写真 ぺるけさんのFET式やTR式ヘッドホンアンプを作るならこの本がお勧めだ
ワレコ
ワテの場合、あまり理解しないまま(出来ないまま)アンプを作っている。
あかんがなw
今年はぺるけさんの教科書を隅から隅まで熟読して勉強するかな!
さて、そんなヘッポコ自作派のワテがまたしてもオーディオアンプを作る事にした。
National Semiconductor社製のL4780と言うステレオ60W+60W出力パワーアンプ用のワンチップICを使うのだ。
LM4780 Overture™ Audio Power Amplifier Series
Stereo 60W, Mono 120W Audio Power Amplifier with
Mute
引用元 https://www.ti.com/
当記事では専用基板をKiCadで設計して、PCBWayさんに発注して基板製造を依頼する作業過程を紹介したい。
では、本題に入ろう。
National Semiconductor社製L4780TA Stereo 60W+60WパワーアンプIC
今回使うICを下写真に示す。
写真 National Semiconductor社製L4780TAが五個ある
このICは確か大昔にどこかで入手したのだが、入手経緯を忘れてしまったw
L4780とLM4780の違いは?
なお、この型番L4780TAで検索しても、なぜかヒットが少ない。
ヒットするのはLM4780ばかりだ。
型番 | 製造元 | ワテ推定製造時期 |
L4780TA | ナショナル・セミコンダクター社 | 2000頃~2002頃 |
LM4780 | ナショナル・セミコンダクター社(2011年9月23日米TI社に買収) | 2003頃~2010頃 |
LM4780 | テキサス・インスツルメンツ社 | 2011頃~2013頃 |
表 L4780TAとLM4780の製造元や製造時期(ワテの推定含む)
まあナショナルセミコンダクター製のオペアンプなどは型番の頭にLMが付くものが多い。
例えば
- LM317 可変型 3 端子レギュレータ
- LM301A Operational Amplifiers
- LM78XX Series Voltage Regulators
- LM393 二回路入りコンパレータ
など。
ちなみに接頭文字のLMの意味は以下の通り。
The prefix LM stands for linear monolithic, referring to the analog components integrated onto a single piece of silicon.[3]
[3] Pollefliet, Jean (2004). Vermogenelektronica. Elektronische vermogencontrole (in Dutch). 1. Academia Press. p. 5.32. ISBN 9789038206578. Retrieved 20 September 2013.
引用元 https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_LM-series_integrated_circuits
ワテの場合、LMの意味は今日初めて知ったw
そんなナショナルセミコンダクター社製ICの中で、何故かLMではなくLで始まるのが今回使うL4780TAなのだ(下写真)。
写真 今回使うL4780TAステレオパワーアンプ用IC(ナショナルセミコンダクター社製)
ところが、いつの時点か知らないが、型番はL4780からLM4780に変ったようだ。
写真 LM4780のデータシート(NS製2003/6とTI製2013/4)
上写真左のナショナルセミコンダクターのデータシートを見る限り、2003年7月の時点ではLM4780に変っていたようだ。
型番は違っても中身は同じだろう。
いや、待てよ。
「M」は「Monolithic」のMなので、つまりモノリシックICと言う事だ。と言う事はMが無い初期のL4780はハイブリッド IC版なのかな?
