写真 ぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)にヘッドホンを挿して音楽を聴くDIY女子
さて、コロナウイルス騒動で不要不急の外出は自粛と言う事で、本日は2020年5月10日(日)であるが、ワテも自宅にいる時間が増えた。
そんな時には、部屋の掃除をやるのが一番だ。
気分もスッキリするし、工作室や作業台の上が片付くので、やりたいと思っていた作業にも取り掛かれる。
まずは、先日海外プリント基板業者さん(PCBWay)に製作を依頼して完成した両面スルーホール基板を使って「ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)」の製作に取り掛かった。
PCBWayさんに海外発注して無事に完成した専用基板の記事はこちら↴
当記事ではこのプリント基板に部品を半田付けした作業過程を紹介したい。
では、本題に入ろう。
ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)に必要なパーツを揃える
ワテの場合は、金属皮膜抵抗はE24系列をほぼ全て100本入り袋で持っている。
1.0 | 1.1 | 1.2 | 1.3 | 1.5 | 1.6 | 1.8 | 2.0 | 2.2 | 2.4 | 2.7 | 3.0 |
3.3 | 3.6 | 3.9 | 4.3 | 4.7 | 5.1 | 5.6 | 6.2 | 6.8 | 7.5 | 8.2 | 9.1 |
表 抵抗のE24系列の値
10Ω以下はこんなには持っていないが、この表の値x10、x100、x1K、x10K辺りは八割くらいは持っている。100KΩ以上は数種類くらい。
1/4W抵抗のサイズも色んな種類があるが、ワテは標準的な寸法(長さ6.2ミリ、直径2.3ミリ、リード線径Φ0.6)のやつを使う。それよりも長さが半分くらいの小型のやつは、カラーコードが読み辛いのでワテは嫌いだ。
金属皮膜抵抗は、アマゾンなどにも海外製の安いやつが沢山出品されている。
それらの金属皮膜抵抗は一本一円くらいの値段で買えるので、カーボン抵抗と同じくらいの安さだ。
ワテの場合も、この手の安い金属皮膜抵抗セットも持っているが、それとは別に秋月電子で売っている金属皮膜抵抗100本入り袋300円のやつを、少しずつ買い足して今ではE24系列は大体持っている。
注意事項としては、海外製の格安抵抗はリード線径がΦ0.4くらいの細いものが多いので要注意だ。ブレッドボードに挿し込む時にリード線がフニャっと曲がるのでワテはあまり好きでは無いが、逆に細い方がやり易いと言う人もいるかも知れない。
今回、ぺるけ式ミニワッターを作るに当たり、手持ちに無い抵抗や電解コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、リレーなどをネット通販で購入した。
まずは秋月電子のサイトを見て、目的のパーツが有れば買う。秋月はやっすいのでお勧めだ。
写真 ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)に使うパーツを購入した(その1)
今回作成するミニワッターPart5(19V版)では、一般的な1/4Wタイプの金属皮膜抵抗以外に、1Wや2Wの抵抗も使う。
それらもマルツ(正式名称はマルツエレック株式会社)さんで購入した。
写真 ぺるけ式トランジスタミニワッターPart5(19V版)に使うパーツを購入した(その2)
ワテの場合には、抵抗のメーカーとかには特に拘りは無い。オーディオ用とか言うやつは値段が高いので買わない。
ワテが持っている1/4Wタイプの金属皮膜抵抗は、KOAや利久の物が多い。秋月・マルツに無い場合にはRSコンポーネンツには大抵の場合あるので、RSで買ったVishayのやっすいやつも何種類か持っている。
一方、1Wや2Wの金属皮膜抵抗や酸化金属皮膜抵抗も色んなメーカーの製品があるが、今回はマルツで売っているKOAさんのやつを購入した(上写真)。
抵抗にはカラーコードタイプと抵抗値が印刷されているタイプがあるが、ワテの場合、抵抗値が印刷されているやつの方が好きだ。
理由は単純に、カラーコードよりも数字の方が分かり易いので。
もし読者の皆さんで、これから電子工作を始めようと思っているなら、ある程度の種類のパーツは自宅に在庫を持っているほうが思い立った時に直ぐに作業に掛かれるので、以下のようなパーツセットを購入すると良いだろう。
下写真のような多回転型半固定抵抗は、一回転型に比べて微調整が出来るのでお勧めだ。
