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【ワレコの電子工作】格安で実験用の定電圧電源を作る【JFETの Idss測定】

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電子工作をする上で先ず必要なのは電源だ。

こう言う定電圧電源を持っていると便利だ。

 

オーディオ系の自作が趣味の人なら、正負の2電源が必要になる場合が多いので、同じ物を二台買っておくと良いだろう。直列接続すれば正負2出力の電源が簡単に得られる。

 

ワテの場合も、中古で入手した定電圧電源を2台使っている。

0Vから100Vくらいまでを自由に可変出力出来るので便利だ。

 

ちなみに一台で正負2出力が可能なトラッキング電源と言うのもあるが、その場合にはプラス電圧とマイナス電圧の絶対値が同じ値で変化する。

なので例えば、+20Vと-5Vが欲しいと思っても一般にはトラッキング電源では出力出来ないので要注意だ。

注意:上の製品は製品説明に「トラッキング動作が可能」と書いてあるがこれ一台ではトラッキング電源にはならない。二台あればトラッキング電源に出来るのだ。

直流安定化電源 AD-8735A

トラッキング動作が可能
2台を並列接続した場合、直流30V、6Aの電源として、直列接続した場合には直流60V、3Aの電源として使うことができます。

トラッキング機能のある電源が2台ある場合、一台を親機(マスター)、もう片方を子機(スレーブ)と設定して接続することができます。
このとき、親機の出力電圧を変化させると、それにともない子機の出力電圧も親機と同じ値に追従して変化します。
この動作をトラッキング動作と言います。

引用元 https://www.aandd.co.jp/adhome/products/sp/ad8735a.html

 

当記事では、このような市販の電源を買わなくても、ACアダプターを使って手軽にマルチ出力の定電圧電源を作る方法を紹介したい。

予算1000~2000円くらいで作成可能だ。

では本題に入ろう。

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多出力の定電圧電源を自作する

冒頭で紹介したような市販の出力可変定電圧電源は便利ではあるが、例えば±15Vで動作するオペアンプを使いたいとする。

その場合には、一台目の定電圧電源の出力ボリュームやスイッチを操作して、+15Vの出力に設定。

二台目の定電圧電源の出力は-15Vに設定。

ICでTTLの実験をしたいなら5Vに設定。

まあそう言う使い方でも良いのだが、毎回電圧を設定するのも面倒だ。

で、何か良い方法は無いかなあと思って部屋を見回すと、昔どこかで買ったまま使っていないACアダプターが幾つかある。

  • 出力 +20 DCV 5A 2台
  • 出力 +15 DCV 2A 2台

などだ。

どれも一個200円くらいで買ったジャンクだが、問題なく動作する。

例えばこんなやつ。

19V3.16A なのでかなり大型だ。

お勧めの入手先はヤフオク、あるいは、秋葉原や大阪日本橋電気街辺りの中古パソコンショップの店頭にダンボールでジャンク扱いで売っているようなのが狙い目だ。

複数のACアダプターをアルミシャーシに詰め込む

例えば同じ電圧のACアダプターが二台あり、直列に繋げば

+20V ~ 0 ~ -20V

のように±20ボルトの電源に出来る。あるいは

0 ~ +40V

の単電源として使っても良い。

ワテが持っているACアダプターは、小型のアンプか何かを作ろうかなあと考えて買っていたやつだが使わずに仕舞い込んでいた。。

使わないのも勿体ないのでこの際、このACアダプターをアルミシャーシ箱に入れてこんな風にした。

図1. ワテ自作の多出力定電圧電源装置

 

出力はいわゆるD-subコネクタの15ピンのメスだ。

ゲームポートあるいはDA-15コネクタとも言うらしい。

どのピンにどの電圧を割り当てるかは自由なのでワテの場合は適当に決めた。

端子台もジャンク屋で買っていたやつだ。

端子台を使わずに直接配線しても良いが、線の数が多いので端子台や平ラグ板(15極)あたりを使うと配線がスッキリするだろう。

端子台は正規品を買うと千円くらいするが、ジャンク屋だと百円くらいで売っている場合もあるので、自作派にはお勧めだ。

 

使い方としては、例えば2つの20V電源を使って出力電流を増やしたい場合には並列に繋げば10Aまで行ける。実際にそんな大電流を試した事はないが。

一方、直列に接続すれば

0 ~ 20V ~ 40V

-20V ~ 0 ~ 20V

などで利用出来る。

それらの接続変更は自作した機器のプリント基板側で必要に応じて自分で配線するようにした。

ACアダプターは並列や直列に接続しても良いのか?

