写真 電子工作をやるならオシロ、パルジェネ、電源は必須だ。総額5万円くらいで買える。
今や1GHzサンプリングの100MHz 2chデジタルオシロが2万円台で買える時代だ。一昔前のテクトロ製オシロなら数百万円クラスの製品に匹敵する性能だ。
あとは、パルスジェネレータと可変安定化電源があれば取り敢えず各種の電子工作を始める事が出来るだろう。
ワテの場合は、中古テクロトアナログオシロ、中古HPパルジェネ、中古高砂製作所可変安定化電源を使っている。全部ヤフオクで買ったオール中古計測器だ。ほっとけw 総額五万円くらいか。
そんな中古計測器好きなワテが、昨年、新品で買ったのが白光半田マルチステーションFM-206だ。
この半田ゴテを使って、2021年も各種の電子工作をやりたいと思っている。
第一作目が、当記事で紹介している表面実装部品(SMD)で作るラッチリレー式入力セレクタ基板だ。
これはワテが初めてSMD部品用に設計してPCBWayで製作したSMD部品用の両面基板だ。PCBWayに発注して四日で自宅に届くと言う過去最速の配達記録だった。
KiCadを使って基板を設計して、基板製造業者さんに発注。届いた基板にパーツを半田付けすれば完成度の高い電子工作作品を作る事が出来る。皆さんにもお勧めしたい。
前回記事では、取り敢えず3216Mサイズのチップ抵抗とSSOP14ピンのICを半田付けする作業を紹介した。
当記事では、残りの部品の大半を半田付けしたので、その作業過程を紹介したい。
結論としては、チップ抵抗、チップコンデンサ、チップトランジスタ、チップダイオード、SSOPチップICなど、それぞれのチップ部品に応じて、半田付けのやり方に工夫をする必要があったが、まあ慣れれば出来た。
ワテの備忘録なので、そんなのに興味ある人は滅多にいないと思うので勝手に書いている。
では、本題に入ろう。
チップ型のコンデンサ、ダイオード、トランジスタを半田付けする
ワテの場合、チップ型部品のサイズ表記が未だに覚えられない。
電子部品最大手のロームさんのサイトに分かり易い表があったので以下に引用させて頂く。
ローム品名 | チップサイズ | mm | inch | |
---|---|---|---|---|
L | W | |||
***004 | 0.4mm × 0.2mm | 0402 | 01005 | |
***006 | 0.6mm × 0.3mm | 0603 | 0201 | |
***01 | 1.0mm × 0.5mm | 1005 | 0402 | |
***03 | 1.6mm × 0.8mm | 1608 | 0603 | |
***10 | 2.0mm × 1.2mm | 2012 | 0805 | |
***18 | 3.2mm × 1.6mm | 3216 | 1206 | |
***25 | 3.2mm × 2.5mm | 3225 | 1210 | |
***50 | 5.0mm × 2.5mm | 5025 | 2010 | |
***100 | 6.4mm × 3.2mm | 6432 | 2512 |
表 チップ抵抗器 サイズ(ミリとインチの表記が混在しているので分かり辛い)
引用元 https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/resistors/r_what6
今回製作している基板はミリサイズ3216(つまり3216M)のチップ抵抗、チップコンデンサを採用している。
インチで言うと1206だ。
こんな小さな部品を扱うのでピンセットと実体顕微鏡は必須だ。
ワテの場合は、下写真のような先端が特徴的なSMDピンセットが好みだ。
このエンジニア製ピンセットは種類も多く値段も手頃なのでお勧めだ。
最近では下写真のような実体顕微鏡もある。
オーソドックスな双眼実体顕微鏡もいいが、液晶表示のタイプも使い易そうだ。
チップ積層セラミックコンデンサーを手半田する
ワテの場合、電子部品は主に秋月電子、マルツ、共立エレ、RSコンポーネンツで買う。千石も時々。
3216Mサイズのチップ抵抗はRSコンポーネンツの品揃えが多かったのでRSコンポーネンツで買った。単価が2円前後で、100個単位で買える商品も多かった。一方、秋月には3216Mサイズのチップ抵抗の品揃えは少ない感じ。