あるいは下写真のような、トランジスタ、抵抗、コンデンサ、その他のセットもお勧めだ。
しかしまあ、中国製は安いなあ。
プリント基板固定ツールを買った
さて、今回、もう一つ思い切って買ったものがある。
これだ↴
写真 プリント基板固定台を購入した
半田付け作業の際に、プリント基板を固定する冶具を欲しいなあと前々から思っていたのだが、値段が高いので中々購入に踏み切れなかった。
しかしまあ、コロナウイルス騒動でいつ何がどうなるか分からない。
やろうと思っている事は、取り敢えずやってみる事にした。ただし、そんなに高額な費用が掛からない物や事に限り。
半田付け作業の際にプリント基板を固定するツールは色んな種類の物がある。
例えば以下のようなフレキシブルアームのタイプも良く見かける。
まあ、このタイプはワテは使った事は無いのだが、洗濯バサミのようなクリップで基板の数箇所を固定する訳なので、基板を付けたり取り外したりする作業がちょっと面倒かなとワテは思う。
一方、ワテが購入した製品は、左右の二箇所でプリント基板を挟み込む構造で、左側のスプリングでしっかりと押え付けて保持出来る構造になっている。
基板の脱着もスプリングを圧縮すれば簡単に行えるのだ。
かつ、固定した基板を自由に回転出来るので、基板の表裏をいつでも見る事が出来るのだ。
実際に使ってみたが、金属製で重量があり安定感がある。なかなかいい感じだ。皆さんにもお勧めしたい。
ぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)の電源回路を半田付けする
パーツが揃ったので、早速半田付け作業を開始する。
抵抗は取り付ける前に値をテスター計測する
ワテの場合には、抵抗やコンデンサは半田付けする前に必ず値を計測する。
電子回路は、部品を半田付けし終わって動作確認した時に、一発で動く確率は低い。
ワテの場合には、50パーセントくらいか。まあ半々と言う感じ。
上手く動けば良いが、上手く動かない場合も多いので、原因究明作業が必要になる。
その時に、事前に抵抗やコンデンサの値を計測しているので、取り付け間違いは無いと言う確信が持てるので、原因究明がやり易いのだ。
抵抗やコンデンサの値をテスターで計測する場合に、細いリード線にテスター棒を当てるのはやり辛い。
そこでワテが自作したテスター計測便利ステーションが活躍するのだ(下写真)!
写真 ネオジュウム磁石を利用したワテ自作のテスター計測便利ステーション
この計測ステーションの製作記事はこちら↴
この計測便利ステーションを使って750Ωの抵抗を測定したら、749.2Ωと計測された。
写真 750Ωの金属皮膜抵抗をワテ自作のテスター計測便利ステーションで測定した例
誤差1パーセントの抵抗なので、まあ妥当な値と言う事か。やっぱり日本製の抵抗はいいなあ。
ワテはKOAが好きだ。
PCBWayさんに海外発注した専用基板に部品を半田付けする
まずは電源回路から製作する事にした。
最初にリレーを取り付けたのだが、養生テープで仮止めしていたのだが、テープを剥がしたらリレーの印字が剥がれてしまった(下写真)。あかんがなwww
写真 ぺるけ式TRミニワッターPart5用自作専用基板にリレーや抵抗を半田付けしている途中
幸先悪いスタートだが、まあ安い外国製ならこんなもんか。オムロン、パナソニックなどの日本製なら到底あり得ない品質だ。気を取り直して進もう。
上写真でも分るように、この専用基板は両面スルーホールなのだが、電流が沢山流れるラインは、部品面と半田面の両方に同じ銅箔パターンを描いて、多数のビアホールで連結する事で電流容量を増やしている。
その結果、上写真のように、まるでユニバーサル基板かのように多数のドリル穴が並んでいるのだ。かつ、余白の部分にはパッドを多数配置して部分的にユニバーサル基板化しているので益々穴が多いのだ。部分的にユニバーサル基板化した理由は、もし何らかの改造を行う場合に利用出来るパッドがあるとやり易いので。
元々のぺるけさん設計の基板レイアウト自体が高密度にパーツを詰め込んである。
そのレイアウトを参考にしてワテはKiCADで描いたのだが、設計作業中は集中しているのでレイアウトが頭に入っているが、それから三週間ほど経っているのですっかり忘れてしまった。
なので、自分で設計した基板にも係わらず、どのパーツをどこに挿し込んだら良いのか、基板のシルクを見ないと全く分からない。あかんがな。
まあビアホールにはパーツを半田付けはしないので、ビアホールの銅箔ランドは表も裏も黒色レジストで覆われている。パーツを半田付けする普通のランドはレジストで覆われていないので、有鉛ハンダメッキの銀色の光沢がある。
