写真 左:鬼滅の刃(本)と右:鬼滅の刃(DVD)
しかしまあ鬼滅の刃ってのが世間で人気らしい。
ワテの場合、本も映画も見ていない。
年末年始にDVDでも見てみるかな。
さて、世間の流行に疎いそんなワテが趣味の電子工作で数カ月前から「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ」の製作を行っている。
アンプ基板、電源基板などは完成していて、あとはシャーシに組み込んだら完成予定だ。それらの基板はPCBWayさんで製作したものだ。
このアンプはヘッドホンアンプであるが、ぺるけさんの解説によるとラインプリアンプとしても使えるとの事だ。
本機はヘッドホンのかわりにそのまま出力させると、バランス型のラインプリアンプになります。1V出力に対してS/N比は91dBですから、雑音性能においてCDなど16bitデジタル・ソースのスペックを上回ります。Cold側をアースすると出力がショートしてしまうので、アンバランス出力をさせることはできません。
引用元 http://www.op316.com/tubes/balanced/balhpa.htm
なのでワテの場合は、このアンプはヘッドホンアンプとして使うだけでなくプリアンプとしても使いたいので、複数の入力ソースを切り替えられる入力セレクターを搭載する事にした。
では本題に入ろう。
表面実装部品で作るラッチリレー式の入力セレクターを搭載する
秋月電子通商さんで以前に購入したラッチリレー(=ラッチングリレー)がまだ何個か自宅に在庫があるので、それを使って入力セレクターを作る事にした。
このラッチリレーは一個80円と格安だったのだが、残念ながら現在では販売終了している。
写真 秋月電子で販売していたラッチングリレー(EA2-5TNAG、2巻き線型、2回路C接点)
このNEC/Tokin製ラッチングリレー(DC5V EA2-5TNAG)は、セットコイルとリセットコイルの2巻き線型で、2回路C接点の構成だ(下図)。
図 秋月ラッチリレー DC5V EA2-5TNAG ダブルコイルで2回路C接点(bottom view)
引用元 http://akizukidenshi.com/download/ds/nec/nec_ea2_ak.pdf
注意:上図はBottom View、つまり裏側(リレーの足側)から見た図。
ワテが初めてこの秋月ラッチリレーを使ったのが以下の記事で紹介している同じくぺるけさん設計の「FET式平衡型差動プリアンプVersion2」の入力セレクターだ。
上記事の入力セレクターではロータリースイッチを回すとラッチリレーがカチカチと切り替わる構成にした。
その次に作ったのが、下記事で紹介しているプッシュボタン式の入力セレクターだ。
上記事の入力セレクターは、最初のロータリースイッチ版の前段にプッシュボタン切り替え部分を追加したもので、SN74HC00のNAND回路を使ってD-Latch回路を構成して実現する事が出来た。
その回路を流用して、Panasonicのラッチリレーを使ったスピーカーセレクターも自作した(下記事)。
上記事で紹介しているラッチリレー式のスピーカーセレクターは、ワテのPCオーディオ環境に組み込んでいて、その時の気分や音楽ソースに応じてスピーカーを切り替えている。
五連のモーメンタリ型プッシュボタンスイッチを配置していて、任意のボタンを押すとラッチリレーがカチカチと小気味よく切り替わる。自称電子回路初心者のワテの設計であるが今のところ正常に動作している。
難点としては、電源投入時にラッチリレーの選択状態が決まっていないので、ランダムな状態になる。なので電源投入後に、聴きたいスピーカーのプッシュボタンを押す必要がある。
出来れば、パワーオンで1番目のスピーカーを選択するなどの機能を入れたいと思っている。
表面実装部品でラッチリレー制御回路を作る
さて、ワテの場合は、表面実装部品( Surface Mount Device)は殆ど使った事が無い。
先日、実体顕微鏡用のLEDリング照明を同じくPCBWayさんで作った時に、SMD型のLED素子やチップ抵抗を半田付けしたのが初めてだ。
今回製作するラッチリレー制御回路は、出来る限りSMD素子を使って設計してみた。
回路自体は過去に製作したものと同じなので、基板のレイアウトのみをリード部品からSMD部品に置き換えて、再設計したのだ。
ワテが使っているEDAツールはKiCadとLTspiceだ。
KiCadで設計したSMD部品版のラッチリレー式入力セレクター
下図にKiCadのレイアウトエディタPcbnewで設計したSMD部品版ラッチリレー式入力セレクターの画面キャプチャを示す。
図 KiCadで設計したSMD部品版のラッチリレー式入力セレクター
上図を見ると物凄く複雑そうに見えるが、実はそんなに複雑では無くて、同じ回路が四つあるので、一つの回路を設計してあとはコピペして四回路分を描いている。
その一つの回路ユニットには、
- SN74HCT14(六回路シュミットトリガインバーター)
- SN74HCT00(四回路NAND)
がそれぞれ一つずつ載っている。
74HCT14は、ラッチリレーのセットパルスとリセットパルスを生成する用途に使っている。
