写真 スマホ音楽をBluetoothで飛ばしてレシーバー付きアンプで鳴らしているカーオーディオ女子
このところ、車を車中泊仕様にする為に色々と工作をしているワテであるが、今まで以下の作業を行った。
- 荷台の床に合板を敷いてフラット化し、布団を敷いた
- 天井後部に棚を取り付けてスピーカーを搭載した(JBL Control 1Xtreme)
- ミラー取り付け型のドラレコを取り付けた(前後カメラ付き)
- 網戸を作成した(本格的で高級感ある木製網戸が完成)
- 車内右側に棚を自作した(ノートパソコン作業用、食卓など兼用)
- AC100V機器が使えるようにポータブル充電器を買った
等だ。
後方の天井に棚を取り付けて、先日エッジを自分で修理したJBL Control 1Xtremeを載せてみたのだが、アマゾンで買った安いデジアンで鳴らしてみても割といい感じの音だ。
でも、やはり背後から音が聞こえて来るのは物足りない。出来ればフロントスピーカーも搭載したい。
ワテのハイゼットカーゴデラックスは商用車なので、標準ではドアスピーカーすら付いていない。あるのは、スピーカー一体型のAM/FMラジオのみ。どこがデラックスやねん!?と突っ込みたいくらい簡素な装備だ。まあパワーウィンドウ(運転席、助手席)、集中ドアロック、リモコンキーは付いているが。
ほんなら自分でフロントスピーカーを取り付けて、アンプも自作して自作カーオーディオシステムでも作ってみるかなあと思い立ち、少しずつ作業を行っている。
当記事では、自作カーオーディオ用のアンプ自作の様子を備忘録として記事してみた。
では、本題に入ろう。
LM3886でアンプを自作する
パーツボックスを整理していたら、昔買ったLM3886アンプ基板が四つ出て来た(下写真)。
確か、秋葉原のaitendoで買った記憶がある。aitendoさんは現在は台東区上野に引っ越しているが、まだ秋葉原にお店が有った頃に行った記憶がある。
LM3886とは何か?
さて、LM3886とはナショナルセミコンダクタ社の有名なオーディオ用ICだ。
外付けの抵抗やコンデンサを数個取り付けて、正負電源を与えるだけで高性能オーディオパワーアンプが構成できるのだ。単電源で使う事も出来る。
海外製の高級アンプの蓋を開けてみたら、LM3886が使われていたなんて言う話もある。
引用元 ナショナルセミコンダクタ社のサイト
で、ワテの場合には、何年も前にひょんなことからLM3886を数個入手したのでアンプを作ろうと思ったのだが、LM3886はこのあと写真が出て来るが11ピンの足があり、前後二列になっていて、普通の2.54mmピッチのプリント基板には刺さらないのだ。
自分でプリント基板を設計出来れば良いのだが、面倒だし。で、偶々秋葉原に行く機会があり、aitendoさんに足を延ばしてみたらLM3886アンプ基板が150円で売っていたので4枚買って帰った。
ところがその後、何だかんだと忙しく、LM3886アンプ作りは中断していた。
それを先日、パーツボックスから発見したのだ。
よっしゃ、これを使ってカーオーディオアンプを作るぞ。
LM3886アンプの回路図
aitendoさんのサイトにある回路図を引用させて頂くと以下の通り。
図 LM3886アンプの回路図(引用元 aitendoさんのサイト)
LM3886の仕様書を見ると、電源電圧範囲20~94Vなので、±10~±47Vの電源を与えれば良いのかな。aitendoさんのキットの場合には±20~±35が推奨されているのでワテもそれくらいの電圧で使う予定だ。
あとは、六個の抵抗と五個のコンデンサを付ければ良いので簡単だ。
図 LM3886アンプのプリント基板(引用元 aitendoさんのサイト)