分解して中身を取り出せば白黒はっきりするが、まあどっちでもいいわw
ちなみにL4780やLM4780には最近では偽物も多いらしい。
ワテ所有のL4780は、確かある程度は信用出来る入手経路で入手したやつだと思うので多分本物だろう。
それに、入手時期が十年以上前だと思うで、偽物ビジネスが今ほどは流行っていなかったと思うし。
と言う事で、十年以上パーツボックスで寝かせていたビンテージ物のICを使ってオーディオアンプを作るのだ。
つまりまあ、熟成されたまろやかな良い音が出るに違いない。プラシーボ効果かw。
以下では、L4780もLM4780も同じ意味で使う事にする。
LM4780, LM4780TABDの仕様など
L4780は27ピンある。
そのうち7本はNCなので使用しない。
V+が5本
V-が5本
GNDが2本
あとは入出力ピンとMute用ピンだ。
それ以外の機能は一切無いのでとても分かり易いICだ。
引用元 https://ti.com
LM4780のAbsolute Maximum RatingやElectrical Characteristics
引用元 https://ti.com
本当ならこう言うデータシートを熟読して、勉強するのが良いのだろうが、理解せずに作るワテの場合、上図左のAbsolute Maximum Ratingで電源電圧が
Supply Voltage |V+| + |V-| (Input Signal) = 84V
くらいしか分かっていない。
まあ電源電圧は±24VDCの電源を使う予定なので、上記の最大定格の中に十分納まっているから大丈夫だろう。
ちなみにその電源は、以前に作ったぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)に使ったスイッチング電源と同じやつだ。格安で売っていたので数個購入したのが未だ沢山余っているのでこの際、ドンドン使う。
どんな回路のアンプを作るか検討した
さて、LM4780のデータシートには幾つかの参考回路が掲載されている。
ブリッジ接続とパラレル接続の参考回路
下図左はブリッジ接続したモノラルアンプだ。下図右は同じくモノラルアンプでパラレル接続した回路だ。
引用元 https://ti.com
パラレルにすると出力電流を倍増出来るのだろう。その結果、低インピーダンスなスピーカーでも駆動出来るのかな。たぶん。
ワテの場合には、取り敢えずステレオパワーアンプを作りたいので、上図二種類の回路は今回は不採用とした。
単電源の参考回路
一方、下図に示す回路は単電源の場合の参考回路だ。
引用元 https://ti.com
まあワテの場合には、正負二電源タイプを作る予定なので、この回路図は採用しない事にした。
LM4780 Reference PCB Schematics
下図が Figure 39. LM4780 Reference PCB Schematicsと言うやつだ。
この後で登場するが、データシートの中にリファレンス基板のパターンが紹介されているが、その元になったリファレンス回路だ。
引用元 https://ti.com
上図の回路の場合、正負二電源でLM4780ワンチップでステレオパワーアンプが作れるのでワテの用途にピッタリだ。
それにリファレンス基板パターンも紹介されているので、そのパターンに沿って基板を設計すれば間違い無いだろう。
LM4780リファレンス基板を真似してKiCadで基板を設計する
下図にLM4780 REFERENCE BOARD ARTWORKを示す。まあ要するにリファレンス基板パターンだ。
引用元 https://ti.com
まあ、上図の基板パターンを見ると、左右対称でも無いし、2チャンネル入力 IN_B, IN_Aの縦方向の並びと出力OUT_A, OUT_Bの並びが上下逆になっているなど色々気になる点があるが、ナショナルセミコンダクターの優秀なエンジニアさんが設計したと思うアートワークなので、ここはこのままこのアートワークを真似して基板を設計することにしたのだ。
抵抗RGの謎
なお、上図(Figure 40. Composite Layer)を拡大したものが下図だ。
下図に於いて、オレンジ枠(ワテが付けた)で示す部分にRGと言う名前の抵抗が付いている。
引用元 https://ti.com
ところが、上で紹介した回路図(Figure 39. LM4780 Reference PCB Schematics)にはこの抵抗RGは無い。
ここはアートワークを優先して、RGを付けられるようにワテも基板を設計する事にした。
ちなみにこのRGはこの後で部品表で紹介するが2.7Ω(1/4W)だ。
なお、RGを付けずにショートすれば回路図(Figure 39. LM4780 Reference PCB Schematics)と同じになる。
要するにワテが調べた限りでは、このRGは回路図(Figure 39. LM4780 Reference PCB Schematics)において、LM4780の左側にある入力側の数個のGNDと、LM4780右側出力部分や上下コンデンサにある数個のGNDとをつなぐように入っている。
デジキーで組み立て済のLM4780 評価ボードを売っているのを発見