74HCT00は、NANDを四つ使ってD-Latch回路を構成している。
今回、この基板を設計するに当たり、74HCT00によるD-latch回路を中止して以下のICを採用する案を検討した。
- 74HC393(Octal D-Type Latch with 3-State Output)
と言うのは、従来の74HCT00版だと例えば4入力セレクターを作るなら74HCT00も四個必要になる。
一方、この74HC393を使えば一個で8個のD-Latch回路を内蔵しているので、4入力セレクターでも8入力セレクターでも、74HC393が一個あれば足りるのだ。
で、KiCadを使って74HC393版の基板レイアウトを少し描いてみたのだが、結局、74HC393の採用は中止して今まで通り複数個の74HCT00で行く事にした。
その理由は、複数個の74HCT00を一個の74HC393に置き換えても、大してレイアウトがシンプルになる訳ではなく、逆に複雑になってしまったのだ。
まあそもそもArduinoとかPICなどのマイコンを使えば簡単にラッチリレーの制御などは出来ると思うので、ワテ方式のような74HCxxシリーズのCMOS ICを何個も使う必要は無い。ワテの場合、ArduinoはLEDチカチカしかやった事が無いのと、マイコンのプログラミングで解決してしまうのは電子回路の勉強にならない気がするので、74HCxxを使ってみたのだ。
と言う事で、KiCadで設計した表面実装部品(SMD)採用のラッチリレー式入力セレクターの完成予定図を下図に示す。
四入力のセレクターだ。必要なら基板を横に連結すれば何入力にでも増やす事が出来る。
図 KiCadで設計したSMD部品版ラッチリレー式入力セレクター完成予定図
上図に於いて、下部に四つ横に並んでいるのがTSSOP14サイズの74HC00だ。
基本となる左端の回路ユニットをコピペして右に三つ追加すれば良いので簡単に設計出来る。
一方、四つの74HCT00を一つの74HC393に置き換えたとすると、そのコピペ戦法が使えないので、設計作業が逆にめんどくさい状態になってしまうのだ。
基板の背面を下図に示す。
図 KiCadで設計したSMD部品版ラッチリレー式入力セレクター完成予定図(裏面)
上図に示すように、リレー、ピンヘッダ以外は全て表面実装部品を採用したので、基板の背面は穴が少ない。
基板サイズは72mm x95mmにした。
通常のリード型抵抗や積層セラミックコンデンサなどの部品を使うと72×95に収める事は難しいだろう。
このサイズはサンハヤトさんなどのユニバーサル基板で良く見かけるサイズだ。秋月にも同じサイズのユニバーサル基板を何種類か売っている。
表面実装部品(SMD)のサイズの研究
さて表面実装部品初心者のワテは、今回、表面実装部品を本格的に使う事にしたので表面実装部品に付いて調査してみた。
表面実装部品だと長いので以下ではSMDと書く事にする。
SMDを使う上でややこしいのがサイズだ。
インチ表記とミリ表記が混在しているので、混乱の元なのだ。
電子部品最大手のロームさんのサイトに分かり易い表があったので以下に引用させて頂く。
ローム品名 | チップサイズ | mm | inch | |
---|---|---|---|---|
L | W | |||
***004 | 0.4mm × 0.2mm | 0402 | 01005 | |
***006 | 0.6mm × 0.3mm | 0603 | 0201 | |
***01 | 1.0mm × 0.5mm | 1005 | 0402 | |
***03 | 1.6mm × 0.8mm | 1608 | 0603 | |
***10 | 2.0mm × 1.2mm | 2012 | 0805 | |
***18 | 3.2mm × 1.6mm | 3216 | 1206 | |
***25 | 3.2mm × 2.5mm | 3225 | 1210 | |
***50 | 5.0mm × 2.5mm | 5025 | 2010 | |
***100 | 6.4mm × 3.2mm | 6432 | 2512 |
表 チップ抵抗器 サイズ
引用元 https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/resistors/r_what6
今回ワテが採用したチップ抵抗、チップコンデンサのサイズはミリで言うと3216だ。
インチで言うと1206になる。
どちらの表記も四桁の整数なので、ややこしい。インチ1206と書いてあれば間違わないが、単に1206と書いてあると、1.2mm x 0.6mm と言うサイズなのかな?なんて言う勘違いをするだろう。
それを回避するために、ミリで有る事を明示的に表す3216Mなどの表記もあるようだが、Mを省略して単に3216と書かれる場合もあるのだ。
まあ上表のミリとインチの両方のニ十個ほどの数字を暗記すれば良いのだが、でも0402と0603の場合には、ミリにもインチにも同じ数字があるのだ。またインチ01005に対してミリ1005と言う似た様なのもある。
こんな分かり辛い表記を考えたやつはアホなのか?責任者出て来い!