なので基板に描いたシルク印刷や、ランドが銀色かどうかなどをチェックしながらパーツのリード線を挿して行けばパーツの取り付け間違いは起きにくい。
と言いつつ、一つの抵抗を挿し込むのにどの穴か迷ってKiCAD画面で確認しながら、10分くらい掛かってようやく挿し込んだ箇所も幾つかある。
なお、ぺるけさんの製作記事では、抵抗を立てて取り付ける場合に、下写真の〇で示す箇所は電圧計測し易いように抵抗のリード線にテストクリップを引っ掛けられるようになっている。
つまり、抵抗の取り付けの向きも指定されているのだ。
写真 ぺるけさんの製作例では抵抗のリード線の向きも指定されている
引用元 http://www.op316.com/tubes/mw/mw-19v-p5.htm
ワテの場合もこの写真に沿って基板を設計したので、抵抗の向きもこの写真に準拠したのだが、KiCADで描いたワテのパターンはぺるけさんオリジナルパターンとは完全には一致していない。
なので抵抗の向きがどっち向きにすべきなのか十分調べていない箇所もある。
まあ、抵抗の取り付け向きは多少はぺるけさんオリジナルとは異なっているが、まあいいわ。
と言いつつ、抵抗をどっち向きに挿し込むかで二十分くらい迷った箇所も幾つかある。まあ慎重派のワテである。決して優柔不断では無い。同じやがなw
取り敢えず、完成を目指そう。
ワテがKiCADで基板を設計した記事はこちら↴
プリント基板固定台を早速使ってみる
今回買ったプリント基板固定台は、使い易くていい感じだ。
もう十年くらい前から、なんらかのプリント基板固定台が欲しいなあと考えていたのだが、自作する事も考えたのだが、たまたまネットで見付けたこの製品を買ってみたのだが、正解だった。
写真 抵抗のリード線を半田付けしている様子
これから抵抗を半田付けするのだが、基板を裏返すと抵抗が抜け落ちてしまう。
その対策としては、ワテの場合には上写真に写っているように養生テープ(緑色)で抵抗を固定しておく。マスキングテープを使う人も多い。
なお、このプリント基板固定台は、YouTube動画でも解説されている。
Avenと言うアメリカの会社の製品だ。
各種のツールを販売している、総合ツールメーカーと言う感じかな。
まあ、数千円のツールを十年以上検討して購入するくらいの超慎重派のワテであるw
電源回路の動作確認を行う
まあ兎に角、電源回路のパーツを付け終わったので、早速動作確認をしてみた。
下写真の基板下部からワテ所有の高砂製作所の安定化電源を使ってDC19Vを与えた。
写真 ぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)の電源回路の動作確認の様子
上写真では10Ωの多回転型ポテンショメータが二個写っているが、これは電源回路とは無関係だ。
うっかり間違えて先に取り付けてしまった。なのでこの電源回路は多回転型ポテンショメータで出力電圧を微調整出来る訳では無くて、固定電圧だ。
さて、上写真のようにテストクリップを使ってワテ所有の高砂製作所の安定化電源からDC19Vを電源回路に与えた。
写真 ワテ所有の高砂製作所の安定化電源を使ってDC19Vを与えた
その結果、正負電源の電圧出力は以下の通り。
ぺるけさんの製作記事には、電源回路の出力電圧の値が記載されている。
ワテの実測値と比較してみた(下表)。
プラス出力電圧[V] | マイナス出力電圧[V] | |
ぺるけさん規定値 | +9.35±0.3 | -9.25±0.3 |
ワテ実測値 | +9.665 | -9.364 |
表 ぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)の電源回路の出力電圧規定値と実測値
まあ、ワテ実測値のプラス側がぺるけさんの指定値の上限から15ミリボルトほど逸脱しているが、まあ大丈夫だろう。
ワテの場合は、現状ではアンプ部の無い状態での電源回路のみの測定値なので、アンプ部回路も実装して完全な状態で計測すると正負電源回路の電流のバランスが若干変化して、これらの測定値も若干変わると思われるからだ。
リレーの逆起電圧(サージ)対策のダイオードを追加しておいた
ワテの場合、秋月電子で買ったラッチングリレーを最近何度か使った。
例えばこの記事↴
或いは、リレー式の突入電流防止回路も最近作った。
なので、リレーを見ると逆起電圧(サージ)が気になる。
このぺるけさんのミニワッターPart5(19V版)の場合、電源回路には突入電流防止回路が入っていて、電流制限抵抗とリレーを用いたオーソドックスな回路だ。