チップコンデンサもRSコンポーネンツには多数の品揃えがあるのだが、購入単位が2000個とか5000個で単価が10円~20円などの商品が多い。たまに購入単位が10個や50個などの商品もあるが、その場合は例えば単価が50円などの品物しか見付からなかった。けし粒ほどのチップコンデンサが一個50円は高い。
秋月には3216Mサイズのチップコンデンサで、良く使いそうな以下の容量が有ったので買ってみた。一個当たりの単価も10円前後だ。
品名 | 単価 |
チップ積層セラミックコンデンサー 0.1μF50V R 3216 (20個入) | 140 |
チップ積層セラミックコンデンサー 0.47μF50V X7R 3216 (10個入) | 110 |
チップ積層セラミックコンデンサー 0.22μF50V B 3216 (10個入) | 150 |
表 秋月電子で購入した3216Mサイズのチップコンデンサ(村田製作所製)
まあ兎に角半田付けしてみた。
写真 秋月電子で買った村田製作所のチップコンデンサをPCBWay製基板に半田付けする
糸半田は有鉛Φ0.3ミリを使った。
写真 HOZANの有鉛Φ0.3ミリ糸半田を使う
白光の半田ごてのコテ先は、以下の製品(型番T12-BC2Z)を使った。
白光 こて先 2BCZ型 T12-BC2Z |
写真 HAKKO FM-206マルチステーションの標準付属コテ(FM-2027)に別売りコテ先(T12-BC2Z)を装着
このコテ先(T12-BC2Z)は先端径がΦ2.0ミリなのだが、ワテの印象としては3216Mサイズのチップ部品には若干大き目だが、まあ慣れれば問題無く半田付け出来る。でも、理想的にはもう一回り小さいコテ先のほうがやり易いかなと言う印象だ。
ワテ使用中 | |
ワテ購入検討中 |
3216Mよりも小さな2012Mや1608Mあるいはそれ以下のチップ部品には、この白光T12-BC2Zコテ先だと大き過ぎてやり辛いと思う(ワテの場合は)。
と言う事で、HAKKO FM-206は多数の交換コテ先が別売りオプションであるのだが、あれも試してみたい、これも試してみたいみたいな感じで、コテ先選びの迷宮に迷い込んでしまうかも知れない。
あかんがな。
チップコンデンサの半田付けの手順(ワテ流)
チップコンデンサの半田付けの手順としては、チップ抵抗の場合と同じく以下の通り。
- 片側の電極に半田を盛る。
- そこにチップコンデンサを仮半田付けして固定する。
- 反対側の電極を半田付け(本仕上げ)する。
- 仮半田付け側を半田付け(本仕上げ)する。
- これらの作業中には必要に応じてフラックスを塗布する。
と言う感じでやった。
なお、ワテの場合、物凄く神経質だ。
なので、チップ部品が半田パッドに対して少しでも斜めになっていたり、左右均等な位置からずれていたりすると、物凄く気になる。
でもまあ、半田付けに関してはあまり神経質になって何度も半田ごてを当てて熱して、部品の位置合わせを繰り返すと、部品に熱ダメージを与えて、最悪壊す可能性もある。
なので、あまり深追いせずに、適当なところで妥協するようにしている。それに、部品が多少傾いていても、正しく半田付けが出来ていれば問題ないので。
ちなみにチップ部品の位置合わせのコツとしては、右手で半田ごて、左手でピンセットを持ってチップ部品を摘まんでおいて、半田ゴテで半田を溶かした瞬間にピンセットでチップ部品の位置合わせしても良いが、中々難しい。
ワテの場合はピンセットも使うが、どちらかと言うと半田ゴテだけで位置合わせしている。つまり、チップ部品の片側を仮止めする時に、半田が溶けた瞬間にチップ部品を摘まんでいるピンセットの力を緩めてチップ部品を解放するとチップ部品は溶けた半田の表面張力でコテ先に吸い寄せられる。
なので、その時にチップ部品が丁度良い場所に来るように、予めコテ先の位置を決めておくのだ。溶けた半田の中を流れて丁度良い位置にチップ部品が来たら、ピンセットで上から押さえておいて、コテ先を上げる。これを2秒以内くらいで行えれば完璧や。
半田付けする部品は事前にテスターで値を計測する習慣
ワテの場合、電子部品は半田付けする前に必ずテスターで値を計測している。
写真 チップコンデンサの容量を半田付け前にテスターで計測する
テスター計測する理由は、部品の付け間違い防止だ。
特にチップコンデンサは部品の表面に一切の文字が無い物が殆どなので、一旦基板に半田付けしてしまうと、後から容量をチェックする事は困難だ。