ネット検索していたら電子部品通販大手のDigikeyで、このLM4780の評価ボードを売っている(下写真)。
写真 LM4780 Overture™ 2チャンネル(ステレオ) 出力 クラスAB 評価ボード – オーディオアンプ
引用元 https://www.digikey.jp/product-detail/ja/texas-instruments/LM4780TABD/LM4780TABD-ND/1640711
ちなみに上写真の中央にある二個の大型電解コンデンサの右側のやつの右にあるのが抵抗RGだ。
一応、評価ボードにもRGは付けてあるようだ。
なお、ネット検索してみた限りでは、このRGを付けるとノイズが増えたなどの海外掲示板の投稿なども少し見付けたので、ワテの場合にはワテの超高感度な耳で聴いてみてRGを付けるか付けないかを最終判断する予定だ。
オーディオマエストロワレコと呼んでくれw
アマゾンでもこのリファレンス基板を売っているのを発見。
LM4780リファレンス基板に使う部品一覧
表 Bill Of Materials For Reference Pcb
引用元 https://ti.com
上表の部品ならワテのパーツボックスを漁れば大体は揃うと思う。
電源の電解コンデンサは1000µF/50Vだが、ワテの場合は電源電圧は±24VDCで行く予定なので、コンデンサの耐圧は35Vでも良いだろう。1000µF/35Vなら確か大昔に買ったやつが有ったはずだ。
なお、この手のワンチップのオーディオパワーアンプIC(LM3886、TA2020-020など)を使ってアンプを自作している例を見ると、電解コンデンサをアホみたいに沢山搭載して、数十万マイクロファラッドもの大容量化しているものが多い。
まあワテの場合も、巨大な電解コンデンサを見るとパワーを感じるタイプの人種ではあるが、今回はリファレンス基板通りの1000µF程度の値にしておく予定だ。
数十万µFとかにすると突入電流防止回路も必要になるが、今回はそう言う追加回路は入れない予定なので。
KiCadでLM4780専用基板を設計する
下図はLM4780データシートから引用したLM4780の寸法図だ。
27ピンあり、前に飛び出している前列が14ピン、ICに近い後列が13ピンだ。
ちなみにネット検索していたら偽物LM4780の中には、前列が13ピン、後列が14ピンの物も出回っているらしい。偽物を作るんなら、もう少し本物を研究しろよと言いたいw
引用元 https://ti.com
下図がワテがKiCadで描いたLM4780 Reference Schematicsだ。
図 KiCadに入力したLM4780 Reference Schematics
この回路図を元に設計した基板パターン(レイアウトあるいはアートワークなどとも言う)は下図の通り。
図 KiCadで設計したLM4780 Reference PCB Layout
上図の基板サイズは100x100mm2で設計した。
上で紹介したデータシートに掲載されているリファレンス基板のサイズは、横127x縦113くらいあるのでかなり大きな基板だ。
でも、そのリファレンス基板は、余裕を持って部品が配置されていて、特に入出力端子や電源端子の部分は、DigiKeyの実物の写真を見ても分るように、かなり大型の端子が取り付けられている。
その部分は真似せずに小型化する事で100x100mm2サイズに収める事が出来た。
KiCadで自作したLM4780のシンボル
KiCadのシンボルライブラリの中にはLM4780のシンボルは無かったので、シンボルエディターを使って自分で作成した。
図 ワテ自作のKiCad用のLM4780シンボル
ワテの場合、KiCadは必死で二週間くらい使ってみたら、案外簡単に習得出来た。今では、自称KiCadの達人と呼ばれている。
ほんまかいなw
LM4780のフットプリントや3Dモデルはネットで入手した
一方、LM4780のフットプリントも自作しても良かったのだが、ネット検索していたらフリーなやつを見付けたのでそれを採用した(下図)。
図 ネットで見付けたLM4780フットプリントのフリーなデータ
同じくLM4780の3DモデルもフリーなやつをSTEPデータ形式で見付けたのでそれを採用した。
図 LM4780の3Dモデルを表示した状態
まあFusion 360とかDesign Spark Mechenicalなどのフリーな三次元CADを使えば、ワテなら三十分くらいでこれくらいのモデルなら作れるとは思うが、面倒なことはやりたくないw
ネットで見付けるのが最もお手軽だろう。
もはやネット中毒のワテである。
LM4780ステレオパワーアンプ完成予定3D図
図 KiCadの3D表示機能で描いたLM4780リファレンス基板の完成予定図(部品面)
上図ではデフォルトの緑基板で描いてみたが、PCBWayさんに発注する時には黒色を予定している。
ワテの場合、ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)を作った時に、PCBWayさんで黒色基板(両面スルーホール1.6mm厚)で発注したのだが、出来上がった黒色基板は高級感があり、パワーアンプに相応しい感じ。
黒基板の印象としては、重厚感と高級感があり、この基板を使うといい音が出るに違いないと言う、期待感が高まるのだ!