ところが何故かそのリレーのコイルには逆起電圧(サージ)対策のダイオードが付いていないのだ。
その理由は分からないが、ワテの場合には下写真のように念のために1N4007(汎用整流用ダイオード 1000V1A)を付けておいた。
写真 突入電流防止回路のリレーコイルに逆起電圧(サージ)対策のダイオードを追加した
もしダイオードが無い場合には、コイルに並列に入っている2200uF/16V(ワテは2200が入手出来なかったので3300uF/16Vを付けた)に100V程度の逆起電圧(サージ)が掛かるので、何度も電源をオン・オフすると電解コンデンサが劣化するのかな。
この1N4007(汎用整流用ダイオード 1000V1A)を選んだ根拠は、オムロンさんのリレーの解説記事を参考にした。
https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq02804.html#(2)_コイルサージ吸収回路を外付けする。
この記事の中に、コイルサージ吸収回路を外付けダイオードで行う場合には、ダイオードの逆耐電圧は「回路電圧の10倍以上」との説明がある。今回使っているリレーコイルは9V版なので90V以上で良いが、まあ手持ちにあった1000Vタイプのダイオードを付けたのだ。
ぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)のアンプ回路のパーツを取り付ける
さて、無事に電源回路が動作したので、いよいよアンプの部分の製作に取り掛かる。
作業中の写真を撮り忘れたので、下写真はほぼ完成した状態だ。
ただし、トランジスタ・FET類の取り付けは未だ行っていない。
写真 ぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)のアンプ部の半田付け途中
今回は専用基板をPCBWayさんで作って貰ったので、半田付け作業自体はパーツを指定場所に挿して半田付けして行くだけなので、非常に効率よくサクサクと作業が進む。
ところが、途中で幾つかトラブルも経験した。
一つ目のトラブルは、今回採用した銅箔は70ミクロン厚なので標準的な35ミクロン銅箔と比較して倍の厚さだ。かつトップとボトムの両面に配線を平行に這わせてビアで連結している箇所が多いのだ。その結果、ワテが使っている25W半田ゴテでは若干熱量不足になる場合があり、半田付けがやり辛い。
まあ、その場合には、半田ゴテで十分に銅箔を熱してから半田付けを行えばすんなりと行くが、せっかちになって十分に銅箔を温めずに半田を溶かしても半田が流れずに芋ハンダになるのだ。
なので、慌てずにじっくりと銅箔を半田ごてで温めてから丁寧に半田付けを行ったら上手くいった。
二番目のトラブルは、両面スルーホール基板なので一旦半田付けをしてしまうと、取り付け間違いを見付けてもそのパーツを取り外す事が非常に困難なのだ。半田吸い取り銅網線を使っても中々うまく行かないのだ。その理由は上で紹介したように銅箔が分厚いので目的の箇所が中々温まらないのだ。
実際、1/4Wタイプの金属皮膜抵抗を一個、値を間違えて取り付けてしまった事に気付いて、交換するためにその間違えたやつを取り外そうとしたのだが、はんだシュッ太郎を使っても上手く吸い取れない。
悪戦苦闘して、最終的には半田吸い取り銅網線を使ってじっくりと丁寧に半田を吸い取ったら無事に抵抗は外れたのだが10分くらい掛かってしまった。
なので、この手の両面スルーホール基板に半田付けする場合には、絶対に部品の取り付け間違いをしないように心がけると良いだろう。
2SK170BLペアFETの選別と半田付け
このミニワッターPart5(19V版)では、初段には東芝Nch J-FETの2SK170BLをペアで使う。
FETの選別には、これまたぺるけさん設計のFET & CRD選別冶具(改訂版)をワテも自作してそれを使った。
写真 FET選別冶具を使って高精度に選別した2SK170BLペア
上写真の2SK170BLはどこで買ったのか忘れたなあ。
確かサトー電気さんだったかな。
ちなみにワテの場合、サトー電気さんのお店にも行った事がある。
横浜、町田、川崎の三カ所にあるが、横浜のお店だったかな。横浜と言っても小机駅とか言うちょっと辺鄙な感じの駅で降りた記憶がある。
サトー電気 横浜店のストリートビュー
こう言うお店が近所にある人は羨ましいなあ。
さて、ワテが自作したぺるけさん設計のFET & CRD選別冶具(改訂版)の製作記事はこちら↴
J-FETとは何かはこちら↴
高精度にVgsを計測してペアにした2SK170BLをアロンアルフアで貼った。