なので、半田付けする前に容量を計測して間違い無くこの部品を半田付けすれば良いと言う事を確認しておけば、後々、何か問題が出た時にも部品の取り付け間違いは無いと断言できるので問題解決に要する時間が結局は少なく出来るだ。
Murata 積層セラミックコンデンサ(MLCC) 10nF 100V dc ±5%
の値をテスター計測した例(下写真)。
写真 10nF(= 0.01µF)のMurata 積層セラミックコンデンサ(MLCC) 10nF 100V dc ±5%をテスター計測した例
このコンデンサはRSコンポーネンツで買った。RSコンポーネンツさんは送料も安いし納期も速く、サポートも良いのでお勧めだ。
ワテの場合、ナノファラッドの表示は今でも苦手。いつも頭の中でマイクロファラッドやピコファラッドに換算している。
下写真のようにチップコンデンサの半田付けが完了した。PCBWayで製作した基板サイズは95x72mm2だ。
写真 チップ抵抗(黒っぽい)とチップコンデンサ(薄茶)をPCBWay製基板に半田付けした
上写真はフラックスの清掃前なので、基板表面がギトギトしてあまり綺麗では無い。
ギトギト関連商品
チップトランジスタの半田付け
さて、ワテの人生で初めてチップトランジスタを半田付けする。
秋月電子で買った、
チップトランジスタ 2SC3325-Y 50V500mA (20個入)
だ(下写真)。
写真 チップトランジスタ 2SC3325-Y 50V500mA (20個入)秋月電子
メーカーカテゴリ 株式会社東芝セミコンダクター社(TOSHIBA)
低周波小電力増幅用
励振段増幅用
スイッチング用
■主な仕様
・接合構造:NPN
・コレクタ電流:500mA
・直流電流増幅率:120~240
・トランジション周波数:300MHz
・コレクタ損失:200mW
・パッケージ:SC-59(2-3F1A)
・コレクタ・ベース間電圧:50V
引用元 東芝
図 東芝 2SC3325-Y の寸法図(単位mm)
引用元 東芝
パッケージは「SC-59」と言うタイプだ。東芝の表記では「S-Mini Package」と言うようだ。
秋月で20個入りで100円なので、一個5円。まあまあ安い値段だ。
写真 チップトランジスタ2SC3325-Y(50V500mA)をPCBWay基板に半田付けした
チップトランジスタの半田付けは、わりとやり易かった。
その理由は、上写真に示すようにトランジスタの三つの電極(E、B、C)は間隔が2ミリ程離れているので、半田ブリッジが出来るなどの可能性は無いから安心して半田付けが出来た。
ただし、抵抗に比べてトランジスタはあまり長時間熱すると熱で破壊してしまう危険性がある。なので、一回の半田付け作業では、長くても2秒までで半田付けを終えるようにした。
チップダイオードの半田付け
秋月で買った汎用のチップダイオードがこれだ。
高速スイッチング・ダイオード 1N4148W (40個入)¥100(税込)
写真 高速スイッチング・ダイオード 1N4148W (40個入)¥100(税込)
小信号用汎用ダイオード 1N4148W
・種類:高速スイッチングダイオード
・回路数:1
・逆電圧:100V
・平均順電流:300mA
・ピーク順電流:2.0A
・順電圧:0.715V
・逆回復時間:4ns
・端子間容量:2pF
・許容損失:400mW
・パッケージ:SOD123
下写真のように、取り敢えずテスターで極性を調べてみた。
写真 高速スイッチング・ダイオード1N4148Wの極性をテスターで確認中
このダイオードはSOD-123と言うパッケージなのだが、半田付けはやり辛かった。
その理由は上写真に示すように、二個の電極がチップの幅よりも小さいので安定性が悪いのだ。平坦なプリント基板上に載せても、コテッと横に倒れやすい。
その結果、片側の電極を仮半田付けしても、基板に対して若干傾斜気味に付いてしまう。それを修正するために、ピンセットで上から押さえて、再び半田ごてを当てて半田を溶かして再半田づけ。そんな作業を数回繰り返したら、やり方をマスター出来たので、三個目くらいからはスムーズに取り付ける事が出来るようになった。上達が早いワテである。完璧やw
写真 主要なチップ部品の半田付けが完了したPCBWay製基板
上写真では、リレーコイルのサージ電圧対策に付けた