aitendoさんのプリント基板は何種類かのバージョンがあるようだが、ワテが見た感じでは基板のパターンはどれも同じで、色や文字が異なっているだけのようだ。
aitendoさんのLM3886アンプに必要な部品リスト(アンプ一台当たり)
種類 | 値 | 個数 | 備考 |
⾦属⽪膜抵抗 | 1/4W 22KΩ(R2、R3、R5) | 3 | 購入予定 |
⾦属⽪膜抵抗 | 1/4W 1KΩ(R4、R6) | 2 | 手持ち有り |
電解コンデンサ | 50V100uF(C1、C2、C3) | 3 | C1, C2は手持ち120uF使う。C3は購入予定。 |
電解コンデンサ | 50V22uF(C4) | 1 | 購入予定 |
アンプチップ | LM3886TF(ZIP)(IC) | 1 | 手持ち3個なので1個購入予定 |
フィルムコンデンサ | 1uF(C5) | 1 | 手持ち有り |
酸⾦抵抗 | 1W 0.1Ω(R1) | 1 | 購入予定 |
端⼦台 | 3P | 1 | 使わない |
端⼦台 | 2P | 2 | 使わない |
表 LM3886アンプの必要パーツ(引用元 aitendoさんのサイト)
端子台は使わない事にした。まあ端子台が無くても直接半田付けするほうが電気的な接合と言う点では確実で不要な接触抵抗を作らずに済むからだ。
入力にある1uFのフィルムコンデンサはアンプの音に影響しそうなので、超高級オーディオ用フィルムコンデンサを使いたい所だが、そんな予算は無いので手持ちにあった30円くらいで買ったNISSEIのメタライズドフィルムを使う。
何でこんなに高いんや?
LM3886アンプの完成予定図
表 LM3886アンプの完成写真例(引用元 aitendoさんのサイト)
使用するパーツに付いて
パーツボックスの整理も兼ねて、手持ちにあるパーツを優先して使う事にした。
100uF50Vの電解コンデンサは手持ちに無かったが、120uF50Vは何個か有ったので、電源の所の100uF(C1, C2)は120uFに変更した。
入力のフィルムコンデンサ1uFは、ジャンク屋で買ったニッセイのメタライズドポリエステルフィルムコンが有ったのでそれを使った。
LM3886は手持ちが3個だったので、追加で1個買う事にした。
足りないパーツを秋月などから購入した
出力の所の抵抗0.1Ωは、aitendoキットだとリード線型の酸化金属皮膜抵抗1Wが使われているが、秋月に有った金属板抵抗器(福島双羽電機株式会社)MPC74(2W)を使った。理由は足の間隔がプリント基板にピッタリ合いそうだったので。
10KAのボリュームを四つ買った。各アンプの入力に入れて個別にゲイン調整できるようにする予定だ(結局このボリュームは付けなかった。ゲイン調整は前段のプリアンプで行う事にしたので)。
LM3886アンプの製作開始(半田付け作業のコツ解説)
サンハヤトのリードベンダーで抵抗の足を曲げる。
電子工作をするなら、半田ゴテやラジオペンチなども必要だが、このサンハヤトのリードベンダー RB-5も必須のアイテムだ。
2.54mmピッチの整数倍の寸法にピッタリ揃う長さで足を曲げる事が出来る。
その結果、プリント基板に挿し込んだ抵抗の見た目が揃って仕上がりが美しい。
写真 サンハヤトのリードベンダーでサクサクと足を曲げた抵抗
ワテの場合は、上写真で示すようにリードベンダーの数字が見えにくいので黒マジックで数字を塗って見易くしている。
半田付けには養生テープが大活躍
リードベンダーで曲げた抵抗をプリント基板に挿し込む(下写真)。
でも、そのまま裏返して半田付けしようとすると、抵抗が抜け落ちてしまう。
そんな貴方のお悩みを解決するのが、養生テープ!
抵抗の上から養生テープを軽く貼り付ける。
この状態で裏返しても抵抗は抜け落ちない(下写真)!