貼り合わせ位置がちょっとずれた。
写真 FETペア2SK170BLをアロンアルフアで貼り合わせて熱接合した
本当はエポキシ系接着剤で貼れば接着剤が硬化するまで数分あるので、位置ずれを修正出来たのだが、二液混合タイプのアラルダイトを混ぜるのが面倒だったので、安易にアロンアルフアで貼ったので位置ずれしてしまったのだ。
まあ気にしないw
三日間くらい気になるが。
出力段コンプリメンタリーパワートランジスタの半田付け
一方、出力段のコンプリメンタリーパワートランジスタにはぺるけさんの製作例では、三種類のコンプリペアトランジスタの候補が記載されている(下表)。
ぺるけさん製作例(三番目) | 二番目に採用 | 最初に採用 | |
Nch | 2SD2012 | 2SC4935 | 2SC4881 |
Pch | 2SB1375 | 2SA1869 | 2SA1931 |
引用元 http://www.op316.com/tubes/mw/mw-19v-p5.htm
出力トランジスタに関するぺるけさんの説明文を以下に引用させて頂く。
当初採⽤した2SA1931/2SC4881がかなり前に終了し、2017年にはいって2SA1869/2SC4935も⼊⼿不能となって同年4⽉に頒布が終了しました。
後継は2SB1375/2SD2012です。
これ以外では2SB1274/2SD1913が好結果を出しています。
使⽤するトランジスタによって100kHz以上の帯域の挙動が異なるので、位相補正コンデンサの定数に微妙な違いがあります。
引用元 http://www.op316.com/tubes/mw/mw-19v-p5.htm
このぺるけさんの説明文の中にある位相補正コンデンサとは、下図に示す負帰還回路に入っている22pFか33pFのコンデンサの事なのだが、ワテみたいなズボラな性格なら22pFも33pFも大して違わないんじゃないの?などと思うのだ。
でもぺるけさんの場合には実際に音の違いを耳で聴いたり、オーディオアナライザーなどの測定器を駆使してパーツの値を微調整を行ったりして、物凄くきめ細かいチューニングをされているようなので、ワテもこの回路図の通りに製作するつもりだ。
図 ぺるけ式トランジスタ式ミニワッターPart5 19V版の回路図
引用元 http://www.op316.com/tubes/mw/mw-19v-p5.htm
ワテの場合には、手持ちに2SC4881/2SA1931がそれぞれ何個か有ったので、それを使う事にした。
出力段のトランジスタのhFEに関するぺるけさんの説明文を以下に引用させて頂く。
出⼒段の2SB1375/2SD2012は、hFEが180未満のものは避けて、かつ左右で値が揃ったものを使⽤してください。なお、2SBと2SDが同じに値になる必要はありません。出⼒段のトランジスタによって物理特性は微妙に変化します。これ以外のパワートランジスタも使えないわけではありませんが、アイドリング電流の調整および⾼域の位相補正のチューニング
が必要になり、それを⾏うにはSEPP回路および半導体の基礎知識と実験環境が必要になります。
引用元 http://www.op316.com/tubes/mw/mw-19v-p5.htm
ワテ自作のhFEテスター直読式を使ってhFEを計測してみたのだが、手持ちの2SC4881や2SA1931は、hFEの値が120くらいから170くらいの物が多くて180以上のものは無かった。
残念w
まあ兎に角、細かいことは気にせずに完成を目指す。
hFEがバラバラでもワテの駄耳には聞き分けられるとは思えないし。
で、二組の2SC4881/2SA1931ペアを基板に半田付けした。
写真 二組の2SC4881/2SA1931ペアを基板に半田付けしている途中
バイアス回路のダイオード1NU41を半田付けする
残す作業は、ダイオードの取り付けのみだ。
この1NU41はバイアス電圧を決めるが、それはアイドリング電流に影響するのであまり順電圧の大きなダイオードは適さないとの事だ。その辺りに関する説明文をぺるけさんの記事から引用させて頂く。
ダイオード、LED・・・出⼒段のバイアス⽤には、順電圧がUF2010よりの低めの1NU41が適しますが、放熱器の⾯積が25平⽅cm以上を確保できるのであればUF2010も使えます。
1N400Xシリーズや10DDA10などの1Aタイプでは、出⼒段のアイドリング電流が多くなりすぎるので使えません。PS2010RやPG2010も使えません。
引用元 http://www.op316.com/tubes/mw/mw-19v-p5.htm