ACアダプターはスイッチング電源が殆どだが、ネットで調べると、スイッチング電源の直列運転の仕方や並列運転の仕方についての解説サイトも沢山ある。

直列や並列で接続して使う場合には起動不良を防止するダイオードや、負荷からの逆流対策のダイオードを挿入する場合もあるらしい。

まあ、ワテの場合は何もしていない。ただし、今のところ直列あるいは並列接続では使っていない。複数のACアダプターを詰め込んだが、自作機器の電源としては 0-20Vなどの単体の電源としてしか使っていない。なので、将来直列や並列で使う場合にはダイオードなどを追加する必要があるかも知れない。

出力のコネクタの形状(D-SUB 15ピンメス)

実際のコネクタの写真は以下の通り。

図2. ワテ自作の多出力定電圧電源装置の出力コネクタ(D-SUB15メス)

 

電線もジャンク屋で何色も束になったのが安かったのを昔買っていたので使った。

それにスパイラルチューブを巻いて太目の熱収縮チューブを被せて自作した。

でもよく考えたら、このケーブルの部分は自分で作らなくても、D-SUB 15ピンが付いたこんなケーブルをジャンク屋で見付けて来ればそのまま流用出来るなあ。

それなら半田付けする必要もないし。

上記写真のピンには各種の電圧が掛るので、安全の為にメス型にした。

もしオス型にすると、15本の金属ピンが剥き出しなので、ショートの危険性があるからだ。

ちなみに、キャノンコネクタ(XLR)のオーディオ信号の場合なら、出力端子はオスを使い、入力端子にはメスを使うのが一般的なので、ワテが電源に採用したのとは逆になる。まあ、たぶん電源の場合には、ワテが採用したように出力にはメス型を使うのが一般的だろう。

 

なお、使った電線が太目だったので15本も束ねると上図写真のようにかなり太い。太いメリットとしては、線の上に重石を載せておくとその先端に小型の自作機器を挿しても動きにくくて安定性は良い。

あるいは、パソコンのアナログ信号入力のディスプレイでよく使われていたD-Sub 15pinミニケーブルなどでも良いかも。

図3. ディスプレイ用のD-SUBコネクタでも良いかも

 

ただし、端子が三列になるので、これに刺さるD-Subコネクタをプリント基板側への取り付けに苦労するかもしれない。

ピンの数も15でなくても良くて25ピンでも良いし。そうすればジャンク屋などでD-sub 25ピンなんて沢山売っているし、D-sub 25ピン付きのケーブルもシリアルポート通信などでよく使われるので、見付け易いだろう。

電源の本体写真も撮影したかったのだが、棚の隙間に設置しているので写真撮影が出来なかった。

アルミシャーシの安いやつに組み込んでいる。

JFETのIdss測定冶具を自作して使う例

で、実際に使っている図。

図4. ワテ自作のIdss測定冶具を+15Vで動かす例

 

これは、2SK30, 2SK246, 2SJ103などのJFETのIdss(ドレイン電流の最大値)を測定してペアを組むために作ったやつだ。

ゼロプレッシャーソケットでFETを差し替えられる構造にした。

普通のICソケットだと抜き差しが面倒だ。

あるいは、ソケットを使わずにこう言うテストクリップで引っ掛けて測定している作例もインターネット上で見掛ける。

でも、これは毎回三本足にクリップを引っ掛けるのが手間。

なので、ワテとしてはゼロプレッシャーソケットがお勧めだ。

だだし、ゼロプレッシャーソケットは3Mなどのブランド品は意外に値段が高い(3000円くらいする)ので、ノーブランド品が一個100円くらいで安売りしている時などに10個くらい買い込んでおくと、何かと役に立つ。