06i03
なら少しは分かり易い。このワレコ式SMDサイズ表記をISOやJISあるいはEIA、DINが正式採用してくれるので有れば、このアイディアは無償で譲渡しても良い。
もしワテが世界征服をしたら、長さの単位はメートル系一本に統一する。インチは認めない。
まあ3216M(1206)サイズのチップ部品なら、実体顕微鏡を使えば手で半田付けする事は出来そうだ。
それより大きな5025Mや6432Mなら実体顕微鏡無しでも手半田出来るが、秋月やRSコンポーネンツなどの通販サイトを見た限りでは、チップ部品の主流は胡麻粒程の大きさの1005Mやもっと小さい0603Mなどのサイズなのだ。
6432Mなどの大型のチップ抵抗などは、2Wとか5Wなどのワット数の大きな特殊な物しか無さそう。それに値段も高いし。
と言う事で、ワテの半田付け技術で手半田出来そうな3216Mを選んだのだ。
縦3.2mm x 横1.6.mm
なので、まあ半田付け出来るだろう。
PCBWayさんに基板とメタルマスクを発注する
では、PCBWayさんに基板を発注する。
ワテがプリント基板を基板業者さんに初めて発注したのが今から約一年前の2019年12月16日だ。
ネットの他の人のブログ記事などを見ていると、プリント基板を海外業者さんに発注して自作のプリント基板を作っている人は多い。
ワテもそんな基板を作ってみたいなあと長年思っていたのだが、中々行動に起こせなかった。
なぜなら、何だか物凄く難しそうな印象を持っていたからだ。
具体的には、
- KiCadやEagleなどを使ったプリント基板の設計作業
- プリント基板のガーバーデータを基板業者さんにアップロードする作業
などがチンプンカンプンと言う感じ。
全く分からないw
まずはKiCadを少し試してみたが、さっぱり分からんぞ!そんな感じだった。
しかし、人間、やる気 元気 いわきだ。
KiCadを一週間ほど必死に使ってみたら、意外に簡単にラッチリレー式の入力セレクター基板を設計する事が出来たのだ(下図)。
と言う事で、皆さんもまずはピンクの背広を着て、オールバックにすると良いだろう。
なんのこっちゃ。
PCBインスタント見積りがお勧め
まずはPCBWayさんのサイトを開く。
そこで下図に示す「PCBインスタント見積り」画面がお勧めだ。
図 PCBWayの「PCBインスタント見積り」画面
「PCBインスタント見積り」画面を開くと基板のガーバーデータ(ZIPファイル)をアップロードするボタンがあるので、そのボタンをクリックして事前に用意している基板ガーバーデータZIPファイルを指定してアップロードすれば良い。
そうすると、上図のようにガーバーデータが読み込まれて画像として表示される。
「PCBインスタント見積り」でガーバーデータをアップロードすると、下図に示す基板の寸法の縦横の数字が自動で読み込まれる。
今回は72x95mm2サイズで設計したが、確かにその二つの数字が読み込まれているのが分かる。
図 PCBWayの「PCBインスタント見積り」を使うと縦横寸法が自動読み取りされる
基板の枚数は十枚に指定した。
あとは基板の色(レジスト)や、シルク文字の色などを指定する。
或いは銅箔の厚さを指定しても良い。デフォルトは35ミクロン厚だ。
SMD部品の半田付けに使うメタルマスク
今回初めてメタルマスクと言うのも一緒に注文する事にした。メタルマスクはステンシルとも呼ばれるようだ。
そのメタルマスク(ステンシル)の使い方は例えば以下のYouTube動画が参考になる。
動画 ソルダーペーストをメタルマスクを使って塗布してSMDパーツを半田付けする例
まあ要するにソルダーペースト(微粒子状のクリーム半田)をこのメタルマスクを使ってプリント基板のSMD取り付けパッドに塗布するのだ。
そこにSMD部品をピンセットなどで載せて、熱すれば半田付けが完了する。
ソルダーペーストを熱する方法は、オーブントースターを利用したリフロー方式とか、上動画のようなヒートガン方式があるようだが、ワテの場合はどちらも持っていないのでどの方式でやるか検討中だ。