養生テープ以外なら、マスキングテープを使う人も多い。
半田付けする前にパーツのリード線をカットするのが良い
半田付けする前にパーツの足を適切な長さにニッパで切り取る(下写真)。
この時点でニッパで切らずに長い足のまま半田付けして、その後で足をカットする人もいるが、それでも悪くは無いが、正しいやり方としては先にニッパでカットしておくのが良い。
と言うのは、後からカットすると半田付けした部分に応力が掛かって最悪の場合には時間と共にクラックが入るなどのトラブルが起こるからだ。とは言ってもそれは宇宙に行く人工衛星の基板など高い信頼性が要求される基板を半田付けするレベルの作業の場合の注意事項なので、一般の電子工作ならいつリード線を切っても問題は無いだろう。
あとは、半田付けすれば完了(下写真)。
上写真でも分るように、パワーアンプ基板なので電流も多く流れるので、そう言う経路の銅箔は幅が広い。あるいはグランドパターンは全面に広がっている。
そう言う銅箔の幅が広い基板の場合、15Wくらいの小型の半田ゴテだと熱が基板に吸収されてしまって半田付けがやりにくいと思う。
ワテの場合には、下写真の25Wの半田ごてを使って作業した。
写真 ワテ自作の網の上にスポンジを載せる半田ゴテ台
上写真に示す半田ごて台は、網を下に敷いているので、コテ先から剥がれ落ちた半田クズが網の下に落ちて自動で回収できる優れものだ。
網が無い普通の使い方をすると、スポンジの上に半田の玉が沢山溜まって行くだろう。それを解決するのが網なのだ。
に解説記事がある。
コンデンサの半田付けにも養生テープは活躍
ワテの場合は、上写真のような電解コンデンサは、基板から1~2ミリくらい浮かすようにしている。その理由は、半田付け作業やその後の組み立て作業中にウッカリして手がコンデンサに当たり斜めに倒してしまう場合がある。
浮かさずにピッタリ基板に密着させた場合、コンデンサが斜めになるとリード線が引っ張られる方向に無理な力が加わる。最悪の場合、コンデンサを壊してしまう。でも少し隙間を開けていれば、その分の余裕があるのでリード線に無理な力が掛からないからだ。ただしこれはあくまでワテ流の方法なので、皆さん好き好きにして下さい。
養生テープはそう言う場合の隙間調整にも役立つ。
ワテの作業台の周りには、数枚の養生テープが貼り付けてあり、何回も繰り返して利用している。粘着力が無くなったら新しく補充すれば良い。
パーツがプリント基板の穴に入らない時にはニッパで曲げると良い
下写真に示すように、0.1Ωの金属板抵抗MPC74の足間隔が若干広いのでプリント基板のスルーホールに無理に入れると広がってしまう。
そう言う場合には、下写真右に示すように、ニッパで足を整形してやればスムーズに挿し込める。
写真 ニッパで足間隔を少し広げた(右)
このように整形してやれば、スムーズに基板に挿せる。
あとは養生テープを使って金属板抵抗を固定して半田付けする。
半田付け作業には実体顕微鏡がお勧めだ
ワテの場合、中古で入手したニコンのSMZ実体顕微鏡を使っている。
リング照明は白色LEDを48個と、自作のPWM制御回路を使って光量を0~100%まで制御できるようにしている。コンパレーターICのLM393を1個で実現しているお勧めPWM回路だ。
手持ちに無い電解コンデンサは秋月電子通商の通販で買った。
オーディオマニアな人は、「オーディオグレード」などのコンデンサや抵抗を好んで使う人も多いが、ワテの場合にはあまり気にしない。そう言うのは値段が高いし、それにワテの耳では聞き分けられないと思うので。
でも今回は「オーディオ用」と書いてあった電解コンデンサを買ってみた。理由は、普通のタイプと値段もあまり違わなかったのと、サイズ的にも丁度良さそうだったので。
写真 秋月のオーディオ用高級電解コンデンサ(大:ニチコン、小:エルナー)
上写真の二つの電解コンデンサもプリント基板のスルーホールにリード線がピッタリ刺さるように、事前にニッパでリード線を整形して曲げ加工している。
取り敢えず1台完成
サクサクと半田付けしたら、10分も有れば1台のアンプが完成した。