ワテの場合には1NU41を持っていたのでそれを使った。
下写真のようにサンハヤトのリードベンダーを使って足を折り曲げると綺麗に曲がる。
ダイオード1NU41を取り付ける場合の注意事項は、ぺるけさんの説明では以下の通り。
・1NU41・・・温度制御のセンサーなので基板から浮かさないでできるだけ密着させる。
当初はこの説明を見逃していて、基板から少し浮かせて取り付けてしまうところだったw
半田付けする直前に気付いたので、危うく難を逃れる事が出来た。
もしウッカリして気付かずに浮かしたまま半田付けしてしまっていたら、またしても半田吸い取り銅網線やサンハヤトの半田シュッ太郎NEOを使ってやり直さなくてはならなかったのだが。
完成したぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)
で、多少のトラブルは有ったが、まあ、順調に半田付け作業は完了した。
写真 半田付け作業が完了したぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)部品面
抵抗は主にKOA製。
電解コンデンサの大型のやつは秋月のルビコン(3300uF/16V)、基板の端に二個ある茶色の小型電解コンデンサ(100uF/10V)は日本ケミコンだ。
[P-09526] 電源用電解コンデンサー 3300μF16V105℃ ルビコンZLH 通常在庫商品
1個 ¥90(税込)
105℃タイプにもかかわらず一個90円なのは安いほうだろう。
リレー式突入電流防止回路に使われている2200uF/16Vは入手出来なかったので、同じくルビコン3300uF/16Vを使った。なのでリレー動作時間が若干伸びるかな。あまり長い場合には750Ωを変更して調整する予定だ。
100μH(1.2A、180mΩ)のインダクタは一個50円くらいのジャンク品だが、お店を信用するならメーカーは太陽誘電らしい。
フィルムコンデンサ青色はマルツで買った
積層メタライズドポリエステルフィルムコンデンサー 50V 0.47μF(10個入)【MMTC50J4740050*10】
積層メタライズドポリエステルフィルムコンデンサー 50V 0.15μF(10個入)【MMTSL50J15406810200*10】
などだ。一個20円くらいなのでやっすい。
差動増幅回路二段目のトランジスタに取り付けた位相補正の100pFは、これまた秋月で買ったやっすいスチコンだ。
スチロールコンデンサ 100pF50V[PSR101K500RB]
1個 ¥20(税込)
スチコンは安いけれど周波数特性が良いらしいので使ってみた。ただし、半田ゴテの熱で溶けやすいので短時間で半田付けを行う必要がある。自称半田付けの上級者のワテには簡単だw
オレンジ色のやつはニッセイのフィルムコンデンサで、どこかのジャンク屋で買ったヤツだ。アンプ出力のところの0.022uF+33ΩからなるZobelフィルターと言うやつに使ってみた。
まあ、基板が黒で、電解コンデンサも黒で、リレーも黒いので、オレンジ色のニッセイフィルムコンデンサを二個取り付けてアクセントを与えたのだ。
電子回路に配色のバランスを考慮する自称電子回路芸術家のワテである。
まあ、電子回路は見た目も大切だ。
ただし見た目を重視する余りに、完全左右対称にパーツを配置するプリント基板を設計している例を見るが、そこまでやる必要性はワテは感じない。
自然に配置して完全左右対称になったならそれで良いが、対称性を最重要視する余りに銅箔配線パターンを無理やりにクネクネ曲げてまで、部品配置の対称性を実現するなんてのは本末転倒だろう。
まあ、人それぞれ、好き好きだから批判するつもりはないが。
あと、基板中央にある緑色のコンデンサは秋月電子で買った10uFのバイポーラコンデンサだ。
オーディオ用無極性電解コンデンサー10μF50V85℃ ニチコンMUSE・ES
[UES1H100MPM]
まあ積層セラミックなどでも良かったのだが、一個20円と安かったのと、オレンジと緑色が調和するかなあと考えたのだ。
と言う事で、上写真のように全体は黒で統一して、その中にオレンジ、水色、鮮やかなグリーン、茶色が数箇所にバランスよく配置されているので、まだ音を聴いていないにも係わらず物凄く良い音が出る予感がするのだ。ほんまかいなw
でもまあ、どんな電解コンデンサも表面の被覆を剥ぎ取ってしまえばどれもアルミ色の円柱形だ。
金色とか鮮やかな緑色とかの煌びやかな被覆を被せた「オーディオグレード」とか「高音質」とか、そんなキャッチフレーズが付いていても中身は、普通の茶色の電解コンデンサと大して変わらないとワテは思っている。