表面実装用ファストリカバリーダイオード 1000V1A RS1M (10個入)
も半田付け完了している。最上部に横に並んでいる少し大き目の黒いチップがそれだ。その間に挟まれているのが、小信号用汎用ダイオード1N4148Wだ。こちらは、二個のリレーコイルを並列接続しているので、その対策で付けている。
あと、トランジスタの両脇など、幾つかチップ部品が付いていないパッドがある。これはRSコンポーネンツさんに注文した
ローム SMDレジスタ, 1kΩ, 1206 (3216M), 0.25W, ±1% 単価¥2.03
が在庫切れで入荷未定なのだ。
1KΩと言う最も良く使われそうな値なのに、在庫切れ。これは世界的な半導体需要増加で品不足になり、RSコンポーネンツさんですら品物が入手出来ないのかな?それは良く分からないが、注文をキャンセルしてKOAの1KΩを注文した。
KOA SMDレジスタ, 1kΩ, 1206 (3216M), 0.25W, ±1% 単価¥5.10
単価5円くらいだったので高いが、無い物は仕方ない。
ラッチングリレーを半田付けする
下写真が、2020年頃に秋月で購入したラッチングリレーだ。一個80円と格安だったので、数十個買ったが、自宅在庫は下写真を含めてあと20個くらい。
写真 秋月で買ったラッチングリレー EA2-5TNAG、2巻き線型、2回路C接点
オレンジ色のニクい奴だ。
下写真のようにマスキングテープで固定しておいて半田付けする。
下写真のように、一気に8個のリレーを半田付けした。
写真 PCBWay製SMD基板裏面(一部にスルーホールあり)
半田付けでは大量の有害な煙(=ヒューム)が発生するが、先日自作した電動ファン式排煙システムのおかげで、一心不乱に半田付けに専念出来た。
下写真のように、多少は取り付け位置が曲がっているやつもあるが、まあいい。気にしない。
写真 ラッチングリレーをPCBWay製基板に半田付け完了した
と言う事で、写真のように、主要なチップデバイスとリード型ラッチングリレーの半田付けが完了した。
2021年1月29日時点での基板の様子。
写真 PCBWayで製作した基板(95x72mm2)にほぼ半田付け完了
あとは、RSコンポーネンツで発注しているKOA製抵抗が到着して半田付けすれば完成する。
まとめ
ワレコ
チップ部品の手半田なんて楽勝や!
ちょっと上手く行っただけで直ぐに調子に乗るワテである。
あかんがなw
当記事では、ワテが現在製作中の「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ」に組み込む予定の入力セレクター基板にSMD部品を手半田した過程を紹介した。
3216M(1206)と言う比較的大き目のチップ部品を使ったが、初めての半田付けであったが、最初の数個の半田付けでは、取り付け位置がずれるとか斜めになるなどで何度かやり直しがあった。
でも、その後はコツを掴んだので、大きな失敗も無くスムーズに半田付け作業を完遂する事が出来た。上達の速いワテであるw
この調子なら、3216M(1206)サイズでは無くて、2012M(0805)や1608M(0603)サイズでさえも手半田出来そうな感じだ。
あるいは、更に小さい1005M( 0402)、0603M( 0201)、0402M(01005)も手半田を試してみるかな。ヤフオク辺りでやっすいチップ抵抗を買って、手半田の練習してみるのも良いかも知れない。
でも、本当は手半田ではなくて、メタルマスクを使ってソルダークリームを塗布して、半田フロー炉で自動半田したいのだが。まあ個人でフロー装置を買うのは高いので、ヒートガンや焼肉ホットプレートを流用するなどの方式でやってみたいと思っている。。
ちなみにこの基板もPCBWay製だ。
今年もPCBWayさんで基板を作って色んな機器を自作したいと思っている。
次は、Arduinoに挑戦しようと思っている。
皆さんもプリント基板を発注してみよう。
KiCadを勉強する
ちなみにワテの場合は、下写真のトランジスタ技術のバックナンバーを近所の本屋さんで取り寄せて貰ってKiCadを勉強した。
付録DVD-ROMに沢山の動画がありKiCadの使い方が解説されているので分かり易い。
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