取り敢えずワテもソルダーペーストを注文しておいた。
なお、一般にはソルダーペーストと言うと下写真のような製品も指す。
要するに半田付けする際に使うヤニだ。液体フラックスの個体版と言っても良いだろう。
なので混乱を避ける為には、この手のヤニを従来通りソルダーペーストと呼ぶべきで、SMD半田付けに使うクリーム状の半田は、半田クリーム、ソルダークリームなどと呼ぶべきだと思うのだが。
これもワテが世界征服を実現したら実行する予定だ。
PCBWayさんのサイトでメタルマスクも発注する
さて、PCBWayさんのサイトでメタルマスクの発注も簡単に出来る。
先ほどの「PCBインスタント見積り」画面の下に「メタルマスク」と言うメニューがあるのでチェックを入れるだけで良いのだ(下写真)。
図 PCBWayさんのサイトでメタルマスクを発注する画面
メタルマスクの「枠あり」と「枠なし」の選び方
メタルマスクの種類には、
- 枠ありメタルマスク
- 枠なしメタルマスク
のどちらかを選択可能だ。
どっちを選んだら良いか分からなかったのでネット検索したみたところ、手作業でソルダークリームを塗布するなら枠なしメタルマスクが良さそう。
つまり枠ありメタルマスクは、機械にセットして自動でソルダークリームを塗布する用途に使うのだ。その枠ありメタルマスクを手作業によるソルダークリーム塗布に使うと枠が邪魔で作業がし辛いようだ。
一方、枠なしメタルマスクなら、上動画のように基板の上に簡単に密着してセット出来るのでお勧めのようだ。なるほど。
メタルマスクの厚さの選び方
メタルマスクの厚さの選び方が分からない。
そこで
で検索してみたところ、その意味が分かった。
要するにメタルマスクの厚さで塗布できるクリームハンダの厚みが決まるので、小さなSMD部品には薄いメタルマスクを使う。
今回ワテが使う3216M(1208)サイズのSMDは若干大き目のサイズになるので、メタルマスク厚みは0.12mm辺りで良さそうだ。
PCBWayさんのサイトで基板とメタルマスクの発注が完了
と言う事で、無事にPCBWayさんでプリント基板とメタルマスクの発注を行う。
注文方法は簡単で、「カートに追加」ボタンを押すだけで良い。
図 PCBWayさんにマイページに追加された基板とメタルマスクのそれぞれの注文
そうすると上図に示す二つの項目がPCBWayさんのマイページに追加された。
この状態では、ステータスは「レビュー中」と表示される。
「レビュー中」とは、このデータで製造しても問題無いかどうかPCBWayさんのエンジニアの人がチェックしているのだ。問題が有れば何らかの連絡が来る。問題が無ければステータスが「支払い待ち」に変わる。
ワテの経験では、早ければ数分後に「支払い待ち」になる。面付けがある複雑な基板で、かつワテの設計にミスが有った基板だと数時間掛かる場合もあった。
ちなみにその時にはPCBWayのエンジニアの人がワテの設計ミスを知らないうちに修正してくれていた。その記事はこちら。
兎に角翌日には「支払い待ち」になっていると思うので、クレジットカードやPayPalなどで支払いを行えば良い。
念のためにPCBWayのサイトにあるGerberビュアーで表示してみた
図 PCBWayのサイトにあるGerberビュアーで表示したSMD版ラッチリレー入力セレクター基板
あとは寝て待つだけだ。
「基板は寝て待つ」
PCBWayから四日で届いたSMD版ラッチリレー入力セレクター基板
PCBWayさんに基板を注文すると、今までの経験では6~7日くらいで自宅に届くのが普通だ。
今回は以下の通り。
2020/12/26(土) 13:13:00 受け取り
4日と2時間40分45秒で届いたのだ。
速すぎるだろw
年末だし、クリスマス時期だし、メタルマスクも注文したのでいつもの一週間くらいの納期よりも何日かは多く掛かるだろうと予測していたのだが、逆にいつもの半分くらいの日数で配達された。
一体全体どないなってんねんww
速いにも程があるw