ワテは下写真のような日本ケミコンの茶色の電解コンデンサが一番好きだ。
と言いつつ、やっぱりワテも鮮やかな色のコンデンサ使いたい時があるのだ。
こんなやつ↴
ちょっと高いなw
半田付け作業は数日に分けて行ったが、延べ作業時間としては三時間くらいかな。
半田面の写真を以下に示す。
写真 半田付け作業が完了したぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)半田面
今回製作した専用基板は、部品面も半田面も両方にシルク印刷を行ってパーツの形状や極性などを書いておいた。
少々シルク文字が多過ぎたかも知れないが、まあ、文字が少なくて迷うよりも、多過ぎても迷わずに間違い無くパーツの取り付けが出来るほうがやり易いかなあと思ってシルクを書き捲ったのだ。
でも、ちょっと多過ぎたかも知れない。次回製作するなら、シルクは必要最小限にするほうが分かり易いと思う。
あとは動作確認だ。
まとめ
当記事では、ぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)の製作過程を紹介した。
使用したプリント基板は、ワテがぺるけさんの製作記事にあるタカス基板を用いた回路例を参考に、KiCADで描いたものだ。
そのガーバーデータを使って2020年4月に中国のプリント基板製造業者さん(PCBWay)に製作依頼していて、一週間で到着したのだ。
両面スルーホール基板で銅箔厚は標準の倍の70ミクロン。
半田付けでは25Wのコテを用いたが、銅箔が分厚いので十分に加熱してから千住スパークルハンダを当てないと、中々溶けない。
最初は戸惑ったが、自称半田付けの達人(あくまで自称)なので、その後はコツを掴む事が出来たので、大きなトラブルも無く半田付け作業は完了した。
電源部を製作した時点で単体テストを行い、正負出力電圧がぺるけさんの指定値の範囲にほぼ収まっている事を確認出来た。
使用したパーツは、自宅在庫やネット通販で購入した。具体的には、秋月電子、マルツエレック、共立エレショップさん、ヤフオクなどだ。
色んなお店で買うと送料も馬鹿にならない。秋葉原の幾つかのパーツ屋さんの店頭でパーツを買ってまとめて発送してくれるサービスでも有れば便利なのだが。誰かそんなビジネス始めないかなあ。
一回当たりの手数料は、購入パーツ総額の5パーセントあるいは最低100円くらいに設定して。あとは送料は定形外郵便なら100円前後で送れるし、大きくても佐川急便、クロネコ、ゆうパックなら600円前後で送れるから。ワテがやるかなw
ぺるけさんの製作記事は、使うパーツが汎用品で入手し易いものが使われているので、ワテみたいな自作好きには嬉しいのだが、難点としては、タカスのユニバーサル基板に細い銅線(Φ0.3前後)をホッチキスの針みたいに加工して、基板の穴に通してランドを連結すると言う斬新な方法が採用されている。
ワテも、ぺるけさん設計のFET式平衡型差動プリアンプVersion2を製作した時には、その手法に完全に準拠して完成させたのだが、兎に角細かい作業なのだ。
ワテにはそんな細かい作業はあまり向いていない。
と言う事で、KiCADでパターンを描いて自作の両面スルーホール基板を作成したのだ。
かなり高密度にパーツが密集していて、パターンも表面と裏面に縦横に密接して走っているので、ワテが使っている27インチ液晶ディスプレイでは多数の配線が重なって描画されるので、もう訳分からんと言う感じだった。
こんな液晶ディスプレイが有ればKiCADの設計作業が捗るだろう。
回路図エディタ(Eeschema)とレイアウトエディタ(Pcbnew)の画面を同時に左右に並べて表示出来るからだ。また十年くらい検討して買うかな。今のところ、検討して2年目くらいなので、8年後かw
でもまあ小さいディスプレイでも二週間掛かりで必死に設計してどうにかガーバーデータを生成するところまで漕ぎつけて、そのデータをPCBWayさんにアップロードして両面スルーホール基板を発注したのだ。
やっぱりプリント基板は専用基板を設計して外注するのに限る。
自宅で塩化第二鉄を使ってエッチングする必要すらない。
皆さんにもお勧めしたい。
ぺるけさん設計のFET式平衡型差動プリアンプVersion2について
ちなみにこのぺるけ式FET平衡プリは、ワテのPCオーディオシステムには無くてはならないプリアンプになっている。
ノイズは皆無で自然で透明感のあるアンプなのだ。何時間も聴いていてもその存在を自己主張する訳でもなく、無色透明と言う感じのナチュラルサウンド!