と言う事で、ワテの場合はパワーアンプには基本は黒色基板で発注するようにしている。特にPCBWayさんの黒色基板の仕上がりは高級感がある(ワテの印象)。
図 KiCadの3D表示機能で描いたLM4780リファレンス基板の完成予定図(半田面)
上図の基板サイズは100x100mm2だが余裕がある部品配置になっているので、部品密度を高めれば半分くらいの基板サイズ(100x50mm2)に出来なくは無い。
なお、上図中央少し下あたりに、七本のパターンが放射状に出ている特徴的なパターンがある。
これもリファレンス基板のアートワーク例に有ったのでそのまま真似したのだ(後述)。
画像をコンポーネントに変換するやり方
さて、今回はナショナルセミコンダクター社のLM4780データシートに有ったリファレンス基板のアートワーク例を参考にKiCadで基板レイアウトを設計した。
具体的には、リファレンス基板のアートワークを画像としてKiCadに読み込んでフットプリント化した。
そのフットプリントをKiCadの基板エディタPcbnewに張り付けておいて、その基板フットプリントのパターンに重ねてトップやボトムの配線パターンを描画した。
その手順を簡単に説明しておく。
ビットマップコンポーネントコンバーターを開く
まずは、ビットマップコンポーネントコンバーターを使う
画像を読み込んで解像度を指定してエクスポートする
下図に於いて、「ビットマップをロード」ボタンをクリックすると画像ファイルの読み込みダイアログが開く。
事前にデータシートからコピペして画像化してファイル保存しておいた半田面の基板パターン(下図)を読み込んだ。
図 KiCadのビットマップコンポーネントコンバーターで半田面レイアウト画像を読み込んだ例
ここで解像度(ビット/ピクセル)を指定してエクスポートすると、そのサイズでこの画像のフットプリントデータが生成出来るのだ。
ここで重要なのが解像度の値である。
この解像度の値に応じて、出来上がるフットプリントの大きさが変わるが、LM4780の27ピンにピッタリと合うように解像度を指定する必要がある。
ワテの場合は試行錯誤で206.5 DPIを指定すると、いい感じになった。
なお、当然ながらこの206.5 DPIは事前に準備しておいた基板パターン画像の大きさ(ピクセル数)に依存するが、最終的には試行錯誤で決めたのだ。
でも、実は最初にLM4780の10個のピンの部分を取り出して、横幅が162ピクセルで有る事を確認した。
図 LM4780の10個のピンの画像(162×14ピクセル)
次に、データシートからピンの間隔は0.0394インチ(1.00076ミリ)で有る事も確認した。
従って、
と計算したのだが、KiCadに読み込んだら倍くらい大きいのだ。
なぜ411.1675 DPIの計算値で駄目なのか分からなかったのだが、この記事を書いていてワテの間違いに気付いた。
つまり、上図の162ピクセルで10個のピンの画像は横一列の10個ピンなので、ピン間隔はデータシートの0.0394インチではなくて、二倍の 0.0788インチで計算しなくてはならないのだw
これなら、ワテが試行錯誤で見つけ出した値の206.5 DPIにほぼ一致する。
そう言う事かw
リファレンス基板の部品面の基板レイアウトを参考に配線を描く
無事にリファレンス基板のパターンをフットプリントシンボル化が出来たのでそのフットプリントを読み込んだ(下図)。
レイヤーはEco1.Userにしておいた。まあこのレイヤーは最終出力には使わないので適当にこのレイヤーを選んだのだ。
図 リファレンス基板の部品面の基板レイアウトをフットプリント化して読み込んだ
リファレンス基板のレイアウトを参考にF.Cu配線を描いた
あとは、この緑色のリファレンスパターンに重ねるように部品面の配線(F.Cu)を描いた(茶色)。
図 緑色のパターン(リファレンス)に重ねるように部品面の配線(F.Cu)を描いた
