写真 甘いミカンの見分け方は「球形よりもお餅のような扁平形、黄色より赤色、表面がデコボコ、軸切り口の色が濃い緑より薄緑」との事だ「ミカンは扁平、赤、デコ、薄緑」と覚えておこう
参照元 http://www.umaimikan.co.jp/miwakekata.html
みかん農園さんが言うのだから間違いない。
さて、みかん好きなワテであるが、表題の「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V(2017版)」用に自作したプリント基板にパーツを半田付けした。
この基板はPCBWayさんの製作だ。発注して一週間で自宅に届くという、超便利なサービスを提供している。
以下に示す前回記事では1/4Wタイプ金属皮膜抵抗類を取り付けたが、今回はFETやトランジスタを選別して取り付けた。
では本題に入ろう。
FET、トランジスタを選別して半田付けする
ぺるけさん設計のアンプは初段にFET差動回路が採用されている場合が多い。
その共通ソース側にはバランスを調整するための多回転型ポテンショメータが入っている場合が多いのだが、今回製作している「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V(2017版)」にはそれが入っていない。
その理由はバランス調整が不要なくらいに特性が揃ったペアFETを使うからだ。
以下に引用させて頂くぺるけさんの説明では、ポテンショメータが無い代わりに初段FETは高精度に選別する必要がある。
初段で使う2SK170はBLランクまたはGRランクを指定します。
無調整で差動バランスを取らなければなりませんので、バイアス特性が揃ったペアが必要です。暫定的にはIDSSが揃ったものであればなんとか実用になります。
当サイトでは精密にペア取りしたものを頒布しています。自力で精密な選別をするには専用の器具が必要です。作り方はこちら
(http://www.op316.com/tubes/toy-box/tester2.htm)
引用元 http://www.op316.com/tubes/balanced/balhpa.htm
上記のぺるけさんの解説に従ってワテも初段で使う2SK170BLランクのペアを選別する事にした。
ワテ自作「ぺるけ式FET & CRD選別冶具(改訂版)」で2SK170BLペア選別
下写真がワテ自作の「ぺるけ式FET & CRD選別冶具(改訂版)」だ。
写真 ワテ自作の「ぺるけ式FET & CRD選別冶具(改訂版)」
ぺるけさんオリジナル設計と基本的には同じ回路を採用しているが、ワテ独自の改良点として、ゼロプレッシャーソケットに2個のNch FETを挿し込む事が出来るようにしている。さらに追加でS4, S5の二個のトグルスイッチを付けている。
その製作記事はこちら↴
左端のS5トグルスイッチで被測定対象のFET1/FET2の切り替えが出来るのだ。
表 合計四個の2SK170BLランクをVgsで選別
2SK170BLランクはニ十個くらいしか持っていないのだが、Vgsで選別してペアを組んだ。
だいたい0.29台で揃っているが一つ0.28台がある。このあとで再度選別して、全部0.29台になる四個の2SK170BLを選別する事が出来た(下写真)。
写真 選別した2SK170BL、確かサトー電気さんで買ったような気がする
この2SK170BLは十年以上前に川崎のサトー電気さんから通信販売で買ったような記憶がある。
2SK170GR ¥200+消費税 TO92 AF小信号
2SK170BL ¥220+消費税 TO92
2SK170V ¥240+消費税
引用元 http://www.maroon.dti.ne.jp/satodenki/
サトー電気さんのサイトで本日2020年10月17日現在の2SK170BLの価格(上表)を見てみたが、一個220円もするのか!?
一個数十円の時に大量に仕入れておけば、十年後には十倍近い値段!
ディスクリート半導体投資をやってれば良かったw
冗談はさて置き、ペア取り出来た四個の2SK170BLを基板に半田付けした。
専用基板に差し込んで半田付けするだけなので何のストレスも無く作業が捗る。
ワテお勧めのプリント基板ホルダーはこちら↴
基板をクルッと回転させるだけで基板の表裏を入れ替える事が出来るので、一々基板を取り外して確認する手間が省ける。
初段定電流回路の2SC1815YをhFEで2個選別する
次はトランジスタを選別して取り付ける。
まずは初段定電流回路の2SC1815を2個選別するが、ぺるけさんの解説は以下の通り。
初段定電流回路で使う2SC1815はhFEが低めのYランクを指定します。hFEが高すぎると自己発振することがあるためです。
引用元 http://www.op316.com/tubes/balanced/balhpa.htm
ワテの場合、2SC1815Yは数十個は持っている。
データシートから引用するとhFE分類は以下の通り。
ランク | hFE |
O | 70~140 |
Y | 120~240 |
GR | 200~400 |
BL | 350~700 |
表 2SC1815のhFEの分類 引用元 東芝2SC1815データシート
ぺるけさんの解説では、初段定電流回路で使う2SC1815はhFEが低めのYランクが指定されているが、上表を見るとYランク(120~240)の中にはGRランク(200~400)より高いhFEを持つものもある。
ワテ自作のhFEテスター(このあとで紹介)で2SC1815Yを選別した。