DHLで届いたPCBWayの基板とメタルマスクの小包
早速開封してみる。
写真 DHLで届いたPCBWayの基板とメタルマスクの小包
いつものDHL小包よりも一回りサイズが大きい(上写真)。たぶんメタルマスクが大きいのかな。
何か中国語で書いてあるが分からん(下写真)。
写真 PCBWayの基板とメタルマスクが入った小箱
内容物は下写真のように十分なクッション材でしっかりと固定されている。
写真 PCBWayの小箱のクッション材
下写真左がメタルマスクのようだ。茶色の二枚の板状のサポート材に挟まれているようだ。
写真 PCBWayの基板とメタルマスク
下写真に基板を示す。中くらいのサイズのSMDチップ3216Mサイズを使用したがそれでもパッドのサイズは小さい。
写真 PCBWayで作成したSMD版ラッチリレー式入力セレクター基板
95x72mmサイズに設計したプリント基板(上写真)。四回路の入力セレクターが入っている。
もし2012M、1608M、1005Mなどのサイズを使ったらもっと小型化基板を設計出来たが、手作業での半田付けは困難だろう。
PCBWay製の表面実装用プリント基板の拡大写真
PCBWay基板の拡大写真を撮ってみた。
下写真で、例えばD202のダイオードはDO-214ACと言うサイズで、パッドの大きさは5025Mくらいの寸法になる。
写真 PCBWay製の表面実装用プリント基板の拡大写真1
パッドの処理は「有鉛はんだレベラー」を選択したので、スルーホールやSMDパッドに半田メッキがされているのが分かるだろう。もし必要なら金メッキなども選択可能だ。
上写真でD202などのパッドにはビアホールの穴が開いているのが分かるだろう。
これは95×72サイズの基板に四回路の入力セレクターを無理やり押し込めたので、パーツの実装も非常に密にする必要があり、パッドにもビアの穴を開けて高密度実装したのだ。
ちなみにこのような構造をVIA IN PADと呼ぶらしい。ワテの場合は必要に迫られてパッドにビアを配置したが、世間では一般的に用いられている手法のようだ。
下写真は、TSSOP14サイズのICや3216Mサイズの抵抗やコンデンサのパッドがある。
写真 PCBWay製の表面実装用プリント基板の拡大写真2
TSSOP14サイズのIC(東芝74LCX14FT)の場合、ピン幅は0.19~0.3mm、ピン間隔は0.65ミリだが、上写真のPCBWay製基板では、これくらいのサイズなら全く問題無く綺麗に形成されている。
シルク文字のサイズは縦横1×1ミリ、線幅0.15ミリで描いているが、文字が潰れたりかすれたりする事無く綺麗に描かれている。
なお、写真が少しピンボケ気味なのは、ワテのカメラのオートフォーカスが甘いのが原因だ。
マクロ撮影用の交換レンズが欲しいなあ。
メタルマスクの写真
下写真がメタルマスクだ。
ワテは初めて見る。
レーザー加工で精度良く四角穴がくり抜かれている。このメタルマスクの料金は10ドル/枚だ。
写真 PCBWayで作成したメタルマスク
金属板にこんなレーザー精密加工を大田区とか東大阪の金属加工業者さんに発注したとすると、千円では出来ないだろう。安くても五千円くらいは掛かりそう。それに最低発注数は10枚からとか。
そう言う点では、PCBWayさんのような基板製造業者さんに基板やメタルマスクを発注するのは大変お勧めだ。
SMD部品用の95×72両面スルーホール基板とメタルマスクの製作費用
今回のプリント基板製作の費用は以下の通り。
項目 | 数量 | 小計 |
1.6ミリ厚両面スルーホール基板(100x100mm2) | 10枚 | $ 5 |
メタルマスク | 1枚 | $ 10 |
送料 | 1 | $ 19 |
割引 | 1 | – $ 1 |
合計 | $ 33 |
表 PCBWayで基板十枚とメタルマスク一枚の製作費用
いつもならDHLの送料は15ドルなのだが、今回はメタルマスクのサイズが大きかったので送料が19ドルに増えている。