なので、今回製作するミニワッターPart5(19V版)も、もし平衡入力型に改造できれば、
AKI.DAC ------ 平衡プリ ====== 平衡ミニワッター ------ スピーカー
の接続で === の部分をバランス接続出来る。
その為にはミニワッターを例えばBTL接続化すれば出来ると思うので、今回作成する基板が一枚有ればBTLステレオアンプの片チャンネル分になる。
なので、同じミニワッター基板をもう一枚作成すればワテの平衡化の野望は実現するのだが、確かにそれでアンプの出力は4倍(になるのかな?)になるが、音の違いは聞き分けられないと思うでやめておくw。
トランジスタミニワッターPart5(19V版)のBTL化に関して
ぺるけさんの掲示板の過去ログを見ていて以下の記述を見付けた。
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トランジスタ式ミニワッター 投稿者:ぺるけ 投稿日:2019年 1月27日(日)12時56分52秒
通報 返信・引用 編集済
もっぱらBTL使用で割り切るなら、電源は2chを繋いでしまうと回路内の信号電流ルートがBTL本来の姿に美しくなります。
0.47Ωが二個ずつ並列に0.235Ωになるように繋ぐわけ。
スピーカーを流れる信号電流がコンデンサを通らなくなくなります。
えっと、このぺるけさんの説明を図解すると下図のようになるのかな?
図 トランジスタミニワッターPart5(19V版)のBTL化案
まあ確かに、スピーカーに流れる電流は電解コンデンサを通らないぞ。そう言う事か。
入力にはぺるけ式平衡プリを繋げば、パワーアンプ側には反転回路なども必要無いから作り易い。
プリント基板はまだ9枚残っているからBTL版トランジスタミニワッターPart5(19版)を作ってみるかなw
今後の予定
アンプを入れるシャーシは、自作したいと考えている。
タカチなどの既製品を買うと言う選択肢もあるが、値段が高いし、金属加工は手間が掛かるから、今回は見送る。
その代替案として、木工作業で木箱を作ってその中にアンプを組み上げるなどを検討している。それなら材料費1000円~2000円くらいの予算で出来ると思うので安上がりだ。
乞うご期待
半田付け作業を格段にやり易くする三種の神器はこれだ!
続編記事
コメント
FET選別でたどり着きました。
軽妙な語り口でいつも楽しみに読ませていただいております。
Twitterもフォローさせていただきました。
これからもいろんな記事をアップしてください。
kobabun2315様
この度は小生の記事にコメントありがとうございました。
電子部品を溜め込んでいても勿体ないので、今後もどんどん使って各種の自作機器を作りたいと思っています。
何か面白いテーマとか話題がありましたらお教え頂けると嬉しいです。
現在進行形で19V版トランジスタ式ミニワッターを製作している者です。
他の方の製作例を知りたくて検索していたところ、こちらのサイトを見つけました。
専用基板の設計について興味深く読ませて頂いています。
自分はリファレンス通りに基板を組んで延べ16時間程掛かりましたが…
『KiCADを使って基板設計に要した時間は約30時間』という記述を見て、楽な道は無いんだなあ、としみじみ思いました。笑
完成まであと少しですね。次回の記事も楽しみにしております。
prism_light様
この度は小生の記事にコメントありがとうございました。
ぺるけ式TRミニワッターPart5(19V版)の製作はスローペースですが、暇な時に少しずつ作業しています。
先日は木製のシャーシの自作も完了したので、残すは配線作業のみです。
一発で動けば良いのですが。
専用基板を設計しましたので、正常に動作すれば良いのですが、もし何か問題があると基板設計から全部やり直しになる可能性もあります。それは避けたいんですが…
KiCADの操作は、私の場合、この基板で二回目の設計ですので、ようやくKiCADの基本的な操作をマスター出来たくらいのレベルです。
根拠はありませんが、慣れた人でしたら10時間程度で私と同じくらいの基板を設計出来るんじゃないかと思います。
また何か良い情報が有りましたらお教え頂けると嬉しいです。