写真 0.181VならhFE=181と言う意味(NPNはマイナス表示、PNPはプラス表示)
YランクでhFEが200以下の物を探したところ、180のものが二個見つかったので初段定電流回路にはその2SC1815Yを二個採用した。
先ほど選別したFETと間違えないように直ぐに半田付けしておいた。
ダイヤモンドバッファで使う2SA1015GRと2SC1815GRを選別
次はダイヤモンドバッファで使う2SA1015と2SC1815を4ペア(8トランジスタ)選別する。
ダイヤモンドバッファで使う2SA1015と2SC1815はhFEが高い方が有利なのでGRランクが望ましいです。
引用元 http://www.op316.com/tubes/balanced/balhpa.htm
ワテが使っているhFE測定器を紹介しよう。
写真 ワテ自作のhFE直読式テスター
このワテ自作のhFE直読式hFEテスターは以下の記事で製作過程を紹介している。
このhFEテスターの特徴としては、PNPを2個、NPNを2個、合計4個のトランジスタを同時に挿し込む事が可能だ(下写真)。
かつ、hFE測定ではIBやVCEの値をロータリースイッチで数段階に指定して計測できるようにしている。
さらにPICやArduinoなどのマイコンを使わずに、hFEの値をテスターのミリボルトレンジで直読出来る工夫をしているのだ。なので、手作業で Ic/Ib を計算してhFEを求めるなどの手間も掛からないのだ。
写真 TR1/TR2切り替えSW、PNP/NPN切り替えSWで被測定対象TRを選ぶ
被測定対象トランジスタの選択は、
- TR1/TR2切り替えSW
- PNP/NPN切り替えSW
の四通りの組み合わせで行う事が出来る。
緑色発光ダイオードが点灯している箇所のトランジスタのhFEが計測される。
hFE計測中はその緑色発光ダイオードは赤色に光るようにしている(下写真)。
写真 ワテ自作hFEテスターで計測時はLEDが赤色になる
ぺるけさんの解説ではダイヤモンドバッファで使う2SA1015と2SC1815はhFEが高い方が有利との事なので、ワテの手持ちのGRランクを選別したところhFEが350台の物が合計8個得られた。
- 2SA1015GR 4個
- 2SC1815GR 4個
なお、2SC1815GRは大昔に買ったやつなので東芝純正品に間違いないと思う。
一方、最近ではこれらのディスクリートトランジスタはセカンドソースとか偽者が出回っているらしいが、ワテが最近入手した下写真で示す2SC1015GRは文字のフォントが小さくて細いぞ。
写真 最近入手した2SC1015GRのフォントが小さくて細字なのが気になる
ワテが知っている昔の2SC1015だともう少しぶっとい字体(下写真)なので、この2SC1015GRはセカンドソースか偽物なのかな?
まあちょっと怪しいがhFEが350のものが四個取れたので良しとする。
色んな年代の2SC1815GR・2SA1015GRの紹介
念のために、ワテが持っている幾つかの2SC1815/2SA1015の写真を紹介したい。
写真 2SC1815GR(10年以上前)、2SC1815GR(数年前入手)、2SA1015GR(2年前入手)
上写真左の2SC1815GRはワテが10年以上前、あるいはそれ以上前に入手したやつだ。
ワテとしては、東芝純正2SC1815と言えばこんなぶっといフォントのやつが頭に浮かぶ。
一方、二番目のやつは数年前に入手した。三番目のやつは2年前(2018年)に入手した。
今回hFE 350が得られたのは、二番目の2SC1815GRと三番目の2SA1015GRなのだが、三番目のやつはフォントが細くて小さいので益々怪しい。
まあいいか。気にしないw
ワテ自作hFE測定器の問題点発覚
実は前から気付いていたのだが、ワテ自作のhFE計測機はゼロプレッシャーソケットの手前と奥にトランジスタを挿し込む事が出来る。
一つのトランジスタのhFEを手前と奥で計測すると、全く同じ値が得られるべきであるが、数パーセントの違いが出るのだ。たしか奥の値が低めに出るのだ。
恐らくその理由は、トランジスタの切り替えにはトグルスイッチやリレーを使っているのだが、その接点の接触抵抗が影響しているのだと思う。
つまり、hFE計測ではマイクロアンペアのオーダーのベース電流が流れるが、怪しいジャンク品のトグルスイッチやリレーを使った結果、トランジスタを手前に挿した場合と奥に挿した場合とで、同じ1µAのベース電流を流したとしても、実際には流れるベース電流に数パーセントの違いが生じているのだと思う。
その結果、計測されるhFEに数パーセントの差が生じる。
と言う事でhFEテスターを改良したいのだが、上で紹介した製作記事でも分るように即席で作ったので大量の配線が入り乱れる物凄くメンテナンス性の悪い機器なのだ。
なので、まあこのまま放置するかな。
あるいは、KiCadで専用基板を設計して、改良版を作るかな。
その基板を買いたいなんて言う奇特な人が居れば作るんだがw
FET・トランジスタを半田付けした「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V(2017版)」
PCBWAYさんで専用基板を作成したおかげで、半田付け作業が物凄く簡単になった。
写真 抵抗、トランジスタ、FETの半田付けが終わった
白色レジスト基板が鮮やかな「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V(2017版)」。
通称「ホワイトアンプ」と呼ばれている。