それでも総額で33ドルなので、日本円で3300円くらい。もうユニバーサル基板に手配線はやりたくないなあ。
注文しているソルダークリームはまだ届いていないので、実際の半田付け作業は来年になると思う。
でも、下写真のようにメタルマスクをプリント基板に当ててみた。
写真 PCBWayで作成したメタルマスクと基板を重ねてみた
上写真では、メタルマスクとプリント基板のパターンが全然合っていないが、ちゃんと位置合わせしておいてソルダークリームを塗布すれば良いのだ。
その後でSMD部品をピンセットで載せる。
そうすると、一気にヒートガンなどで半田付けを行える。
ソルダークリームは鉛フリーを使う予定
なお、ワテの場合には、糸半田は千住金属工業の有鉛スパークルハンダを使っているのだが、クリームハンダは鉛フリーを買う事にした。
その理由は、有鉛半田は半田付けすると光沢があって綺麗なので好きなのだ。以前、一度だけ鉛フリー半田を使ったが、半田付けした後の表面光沢が無くてなんだか美しくない。
で、今回、ソルダークリームを購入するに当たり、有鉛か無鉛かで迷ったが、無鉛を選んだ。
その理由は、ソルダークリームをヘラ状の物で塗り広げる作業において、慣れていないと恐らく手にクリームハンダが付いてしまうと思う。
使い捨て手袋をして作業をしても、作業台とか机に付着する可能性もある。
そうすると、その後、知らず知らずのうちにクリームハンダが皮膚に付着するとか、最悪、口に入って食べてしまう可能性もある。
と言う事で、安全性の観点でクリームハンダは鉛フリーを選択したのだ。
超慎重派のワテである。
ちなみに、下写真の製品は「合金:Sn63 / Pb37 ミクロン:25~45um」と記載されているので鉛入りのようだ。
SMD部品をネット通販で購入する
ワテの場合、SMD部品を購入するのは初めてだ。
いつもなら秋月電子、マルツ(含むデジキ-)、共立エレショップ、RSコンポーネンツで電子部品を購入するのだが、今回もまずは秋月電子で検索してみた。
その結果、秋月電子さんの場合、最低一個とか十個くらいからの少量の購入が可能な部品が多いので助かる。
下写真に示すように、チップ型のパーツを幾つか秋月電子で購入した。
写真 秋月電子で購入したチップ部品
4回路2入力NAND 74LCX00FT (5個入) | 100円 |
6回路シュミットトリガインバータ 74LCX14FT (5個入) | 100円 |
チップトランジスタ 2SC3325-Y 50V500mA (20個入) | 100円 |
高速スイッチング・ダイオード 1N4148W (40個入) | 100円 |
表面実装用ファストリカバリーダイオード 1000V1A RS1M (10個入) | 180円 |
チップ積層セラミックコンデンサー 0.1μF50V R 3216 (20個入) | 140円 |
チップ積層セラミックコンデンサー 0.47μF50V X7R 3216 (10個入) | 110円 |
チップ積層セラミックコンデンサー 0.22μF50V B 3216 (10個入) | 150円 |
表 秋月電子で購入した主な部品
なお、秋月電子さんの場合、3216Mサイズのチップ抵抗の種類が少なかったので、抵抗はRSコンポーネンツで買った。
RSコンポーネンツやデジキーなどの大手電子部品通販サイトの場合、チップ部品は最低購入単位が2000個とか5000個などの場合が多い。
その場合には、一個の単価は1円とか2円くらいなので安いのだが五千個も買っても使い切れない。
それに何種類も買いたい場合には、料金も何万円も掛かってしまう。
でも中には最低注文単位が一個とか十個などの物もあるので、単価は多少高くて2円~5円程度するが、それでもリード型金属皮膜抵抗(数円~10円くらい)などに比べれば安い。
写真 RSコンポーネンツで購入したチップ抵抗(3216M)など
上写真の青い袋一個当たり100個のチップ抵抗が入っていて値段は200~300円/袋なのでリード型抵抗よりも安いくらいだ。
今後のワテの電子工作はSMDが主流になる?