手持ちのLM3886は3個、そこに追加で秋月から1個買った(上図右端)。
その拡大写真を下に示す。
写真 手持ちのLM3886(左)と秋月LM3886(右)
秋月で買ったLM3886(右写真)には文字が見えないが、実際は薄い文字が描かれている。どちらもナショナルセミコンダクタ社のロゴマークがある純正品だと思う。
まあ、4個のうち1個だけロットが違うけれど、まあ音の違いなどは分からないと思うので気にしない。
LM3886はヒートシンクに取り付ける予定なので、基板に対して垂直に取り付ける。
その為に、差し金を使ってLM3886の背面と基板の角度を90度になるようにした。
無事に一台のアンプが完成した。
LM3886アンプの特性を実測してみる
早速、パルスジェネレータとオシロを使って周波数特性を調べてみる。
手持ちの高砂電源の安定化電源を使って、
赤 +30V
緑 GND
青 -30V
をアンプに加えた(下写真)。ミノムシクリップがショートしそうで、少々危ないがまあいいや。
パルスジェネレータで10KHzで±1Vの方形波を入力(写真下)。
出力 20V/div |
|
入力 1V/div |
アンプ出力が写真上の波形だ。20Vレンジなので約18倍くらいのゲインかな。
下写真は、入力50KHz(写真下)の場合の出力波形(写真上)だ。
出力 20V/div |
|
入力 1V/div |
まあ、立ち上がりや立下りが鈍っているが、まあまあ良さそうな性能だ。
ヒートシンク無しで実験していたら、数分後に何となく焦げ臭い匂いがしている!
慌ててLM3886を触ってみたが、アッチッチ!と言う程でも無かったので一安心。
まあ、本格的な性能測定はシャーシに入れて電源も完成してヒートシンクも取り付けた後でやろうと思う。
で、サクサクと四台のアンプを完成させた。
茶色のコンデンサ(ニッセイ メタライズドポリエステルフィルムコンデンサ)も秋葉原で買ったような記憶がある。確か秋葉原のスーパージャンク、日米商事さん辺りで買ったかも知れない。
縦長の電解コンデンサ120uF50V(エルナーRJJと印刷されている)も大昔にジャンク屋で買ったやつだ。どこだったかな、忘れた。
半田付けは短時間で仕上げるように注意したので、下写真に示すように半田表面に光沢があり、ワテとしてはいい感じで半田付けが出来たと思っている。それとaitendoさんの基板も半田の乗りが良くてやり易かった。
ワテが使う半田はもちろん「千住金属 スパークルはんだ」だ。鉛入りやに入りはんだの定番商品だ。
ワテが使うのは直径1.2mmと0.6mmだ。今回の組み立てには0.6mmを使った。
有鉛ハンダは半田付け後の仕上がりが光沢があり、いい感じになるのでワテ好みだ。
なお、半田は大き目のリールで一巻き買うのが経済的だ。値段は数千円するので高いけれど、一度買えば10年でも20年でも持つからだ。取り敢えず短い奴を買って試してみて、使い勝手が良かったらその大型版を買えば良い。でも迷っているなら「千住金属 スパークルはんだ」だ、これしかない。
まとめ
パーツボックスを整理していて見つけたLM3886アンプ基板を使ってオーディオ用アンプを自作する事にした。
今回の記事では、四つのLM3886アンプの半田付けが完了した。
今後の予定としては、以下の通り。
- 電源回路の製作
- アンプ四つと電源回路をタカチシャーシに入れる(ヒートシンクも取り付ける)
- 車にフロントスピーカーを取り付ける(ウーハーとツイーターの2Wayを予定)
- LowとHighの2Wayチャンネルデバイダーを製作して4chアンプと組み合わせてマルチアンプでスピーカー駆動する
などを予定している。
その結果、ワテの車中泊仕様ハイゼットカーゴに超高級マルチアンプ駆動オーディオシステムが完成するのだ。
スピーカーシステムはJBLの往年の名機パラゴン風のデザインを採用する予定だ。
車にパラゴン!
ほんまかいな!?
バカボンちゃうで!!
乞うご期待!
続編記事はこちら
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