嘘です。
専用基板がお勧め
今までのようにユニバーサル基板に銅単線を使って手配線する方式だと、どうしても雑な仕上がりになってしまう(下写真)。
写真 以前に自作したラッチングリレー式ラインセレクター基板
上写真の基板を一枚作るだけでも三時間くらい掛かった。それを3枚も作ったので丸二日掛かりくらいで作ったのだが、疲れて来ると集中力も無くなり作業が雑になってしまい半田付け不良で動かないなどのトラブルに悩まされた。
その反省として、下写真の専用基板をKiCadで設計して初めて海外基板メーカーに発注したのだ。
写真 ワテが初めてKiCadで設計して海外発注したラッチングリレー式オーディオセレクター基板
その結果、基板にパーツを挿し込んで半田付けするだけで完成と言う手軽さに感動したのだ。
それ以来、ワテはKiCadを使った基板設計に熱中している。
ちなみにラッチングリレー式セレクター基板は、さらに改良を加えて下写真に示すアンプ・スピーカーセレクターに応用した。
写真 KiCadで設計して海外基板メーカーに発注しているラッチングリレー式SPセレクター基板
この基板は中国深圳の工場で基板の製造は完了していて、現在、郵送中だ。いつもならDHLかFedexで約20ドルくらいの送料で送ってもらうのだが、今回は送料が10ドル程度と安い中国郵政(China Post)で送ったので、二週間くらい経つがまだ届かない。
このセレクター基板で使うリレーもモノタロウさんで発注しているのだが、納期が12月なので今から約二か月後なのだ。なので基板はそれまでに届けば良いのだ。
その基板のKiCadで設計記事はこちら。
このアンプ・スピーカーセレクターが完成したら、6台のアンプ、6台のスピーカーをラジオボタン式プッシュボタンスイッチで切り替えられると言う物凄いオーディオ環境が整うのだ。
上手く行ったらオーディオショップを開くかも知れない。
ほんまかいなw
PCBWayの白色レジスト基板は初めて使うが見た目もスッキリしていていい感じ
写真 「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V(2017版)」の拡大写真
下写真に示すように、白色レジスト基板(PCBWAY)を使うと半田付けしたあとにフラックスの付着が目立つ。
写真 白色レジスト基板はハンダ付け後にフラックス汚れが目立つのでクリーニング予定
全ての半田付けが終わった時点で、これらの茶色のフラックス汚れはフラックスクリーナーで洗い落とす予定だ。
このサンハヤトのスプレー式フラクスクリーナーは物凄く良く落ちるらしい。
ワテも一本買うか検討中だ。まあ無水エタノールでも十分かな。
写真 「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V(2017版)」の写真
あとは、出力段のパワートランジスタ、電源回路の電解コンデンサ群を取り付ければ「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V(2017版)」基板はほぼ完成する。
出力段の2SA1358と2SC3421の選別に関して
次の作業は出力段のトランジスタの選別と取付だ。
ぺるけさんによる解説を以下に示す。
出力段の2SA1358と2SC3421もhFEが高い方が有利なのでYランクを指定します。Oランクでもちゃんと動作しますが、特性がわずかに劣化します。
トランジスタのコンプリ・ペア(2SA1015と2SC1815、2SA1358と2SC3421)のhFEは同じにはなりません。常に、2SA1015<2SC1815であり、2SA1358>2SC3421です。
ペアだからといって同じ値のものを探してもまず見つかりませんし、値が異なっていても特性には悪影響はありません。
引用元 http://www.op316.com/tubes/balanced/balhpa.htm
ワテの場合は、2SA1358・2SC3421はそんなに沢山は持っていないので、入手する必要がある。
あるいは「ぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)」に使った2SA1931・2SC4881なら何個かあるのだが、サイズが大きいので基板に取り付けられないかな。足の間隔も若干広い。
まあ、後で考えよう。
まとめ
当記事では「ぺるけ式FET差動バランス型ヘッドホンアンプ15V(2017版)」用に設計したPCBWay製専用基板にFETやトランジスタを選別して半田付けする作業過程を紹介した。
まあ殆どワテの備忘録みたいなもんだ。
ワテみたいにKiCadで専用基板を設計して海外基板メーカーさんに発注したい人は、ワテの他の記事を見て頂くとそれらの作業の詳細を解説している。
例えば下の記事では、当ページで紹介している白色レジスト基板を設計してPCBWayさんに発注する手順を解説している。
ワテの場合、差動バランス型のアンプを作るのは初めてであり、ぺるけさんによるとこのヘッドホンアンプは低音が物凄く良く出るらしい。
一体全体どんな音がするのか、早く聴いてみたいもんだ。
wareko
このところ趣味の木工DIYや電子工作を並行してやっている。
それにしても、これらを趣味にする人は男性が多いが、女性で電子工作マニアみたいな人は見た事が無い。
なぜなのかな?
木工好きなDIY女子ってのはYouTube動画でも偶に見掛けるが。
続く
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