と言う事で、チップ部品は値段が安いしコンパクトに収納出来るのでリード型部品よりも意外に良いかも。
それにリード型部品の場合、スルーホール基板に半田付けしてしまうと取り外しが困難だ。
一方、チップ部品は半田付けも簡単だし、取り外しも簡単。
チップ部品の唯一の難点はサイズが小さいので半田付け作業が難しいと言う点だが、ワテの場合には中古で買ったニコンの実体顕微鏡SMZ-2Bが有るので、あとは慣れだろう。
それと、SMD用の半田ごての購入も検討している。
ワテの場合、長年に渡り18Wと25Wの二本の半田ごてを使って半田付け作業をして来た。
でも、最も良く使っていた25W半田ごてのセラミックヒーターが断線してしまったので、セラミックヒーターの交換部品を購入して修理しなくてはならない。
まあ、ここは心機一転、新しい半田ごての購入を検討している。
と言う事で、今後のワテの電子工作は表面実装部品を使う頻度が増えると思う。
今後もぺるけさん設計のオーディオ機器などを中心に、オーディオ関連、ArduinoやPICを使ったマイコン制御、その他いろいろ作りたい。
表面実装部品で作るぺるけ式アンプとか。
煩悩を減らすと人生楽しい
なお、オーディオマニアな人の場合には、抵抗の種類、半田の種類、ケーブルの種類による音の違いなどを議論する人もいるが、ワテの場合、それらの違いによる音の違いは気にならないし殆ど感じない。
でもそれは部品の違いによる音の違いは全く無いとワテが思っている訳では無くて、部品による音の違いは有るのは分かる。
例えばビンテージ物の高価な真空管とかコンデンサ、抵抗を、同じくビンテージ物の半田や配線材料を使って作成すれば、ビンテージ物の真空管アンプに近い音が出るのは確かだろう。
つまり、その当時と同じ部品を使って同じように作れば、その当時のアンプの音に近い音が出るのは分かる。
まあしかし、ワテの場合にはそこまでの拘りは無い。
古めかしい部品を漁るよりも、新品部品を使って色々作るほうが楽しいと感じるからだ。
1メーターで数千円もするウエスタンエレクトリック製ビンテージワイヤーなんて欲しいとも思わない。そんなもんを使うくらいなら、新品の電線を使いたい。
これなら1mで10色0.2sq 導体外径0.54mm(AWG24相当)なので、1メートル当たり150円程度と安っすい。
つまりまあ、高額なブランド品を欲しいと思わなくなると人生楽しい。
寒い冬場には何十万円もするカシミアのコートとかレザーコートなんて着なくても、二千円くらいのダウンジャケットの方が快適だ。
軽いし、暖かいし。
高価なレザーコートなんて重くて肩が凝るだけだ。
と言う事で、最近は自由に使える小遣いが少ないワテのボヤキ以外の何物でもないw
まとめ
wareko
当記事では、ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプに組み込む予定のSMDパーツ版ラッチリレー式入力セレクタに使う基板をPCBWayさんに発注する過程を紹介した。
ワテがSMD部品を使って電子回路を作成するのは今回が初めてだ。
PCBWayさんに発注したプリント基板とメタルマスクは発注から四日で届くと言う驚くべき速さで届いた。
必要なSMD部品の購入もほぼ完了しているので、あとはSMD用の半田ごての購入など検討したい。
年内には他にもやりたい事が幾つかあるので、このSMD基板を使った半田付け作業は来年になると思われる。
皆さんもプリント基板を発注してみよう。
しかしまあ最近のワテはラッチリレーばかり使っている。なぜそんなにラッチリレーを使うのか?
「そこにラッチリレーがあるからだ。」
登山家かw
乞うご期待
KiCadを勉強する
ちなみにワテの場合は、下写真のトランジスタ技術のバックナンバーを近所の本屋さんで取り寄せて貰ってKiCadを勉強した。
付録DVD-ROMに沢山の動画がありKiCadの使い方が解説されているので分かり易い。
コメント