドホンアンプのGNDをシャーシに落とした

黒色電線の先端に小型のリング型圧着端子を半田付けして、M3ネジ部に固定した。

このように

  • ヘッドホンアンプ基板アース
  • シャーシアース
  • USBケーブルを通してパソコンのアース

の三者を接続した結果、ボリュームに連動するノイズはピタッと鳴り止んだのだ。

素晴らしい。

ノイズ問題が解決した「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V基板(2017年)」を聴く

下写真が遂に完成した「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V基板バージョン(2017年)」だ。

写真 秋月USB-DAC基板の青色LEDが鮮やかに光っているヘッドホンアンプ

上写真で白色基板がヘッドホンアンプ基板だ。

その製作過程はこの記事で詳しく解説している。

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TRS出力(アンバランス出力)にヘッドホンを繋いで試聴

下写真のようにフロントパネルにはアンバランスヘッドホン用のTRSジャックと、バランスヘッドホン用のXLR5メスキャノンコネクタを付けている。

写真 ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V基板(2017年)フロントパネル

現状ではアンバランスタイプのヘッドホンしか持っていないので、そのヘッドホンをTRSジャックに差し込んだ。

そしてYouTubeを開いて幾つかの音源を聴いてみた。

例えば大瀧詠一「君は天然色」。

いや~、本当にいい音だ。

ノイズが全く聞こえないので透明感が際立っている。

無音時の静寂感も素晴らしい。

 

次は荒井由実「ひこうき雲」

 

写真 内蔵したUSB-DAC音源をアンバランスヘッドホンで視聴中のヘッドホンアンプ

現状ではアンバランスなヘッドホンを使って聴いているのだが、それでもこんなに素晴らしい音が出ている。

今後このアンバランスヘッドホンをバランスケーブル式に改造して聴けば、一体全体どんなに素晴らしい音が出るんだろうか!?と期待感が高まるぞ。

 

夏川りみさん「涙そうそう」を聴く。

まとめ

ワレコ

今日は2022年3月31日。

年度末だ。

やっぱり自作オーディオ機器が無事に完成して、かつ、期待以上に素晴らしい音が出ると充実感があるなあ。

当記事では自作している「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V(2017年版)」のノイズ問題の原因究明と対策の過程を紹介した。

その結果、素晴らしい音がヘッドホンから聞こえて来るのだ。

結論としてはトランス式電源をスイッチング電源に変更して、かつ、アンプ基板GNDをシャーシGND(USBコネクタGND)に接続したら、ノイズ問題は解決した。

おそらく根本原因はこのGNDが未接続だったことだと思うので、トランス式電源はそのままでも良かったのかも知れない。終わり良ければ総て良しと言う事にしておく。

このヘッドホンアンプの製作を思い立ったのが今から約一年半前だ。

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その当時のワテはKiCad初心者だったが、必死で使い方を覚えて三種類の基板パターンを検討するなどしているうちにKiCadを完璧にマスター出来たのだ。ほんまかいなw

このアンプには数種類のプリント基板を使っているが、どれもKiCadで設計してPCBWayさんに発注したものだ。

専用基板を使うと基板設計を間違えない限りは配線間違いが入り込む可能性が無いので電子工作が成功する確率が飛躍的に高くなる。

このヘッドホンアンプは下写真のパワーアンプと組み合わせてワテのPCオーディオ環境のメインシステムとして利用する予定だ。

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さらに下写真で示す塩ビ管スピーカーも現在製作中で、完成したらこのスピーカーをPCオーディオシステムに組み込む予定だ。

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と言う事で、近日中にヘッドホンをバランスケーブル接続に改造して、当記事で紹介した「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V基板バージョン(2017年)」で聴いてみたい。

そのレポートは別記事で紹介したい。

追記(2022/4/14) そのバランスヘッドホンが完成したのだ!

(続く)

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