上図において、左や下の辺りは緑リファレンスとワテの茶色配線とが一致していない。
その理由は、基板サイズを100x100mm2に収める為に左の出力端子の部分と、下部の電源端子の部分を小型化したからだ。
同様に下図は、半田面のリファレンスレイアウト(黄色)に重ねて半田面の配線B.Cu(緑)を描いた。
図 半田面のリファレンスレイアウト(黄色)に重ねて半田面の配線B.Cu(緑)を描いた
上図で八本の配線が一箇所に集まっているパターンがある。入力部分のグランド(GND)が一箇所にまとめてあるのだ。所謂、一点アースと言うやつなのかな?まあ良く分からないがそのまま真似する事にした。
で、兎に角、下図のように無事に完成した部品面(F.Cu)と半田面(B.Cu)の基板レイアウトだ。
図 部品面(F.Cu)と半田面(B.Cu)の基板レイアウトが完成
これらの作業に延べ五時間くらい掛かったかな。
ナスカ地上絵の蜘蛛さんは一点アースだった
その後気付いたのだが、リファレンス基板のアートワークでは八本集まっていたGND関連信号の部分が、ワテ設計基板では七本に減っている(下図左)。
図 左:ワテ作成レイアウト(間違い有)、右:リファレンス基板に完全準拠したレイアウト
減った理由はワテがRG周りの回路図をリファレンス基板アートワークから読み取った時にワテが勘違いしていたようだ。
つまり上図左のように作成してPCBWayさんに発注したのだが、リファレンス基板のアートワークを忠実に再現するなら右図のように配線すべきだったのだ。
ああ、そう言う事か。
つまり八本の配線が一点に集まっている理由が分った気がする。
その理由は、八本の配線が一点に集まっている形状はナスカ地上絵の蜘蛛さんのように見えるが、蜘蛛さんの体の部分が一点アースで、八本の足は入力部分や出力部分のGND端子が接続されているのだ。
やはり一点アースと言うやつのようだ。
ワテの失敗作(左図)では、上から来たLM4780周りのGNDが蜘蛛さんの胴体につながるのではなくて、直接電源のGNDラインに接続してしまっている。
どうするかな。まあ基板が到着してから考えよう。
もしリファレンス基板のアートワークを忠実に再現するなら、ワテ基板の配線を一箇所カットして上から来たLM4780周りのGND信号を蜘蛛さんの胴体に手配線すれば良いのだ。
つまりまあナスカ地上絵は古代人が宇宙人に向けて描いたアートワークなのだ。
なんのこっちゃw
PCBWayさんに基板を発注する
皆さんの中には、基板を外部業者さんに発注した経験が無い人が多いと思う。
ワテの場合も、長年、プリント基板を自分で設計して外部業者さんに発注して自作の基板を作りたいと思っていたのだが、中々実現出来なかった。
その一番の理由が、プリント基板設計ソフトが難しそうで使えなかったからだw
プリント基板設計ソフトは案外簡単だ
ところが、どうしても専用基板が必要になり、必要に迫られて必死でプリント基板設計ソフト(PCBEとKiCad)を使ってみたら、案外簡単だったのだ。
なぜ基板設計ソフトを使う必要に迫られたのかと言うと、ラッチングリレー式の入力セレクターをユニバーサル基板で作成したのだが、手配線だと配線間違いも多く、5チャンネル分の基板を作るなら5枚同じ基板をユニバーサル基板で手配線しなくてはならないのだ。
第一回目はそんな感じで数日掛かりで手配線でやったのだが、第二回目はそんなのはもうやりたくない。そこでプリント基板設計ソフトを覚えたのだ。
と言う事で、必死で覚えればKiCadなんて三日くらいでマスター出来ると思う。
KiCadを勉強する
まずはどれでも良いから一冊本を買って読んでみると良い。
もしLTspiceも一緒にマスターしたいなら↴がお勧めだ。
ワテはこの↴トランジスタ技術のバックナンバーを取り寄せて貰って買った。
付属DVDの動画解説が分かり易い。
EAGLEも有名な基板設計ソフトだ。
EAGLE派の人にはお勧めだ。
と言う事で、KiCadを使って基板を設計しまくってどんどん電子工作を始めよう!