 

使った基板は

サンハヤト 小型ユニバーサル基板 ICB-90

だ。

とっても小さいのだが工夫をすれば沢山の部品を載せる事が出来るのでワテは良く使う。

JFETのIdss測定冶具を使う場合の注意

ソケットの差し込み位置は、

左 2SKxxx

右 2SJxxx

となっている。

2列あるが、手前でも奥でもどちらでも使える。

未使用の余分なピンに間違えて刺さないように白いテープで蓋をしている。

注意事項としては当然だが2SKと2SJを同時に挿してはいけない。

どちらか一方のみ挿す事。

またFETを裏返して刺さないように、マジックでFETを上から見た半月の絵を手書きしている。

あとはDGSの足の名前も手書きしている。

もう少し綺麗に描けば見栄えも良くなると思うが、ワテしか使わないのでまあいいか。

 

この場合は+15Vの電源を一つだけ利用している。

三端子レギュレータ7809で+9Vを作っているが、今考えれば+15Vのままでも良かったかも。

確か、元々のインターネットで見付けた参考記事では、006Pの積層電池の9Vで測定する回路図が掲載されていた(下図)。

なので、ワテもそれを忠実に再現する為に9Vにしたのかなと思う。

図5. Idss測定回路例

 

上記写真の自作例では、この二つの回路を一つのプリント基板上に載せて2SKと2SJの両方を計測できるようにしている。

ちなみに、三端子レギュレータの入力も出力も電解コンデンサ入れていないなあ。今気づいた。

まあ、動いているから問題ないのかな。

発振していたかもしれないので、今度利用する時には調べてみたい。

JFETのIdss測定冶具の回路図

JFETのIdss測定冶具の回路図を紹介したい。

9Vの三端子レギュレータ一個とゼロプレッシャーソケット、そして赤黒のチップジャックが二個の簡素な回路だ。

上述の通り、三端子レギュレータにコンデンサなどを付け忘れているので、同じ物を作成する人はその辺りは適当に追加すると良いだろう。

図 JFETのIdss測定冶具の回路図 by Wareko

回路の特徴としては、NchとPchのどちらのFETでもIdssを測定出来るようにした。

NchとPchの測定の切り替えスイッチなどは不要で、

Nchソケットに 2SK

Pchソケットに 2SJ

を挿せばそのIdssが測定できる。

利用する場合の注意事項が幾つかある。

  1. 差し込むソケット間違えて反対側のソケットに差し込むと正しく測定出来ない。
  2. つまりNch FETはNchソケットに、Pch FETはPchソケットに差し込む事。
  3. FETの足は東芝2SK30, 2SK246, 2SJ103などのJFETの[S-G-D]を想定している。
  4. NchとPchのFETを二個同時に差し込んで測定する事は出来ない。

などである。

それらの使用方法を誤って使った場合に、どのような事故が起こるかは未確認だ。

製作する場合のコツ

プリント基板にD-Sub 15ピンオスを取り付ける場合は、ワテは下図のように2列の端子の隙間にプリント基板を差し込んだ。

そして、利用するピンをプリント基板に半田付けしたら固定出来る。

必要なら未使用ピンもスズメッキ線などでプリント基板のランドに半田付けするとしっかりと固定出来る。

図6. ワテ自作のIdss測定冶具(表)

 

図7. ワテ自作のIdss測定冶具(裏)

 

赤と黒のコネクタはテスター棒を差し込めるチップジャックと言うやつだ。

こんなやつ。

それをアルミのLアングルに穴を開けて取り付けている。

この赤黒チップジャック端子にテスター棒を挿して、電流計測モードで測ればIdssを測定できる。

過去には、沢山のFETを袋買いしてシコシコと差し替えてIdssを測ってペアを組んだなあ。

先日の記事で書いたようにワテも部屋に新しい作業台とスチールラックを購入したので、また時間がある時にボチボチと自作アンプでも作ってみようかなあと思っている。

 

おまけ。

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ワレコ ワテの場合、趣味の電子工作をする場合には、ケース(あるいはシャーシとも言うが)の選択で悩む。 ワテが知っているケース製造販売の有名メーカーは以下の通り。 株式会社タカチ電機工業 株式会社リード(LEAD) 摂津金属工業株式会社(アイ

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まとめ

当記事では、予算1000円くらいで、実用性の高いマルチ出力の定電圧電源を作成する方法を説明した。

ジャンク屋の店頭で売られているACアダプターが狙い目だ。

特にノートパソコンのACアダプターは20V前後の高い電圧でかつ電流も数アンペアの大電流が出力出来るものがある。

そう言うのを2個まとめて買えば、この記事で紹介したように正負2出力の定電圧電源として利用出来る。

もし20VのACアダプターを買ったとして、実験では18V、16Vなどの電圧が欲しい場合には3端子レギュレータを1個使えば目的の電圧が得られるので、そう言う手法がお勧めだろう。

なので、あまり沢山のACアダプターを買う必要はないかもしれないが、毎回3端子レギュレータを使うのも面倒なので安ければACアダプターを追加購入するのも良いだろう。

ワテの場合は、たまたま手持ちにあった

出力 +20DCV 5A 2台

出力 +15DCV 2A 2台

を使っている。

これくらいの電圧が有れば両電源のオペアンプを使う実験に最適だ。

あるいは小出力のトランジスターアンプを自作する場合には、とりあえず電源代わりに利用出来る。

ワテの場合はD-Sub15ピンを利用したが現状で10ピンを使っている。あと5ピン余っているので、今度どこかのジャンク屋で10Vと12VのACアダプターを買ってくるかな。それらをアルミシャーシの空きスペースに入れて配線をするだけで良い。

そうすると、

  • 5V x 1
  • 10V x 1
  • 12V x 1
  • 15V x 2
  • 20V x 2

の電圧が利用出来るので、大抵の実験はカバー出来るだろう。

今回紹介した電源は、ジャンク屋で売っているACアダプター、D-SUBコネクタ付きコードなどで手軽に作成出来るので一つ作っておくと何かと便利だと思う。

このワテ自作のマルチ電源D-SUBコネクタで電源を供給できる自作機器は数個作っている。

主にトランジスタのHfe計測、FETのIdss計測などである。

そのうちの一つを紹介した記事はこちら。

【ワレコの電子工作】FET & CRD選別冶具(改訂版)を作る[1/2]
写真 自作のFET & CRD選別冶具でパーツを選別して自作ヘッドホンアンプを作って聴いている人 オーディオの世界には〇〇式と呼ばれる流派が幾つかある。 ワテが知っている有名なものだと、 金田式 安井式 窪田式 佐久間式 ぺるけ式 などかな...
【ワレコの電子工作】FET & CRD選別冶具(改訂版)を作る[2/2]
写真 これからFET & CRD選別冶具(改訂版)を半田付けするので水分補給して体調を整えている人 当記事は、ぺるけさん設計の「FET & CRD選別冶具(改訂版)」をワテが製作した過程の紹介記事だ。 全二部作の後半部分である。 前半部分は...

この手の自作測定冶具を作って利用する場合には、当記事で紹介したD-Subの電源コネクタを挿すだけで必要な電源を供給できる。その結果、冶具側には一切電源回路を作成する必要が無いので楽ちんだ。

なお、もしアルミシャーシにD-SUBコネクタを取り付ける場合には、穴の形状が台形になるので少々手間取る。

でも慣れれば簡単だ。

ワテの場合はこのハンドニブラーでアルミシャーシをバリバリと切っている。

もし台形に加工するのが面倒な場合には大き目の丸穴を空けても良いだろう。

アマゾンで定電圧電源を買う

ワテの場合、ACアダプターを使ったが、上写真のような汎用の安定化電源も最近は安い。

あるいは下写真のような組み込み用のスイッチング電源でも良いかもしれない。

ただし、出力20Aなんていう大出力のものも多いので扱いには注意が必要だ。

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