PCBWayさんではPCBインスタント見積りがお勧め
KiCadなどの基板設計ソフトで基板設計が完了したら、基板発注に必要なガーバーデータをファイル出力してZIPファイルにまとめておく。
ガーバーデータとは、要するに基板の各レイヤーの図形データをガーバーフォーマットと言うプリント基板業界で標準的に用いられている二次元図形データの表現形式だ。
PCBWayさんの公式サイトを開いて下図の「PCBインスタント見積り」画面を開くと良い。
図 PCBWayさんの公式サイトの「PCBインスタント見積り」画面
上図は既にガーバーデータをアップロードして読み込んだ状態だ。
ガーバーデータが無事に読み込まれると、自動的に基板のサイズが検出されて、入力欄に入る(下図)のだ。
自分で指定するパラメータは枚数のみで良い
下図のように寸法欄には自動で読み込まれた値100×100が正しく入っている。
あとは、必要に応じてパラメータを指定するのだが、最低限必要なのは下図紫枠で示す基板の枚数だ。今回は10枚にしてみた。
図 PCBWayさんの「PCBインスタント見積り」画面で必要なパラメータを指定する
あとは基板の色を黒色にしてみた。
それ以外は全てデフォルト値だ。
そうすると、一週間後くらいには、
- 両面スルーホール1.6ミリ厚
- 黒色基板、白色シルク文字
- 有鉛ハンダレベラー(半田ランド仕上げタイプ指定。追加料金で金メッキなど指定可能。)
- 10枚(最低5枚から。10枚でも料金はあまり変わらない。5ドルくらい。)
- 銅箔厚み35µm(=1 oz Cu)
のプリント基板が自宅に届くのだ。
初めて自分で設計したプリント基板が届いた時には感激したなあ。
こんな簡単に両面スルーホール基板をゲット出来るのかと。かつ料金も基板代が5ドル程度、送料(DHLやFedexなど)が20ドル程度、合計で20数ドルなのだ。日本円にして3000円弱。
もし、中国郵政(China Post)で発送すれば10ドル程度の送料に抑えられるのだ。ただし、配達日数はワテの経験では、DHLやFedexなら発送日数は3~4日で届くが、中国郵政なら2~3週間くらい掛かる。
その後、この二年くらいの間に数回に渡り海外基板業者さんに基板を発注したが、自宅に基板が届くと今でも感動がある。
最近では、PCBWayさんに基板を製造依頼する事が多い。
DHL送料が上がったのでFedexがお勧め
なお、PCBWayさんで基板を発注する時にいつもはDHLを発送業者さんに選んでいたのだが、2021年1月頃からDHL送料が19ドルだったのが45ドルに値上がりしたのだ。
26ドルが「遠隔地料金」という名目で追加されたのだ。理由は良く分からない。
図 PCBWayさんで発注する時にDHLよりはFedexを選ぶと送料が安いのでお勧め
そこでワテの場合は、発送業者さんをDHLからFedexさんに変更した。
Fedexさんなら19ドル程度の費用なので、それは従来のDHL料金と同じ。
輸送日数もDHLもFedexも同じく3~4日で自宅に届く(ワテの場合)。
基板製造にも大体は2~4日くらい掛かるので、発注してから自宅に基板が届くまで、大体一週間前後を想定しておけば良いだろう。
是非皆さんもプリント基板を外注すると良い。
生産状況を確認する
発注した基板の製造状況を24時間いつでも自宅からネット経由で確認出来る。
昨晩発注した基板であるが翌日には33パーセントも作業が完了している。
図 PCBWayさんのサイトで自分の基板の製造状況を確認する
まとめ
ワレコ
「理解出来ないまま作るオーディオパワーアンプ」
あかんがな。
これじゃあぺるけさんに認めてもらえないなあw
ワテも頑張って電子回路を勉強するかな。
当記事ではナショナルセミコンダクター社製L4780ステレオパワーアンプIC用の専用プリント基板を設計してPCBWayさんに発注する過程を紹介した。
ワテが持っているL4780は現在は製造中止のようで、現在入手出来るのは似た様な型番のテキサスインスツルメンツ製LM4780だ。
ワテが採用した回路は、LM4780データシートにあったリファレンス回路だ。同じく基板レイアウトもリファレンス基板パターンを真似て設計した。
リファレンス基板パターンには、放射状に出ている配線パターンなど、ワテには良く分からない部分もあるが、何らかの意図があってそのようになっているのかも知れない。その辺りの理由も今後調査してみたい。
基板が到着したら早速製作を開始する予定だ。
もし上手く動いたら、ステレオパワーアンプの入力部分をバランス入力用に配線変更しようかな。
ようするにバランス入力対応のBTLモノラルアンプに出来る(はずだ)。
そうすると、同じパワーアンプを二台作れば、バランス出力プリアンプに接続できるからだ。
L4780は5個あるので、壊さなければ5台のステレオパワーアンプあるいは5台のBTLモノラルパワーアンプを作る事が出来るはずだ。
これを使って5.1chとか9.1chなどのスピーカーサラウンドシステムを構築するかな。
まあそんなに沢山のスピーカーを持っていないがw
続く
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